店舗リノベーションとは
店舗リノベーションは、現状の店舗に備え付けられている電気・ガス・給排水などの付帯設備をより快適に使えるよう、最新機能を導入したり、内装などを改装してお店を新しくリニューアルさせる場合に行われます。
古くなった設備や内装を一新することでより快適な環境に整えたり、イメージを変更することでお客様の注目を集め、コンセプトを変更することでターゲット層を幅広くするなどの効果が期待できます。
店舗リノベーションについてはこちらの記事で詳しく解説しているので、ご参考ください。
店舗リノベーションはコンセプト決めが重要
店舗リノベーションをする際は、店舗のデザインにも繋がるコンセプトをあらかじめ決めておく必要があります。 同じ業種であってもコンセプトによって全く印象の違う店舗となり、必要な工事が変わるほか、ターゲットとなる客層も変わります。
一般的に提供するサービスにそぐわないイメージの内装は、訪れるお客様にとって居心地の悪さや落ち着かない印象を与えます。また、販売店の場合は、そぐわない内装でインパクトを与えすぎると、置いている商品が引き立たず良いものに見えないなどマイナスに働くことが多いです。 一方、あえてサービスよりもインパクトやコンセプトに重点を置くことで、話題性を集めることを狙いにするような場合もあります。これは競争率の激しい業種であれば、他店舗との差異化を生むことに大きな効果を発揮します。
特徴的なコンセプトを持たせた店舗といえば、近年よく見られるのが「カフェ×〇〇」「レストラン×〇〇」など全く違う要素を組み込んだ店舗です。動物と触れ合えることをコンセプトとしたカフェや、異世界に引き込むような世界感溢れるレストラン、スポーツのできる居酒屋などがその例にあげられます。
話題性を持たせることは、新たな集客にも繋がります。 最近ではSNSで話題を集め反響を呼ぶことも多く、フォトジェニックな内装や商品が注目されます。店舗でSNSアカウントを持つことも一般的ともなっており、SNSが広告のような役割をする時代とも言えますので、話題性も軽視できません。
コンセプトがしっかり固まっていれば、リノベーションデザインや必要な工程、材料などもおのずと固まっていきます。 コンセプトをはじめに決めておくことは、リノベーションをする上でまず重要な要素となりますので、計画的なリノベーションのためにもコンセプト決めから始めましょう。
コンセプトの決め方とリノベーション時の注意点
コンセプトはどのように決定していくものなのでしょうか。業種別に見られるコンセプトの特徴や、実際に行うリノベーション時の注意点も見ていきましょう。
居酒屋の場合
【コンセプトの決め方】
居酒屋のコンセプトを決める際に多いのが、主流となる料理から決める方法です。
まずは大きく和食なのか洋食なのかでも雰囲気は決まってきますし、高級料理を出すのか、お手ごろな価格で提供するのかでも内装イメージが変わります。
活きの良い魚を提供する和食居酒屋であれば、船をイメージさせる内装を施し、いけすを用意すると雰囲気が出るでしょうし、素材にこだわった料理を提供するイタリアン居酒屋であれば、オーガニックな雰囲気漂うイタリアの古民家風の内装にするのもありでしょう。
あるいは立地やターゲット層から、利用するお客様のニーズに沿った決め方もできます。 立地によっては近所に企業や学生が多く、大人数での飲み会で使われることが多かったり、住宅街に近く、おひとり様でふらっと立ち寄られる方が多いなど、様々な特徴があるでしょう。
ターゲットとなる客層のニーズに合わせること、店舗の立地環境に合わせることは、集客にも大きな影響を与えます。
【リノベーションを行う上での注意点やポイント】
居酒屋の場合、個室を設けるか設けないかはまず大きな違いになりますが、一度間仕切りを設けてしまった場合は簡単に撤去することはできません。
例えば2人用の個室を多く用意したものの、実際4人用の個室の方が需要が高かった場合や、個室を無理に多く設置してみたものの、通路が狭く営業に支障が出るなど問題が起きることもあり得ます。 簡単にレイアウトは変えられませんので、前もってお客様のニーズはどこにありそれを満たす内装とは何なのか、お客様もスタッフも居心地が良く、効率よく働ける空間とは何なのかを考えておく必要があります。
こちらの記事で居酒屋の内装(改装)工事について詳しく解説しているので、ご参考ください。
美容院・ヘアサロンの場合
【コンセプトの決め方】
最近はコンビニよりも数が多いと言われる美容院・ヘアサロンですが、店舗が多いゆえに競争率が高いことも事実です。
いかに競合店と差をつけるかが集客の重要な要素にもなります。
有名チェーン店であれば、ブランド力やスタイリストの技術、知名度によって遠くに住んでいるお客様でも足を運んでくれる場合があります。 一方、地域密着型の美容院を目指すのであれば、店舗付近の地域にどんな方が住んでいるかで内装を決めると良いでしょう。
お客様が美容院として興味を持ち、入りやすいく、落ち着く空間を演出することがポイントです。 例えば年齢層の高い方が多く住む地域では、白を基調にした活発で明るくおしゃれな内装よりも、木目調であたたかみのあるナチュラルな内装が好まれる傾向にあります。 ポップな雰囲気の内装では年齢層の高い方は入りにくいでしょうし、高級そうな雰囲気では年齢層の低い方などの興味を引くことはできないということが考えられますので、事前にターゲットとなりうるお客様層をつかんでおくことは重要です。
また、美容院にいらっしゃるお客様は「きれいになる」というプラスの印象を持って来店されます。ターゲットとなるお客様の年齢層や雰囲気に合わせたコンセプトや内装であると共に、「ここに行けばきれいになるかも」「この雰囲気が好き」など安心や期待が持てるということも重要です。
こちらの記事で美容院・ヘアサロンの内装(改装)工事について詳しく解説しているので、ご参考ください。
喫茶店・カフェ
【コンセプトの決め方】
喫茶店も美容院と並んで非常に競合店舗の多い業種です。
競合が多いからこそ、さまざまなコンセプトの喫茶店が話題を集めていますよね.。店員がメイドを装い、雇い主を疑似体験できるメイド喫茶、猫と触れ合える猫カフェ、図書館と一体化した図書カフェなどを見てもわかる通り、喫茶店はいろいろなコンセプトを取り入れやすいのが特徴です。
喫茶店・カフェの場合は、個性的なコンセプトで勝負するのか、提供メニューをコンセプトとするのか、カフェメニューで勝負するのかという大きく3つの視点から考えることができます。
上記のような全く別の要素を組み込んだ個性的なコンセプトのあるカフェでは、そのコンセプトを目的に来店する方が多くなります。 そのため、カフェメニューに特にこだわりがない場合や、コンセプトを一番に押したい場合に向くでしょう。
提供メニューをコンセプトとする場合とは、メニューとコンセプトを統一させて雰囲気をつくることが重要です。 ハワイアンカフェ、アジアンカフェをはじめ、ボリューミーなサンドウィッチなどを提供するアメリカンカフェなどがありますが、提供メニューに合わせたコンセプトで内装を追求すると良いでしょう。
一方、シンプルなカフェメニューで勝負をする店舗もあります。 おいしいコーヒー、めずらしいコーヒー豆を取り扱うコーヒー店などはそのこだわりのメニューが売りになります。 ゆっくりおいしいコーヒーを味わってもらえるよう、開放的で居心地の良い空間演出をされますが、シンプルな内装を施す場合もあれば、オーナーの好みのテイストで内装をまとめ、コンセプトカフェのようなイメージを持たせるカフェもあります。
【リノベーションを行う上での注意点やポイント】
喫茶店・カフェはどんなコンセプトであっても、飲食店に分類されますので清潔感は重要ですし、設備にも注意が必要です。
リノベーションを行う際は、建物に備え付けられている付帯設備の確認を必ず行いましょう。
飲食物を扱う職業なので、衛生管理が行き届く必要があります。 水回りでは詰まりが起こらないよう適切な排水トラップを設置し、料理を提供する場合は確実な換気設備を設ける必要があります。 喫茶店・カフェのような飲食業は、付帯設備のリノベーションにも意識を持ちましょう。
また、喫茶店・カフェはメイド喫茶や猫カフェというような、飲食ではなく提供されるサービスをメインにするコンセプトの店舗があります。 メイド喫茶であれば、メイドに扮したスタッフが歌やダンスのショーを行う場合もあります。その際はステージデッキを設置するリノベーションが必要です。
最初にメイド喫茶をコンセプトにしていたにも関わらず、途中でスタンダードなカフェに転向しようとすると、最初に施したリノベーションを解体・撤去することになります。
喫茶店・カフェは最初に決めたコンセプトに沿ったリノベーション計画を行わなければ、無駄に費用がかかってくるので注意しましょう。
こちらの記事で喫茶店・カフェの内装(改装)工事について詳しく解説しているので、ご参考ください。
- カフェ・喫茶店の工事のポイントとは 内装(改装)工事の考え方を解説
- 【2024年】カフェ(喫茶店)を開業するための費用相場とデザインの重要性を解説!
- 喫茶店・カフェの内装(改装)工事で重要なポイントとは? 注意点も解説
- カフェの内装業者の選び方
リノベーションで起こりやすいトラブル
実際に店舗内装に取り掛かる際に起こりやすいトラブルとしては、どんなものがあげられるのでしょうか。
店舗のデザインが思いつかない、または定まらないという場合は、リノベーション業者に相談するのも一つの手です。 店舗の設計・デザインから手掛けている業者もいますし、実績にもよりますが店舗内装を多く手がけ知識が豊富な業者もいます。コンセプトさえ決まっていれば、様々なアドバイスや提案をしてもらえるでしょう。 ヒントとなる情報を得られる場合がありますので、迷ったら一度相談してみましょう。
また、思い描いていたリノベーションがあったとしても、理想通りの施工ができない場合もあります。 背の高い陳列棚を設置しようと計画していても、消防法に抵触していればもちろん設置はできませんし、取り払いたい柱などがあっても建物の強度に影響を及ぼすものであれば撤去はできません。 希望のイメージを持つことはとても大切なことですが、実際に実現可能なのかどうかを業者と一つずつ擦り合わせをしていくことも非常に重要となります。
ここからは工事の前後、工事中、それぞれで起こり得るトラブルをご紹介していきます。
工事前に起こりやすいトラブル
≪工事内容を口約束で交わした≫
リノベーションでよく起こるトラブルとして、工事内容やサービスを口約束で業者と交わしてしまうことがあげられます。
口約束に法的な効力はないとされており、言った言わないという事態になっても証明できるものがなければ埒が明きません。確実に契約書などの書面で契約を交わすようにしましょう。
より良い店舗内装にするためには、業者との密なコミュニケーションが必要になります。
≪オーナーの条件に合わない≫
店舗を持つ際にビルを借りる場合、そのビルにはオーナーが存在します。場所を借りる以上、所有者であるオーナーの条件には従わなければなりません。
「他の店舗に迷惑がかからないように防音対策を必ず施してほしいと言われ、想定より予算が大幅に上回った」、「希望していた内装工事の内容ではオーナーの許可が下りなかった」というような場合もあります。
店舗の貸借契約後に、行き違いのトラブルに発展しないためにも貸借契約前に可能な工事範囲やすべき施工がないかオーナーに確認しておきましょう。
≪建築基準法に抵触している≫
建物の安全性を確保するため、建築基準法に従った建設を施さなければなりません。店舗内装ももちろん対象となります。
リノベーションで大きく内装を一新する場合、室内の仕切りとなっている柱や壁を撤去したいなどという希望が出てくる場合がありますが、室内の柱や壁は間仕切りだけの役割で設置されているわけではなく、建物にとって重要な構造であることもあります。
柱を撤去することで、建物自体の耐久性に影響する場合、撤去は許されません。 室内の中心部を開放的にしたいとイメージしていても、柱が撤去できない場合は、柱を残して内装するしか方法はありません。
気になる柱や間仕切りがある場合は、物件を借りる・購入する前に位置や撤去の可否を確認しておくことが重要です。
工事中に起こりやすいトラブル
≪工期が間に合わない≫
内装工事の施工完了に合わせ、店舗のオープン日を決めていたにもかかわらず、工期が伸びたことで開店に間に合わないという事態が起こる場合があります。
現地調査の段階で問題がなかったとしても、内装工事をし始めてから問題が発覚し、工期が伸びるということもあることを把握しておきましょう。
すぐに解決できる内容であれば良いですが、大掛かりな作業が必要となった場合、時間だけでなく費用も追加となる可能性があります。 店舗のオープン日は工事中のトラブルを想定し、十分余裕を持って設定することをお勧めします。
≪イメージとできあがりに相違があった≫
店舗内装の工事中は業者に任せきりにせず、経過をご自身の目で確認していくことが重要です。
ご自身のイメージと、業者のイメージに相違があったというトラブルはよくあります。業者も悪気はなく、業者なりに解釈していたにも関わらず、イメージと違うと言われては困るものです。
工期中も業者との密なコミュニケーションを図ることで、イメージ通りの内装へ近づけることができます。
工事後に起こりやすいトラブル
≪見積書以上の金額を請求された≫
見積もり時よりも大幅に請求金額が増えていたというのは、業者との間で最も多く見られるトラブルです。
工事前の契約時には、見積書の金額以上になり得ることがあるのかという確認と、その場合には必ず事前の説明と同意を求めるように話しておきましょう。
また、見積もり内容を明確にしておくことも重要です。費用としての記載が専門用語でわからない場合や、「〇〇一式」などと省略されている場合などよくわからないものがある場合は、見積もりの時点で確認します。
≪欠陥が見つかった≫
工事後に施工不良が見つかる場合があります。配管工事が適切でなく水漏れが発生したり、壁紙が剥がれてくるというような事態が例です。
その場合は「瑕疵担保責任」の確認をしましょう。瑕疵担保責任とは、工事後に本来の機能、役割を果たさない箇所があった場合、責任を補償するという制度です。
契約時には瑕疵担保責任の所在と、アフターサービスの有無について確認しておきましょう。
確認申請とは
店舗リノベーションを行う上では「確認申請」を念頭に置いておく必要があります。
確認申請とは、建築基準法において建物の大規模な修繕や模様替えを行う場合や、使用用途の変更時に、条例の規定内であるか行政に確認済証を取ることです。
使用用途の変更とは、事務所として使用されていた物件を飲食店として利用する場合などのことを指します。飲食店として使用する場合は、火器の使用などが追加されるため、申請が必要となります。
基本的に新築は必ず確認申請が必要ですが、増築の場合は建設する地域の取り決めによっては確認申請が不要な場合もあります。施工前に行政に確認申請をしなければなりません。
大掛かりな店舗リノベーションを行う場合は設計計画とともに、店舗のある地域が定める確認申請の範囲を必ず確認しておきましょう。
まとめ:店舗内装の成功は「事前」がキーワード
店舗リノベーションを行う場合、最初にコンセプトを決めることが大切です。 コンセプトの決め方は業種によって細かい違いはあるものの、主に何を売りにしたいか、どんなターゲットに向けて集客を行うかから決めると良いでしょう。
コンセプトが決まればリノベーション計画を立てますが、イメージした内装が可能かどうか確認しておくことはとても重要です。 建築基準法に抵触する施工はできませんし、オーナーの条件によっては許可が下りない場合もあります。
実際に施工に入る際、施工後にもそれぞれ注意すべきポイントはたくさんありますが、店舗のリノベーションすべてにおいて重要となるのが事前の確認や申請です。 成功のキーワードとも言える事前での行動を忘れずに、理想の店舗リノベーションを実現させてください。
いかがでしたでしょうか。なるべく費用を抑えてリフォームをしたい方へお知らせです。リフォマは中間業者を介さずに、ご要望に合う専門業者を直接ご紹介します。中間マージンが上乗せされないため、管理会社や営業会社などより安く費用を抑えることができます。下記のボタンからお気軽にご相談ください!
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