2022年4月25日

【2022年度版】飲食店の厨房はドライキッチンが最適? デメリットもしっかり解説

飲食店を開業する際は、他の業種と違って注意すべきポイントがあります。 それが厨房の床です。 「床なんて何でもいいんじゃないの?」と思う方もいるかもしれませんが、厨房の床はメンテナンス性だけでなく安全性も考慮します。 この記事では、飲食店の厨房に最適な床材について提案しています。

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なぜ厨房の床は工事をしないといけないの?

飲食店の厨房の床は工事をしないといけない?

これからあなたが開業しようと思っている飲食店が、カフェやバーのようなあまり調理を行わないお店は、厨房の床についてそれほど深く考える必要はありません。

しかし、洋食屋や中華料理店のような料理提供をメインとするお店では、厨房の床工事についてしっかりと考える必要があります。

さらに、飲食店を開業する際は保健所の担当者が立ち合いの元、店内や厨房の設備に不備はないか細かくチェックされます。

厨房は大量の水を使用する場所なので、常に水漏れの危険性があります。 頻繁に起こることではないものの、絶対に起こらないとは言い切れません。

厨房で使っている設備が多いほど、水漏れの原因を掴むのが難しくなります。 そもそも下の階からの苦情がこなければ、気づかないこともあるので注意しましょう。

防水工事について

下の階に入居者や他店舗が入っている場合で、水漏れが発生して被害が出ると高額の補償金を支払うことになり、経営自体ができなくなる恐れもあります。 トラブルを引き起こさないためにも、飲食店の厨房は防水工事が必須なのです。

こちらの記事では、飲食店の防水工事にかかる費用、行うときの注意点などについて解説しています。 興味のある方は参考までにご覧ください。

ドライキッチンのメリットとデメリット

ドライキッチンのメリットとデメリット

ドライキッチンとは、厨房全体が乾燥している床のことを指します。
ウェットキッチンと違って排水溝の露出が少なく、床を僅かに傾けて側溝のように長い排水溝を設置するということはほぼありません。

飲食店の厨房はドライキッチンを利用しているところが多数あります。
ここではドライキッチンの魅力ともいうべきメリットを解説するだけでなく、デメリットもきちんと解説しますので、あなたのお店で利用できる検討してみてください。

ドライキッチンを設置するとこんなメリットがある

  • 費用が安価でできる
  • 工事期間が短い
  • 菌の発生を低下できる
  • 床が乾燥しているので怪我をしにくい

ドライキッチンは、樹脂でできた長尺シートを厨房の床に敷き詰めて、その上に耐水性の塗料を塗る施工方法です。 そのため工事期間が短くて済み、施工費用は安価で行えます。

飲食店の厨房では水を使用する機会が多いので、「ウェットキッチンのほうがいいのでは?」と思う方もいるかもしれませんが、ドライキッチンは水で濡らしてはいけないというわけではありません。

乾燥している状態を保っていることが重要なのであって、床のシートが耐水性に優れていることもあり、水に濡れても乾燥させれば問題ないのです。 厨房が乾燥していると菌の繁殖、機器が錆びるのを防ぐことができるため、厨房内の衛生を保つことができます。

さらに、床が常に乾燥しているので滑って転ぶということが少なく、事故が起こる可能性はウェットキッチンよりも低いといえます。

ドライキッチンをにしたときに発生するであろうデメリット

  • 床が濡れたときの対処が必須
  • 耐用年数が短い
  • 災害に弱い
  • 汚れをすぐに取り除かないといけない

水と災害に気をつけなければいけない、というのがドライキッチンのデメリットといえます。床が濡れてしまったときは、水分を吸い込む業務用掃除機を使用するなど、しっかりと換気をして乾燥を維持しなければいけません。

また、ウェットキッチンよりも耐用年数が短いといわれています。その要因はシートの上に塗られる塗料が大体5年程度ではがれてしまうため、再度塗り直すことになるからです。

ドライキッチンは床の下地に水捌け効果のある薄いシートを貼って仕上げますので、災害などでクラック(ひび割れ)ができやすい、というデメリットもあります。ビルの耐震性能にもよりますが、クラックによりシートが破れたりよれてしまうと、水漏れにつながります。

営業中に発生した汚れは、できるだけその場で取り除かなくてはいけません。あまり調理をしないお店や、仕込みを別の場所で行っているお店などにおすすめのスタイルです。

飲食店で使用する厨房は2種類ある

飲食店で使用する厨房は2種類ある

飲食店の厨房の床はドライキッチンだけでなく、ウェットキッチンというものがあります。 ウェットキッチンとは、掃除のときに床に水を撒くことができる厨房の床のことです。

ここでは、ウェットキッチンの特徴について詳しく説明していきます。

ウェットキッチンとは?

ウェットキッチンは中華料理店、ラーメン屋などの飲食店でよく見かけるタイプの厨房です。 床を防水機能がある薬剤でコーティングすることにより、水を流しながら掃除できるのが特徴です。 他にも、排水溝に水やごみを集めやすくするため、僅かに床が傾いているという特徴があります。

ウェットキッチンのメリット

ウェットキッチンの最大のメリットは、先程挙げましたがホースなどで水を撒きながら清掃できるという点です。 防水処理が施してあるため、水漏れを気にすることなく使用できますし、毎日行う厨房の清掃が簡単に行えます。

清掃時間が短時間で済むので、床が油で汚れやすい中華料理店などを開業する場合、ウェットキッチンのほうがおすすめです。

さらに、ウェットキッチンは床の施工を行う際にしっかりと下処理を行うため、災害などで床の多少シートがよれても水漏れすることがありません。 耐用年数も長く10~20年ほど持つといわれています。

ウェットキッチンのデメリット

コストパフォーマンスが高く、災害に強いウェットキッチンですが、側溝に向けて床に傾斜をつけたり、下地をしっかり整備してから工事を行う必要があるため、工事費用が高くなるというデメリットがあります。

さらに、ウェットキッチンは床がいつも湿っている状態ですので、従業員が滑りやすく怪我をしやすいのもデメリットのひとつといえます。

床が濡れていることで、菌が発生しやすいという問題もあります。 しかし、毎日清掃を行うことで菌の発生を最小限に抑えることができますので、必ず厨房の床に水を流して隅々までキレイにしましょう。

ドライキッチンとウェットキッチン、どちらにすればいいのか

飲食店の床はライキッチン?ウェットキッチン?

この問いに関しては、開業するお店のジャンルによって利点が違うため、一概に「こちらのタイプのほうがいいですよ!」と断言することはできません。

例えば、あなたが水や油を大量に使用する中華料理店を開業するのであれば、ウェットキッチンのほうが掃除が楽になります。 一方、あまり厨房を使用しない喫茶店を開業するのであれば、ドライキッチンでも問題なく運営できるでしょう。

また、あなたの予算によってもおすすめするキッチンが異なります。
ウェットキッチンは耐用年数が長いので、コストパフォーマンスがドライキッチンよりも高いのですが、初期費用は倍以上かかってしまいます。

開業時は予算に余裕がなかったのでドライキッチンにしたけれど、費用を捻出できたので後からウェットキッチンに変更することも可能です。
予算とお店のジャンルに合わせて、メリットの効果が高いものにしましょう。

あなたが厨房の床に対してどれくらいの予算を割けるかは分かりませんが、水漏れを起こして被害を出してしまうと、ドライキッチンにしたときよりも高額な費用がかかってしまいますので注意してください。

保健所の検査で気をつけるべき3つのポイント

飲食店を開業するためには、保健所の検査を受けることになります。 検査に引っかかしてしまうと、開業が遅れるだけでなく改善するために費用がかかることがあります。

ここでは、厨房に焦点を絞って特に気をつけるポイントについて説明していきます。 以下の3点について忘れずに対応しましょう。

  • 厨房の床は掃除がしやすい仕上げか
  • シンクが2槽用意しているか
  • 木製のものが厨房内に置いていないか

1.飲食店の厨房は清掃しやすい床材にしなくてはいけない

厨房の床は調理をよく行うのであれば、油や食材の切れ端で床が汚れることが考えられます。 その際、汚れが床に染み込んでしまったり、掃除がしにくい床材を使っていないかなど、常に清潔な状態を保てるように床の掃除がしやすいかどうかを見られます。

そのため、厨房の床は水を弾く防水加工した床材を使用し、ウェットキッチンのように水を流して掃除ができる、もしくはドライキッチンのように水を流さなくても問題なく掃除ができる、という仕上げにしなくてはいけません。

2.シンクは食材と食器を洗うところを分けるために2つ必要

次に、飲食店は料理を提供する場所ですので、清潔感は常に意識する必要があります。 厨房の床の掃除がしやすいことも重要ですが、食器を洗うためのシンクは2槽用意しなくてはいけません。

食材を洗う場所と食器を洗う場所を別々にすることが目的なので、*食器洗浄機があればシンクが1槽でも問題ありません。 *シンクのチェックでは、60℃以上の温水が出るかどうかも検査で見られます。

3.できるだけ木製の機器を置かないほうがいい

意外と忘れがちなのが、木製の機器が厨房に置いてあるということです。

結論から言うと、木製だからといって、保健所の検査で落とされるということはありません。 気にすべきは腐食の対応です。 例えば、鍋のフタを木製にしていると腐食の対応しているかどうか、保健所の担当者に聞かれることがあります。

飲食店ではグリストラップが必須

飲食店ではグリストラップが必須

出典:上越市環境衛生公社

ラーメン屋、焼肉屋など油をよく使用する飲食店は、グリストラップの設置が必須です。

グリストラップとは、厨房で発生した油の混じった水やお湯、細かな野菜くずをそのまま排水口に流すのではなく、途中でろ過をして綺麗な状態で排水溝に流すための機器です。油水分離阻集器と呼んでいるところもあります。

自治体によっては、グリストラップの設置が義務づけているところもあります。まずは、出店する地域のルールをきちんと確認しましょう。

「うちは厨房を殆ど使用しないから」という方もいらっしゃるかもしれませんが、下水の基準は厳しく設定されていますので、自発的に設置しているところがほとんどです。 グリストラップの設置費用は30~50万円程度で、簡易的なものであれば10~20万円程度です。

グリストラップは使えば使うほど汚れていきます。最低でも1日に1回の清掃を行い、油脂の処理は1週間に1回は行うようにしてください。 どれくらいの規模のものを設置するかについては、お店の業務形態によって変わりますので、施工業者と相談しながら決めるようにしましょう。

まとめ

飲食店における厨房はお店の心臓部ともいえるものであり、とても重要な場所です。
厨房の床をドライキッチンにするか、ウェットキッチンにするかは、どのような飲食店を開業するかによって変わってきます。

常に調理をしているお店の厨房ならば、水を流しながらメ掃除できるウェットキッチンがおすすめです。 反対に、カフェのような厨房でほとんど調理しないお店であれば、衛生的な状態を保ちやすいドライキッチンのほうがよいでしょう。

また、油を多く使用するお店では、汚れた水や野菜の切れ端などを回収してくれる、グリストラップを設置しないと排水溝が詰まりやすくなります。 最悪の場合、排水溝から悪臭が出てそれが客席までいってしまったり、害虫やネズミを呼び寄せる原因になります。

ドライキッチンとウェットキッチンの特徴、あなたのお店の営業スタイルに合わせて、最適な床と厨房を選ぶことが大切です。 自分では判断できないというときは、厨房の床を工事してくれる施工業者に相談しながら決めてください。

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監修者:

渡邊 一伸(ナベさん)

大工歴35年。大手ハウスメーカーで2年間現場監督に従事。3000棟以上のリフォーム・住宅修理の工事管理の実績をもつ。阪神淡路大震災においては1年間復興財団に奔走。その後、独立し、会社を10年経営。2016年に1月に株式会社ローカルワークスに入社。