2017年12月30日

電気給湯器「エコキュート」とガス給湯器「エコジョーズ」の比較まとめ

エコキュートの導入検討をしようとすると「エコジョーズのほうがおすすめ」というようなインターネット記事を目にすることがあります。エコキュートと比べると本当にエコジョーズのほうがおトクなのでしょうか?そもそもエコジョーズとエコキュートにはどんな違いがあるのでしょう? ここではエコキュートとエコジョーズの違いや、それぞれのメリット・デメリットを紹介しながら、どちらを選ぶべきかについての考え方を解説します。エコキュートとエコジョーズで迷っている人は、ぜひ参考にしてください。

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エコキュートの仕組み

出典:photo-ac.com

エコキュートは電気代が安い深夜電力を使って、お湯を作って貯めておくシステムです。電気でお湯を沸かすのは効率が悪いのでは?そう思う人もいるかもしれません。でもエコキュートは電気でお湯を沸かすわけではなく、大気の熱を利用してお湯を沸かします。

エコキュートはヒートポンプユニットとタンクの2つで構成されています。ヒートポンプユニットは大気中の熱を汲み上げて、その熱でタンクから流れてきた水を温めて、またタンクに戻します。このヒートポンプユニットを動かすのに電気を使っているというのが、エコキュートの仕組みになります。

エコジョーズの仕組み

エコジョーズはガスを使ってお湯を沸かします。それはただの給湯器ではないかと思うかもしれませんが、これまでの給湯器は水をお湯にする過程で、無駄な排熱が発生していました。その排熱を利用してさらに効率よくお湯を作れるようにしたのがエコジョーズです。

エコジョーズと名前が付くと新しいもののように思えますが、非常に効率がいいという点以外では、これまでのガス給湯器と使い勝手は変わりません。「エコジョーズ=高効率ガス給湯器」だと考えてもらえれば、イメージをしやすいのではないでしょうか。

エコキュートのメリット・デメリット

それぞれの仕組みを理解したところで、まずエコキュートのメリットとデメリットを見ていきましょう。

メリット

  • 太陽光発電システムと組み合わせることで光熱費を下げられる
  • 断水があったときにタンク内の水を非常用水として利用できる
  • 商品が豊富
  • 火を使わない

エコキュートはそれ単体でも魅力的なのですが、太陽光発電システムと組み合わせることで、電気代などの光熱費を大幅に減らすことができます。太陽光発電システムなら災害時にも発電できますので、停電時でも困りません。さらにタンク内に水がありますので、断水があっても数日間は水を使えます。

たくさんのメーカーから商品が出されていますので、性能や機能を比較しながら最適なものを選ぶことができるというのも大きなメリットです。メーカーが競い合っていますので、以前よりも価格が下がって導入しやすくなっています。

実用面では火を発生させないため、火災が発生する可能性がとても低くなります。小さな子どものいる家庭や、高齢者世帯が安心して暮らすことができる。それもエコキュートを導入するメリットのひとつです。

デメリット

  • 水圧が弱く同時使用や2階以上での使用に適していない
  • 貯湯タンクが必要なため大きなスペースが必要
  • 貯めただけしかお湯を使えない
  • 飲用には適さない
  • 低周波騒音問題のリスクがある

インターネットなどで調べるとメリットばかり出てきますが、実はデメリットも少なくないのがエコキュートです。まずガス給湯器と比べると水圧が低いため、2階以上ではシャワーの勢いが弱くなったり、キッチンと浴室の同時使用ができなかったりします。

さらに、貯湯タンクはとても大きいため、室外に一畳分くらいのスペースが必要だと言われています。お湯は貯まっただけしか使えませんので、入浴中にお湯切れが発生する可能性があります。タンク内の衛生環境を考えると、飲用にも適しません

そしてもうひとつ重要なのが、一部で低周波騒音のトラブルが発生しているということです。エコキュートは耳に聞こえない低い周波数で音が発生しています。それにより眠れなくなる人もいるため、設置時には十分な対策が必要になります。

エコジョーズのメリット・デメリット

それでは次にエコジョーズのメリットとデメリットも見ていきましょう。

ガス給湯器の取付や修理の費用については下記で詳しく解説しているので、ご参考ください。
ガス給湯器の取付・修理の費用相場とポイント

メリット

  • 水圧が強くて2階でも使える
  • タンクが不要で接地面積が少ない
  • お湯が途切れない
  • 沸かしたお湯を飲める

エコジョーズは給湯器ですので、これまでの給湯器と同じように使えます。2階でも強い水圧で利用できますし、同時使用も問題ありません。さらに、エコキュートのように設置のための大きなスペースは必要ありませんし、お湯が途中で切れることもありません

もちろん沸かしたお湯はそのまま飲むこともできます。普段使いにおいては、ほとんどストレスなく利用できるというのがエコジョーズのメリットです。

デメリット

  • 設置場所を選ぶ
  • トータルコストはそれほど下がらない

エコジョーズは「どこにでも設置できる」というのがひとつのメリットとされていますが、実は設置場所は思った以上に制限されます。エコジョーズから出る蒸気は40℃以上ありますので、隣家に近い場所での設置は好ましくありません。さらに排水が必要ですので、排水を受ける設備が必須になります。

さらに、エコキュートの値段が大幅に下がってきたことで、本体価格にそれほど差がなくなり、ランニングコストもエコキュートよりも劣ることで、コスト面でのメリットはほとんどありません。この点については次項で詳しく説明します。

コストの比較

従来のエコキュートとエコジョーズのコスト比較では、それぞれに下記のような特徴があり、トータルコストは変わらないと言われてきました。

エコキュート:機器が高くランニングコストが安い
エコジョーズ:機器が安くランニングコストが高い

ところが最近ではエコキュートの本体価格が大幅に下がっているため、いずれも初期費用にはそれほど大きな違いはなくなっています。

下記の記事ではエコキュートとエコジョーズをコストや寿命の他にも仕組みでも比較しているので、ご参考ください。
エコキュートにするだけでこんなに光熱費を節約できる?電気温水器と徹底比較

初期費用の比較

エコキュート(工事費+本体価格):25万~45万円
エコジョーズ(工事費+本体価格):15万~35万円

エコジョーズの紹介サイトなどでは、それぞれの定価での比較を紹介していることがよくあります。何年も前の価格で比較しているサイトもあります。その結果、30~40万円くらいの初期費用の差が発生しています。ところが実際には、いずれも割引販売されたり、エコキュートの価格も下がったりしていますので、工事費込みの価格差は10万円程度になっています。

ランニングコストの比較

エコキュートは夜の電気代が安い時間帯にお湯を作りますので、ランニングコストはエコキュートのほうが安くなります。ただし、契約プランや電気の使い方、お湯の使い方でなどでもランニングコストが変わってきますので、家庭によってはランニングコストにも大きな差は出ません。

寿命の比較

エコキュートの寿命:10~15年
エコジョーズの寿命:8~10年

エコジョーズよりもエコキュートのほうが寿命は長いとされていますので、25年間で考えるとエコキュートなら1回の交換で済みますが、エコジョーズは2回の交換が必要です。こうなると初期費用の差が埋まってしまいますので、どちらがコスト面で有利なのかは判断が難しくなります。

また、機器の寿命は設置環境や使用状況の影響を受けると考えられています。入浴剤の入ったお湯を追い焚きで沸き直せば配管の寿命を縮める可能性があり、外に設置している場合、雨や風の影響を受けるので、室内に設置した機器に比べて寿命は短くなります。このように動作環境や使い方の影響を受けて寿命は短くなる可能性があることを覚えておきましょう。

まとめ

エコキュートとエコジョーズ。どちらでいいか悩んでいる人にとって、参考になることもあったかもしれませんが、むしろ余計に悩む結果になった人もいるかもしれません。特にコスト面では、電気料金やガス料金の価格の変動でも変わりますし、故障する可能性などを考えると決め手にはできませんよね。

それぞれを比較するときには、コスト面はあまり考えずに、実用面でどちらのほうが便利なのかを考えて選ぶようにしましょう。災害への備えを重視するならエコキュートですし、接地面積の少なさや、高い水圧を望むならエコジョーズなど、給湯器に何を期待するのかを明確にして選ぶようにしましょう。

こちらのページでは、ガス給湯器の施工事例や商品、その他お役立ち情報をまとめています。 ガス給湯器の設置や交換をご検討の方はぜひ参考にしてください。

ガス給湯器の設置や交換に併せて、お風呂のリフォームを検討している方はこちらのページも参考にしてください。

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