エコキュートとはどんなもの?
「エコキュート」は電力会社や給湯機器メーカーの愛称で、正式名称「自然冷媒ヒートポンプ給湯機」として2001年に販売が開始されました。 その名の通り、ヒートポンプの原理で自然界に存在する自然冷媒(CO2)を使用して、お湯を沸かします。 「ヒートポンプ」という言葉は聞き慣れないかもしれませんが、エアコンや冷蔵庫などの身近な電気製品にも使われている技術です。
エコキュートは「ヒートポンプユニット」と「貯湯タンクユニット」の二つで構成されています。それぞれに役割があり、二つのうちどちらかが故障すると、お湯を使用することができなくなってしまいます。 ヒートポンプユニットは、お湯を沸かす熱源、貯湯タンクユニットは、沸かしたお湯や水を溜めておくタンク及び給湯するものと理解しておきましょう。
■お湯を沸かすサイクル
少し専門的になりますが、エコキュートでお湯がつくられるサイクルを簡単に説明します。 エコキュートは「電気」と屋外の「空気の熱」の両方を使って、下記の1~4までの工程を繰り返してお湯をつくります。
- ヒートポンプのファンが大気中の熱を取り込みます。空気熱交換機で自然冷媒(CO2)を圧縮し、取り込んだ熱をさらに高温にします。(ヒートポンプ技術)
- 圧縮され高温になったCO2は水熱交換機へ運ばれ、貯湯タンク内に貯蔵されている水を約65℃~90℃に温めます。つくられたお湯はタンク内の上部に保温された状態で貯湯されます。
- 水が温まるとCO2を膨張弁で膨張させ温度を下げます。CO2は再び空気熱交換機へ戻ります。
- お湯がなくなるとタンク下部に貯蔵されている水が、水熱交換機へと運ばれ、1~3のサイクルで再びお湯をつくります。
電気温水器とエコキュートとの仕組みの違い
「電気温水器」が日本で初めて販売されたのが1964年です。エコキュートの販売が開始されたのが2001年ですから、電気温水器はエコキュートが販売される30年以上も前から各家庭に普及していたことになります。
電気温水器の熱源は「貯湯タンク」の中に設置されたヒーター(電熱器)です。エコキュートとは異なり、電気のみでお湯をつくります。 そのため、お湯を沸かす熱源、お湯や水を溜めておくタンク、給湯のすべてを「貯湯タンク」一つで担います。
■お湯を沸かすサイクル
電気温水器でお湯がつくられるサイクルは、エコキュートのように複雑ではなく、電気の熱で水を温めるという単純なものです。しかも下記の1~2までの少ない工程を繰り返すだけでお湯をつくります。
- タンク下部に貯蔵されている水をヒーターで温め、タンク上部に保温しながら貯蔵していきます。
- お湯がなくなるとタンク下部の水を温めて、再びお湯がタンク上部へ溜まっていくというサイクルを繰り返します。
エコキュートと電気温水器の違いを比較
エコキュートと電気温水器の違いをご紹介する前に、共通するものについても触れておきたいと思います。
エコキュートと電気温水器には戸建て、マンションなどに対応する商品が揃っています。また搭載されている機能にもそれほど大きな差はありません。例えば、使用湯量を学習する機能をはじめ、お湯はりからたし湯、保温までを自動で行う「フルオートタイプ」、手動でたし湯などの操作を行う「セミオートタイプ」、設定した温度のお湯を浴槽にはるだけの「給湯専用タイプ」などです。
冒頭でもご紹介したとおり、一番の違いは、熱源とお湯を沸かす基本的な仕組みです。その他、機器の大きさや個数の違いから設置するために必要なスペースも異なります。
給湯器にはガス給湯器のエコジョーズもあります。下記の記事ではエコキュートとエコジョーズを比較していますので、ご参考ください。
電気給湯器「エコキュート」とガス給湯器「エコジョーズ」の比較まとめ
熱源とお湯を沸かす仕組み
【エコキュート】
熱源は電気と空気の熱。ヒートポンプの原理で自然冷媒(CO2)を使用してお湯を沸かします。
【電気温水器】
熱源は電気のみ。貯湯タンクの中のヒーター(電熱器)でお湯を沸かします。
設置スペース
【エコキュート】
ヒートポンプと貯湯タンクの両方を据付けるための広さが必要です。搬入やメンテナンスなどが行えるように奥行1m程度、横幅2~3m程度のスペースが用意できると安心です。 設置スペースに余裕がない場合には、薄型やコンパクトタイプを検討してみましょう。
【電気温水器】
貯湯タンクのみの据付けとなるため、奥行と横幅各1m程度のスペースがあれば、十分設置可能です。
初期費用・電気代でエコキュートと電気温水器を比較
どのご家庭でも設備などの大きな買い物をする時には、まず初期費用や毎月の電気代がどのくらいかかるのか調べますよね。 気になる費用や電気代の違いについても見ていきましょう。
それぞれを新規で取り付ける場合は、エコキュートよりも電気温水器の費用の方が安くなります。これは電気温水器本体の価格がエコキュートの約半分になるためです。
その他にも導入するには電気・水道工事が必要ですが、エコキュートは貯湯タンクを設置するための基礎コンクリート工事が別途必要です。 本体価格はメーカー、機能、タンク容量によって異なりますが、ここではタンク容量370L、460L、550Lの相場をご紹介します。
また電気代については、どちらも安い深夜電力を使用してお湯を沸かすので、そんなに差はないと思われるかもしれません。しかし1ヶ月あたりの電気代は、エコキュートの方が安くなる傾向にあります。 この差は、両者の消費電力の違いです。
電気温水器の熱源は電気のみです。一方のエコキュートは、電気の他に空気の熱を使用します。そのため、エコキュートは電気温水器よりも少ない電力でお湯を沸かすことができるのです。 また、どちらも電気プランを変更したり、オール電化住宅へ切り替えるとさらに家全体にかかる電気代を抑えることができるメリットもあります。
初期費用
【エコキュート】
- 本体価格(定価):90~110万円
- 設置工事:12~14万円
【電気温水器】
- 本体価格(定価):50~60万円
- 設置工事:10万円
下記の記事ではエコキュートと電気温水器の取付の他に修理の費用についても解説しているので、ご参考ください。
エコキュート・電気温水器の取付・修理の費用相場とポイント
電気代
使用する機能などにより若干の違いはありますが、それぞれの平均的な電気代は下記の通りです。 金額を見ると分かるように、1ヶ月の電気代は3,000~4,000円の差があります。年間にするとその差は歴然です。
エコキュートは導入費用がかかってしまうものの、ランニングコストを抑えることができるため、長い目で見ると電気温水器よりもお得だと思われがちです。しかし、ご家庭によっては逆に電気温水器の方がお得になるケースもあります。 家族の人数や使用湯量などを踏まえ、業者などに相談してみると良いでしょう。
【エコキュート】
- 1ヶ月:1,000~1,500円
- 年間:12,000~18,000円
【電気温水器】
- 1ヶ月:4,000~6,000円
- 年間:48,000~72,000円
まとめ
エコキュートと電気温水器は一見、同じ給湯設備のように見えますが、熱源やお湯を沸かす基本的な仕組みが異なります。また本体価格にも大きな差があり、エコキュートは高価格帯です。その他、消費電力の違いから電気代にも差が出ます。
ご紹介したようにエコキュートは電気温水器よりも導入費用が高額になりますが、毎月の電気代はかなり抑えることができます。 一方の電気温水器は、導入費用は抑えることができますが、毎月の電気代がやや高めです。
しかしどちらも毎日稼働しているものなので、必ず何かしらの不具合が発生し、修理などが必要になります。そのため初期費用や電気代だけを見て、トータル的にどちらがお得になるのかは、はっきりとは言えないのが実情です。
それぞれにメリットやデメリットがありますが、長く使い続けていく設備です。設置場所の条件やコスト面などを含め、各ご家庭に合ったものを選びましょう。
こちらのページでは、エコキュートの施工事例や商品、その他お役立ち情報をまとめています。 エコキュートの設置や交換をご検討の方はぜひ参考にしてください。
エコキュートの設置や交換に併せて、お風呂のリフォームを検討している方はこちらのページも参考にしてください。
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