2017年11月3日

オフィスリノベーションの効果と費用相場を解説!

オフィスや事務所の中はお客様に見られることもありませんので、簡素で無駄のない空間がいいと思っている経営者も多いようです。しかし、オフィスの雰囲気は社内の活気や雰囲気作りに大きく影響を与えます。快適な社内空間は、社員に高いモチベーションを持たせることができるため、結果的にお客様に対しても余裕のある対応を期待できます。 ここではそんなオフィスのリノベーションについて、その効果や費用相場、改装する際の注意点などについて説明します。

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オフィスリノベーションとリフォームの違いとは

【参考】https://pixabay.com/ja/ホワイト-ルーム-オフィス-テーブル-椅子-ウィンドウ-ガラス-2591371/

オフィスの内装(改装)工事を検討するときに、リノベーションやリフォームといった同じような意味合いの言葉がよく使われます。 おそらくほとんどの人がこの2つを混同して、なんとなく使い分けているのではないでしょうか。そこでオフィスリノベーションについて取り上げる前に、リノベーションとリフォームの違いについて解説しておきましょう。専門業者であってもこの2つの言葉を同じ意味で使っていることがありますが、両者の違いは、新築時よりも高性能な空間にするかどうかにあります。

新築同様にするものがリフォームで、新築以上の性能を付け加えたり、その価値を向上させたりするような工事をリノベーションと呼びます。このため、専門業者に「リフォームをしたい」と伝えるのと、「リノベーションをしたい」と伝えるのとでは工事の方向性がまったく変わってきます。勘違いが起こらないように、意識的にリノベーションという言葉を使っていきましょう。

また、業者の選び方も多少変わってきます。リノベーションもリフォームも請けている業者もありますが、どちらも得意とする業者はあまりありません。リフォームをうまくできる業者が、必ずしもリノベーションまで得意とは限りませんので気をつけてください。

オフィスリノベーションの効果

リノベーションを行うのであれば、以前よりもオフィス空間の価値を向上させなくてはいけません。ただ見た目が奇抜なだけで、価値が向上していないオフィスがありますが、それはオフィスリノベーションを行うことの本質を見失っている結果です。まずは、オフィスをリノベーションすることで、どのような効果を得たいのかを明確にすることから始めましょう。

一般的にはオフィスリノベーションで得られる効果は次のようなものがあります。

  • 生産効率のアップ
  • 会社イメージの向上
  • 社員のモチベーションアップ
  • コストダウンの実現

理想はこれらすべてを満たすリノベーションですが、限られた予算の中でそれを叶えるのはまず不可能です。重要なのは、この4つの効果に優先順位を付けて実行していくということです。それがリノベーションの方針となります。

どれを優先すべきかを考えるために、4つの効果についてもう少し詳しく見ていきましょう。

生産効率のアップ

オフィスのリノベーションで重要なことは、それによって「稼げる職場」になることです。お金をかけてリノベーションをしても、それに見合った収益という効果がなければ、意味がなかったことになってしまいます。生産効率をアップさせる手法に下記のようなものがあります。

・部署間の仕切りをなくす
・ミーティングスペースの設置
・無駄のない動線

同じ人間が働くのですから、少しでも無駄を省いていくことが重要で、そのためには社員間のコミュニケーションをしっかり行うことが最近の考え方になっています。以前は部署ごとに部屋が分かれていたりしましたが、最近は部署の垣根をなくすために部署間の仕切りをなくすスタイルが増えつつあります。

またミーティングスペースを空間の様々な場所に設置することで、自発的な打ち合わせを増やすことができます。ちょっとした立ち話から、本格的なプロジェクトが誕生するようなこともあります。一見すると無駄としか思えない空間も、長い目で見たときには会社に大きな収益をもたらすことがあります。

そして最も効果が出やすいのが、社員の導線を考えたレイアウトです。どのようなレイアウトが優れているかは職場によって違いますが、自由な発想で無駄のない動線を作り出すことにより、仕事の効率を上げることができます。

会社イメージの向上

オフィスは会社の顔でもあります。初めて来社した人がその会社をどれくらい気にしてくれるのか。それはオフィスの与える会社イメージが大きく影響します。あまりにもボロボロで居心地が悪いオフィスですと、会社イメージは下がってしまいます。そうではなく明るくて居心地のいい空間を作ることができれば、お客様も安心して取り引きを進めてくれます。

きれいなオフィスならお客様を呼びやすいという効果もあります。お客様を訪問するよりも来ていただくほうが交通費も下げることができますし、何よりも商談を慣れ親しんだ場所でできるわけですから、肩の力を抜いて打ち合わせすることができます。そのことがさらに会社イメージの向上につながります。

会社パンフレットの写真もきれいに撮影できますし、そのパンフレットを見て入社してくる優秀な社員も増えるはずです。「こんな素敵な職場で働きたい」そういうポジティブな印象を与えることができる。これがオフィスリノベーションの魅力のひとつです。

社員のモチベーションアップ

会社は社員がいるからこそ成立します。会社は誰のために存在するのかということがいつも議論になりますが、ある一面では会社は社員のために存在します。一人ひとりの社員が居心地良い環境を作り出すことが、会社の使命でもあります。もちろん仕事は厳しくしなくてはいけない面もありますが、ハードの部分においては厳しさよりも居心地の良さが重要です。

ストレスのない職場であれば、社員の離職率を減らすことが期待できます。それがオシャレで自慢できるようなものであればなおさらです。今の職場を離れても、これ以上いい環境はないというオフィスを作り出すことができれば、社員は高いモチベーションで仕事と向き合い続けてくれます。その職場を自分たちが守っていく、維持していくという意識を持ってもらうことも期待できます。

コストダウンの実現

古いオフィスは冬寒く、夏暑いという快適な作業環境とは程遠いものです。これは使っている素材が古くて低機能であったり、そもそもの機能を失っていることが影響しています。その結果として、必要以上にエアコンを稼働させなくてはいけなくなり、無駄な電気代が発生します。エアコンそのものも効率がとても悪いものですから、さらに電気代がかかります。

リノベーションを行うことで、高機能素材を採用することができ、オフィスをより快適な空間へと作り変えることができます。例えば断熱窓や、匂いや湿気を吸い取る高機能壁紙など、以前では考えられなかったものが市場に出回っています。初期費用はかかりますが、長い目で見たときには、必ずコストダウンにつなげることができる。オフィスにはそのような効果もあります。

オフィスリノベーションにかかる金額

オフィスリノベーションはとても魅力的ですが、そうは言ってもそのための予算を無限に確保できるわけではありませんよね。経営者であれば、きちんとオフィスリノベーションにかかる費用についても把握しておき、費用対効果を常に考えておきたいところです。ここではそんなリノベーションにかかる金額について紹介していきます。

ただし、ここで紹介する費用はあくまでもひとつの目安です。こだわりのリノベーションを行おうとすると、それだけ費用が高くなります。正確な金額を知りたい場合は。大枠の金額だけを把握しておいて、それをベースに業者に見積を依頼しましょう。

リノベーションの種類

費用を紹介する前に、オフィスリノベーションの種類について説明しておきましょう。

【フルリノベーション】
オフィスをすべて作り直すリノベーションです。デザイン設計も0から始まりますので、とても自由度が高いのですが、そのかわり工数がかかるため、どうしても費用が高くなってしまいます。オフィスが古くなりすぎている場合などは、このフルリノベーションが適しています。

【ポイントリノベーション】
壁や天井などの一部分だけをリノベーションするスタイルです。本当に必要な場所だけを工事しますので、リノベーション費用を抑えることができます。上手にポイントリノベーションを行うには、既存のオフィスとの統一感が求められます。安易に行うと、ちぐはぐした空間になってしまいますので、気をつけましょう。

【スケルトン化】
スケルトンというのは、オフィス空間に何も手を加えていない状態のことを言います。もちろんそのままではオフィスとして使えませんので、照明と空調などの最低限なものを取り付け、残りはできるだけ取り除いて、コンクリートの打ちっ放し状態にします。若い人たちに人気のあるリノベーションで、オフィスをおしゃれな雰囲気にできます。

フルリノベーションに必要な費用

フルリノベーションの費用は坪単価で30万円くらいと言われています。ちなみに1坪はおよそ3.3㎡です。50坪の事務所であればリノベーション費用の目安は1500万円です。決して少ない金額ではありませんよね。ただし、ここで紹介しただけの効果を得られるのであれば、いずれ回収できる金額ですので、あまり予算を抑えすぎないことも重要です。

ポイントリノベーションに必要な費用

ポイントリノベーションはそれほど高くなく、1坪あたりの金額は10万円程度です。大掛かりな改修を行うわけではありませんので、工事にもそれほど時間がかかりません。イメージを大きく変えるようなインパクトには欠けますが、使い勝手にこだわったデザインも可能です。後になって「こうしておけば良かった」とならないように、方針だけはきちんと決めておきましょう。

スケルトン化に必要な費用

スケルトン化はポイントリノベーションと費用がそれほど変わりません。不要なものを取り除いて、スケルトン状態を活かした設計にしますが、大きな工事がありません。このため、坪単価10万円程度で、これまでのオフィスとはまったく違う雰囲気を出すことができます。

こちらの記事では、店舗リノベーションの費用について詳しく解説しているので、ご参考ください。
店舗リノベーションの費用相場と業種別のポイントを事例を見ながら解説!

オフィスリノベーションの注意点

金額についてなんとなくでも分かったところで、次はリノベーションする際の注意点についてもご紹介しておきましょう。リノベーションはオフィスを大きく変えることができますが、好きなようにしていいというわけではありません。ここで紹介する注意点をしっかりと頭に入れて、施工業者と打ち合わせを行いましょう。

施工可能な範囲を知る

賃貸物件のオフィスの場合、ある程度のリノベーションは認められていても、建物の規約などによって、変更してはいけないものなどがあります。例えば、強度部材となっている壁や柱を取り除くことはできません。オフィスの内部は自由にリノベーションできても、オフィスの入口から外側は共用スペースですので、リノベーションすることが認められないことがよくあります。

このようなトラブルを回避するために、設計を行う前はビルの管理者ときちんと打ち合わせを行うようにしてください。リノベーションで施工してもいい範囲とそうでない範囲を明確にして、認められている範囲内でのリノベーションを行いましょう。

消防法を意識する

オフィスの外側や強度部材以外の変更なら自由にしてもいいのかというと、残念ながらそうではありません。例えば天井までの間仕切りを追加するような場合は、消防署への届け出を出さなくてはいけません。この届け出により、火災が発生したときに、適切な避難ルートを確保できているのかなど、消防法に基づいてチェックが行われます。

どんな素敵なオフィスでも、社員の安全が守られていないのであれば、それは認められません。少なくとも消防法で定められたルールを守ることを優先し、そのうえで個性豊かなオフィスデザインを作り上げていきましょう。設計事務所によっては、消防法への配慮がされていない設計を行ってしまった結果、安全装置などを無理やり後付けで対策したオフィスなどもあります。

そうなると見た目にも明らかに違和感が出てきます。きちんと消防法を理解して、オフィスのデザインを行ってくれる経験豊かな設計事務所を選ぶようにしましょう。

原状回復を考える

賃貸物件の退去の基本は、借りたときと同じ状態にして返すということです。契約をした時についていたパーテーションなどを、リノベーションで撤去したとします。このパーテーションは事務所を退去するときに元に戻さなくてはいけません。これを無視して、どんどん撤去したり、新しいものに交換したりすると、原状回復にとても手間と時間がかかってしまいます。

このような問題を避けるために、リノベーションのような大掛かりな工事をするときには、必ず貸主と話し合いをしておきましょう。仕上がりが良いのであれば、貸主は無理に原状回復されるよりも、そのままの状態で次の利用者に使ってもらったほうが、好条件での契約ができます。

もちろん原状回復を求められた場合は、それを前提とした予算を組んでおきましょう。撤去した部材に関しては、どこかでまとめて保管しなくてはいけません。その保管費用なども含めて、予算を確保しておきましょう。

まとめ

オフィスのリノベーションについて、その効果や費用などについて説明してきましたが、その全体像はイメージできたでしょうか。リノベーションをすることで、職場に様々な変化をもたらすことが期待できます。ただし、限られた予算で最大の成果を得るには、どのような効果を得たいのかを明確にしたうえで、デザインを考えなくてはいけません。

予算をある程度確保できる場合は、フルリノベーションがおすすめです。ポイントリノベーションは費用を抑えることができますが、リノベーションの効果も下がってしまいます。予算が少ない場合は、スケルトン化も検討しましょう。

また、リノベーションを行うときに注意したいのは、退去するときの原状回復を意識するということです。何も考えずにリノベーションを行うと、原状回復時に大きな費用が発生することもあります。大掛かりなリノベーションを行うなら、貸主と相談しながら進めることで、原状回復の条件を緩めてもらえることもあります。面倒でも、きちんと話をしたうえで工事を行いましょう。

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