飲食店の物件取得費の内訳
どれくらい費用がかかるのかご紹介する前に、物件取得費がどのような内訳なのか見ていきましょう。
保証金・敷金
マンションやアパートなどを借りるときに敷金を払いますが、店舗物件では敷金もしくは保証金として、同じようにお金を預けます。住居用物件では敷金は2~3ヶ月分ですが、店舗物件の場合はまとまった額が必要になります。
一般的に10ヶ月分といわれていて、物件によってはかなり高額になってしまいます。ただし、このお金は退去するときに戻ってくるお金です。基本的には償却金額を差し引いた額がすべて返金されますが、家賃の滞納や原状回復工事ができなかったときなどは、その金額を差し引いての返却となります。
保証金・敷金の相場:家賃の6~12ヶ月分
礼金
礼金は契約のお礼として貸主に支払うお金です。お礼ですので、もちろん戻ってくることはありません。こちらも賃貸物件は1~2ヶ月で設定されていますが、店舗物件では高額になることがあります。
1ヶ月のところが殆どですが、礼金の相場は人気物件ほど高くなるといわれています。駅前の新築ビルや路面店などの好条件ですと家賃の6ヶ月分くらいになるケースもあります。但し、借り手がなかなか見つからないような物件では、礼金0円ということもあるので不動産屋に確認してみましょう。
礼金の相場:家賃の1~3ヶ月分
仲介手数料
仲介手数料は物件を取り扱っている不動産会社に、契約手続きなどをしてもらうための費用です。不動産会社の収益ですので、契約が成立したら必ず支払わなくてはいけません。
仲介手数料の相場:家賃の1ヶ月分
前家賃
家賃は基本的に前払い制です。このため、契約をすると契約月とその翌月分の家賃を支払います。契約日が月の途中になった際は、日割り計算で前家賃を支払います。
前家賃の相場:家賃の1~2ヶ月分
造作譲渡料
飲食店の物件には、内装などが何もない状態のスケルトン物件、もしくは前の利用者が使っていた内装や設備を引き継げる居抜き物件の2種類があります。居抜き物件では、調理設備や内装、空調設備などをそのまま使用できますが、その設備に対して造作譲渡料を支払います。
この造作譲渡料は、造作の所有権を持つ方が自由に金額を設定できるため相場がありません。交渉次第では0円で譲ってもらえることもあれば、高額な請求されることもあります。それでも新規で設備を揃えるのに比べると、かなり費用を抑えて開業できます。
造作譲渡料の相場:なし
火災保険料
店舗物件を借りるときには、火災保険への加入が必須です。調理には火を使いますので、火災のリスクをゼロにすることはできません。また、毎年必要になるということを頭に入れておきましょう。
火災保険料の相場:年間3~5万円
物件取得にかかる費用の目安
飲食店の物件を借りる際に、どのような費用が発生するのか理解したところで、具体的にいくら予算を用意すべきかご紹介します。
都内で10坪(33㎡)のお店を開く場合、坪単価が2万円とすると家賃は20万円です。これをベースに実際にどれくらいの費用になるのか見ていきましょう。
内訳 | 金額 |
---|---|
敷金・保証金 | 120~240万円 |
礼金 | 20万~60万円 |
仲介手数料 | 20万円 |
前家賃 | 20万~40万円 |
造作譲渡料 | 0~100万円 |
火災保険料 | 3~4万円 |
この金額を合計すると、少なくとも300万円近くは必要になります。もちろん、この他にも開業のためには様々な費用が発生します。そう考えると、飲食店を開業するにはかなりのお金がかかることが分かります。
予算が限られている場合は、造作譲渡料を支払わなくてもいい居抜き物件を選んだり、家賃の高くない地域を選ぶことになります。そうはいっても飲食店で重要なのは立地です。家賃を下げるために、人通りの少ない場所に開業すると、売上を出すための工夫が不可欠になります。
もしくは、しっかりとした開業計画書と返済計画書が作成できれば、国や銀行に借り入れの申請ができます。 足りない資金は融資で補うことができますが、高額を借り入ると返済が大変になりますので無理のない金額を選択しましょう。
まとめ
飲食店の物件取得費についてご紹介してきましたが、その内訳などをきちんと理解していただけましたか?飲食店の物件は賃貸物件とは異なるところがあるため、戸惑う方もいるかもしれません。しかし、まとまった資金がいることだけは分かっていただけたと思います。
交渉次第では物件取得費を下げることもできますが、それでも数百万円はかかります。さらに内装工事や開業準備と、お金がいくらあっても足りない状態が続きます。「なんとかなる」とどんぶり勘定をするのではなく、面倒でもきちんと費用の算出を行うことが大切です。
費用を抑えるために立地の悪いところで開業すると、数年で閉店ということになってしまいます。物件取得費を抑えたくても、立地では妥協しないようにしましょう。
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