2018年1月25日

飲食店を開業するときの物件選びのポイント

これから飲食店を開業しようとする人にとって、物件選びはとても重要です。お店が繁盛するかどうかは、物件選びで決まると言っても過言ではありません。物件選びを軽視する人もいますが、その結果として早期退去となるケースも珍しくありません。ここではそんな飲食店の物件選び方について、その基礎知識をご紹介します。

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物件選びで最も大切なこと

それではまず、物件選びで重要なポイントについて見ていきましょう。物件選びはいくつかの視点からチェックする必要があります。「これだけ満たしていれば大丈夫」ということはありませんので、どのような視点で確認すればいいのかについてご紹介します。

最重要は立地

どこに開業するのかということは、物件選びの最重要課題です。 駅前のような人通りの多い場所に開業すべきか、それとも国道沿いのような車の通りの多い場所に開業すべきか。 難しいのは、これから開業するお店によって、正解が違うということです。

高級イタリアンのお店を学生街に出しても、なかなかお客さんは来てくれません。 国道沿いの居酒屋さんもNGですよね。駅前なら比較的人が集まりやすいのですが、地方によっては1時間に1本しか電車が来ないこともあります。 その場合、駅前のメリットはほとんどありません。

ターゲットを絞る

立地を選ぶためには、ターゲットを決めなくてはいけません。 老若男女どんな人でもやってくるお店が理想かもしれませんが、そういうお店は特徴が消えてしまいます。 どの層に向けてサービスを提供したいのか、しっかりターゲットを決めましょう。

  • 個人or家族
  • 男性or女性
  • 学生or会社員

ここでの絞込みをしっかりしておくと、お店は自然と特徴が出てきます。 ターゲット以外のお客さんが来てくれることも期待しつつ、基本的には「誰のためのお店なのか」を明確にしてください。 ターゲットを絞れば、どこに開業すべきか立地についても見えてくるはずです。

コンセプトを決定する

お店のコンセプトも立地に影響します。隠れ家レストランが繁華街の大通りにあったら、お店の雰囲気が台無しですよね。 大音量で音楽を流すお店を住宅地にオープンしても、迷惑がられるだけです。 どのような雰囲気のお店にしたいのか、そのコンセプトを明確にしてください。

思いつくものをすべて箇条書きにして、その優先順位を決めていくとコンセプトを固めやすくなります。 コンセプトが決まれば、そのお店が出店するのに適した立地がいくつか浮かんでくるはずです。

物件の種類

飲食店を開業するときの物件選びをする上で、絶対に知っておかなくてはいけないのが物件の種類です。 物件には居抜き物件スケルトン物件の2種類がありますが、それぞれの特徴について見ていきましょう。

居抜き物件とは

居抜き物件は、以前の契約者が利用していたそのままの状態から借りる物件です。 もし以前の契約者と同じ種類の飲食店を開いていた場合は、調理器具などをそのまま引き継げることもあるため、初期費用を大きく下げることができます。

物件によっては設備を引き継ぐための造作譲渡費が発生しますが、それでも新規で購入するよりはかなり低予算で入手できます。

ただし設備が古い場合は買い替えや、壁紙などの張替えなどの内装工事が発生します。 以前のお店のイメージがそのまま残ってしまいますので、評判が悪くて閉店した場合には、結局大きな改装が必要になり、大きな費用が必要になることもあります。

そもそも前の契約者が手放した立地だということも忘れてはいけません。 短期間にいくつものお店が入れ替わっている場所は、必ず大きなデメリットが隠されています。 低予算で開業できるメリットは魅力ですが、すぐに飛びつかないように気をつけましょう。

スケルトン物件とは

スケルトン物件は、内装が全くない状態の物件で、コンクリート壁や配線がむき出しになっています。 ゼロからお店を作り上げていきますので、自分の理想とするお店づくりができます。 コンセプトが物件によってブレることがありませんので、人気店になりやすいという強みがあります。

ただし、何もないところからお店を作りますので、設計に時間もお金もかかります。 内装工事中も店舗を借りている状態ですので、もちろん賃料が発生します。 賃料が高い一等地にスケルトン物件を借りてしまうと、それだけで運用資金があっという間に減っていきます。

予算にある程度の余裕がない場合は、スケルトン物件はあまりおすすめしません。 どこかで妥協が必要かもしれませんが、よほど良い条件で借りられない限り、まずは居抜き物件で実績を重ねてから、スケルトン物件への展開をしていきましょう。

物件探しの方法

物件探しは不動産業者に相談するのが一番だと思っているかもしれませんが、実は不動産業者以外にも店舗に適した物件を扱っていたりします。 どのような業者が、どんな物件情報を持っているのかチェックしてみましょう。

不動産業者

一般的にはまず、不動産業者で相談してみてください。扱っている物件の数がとても多いため、理想の物件が見つかりやすいという特徴があります。 不動産業者を探すときには、インターネットの情報だけを参考にする人も多いようですが、実はインターネットで公表していない物件も扱っていたりします。

開業する地域をある程度絞ったら、実際に地元の不動産業者を訪ねてみましょう。 業者ごとで持っている情報が違うこともありますので、2~3つの不動産業者で情報収集をしてください。

内装工事業者や店舗デザイン会社

一般的には物件が決まってから内装工事業者や店舗デザイン会社に相談に行きますが、内装工事や店舗設計を依頼する会社が決まっているなら、その業者にいい物件がないか聞いてみるという方法があります。

自分たちが手掛けた物件の情報は把握しているはずですので、空き物件情報や立地の良し悪しなどの情報を得ることができます。 すべてを内装工事業者や店舗デザイン会社に丸投げというわけにはいきませんが、開業の相談も含めて「いい物件知りませんか?」と聞いてみてください。

銀行

こちらも意外かもしれませんが、銀行もいくつか物件を知っています。銀行で物件を紹介してもらうメリットは、利益の出ない物件を省くことができるということです。 もちろん前提としては銀行で開業資金を借りることですが、借りたお金は絶対に回収しなければいけませんので、銀行も不安な物件を紹介することはありません。

過去にきちんと利益を出していて、経営者の高齢化で店じまいをするような物件を知っていたりします。 絶対に紹介してもらえるというわけではありませんが、融資とリンクしやすいのもメリットですので、開業のための融資相談とともに物件情報がないか聞いてみましょう。

物件選び(内見)でチェックすべきこと

実際にいくつかの物件にまで絞ったら、今度は内見をすることになります。内見ではどのような点を確認すべきか、そのチェックポイントをご紹介します。

階数

人気の繁華街に空き物件があって、喜んで見に行ったら2階だったらどうしますか?人通りの多い繁華街への出店はなかなかできないので「2階でもいいや」と判断する人が多いようですが、2階というのは飲食店には適していません。特に周辺の1階に飲食店がある場合には、かなり苦戦することになります。

  • 外からお店の雰囲気が分からない
  • 満席だったら階段を降りなくてはいけない
  • そもそも視界に入ってこない

少なくともこれだけのデメリットがあります。 有名店なら2階でも営業できますが、初めての出店の場合は2階以上の物件は避けるようにしましょう。

看板設置位置

以前のお店の看板が設置されたままになっている場合は、看板が通りから視界に入るのかを確認してください。また、その看板を見てお店の場所がきちんと分かるのかも重要です。看板だけあって、お店が見つけにくいケースがよくありますが、それでは看板の意味をなしていません。

看板は自由に設置できるケースもありますが、決められたところに出さなくてはいけないケースもあります。きちんと見えやすい場所に設置できることを確認してください。

面積と部屋の形

物件の面積と形状についてもチェックしておきましょう。想定している規模よりも広すぎたり、狭すぎたりする場合には、開業計画の見直しが必要になります。また、面積だけでチェックしていると、部屋の形がいびつで想定していた席数を確保できないということもあります。

飛び出した柱や、お手洗いの位置などを考慮して、無理のないレイアウトが可能なのかシミュレーションしてみましょう。無理に席数を増やすと居心地の悪いお店になってしまいますので、ゆとりのある配置で席数を予定通り取れるようにしてください。

設備の状況

居抜き物件の場合は、残された設備がきちんと稼働することを確認してください。冷蔵庫や調理器具など、あまりに古いものは買い替えが必要になることもあります。店内も壁紙がはがれたり、汚れが目立ったりしていないか確認しましょう。

初期費用を抑えるために居抜き物件を選んだのに、設備がどれも使えないなんとことがよくあります。できれば設備の導入年なども確認して、どれくらいの寿命が残っているのかも確認しておきましょう。

駐車場

自動車での来客を想定していない立地なら、駐車場については考えなくてもかまいません。そうではなく国道沿いや郊外にあるお店の場合は、駐車場が必須になります。席数に見合っただけの駐車場を用意できるのか、周辺にコインパーキングがあるかどうかなどを調べておきましょう。

十分な駐車場が取れない場合などは、駐車場を借りるなどの費用も発生しますので、「なんとでもなる」と思わずに、きちんと車でのアクセスしやすいかどうかもチェックしてください。

物件の取得にかかる費用

開業する物件が決まれば、いよいよ契約です。 契約するにはもちろんお金が必要になりますが、いったいどれくらいの費用がかかるのでしょう?

必要な費用と目安

保証金

賃料の6ヶ月分

前家賃

賃料の2ヶ月分

礼金

賃料の1ヶ月分

仲介手数料

賃料の1ヶ月分

これがどの物件にも共通して必要になる費用です。合計10ヶ月分の賃料が最低限必要となります。例えば、家賃が25万円なら250万円は用意しなくてはいけなくなります。これらに加えて、次のような費用も発生します。

  • 造作譲渡費
  • 共益費
  • 管理費

スケルトン物件の場合は、造作譲渡費は発生しませんが、そのかわり内装工事費がかかります。造作譲渡費はピンきりですので、一概にどれくらいとは言えません。ただし、すべて新規で購入するよりももちろん安く、交渉次第で値段を下げることもできます。共益費や管理費も物件によっては必要になります。

これらの費用を抑える方法のひとつにフリーレントという仕組みがあります。最初の数ヶ月分だけ賃料を0円にしてくれるため、予算の少ない人におすすめです。ただし、フリーレントになるのは不人気物件です。最初に説明しましたように繁盛のためには立地はとても重要です。安さだけでなく、開業するお店のターゲットやコンセプトに合った物件であることを大前提にして利用してください。

契約内容やスケジュールは必ず確認しよう

開業をすると決めたら、物件探しと同時に始めなくてはいけないのが、開業までのスケジューリングです。なぜスケジューリングが重要になるかというと、資金を借りるタイミングと物件申し込みのタイミングを揃えなくてはいけないためです。

物件探しから内装工事までの流れは次のようになります。

  1. 物件探し
  2. 物件の内見
  3. 内装工事の見積依頼
  4. 物件の申し込み
  5. 物件の契約
  6. 物件の引き渡し
  7. 内装工事

融資する側も物件を見て、本当に利益が出るのかどうかを判断しますので、審査前には借りる予定の物件が決まっていないといけません。さらに内装工事にいくらかかるのか分かっていないと、開業資金の算出も出来ませんよね。

このため、内装工事の見積もりが出てきた段階で、資金調達のための資料を揃えて、銀行などに相談に行きます。資金の調達に目処が立ったら、次に物件の申し込みを行います。不動産業者のほうで、審査に通過すれば次に契約という流れになりますが、この段階でお金がないと契約できませんので、契約までに融資を受けておく必要があります。

これを読んだだけでも、頭が混乱しそうですが、実際に動き出すと、いつ何をすべきかということが分からなくなって、手続きを忘れていたということにもなりかねません。物件のスケジュールと融資のスケジュールがひと目で分かる予定表を作って、ひとつひとつ確実に進めていきましょう。

また、融資も物件の契約も、必ず契約書の内容をきちんと目を通してください。細かすぎて読むのが面倒だと思うかもしれませんが、きちんと目を通しておかないと、思わぬところで違反と判断され、解約されることもあります。

特に、スケルトン物件の原状回復や契約年数・契約更新に関する項目は、読むだけでなく完全に理解したうえで契約してください。

まとめ

飲食店を開業するときに、知っておきたい物件選びの基礎知識についてご紹介しましたが、少しは不明だった点が理解できたでしょうか?ここでご説明しただけでも、かなりのボリュームですが、実際に物件選びが始まると、やるべきことの多さに気が遠くなるかもしれません。

でも物件選びこそが、飲食店成功の鍵を握ります。繁盛店となっている先輩たちはみんな、この大変な作業を乗り越えてきました。反対に面倒だからと物件選びを疎かにしてきた人たちの多くが、3年もしないうちに廃業となっています。

最初が肝心ですので、妥協することなくじっくりと時間をかけて物件選びを行ってください。ただし、ゆっくりしすぎると他の人にいい物件を奪われてしまいます。立地条件などの検討には時間をかけてもいいのですが、「これだ」と思える物件に出会えたら、すぐに契約するフットワークの軽さも忘れないようにしましょう。

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