オフィス移転時の電話工事で気をつけるべきこと
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オフィスを引っ越すにあたって、電話工事の担当を急に任されたら、何から手をつけていいか分からないですよね。そうはいっても、電話回線やインターネット回線が営業を開始する日までに開通していないと、当然電話を使用することができません。
電話工事は手続きに時間がかかるだけでなく、通信キャリアによっては、引っ越し先で今までと同じ電話番号が使用できないことがあります。
ここでは、オフィスの電話工事で気をつけるべきことについて、詳しく説明しています。
電話工事は手続きに時間がかかる
オフィスを移転する際の電話工事は、手続きに何かと時間がかかります。
その理由は工程の多さにあります。
電話工事の工程をまとめると以下のようになります。
- 現状を把握する
- 現在契約中のキャリアに連絡
- 電話回線の移設工事日が決定する
- 業者の選定、依頼
まずは、現状の電話機の数、電話機のメーカー、契約している通信キャリアを確認します。さらに、業者との打ち合わせのために、引っ越し先のオフィスで使用する、電話機の数も把握しておかなくてはいけません。
電話回線の移設手続きは、2週間から1ヵ月ほどかかります。アナログ回線、デジタル回線では2週間程度、ひかり電話やIP電話では1ヵ月以上かかることがあるため、最低でも引っ越しをする1ヵ月前には契約中のキャリアに連絡しなくてはいけません。
キャリアに連絡するのと同時に、撤去工事と移転先での設置工事を依頼する業者を探します。電話工事を行う業者は数多くありますので、選ぶのにも時間がかかると思います。打ち合わせも数分では終わりませんし、業者も他の仕事との兼ね合いで、指定した日に対応できないケースもあります。そのため、早めに連絡しておくと安心です。
電話工事のために多くの時間を割けるのでしたら、2ヶ月ほどでもできるかもしれませんが、空いている時間に行うという場合は、3、4ヶ月以上は余裕をもって計画を立てるのがよいでしょう。
電話番号やキャリアを確認する
電話番号は、市区町村内での引っ越しだとしても、通信キャリアによっては同じ番号が使えないことがあります。名刺やチラシ、会社のホームページなどに掲載されている、すべての固定番号を変えるのはかなり手間ですよね。
電話番号が変更になるかどうかは、契約しているキャリアに連絡をすると事前に教えてもらえます。キャリアによっては、対応していない場所もありますので、引っ越した先でも電話が問題なく使用できるのか、前もって確認しておくことが大切です。
ビジネスフォンへ変更する前に確認すること
今まで家庭用の電話機で対応していたけれど、移転機にビジネスフォンに変更するというケースもあると思います。ビジネスフォンはオフィス電話機、業務用電話機ともいわれていて、利用するには主装置の設置が必須です。
主装置を設置することで外線や内線、内線間を共有できるようになります。Sクラス、Mクラス、Lクラスとあり、それぞれ電話機の設置台数が違います。2台以上同時に電話機を使用する機会がある場合は、ビジネスフォンへの切り替えがおすすめです。
ビジネスフォンは、1本の電話線で複数の電話機を利用できます。通常、電話機は1台に対して電話線が1本必要になります。つまり、電話機を10台使用するとしたら、10本の回線が必要になるわけですが、ビジネスフォンであれば電話線の本数が少なくなるため、見た目もすっきりしますし、線に躓く危険性も減らすことができます。
また、主装置は同時通話できる回線数が決まっていますので、何人使用するのかある程度の目安を決めておくが大切です。電話機だけでなくFAXやドアホンなどにも利用可能ですので、ビジネスフォンを導入するときは実際の使用状況を考えて決めましょう。
オフィスを移転したときの電話工事の費用はいくら?
家庭の電話機でしたら、NTT連絡後に電話線を差込口に接続すれば完了ですが、オフィスの場合は、電話機の数が多いため業者による工事が必須です。
オフィスを移転したときの電話工事費用を決める要素は以下の2つです。
- NTTが行う電話工事費
- 業者が行う電話工事費
電話工事の費用に大きく影響するのが回線数です。回線数が多くなればなるほど、当然工事費用も高くなってきます。
また、電話機を何台設置するかによっても、オフィス内での設置工事費用や配線工事費用が変わってきます。
では、実際に電話工事を行うといくらかかるのでしょうか。NTTの工事費用と業者の工事費用とそれぞれ詳しく説明していきますので、費用相場の目安としてご覧ください。
NTTが行う電話工事費
NTTの工事項目は、交換機工事、屋内配線工事、基本工事費の3つがあります。
交換費用はNTTの局内で行われる工事で、屋内配線工事は建物に電話線を引き込む工事です。基本工事費はNTTの電話工事を行う人を派遣したときの費用になります。
NTTの工事費用
交換機工事(新設)
1000円/1台
室内配線工事
既存のものが使用できる場合
2400円/1回線
新規で使用する場合
4800円/1回線
基本工事費
4500円/1工事
業者が行う電話工事費
業者の場合の主な工事項目は、主装置設置費、電話設定費、屋内配線費です。工事内容については次章で詳しく説明しますので、ここでは割愛させていただきます。
電話工事の費用相場
人件費(派遣費)
7000円~1万円/1人
主装置設置費
7000円~1万5000円/1台
電話機設定費
7000円~/1台
FAX接続費
8000円~/1台
屋内配線費
300円~700円/1㎡
材料費
5000円~1万円
諸経費
工事費の10~30%程度
材料費は主に配線やケーブルの部材費のことで、広いオフィスに多くの電話機を設置すると高くなる傾向にあります。諸経費は工事に使用する機材代や移動にかかった費用などが含まれています。諸経費が高すぎるときは、業者にその内訳を聞きましょう。
10台設置したときの工事費用(作業員3人、FAX1台、配線が30㎡で計算)は、おおよそ30万~40万円+NTTの工事費が約4万~6万ですので、34万~46万円ほどかかる計算になります。
オフィス内が複雑なレイアウトになる場合や、床下配線を行う場合は、工事費用が相場よりも高くなります。予算に余裕がないときは、できるだけシンプルなレイアウトにすることで、費用を抑えることができます。
オフィス移転時に業者が行う電話工事の内訳
オフィス移転時の電話工事には様々な工事が伴います。工事内容を詳細に把握しておく必要はありませんが、どのような工事を行うのか知っていると、見積書に書かれた工事の内容も分かるようになります。
主装置設工事
主装置については、最初のほうで説明したとおりです。ビジネスフォンを利用するために必要なもので、複数の電話機を同時に使用できるようになります。Sクラス、Mクラス、Lクラスとあり、それぞれ電話機の設置台数が違います。
Sクラスは10台まで電話機を登録でき、同時に4機まで通話できます。Mクラスは30台まで登録でき、12台まで同時に通話可能です。Lクラスは80台対応していて、24機まで同時通話ができます。
仮に、現在はSクラスの主装置を使用しているけれど、移転後のオフィスで電話機が10台以上必要になったときは、主装置を変更するため別途費用がかかります。
交換機工事
オフィスで使用する電話交換機は、通称PBX(Private Branch Exchangeの略)と呼ばれています。外線を内線につないだり外線に発信する、という特徴は主装置と同じです。PBXでは、電話機数が数千台以上登録することが可能で、複数のフロアや拠点間で内線通話できるようになります
PBXに関する工事の他に、NTT内の交換機に関する工事も交換機工事と呼ばれることがあります。事務所が引っ越しした際に、電話番号が変わる場合はNTT内の交換器工事が必要になります。
電話機設定工事
電話機設定工事は、NTTが引き込んだ電話回線を電話機に繋いで使えるようにするための工事です。電話機は回線をつなけばすぐに使えるわけではありません。留守番設定や外線転送機能(不在着信のとき、登録しておいた番号へ通話を転送する機能)など、使用するオフィスに合わせて電話機の機能設定を行ってくれます。
屋内配線工事
社内の各電話機まで繋げるための配線工事です。電話機に繋ぐための回線をオフィスの床下や壁などに這わせる工事ですので、建物内にすでに電話線が引かれているときは不要です。
以前は、壁に穴を開けて電話線を引き込んでいましたが、最近では穴を開けずに引き込む工事もあります。建物によってはできないこともありますが、壁を傷つけたくないという方は、一度業者に相談してみましょう。
その他
外線を使用するためにNTTが引き込んだ電話回線を、室内の主装置へ接続する作業と、内線のために主装置から各電話機に接続する作業を、電話機設定費ではなく端末取付費として、分けて見積書に記載してくれる業者もいます。
オフィスの電話工事はキャリアで何が違うのか
オフィスの電話工事業者を選ぶの同じくらい、電話のキャリア選びも重要になります。会社で特定のキャリアに決まっている場合は、選択の余地はありませんが、特に決まっていないときはオフィス移転のタイミングで変更するのもよいでしょう。
ここでは、どのようなキャリアが使用できるのか、そのキャリアのメリットとデメリットについても簡単に説明します。
ひかり電話
最近主流となりつつあるキャリアです。光ファイバーを利用したIP電話で、NTT東日本とNTT西日本が提供しているサービスです。移転時も番号を変更することなく利用でき、インターネット回線も一緒に契約することで、電話代を下げることができます。
ひかり電話のオフィスタイプでは、必要に合わせて32番号まで電話番号を追加できます。同時通話できる電話機も数は最大8機まで拡張できますので、急遽オフィスの人数が増えたときでも、臨機応変に対応できることは大きなメリットといえます。 以前は110番や119番などの緊急機関に電話できないといわれていましたが、停電時以外はかけられるようになりました。
ひかり電話のデメリットはNTTのアップデートにより、アダプターの故障が発生することがあることと、停電時に使用できないことです。ひかり電話は通話機器に電源が入っている必要があるため、停電時に使用できません。
IP電話
IP電話はインターネット回線を利用したサービスで、電話回線に比べると安価で利用できます。上記のひかり電話もIP電話に分類されますが、ひかり電話との最大の違いは、電話番号が050から始まるということです。
IP電話は同じプロバイダーであれば、通話料が無料になることが最大のメリットといえます。本社と支社がいくつかあるような会社でも、同プロバイダーのIP電話を使用することで、仮に北海道と沖縄で通話しても通話料がかかりません。
便利でお得なIP電話ですが、ひかり電話と同様に停電になると利用できないというデメリットがあります。他にも、フリーダイヤルやFAXに利用できないことがありますし、インターネット回線を使用しているため、ネット上で問題が発生すると使用できなくなることがあります。このため、導入に対してデメリットの部分についてしっかりと検討しておくことが大切です。
アナログ回線
アナログ回線は、音声をアナログ信号に変換し銅線で送信しています。 小規模なオフィスの場合は、電話回線が1本でいいということがありますよね。そういう場合に利用されているのが1つの電話線で1台の電話機を繋ぐのアナログ回線です。
アナログ回線は回線が安定しているので、災害時にもつながりやすいというメリットがありますが、利用者は年々減ってきています。その要因としては、アナログ回線に契約するためには電話加入権を購入する必要があり、なおかつ通話料金や月額料金がIP電話やひかり電話に比べると高いというデメリットがあるからです。
さらに、NTT東日本・西日本は、2024年1月よりアナログ回線を廃止してIPへ切り替えると発表しています。元々アナログ回線を使用しているのでなければ、オフィス移転時に新規でアナログ回線を選ぶメリットは、ほとんどないといえるでしょう。
デジタル回線
アナログ回線は1つの回線で1台の電話機をつなぎますが、1回線で電話機を2機までつなげられるのがデジタル回線(ISDN回線)です。デジタル回線は、デジタル信号に変換して音声を送信します。それにより、音声が綺麗に聞こえるだけでなく、盗聴されにくいというメリットがあります。
アナログ回線よりも使い勝手が良く、インターネット回線の普及とともに広がっていきましたが、現在ではADSLや光回線が主流となったことで、徐々に下火となってきています。アナログ回線とともに、2025年には廃止される予定ですので、新規でデジタル回線を利用するのはあまりおすすめできません。
オフィス移転時の電話工事の流れ
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オフィス移転時に電話工事の担当者になったけれど、経験がないのでどんな工事をするかまったく分からない、という方は多々いらっしゃると思います。
ここでは、実際に工事を行うときの流れについて分かりやすく解説していきます。
STEP1. 専門の業者への問い合わせる
まずは、インターネットなどを使って、いくつかの電話工事業者に見積もり依頼をします。すでに付き合いのある業者がある場合は、その工事業者に連絡をすればいいのですが、そうでない場合は、3~4社程度に問い合わせをしてください。
STEP2. 現状確認と要望確認
問い合わせた業者が実際にオフィスを来て、現在どのような電話回線になっているのかをヒアリングします。その上で、移転先ではどのような状態にしたいのかについて確認してくれます。現状の電話回線について把握できていないという場合は、業者に図面を見てもらうなどして現状把握をしましょう。
STEP3. システム図と見積もりの作成
業者はヒアリングを元に、新しいオフィスでの電話回線システム図を作成します。システム図ができあがると、ようやく見積書を作ることができます。依頼した各業者から、システム図と見積書の両方を出してもらいましょう。
ただし、システム図の作成は、すべての業者が無料で行ってくれるとは限りません。無料で行ってもらえるか、あらかじめ確認しておくことが安心です。
STEP4. 施工業者の選定と発注
システム図と見積書から依頼する施工業者を選びます。業者を選びのポイントは、後ほど詳しくご紹介しますが、価格だけで選ぶのはおすすめできません。安さも重要なポイントではありますが、提案力や対応の丁寧さも含めて業者を選んでください。
STEP5. 回線業者への連絡・手配
NTTなどの通信キャリアへ連絡し、工事手配を行います。この手続きは施工業者に代行依頼できることもあります。費用がかかることもありますが、対応する時間がないという方は、すべて業者にお任せするのもひとつの方法です。少しでも費用を抑えたいという方は、ご自身で行うことになります。
STEP6. 回線業者の施工開始
NTTなどの回線業者が、電話回線を建物内に引き込むための工事を行います。すでに建物内に電話線が引き込まれている場合は不要です。
STEP7. 工事業者による設置工事と最終確認
引き込まれた電話回線に対して、施工業者が交換機や電話機の設置を行います。電話線同士を接続するだけでなく、ビジネスとして利用できる状態に設定してもらいます。この施工には必ず立ち会い、実際の動作確認も忘れずに行ってください。
まとめ
オフィスの引っ越しはそれほど頻繁にあることではありませんが、移転するときは必ず電話工事が発生します。担当していた方が辞めてしまったり、支社に移動してしまったため手続きを行える方がいない場合もあり得ます。
電話工事は専門の業者にすべて代行することができます。そのため、電話工事の担当者になった方は、全体の流れだけを把握しておけば問題ありません。施工する業者に関しては、費用だけで選ぶのではなく、資格の有無やアフターフォローも含めて、安心して任せることのできる業者を選びましょう。
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