店舗改装を失敗しないために
それではまず、店舗改装の失敗例について見ていきましょう。店舗改装をすれば、確実にお客さんが増えて利益がアップすると思っている方がいるかもしれませんが、間違った店舗改装を行うと逆に客足が遠のくこともあります。どのようなことをしてはいけないのか、失敗例を見てしっかり学びましょう。
多額の費用を払えなくなった
お店を閉めて改装するのであれば、徹底して理想のお店に改装したいですよね。見た目も今の流行りに合わせたいですし、内装も素材の良いものを使用したくなるなど、業者も色々と対案してくれるので、あれもこれもと色んなことをやってみたくなります。
その結果、改装費用が驚くような額になることがあります。大掛かりな改装は数百万円かかります。しっかりと改装費用を積立をしてきたので補える、ということでしたら問題ないのですが、積立がない場合は借金をすることになります。 改装をしても売上が倍になることはほとんどないため、借金を返済するのが苦しくなり、改装費用を払いきれずに廃業してしまうケースも珍しくありません。
集客がうまくいかず、お客さんが減る
良かれと思って行った改装が、お客さんの視点で考えると動きづらくなった、というケースもあります。お店の雰囲気が変わりすぎると、固定客を失うことになってしまいます。
また、お店を閉めている期間が長いと、他のお店にお客さんが流れてしまうというリスクが発生します。改装すれば客数が増えることもありますが、実は減る可能性もあるのです。それでも営業を続けていれば、いずれは固定客が戻ってくるかもしれません。しかし、一時的でもお客さんが減るのは経営的にとても厳しく、やはり資金不足で廃業に繋がることがあります。
店舗改装のパターン
店舗改装が必ずしも売上アップに繋がるわけではありません。きちんと意図を持って改装を行うことで、お客さんに選ばれるお店に近づきます。そのため、店舗改装についての基礎知識を頭に入れておく必要があります。
ここでは店舗改装にどのようなパターンがあるのかご紹介します。
補修・設備の入れ替え
最もシンプルな改装は劣化した部分の補修や、古くなった設備の入れ替えです。壁紙や塗装などは10年くらい経つとどうしても劣化してきます。塗装はヒビが入ったり、粉を吹くこともあります。飲食店などの床面に施されている防水加工は、劣化して防水効果が低下します。
同じように電気を使った設備や機器も、多くのものが10年で寿命といわれています。補修や設備の入れ替えは難しい作業ではないため、比較的短時間で改装工事が終わります。壁紙の張替えだけなら1日もあれば十分ですので、休業日に作業を済ませることが可能です。
店舗のデザインの変更
店舗デザインは店の雰囲気を変えたいときに行います。基本的には壁紙が古くなったときなどに合わせて、これまでとは違う色や柄に変えたり、塗り変えたりします。壁紙を替えるだけであれば低予算で雰囲気を変えられますが、什器やテーブル、椅子などの家具まで交換すると多額の費用がかかります。
現在のお店が繁盛しているのであれば、店舗デザインを替えるにしても、それほど大きな変更はしないほうが無難でしよう。一方、徐々にお客さんが減ってきていて売上が下がっているときは、デザインやレイアウトを思い切って変更することで、新規のお客さんの来店が期待できます。
フルリニューアル
上手くいっているように思える店舗でも、長い時間が経過するとお店に見慣れてしまいます。固定客は真新しいお店に惹かれ、客足が遠のいてしまうことがあります。そんなときには、ゼロからお店を作り直すフルリニューアルがおすすめです。
店の雰囲気を大きく変えられますので、飲食店ならメニューや単価を見直すいい機会になります。使い勝手の悪かった部分の改善、従業員の動線が重ならないレイアウトにすることもできます。ただし、フルリニューアルは諸刃の剣です。以前の雰囲気を少しでも残しておかないと、固定客が離れていってしまう原因になります。
業態の変更
今の業態で今後の利益が見込めないようであれば、違う業態に変更するのも1つの方法です。例えば、これまで居酒屋だったのを焼き鳥屋にしたり、パン屋をパンとワインが楽しめる立ち飲みバルにしたりと、ある程度の継続性を持たせながら、新しい業態にすることで売上が大幅にアップすることがあります。
業態変更の店舗改装は、フルリニューアルと同じくらい内装工事に時間がかかります。新しい業態に合わせた設備も導入するため、費用も高額になりがちです。成功するかどうかは賭けに近いところがありますので、行う場合はきちんとコンセプトから考えてから実行に移しましょう。
店舗改装の注意点
実際に店舗改装を行う際は、注意しなければならないことがいくつかあります。ここでは気をつけるべきポイントについて、簡単にご紹介していきます。
店舗の現状の把握・分析を行う
まずは、どのようなパターンの店舗改装をするのかを決めなくてはいけません。そのためには、店舗の現状の把握と分析が必須です。売上と客数が十分であれば大きな変更はせず、老朽化した部分だけ補修しましょう。
利益が思うように上がっていないときは、どうすれば以前のような状態に戻るのか考えてください。内装の雰囲気が変わればお客さんが戻ってくるのか、現在の業態が時代遅れのものなので変更の必要があるなど、しっかり分析してから店舗改装の方針を決めることが重要です。
改装にかけられる期間を予め計算しておく
改装期間は売上がゼロになります。工事期間が長くなればなるほど経営を圧迫するため、何日間お店を閉めていられるのか計算しておきましょう。 例えば、お店を閉めていられる期間が2週間しかないのであれば、大幅なリニューアルはできません。その期間内にできることを施工業者と相談をしながら決めることが大切です。
ローンが組めない可能性もある
店舗改装は原則としてローン払いができません。そのため、銀行などの金融機関のローンを借りて支払いに充てるのが一般的です。ところが、金融機関のローンは誰でも簡単に借りられるわけではありません。赤字経営が続いている店舗では、場合によって融資を断られることがあります。
融資がないと、改装するのが難しくなりますよね。どんな形であれ改装は必要になりますので、開業して経営が安定してきたら、改装費用を積立ておくことをおすすめします。自己資金であれば、ローンを組めなくても心配いりません。10年で店舗デザインを変更できるのを目標に積立てておきましょう。
まとめ
壁紙を替えるといった簡単な店舗改装だけでも、開店当時の明るい雰囲気を取り戻せます。家具類のレイアウトを変えれば、常連客も新鮮な気分で来店してもらえます。売上が減少しているときは店舗改装によって、業態を変えることも可能です。
ただし、店舗改装によって大幅にお店の内装を変えてしまうと、これまで来てくれていたお客さんが離れるかもしれません。他にも、改装費用を払えずに閉店してしまうケースもあります。店舗改装は安易に行うのではなく、自分のお店をしっかりと分析し、期間内でできる改装を行いましょう。
始めに失敗例をご紹介しましたが、お店の雰囲気が変わると、これまで足を運んでくれなかったお客さんへもアピールできます。お客さんの数が減ってきたなと思ったら、無理のない店舗改装を行って、売上回復・売上アップを目指しましょう。
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