2018年2月14日

飲食店を開業する上で知っておきたい防火区画の基礎知識と火災対策

飲食店を開業する場合に絶対に忘れてはいけないのが、調理場などからの火災です。「うちは絶対に火事は起こさない」と言い切れる飲食店経営者はいませんよね。どれだけ注意していても、ボヤも含めて火災を100%防ぐことはできません。 ここでは、火災が発生することを前提に、どのような理由で火災が発生し、どのような対応をすればいいのかについて説明します。また、火災が広がらないための防火区画の考え方についても解説しますので、開業前にしっかり頭に入れておきましょう。

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飲食店の火災原因で多いものは?

出典:photo-ac.com

毎年のように飲食店からの火災がニュースになっていますが、飲食店の火災はなぜ発生するのでしょう?東京都における飲食店の出火原因として、次のようなものが挙げられます。

放置する・忘れる:30%
電気機器の接触部加熱:8%
火のついた油等が吸い込まれる:8%
接炎する:6%
電線が短絡する:5%
過度に熱する:5%

この他にもいろいろな理由がありますが、全体の3割が「放置する・忘れる」という、不注意から起こります。これらは防火教育を行っても、100%防ぐことはできません。私たち人間は、完璧ではありません。どこかでミスをしてしまいますので、経営者としては「火災は起きるもの」という前提で考えておく必要があります。

火災の被害を小さくするための防火区画とは

火を使っていればどうしても火災のリスクはあります。とはいえ、リスクがあるから仕方ないとするのではなく、発生したときの被害を最小限に抑える必要があります。そのための対策として、建物には防火区画という考え方があります。

例えば、ビルにある飲食店の厨房から火が発生したときに、厨房を防火区画にしておけば、そこから火が広がるまでに、一定時間の猶予ができます。建物の被害は止められなくても、その時間にビルにいる人たちが避難できます。

防火区画については、法律で定められたものと、テナントの契約として定められているものがあります。いずれにしても防火区画になっている場所の内装は、特殊な石膏ボードなどを使う必要があり、内装工事は割高になります。

防火区画には下記の4種類あります。

面積区画

100~1500㎡ごとの区画を作ることで、建物内の水平方向への火災の広がりを防ぎます。

水平区画

床材を耐火構造にすることで、火災が上下階に広がっていくのを防ぎます。 ほとんどの建物ですでに床材は耐火構造になっていますので、内装工事などでは特に考える必要はありません。

竪穴区画

階段やエレベーター吹き抜けなどの縦方向に伸びた部分は、火災が縦方向に広がっていくため、竪穴区画として建物の他の部分から火災が入ってこないように守られています。店舗がそのような空間に面している場合は、内装に防火対策が必要になります。

異種用途区画

同じ建物内に管理者が違う場合は、他の店舗での火災に気づきにくいため、店舗ごとの区画で防火を行います。これを異種用途区画と呼びます。飲食店の場合は、異種用途区画を採用することが多く、内装工事費用が通常よりも高くなります。

火事発生時の対応

防火区画によって、火災の広がりを抑えることができますが、火事が発生したときの初動も被害を最小限に抑えるために必要になります。火災が起きたときには、次のような対応を行ってください。

  • 消防署や建物の責任者に通報する
  • 初期消火活動をする
  • 避難誘導をする

この3点に優先順位はありません。すべてを同時に行ってください。火災が発生したら、消防署や建物の管理者に通報してください。慌ててしまう気持ちは分かりますが、できるだけ落ち着いて、詳しく現状を伝えてください。

消化器による消火活動を行ってください。ただし、油に直接消化器を向けないようにしてください。飛び散った油が火事を拡大することがあります。初期消火で火を止められないと判断したら、防火戸を閉鎖しながら速やかに避難してください。

店内にお客さんがいる場合には、避難誘導を行いましょう。他の店舗が入っている建物の場合は、そちらの従業員やお客さんも火事の発生を伝えて、避難してもらいましょう。

いきなりこれらを実行するのはとても難しいため、年に2回は避難訓練をおこなって、慌てず対処できるような体制を整えておきましょう。

防火対策のポイント

火事が起きたときの対策も重要ですが、火事を起こさないための防火対策も重要です。どのような対策をすればいいのか、ご紹介します。

防火教育を行う

火災の多くは不注意から起きています。その中には防火の意識があれば、防げたものもあるはずです。アルバイトも含めて、すべての従業員に防火教育を定期的に行ってください。

安全装置を取り付ける

費用がかかったり、使い勝手が悪くなったりするため、安全装置をつけたがらないお店もありますが、フライヤーやオーブンには必ず安全装置を付けてください。最初から自動停止装置のついた設備を導入しておくと、コストを抑えることができます。

厨房をつねに清掃しておく

油汚れなどへの引火も火災の原因のひとつです。厨房はどうしても油が飛び散ってしまいますが、換気扇は定期的に清掃し、調理器具は毎日お手入れをしてきれいな状態を保ちましょう。また、コンセントなども火災の原因になりますので、ホコリを取り除いたり、カバーをつけたりして発火しないようにしましょう。

整理整頓をして可燃物を置かないようにする

厨房には基本的に可燃物を置かないようにしましょう。ついついメモ帳などを持ち込んでしまいがちですが、それらを調理器具の近くに置くと燃えてしまう可能性があります。基本的には厨房には可燃物を持ち込まないようにしてください。

まとめ

飲食店の防火区画と火災対策について説明してきましたが、その重要性を理解できたでしょうか。火災は発生させないことが一番ですので、まずは防火教育などをしっかりと行って、火災が起きにくいようにしましょう。

ただし、火事を100%防ぐことはできません。火事が発生する前提で、避難訓練などで火事が起きたときのシミュレーションを行ってください。また、建物の契約内容に従って、厨房や店舗を防火区画にするなど、火事の被害を最小限に抑えるための対策も行ってください。

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