2018年5月28日

老人ホームを開業する前にしっておくべき種類と費用

これから高齢者が増えていくことが明確な日本では、老人ホームのニーズが年々高まっています。既存の老人ホームのサービスでは満足できないという人の中には「自分で開業して最高のサービスを提供したい」と強い想いを持っているかもしれません。でもどれくらいの費用が必要なのか、そもそも老人ホームというのはどのような精度なのかということを把握できていない人も多いかと思います。ここではそんな人のために、老人ホームを開業するにあたって知っておくべき基礎知識をご紹介します。

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老人ホームの種類と特徴

老人ホーム

出典:photoAC

まずは老人ホームにどのような種類があるのか見ていきましょう。老人ホームには民間施設公的施設の2種類に分類されます。それぞれどのような施設があるのかご紹介します。

民間施設の種類

・介護付有料老人ホーム
・住宅型有料老人ホーム
・健康型有料老人ホーム
・サービス付高齢者向け住宅
・グループホーム

上記5つが民間施設です。各々特徴があり、役割も違いますので簡単に説明していきます。

介護付有料老人ホーム

質の高い介護や生活支援が受けられる老人ホームです。24時間看護師が常駐しているなど、医療の体制がしっかりしているのも特徴です。認知症な方でも入居できるところもありますが、基本的には共同生活を行える方が対象となっていて、レクレーションやイベントが充実しています。

住宅型有料老人ホーム

自立できる高齢者を対象としている老人ホームです。軽度の要介護の方は外部サービスで介護を受けることができるなど、自分に合った生活を送ることができます。介護付有料老人ホームと同じくレクレーションやイベントが豊富で、豊かな老後を過ごしたい人に適した施設です。

健康型有料老人ホーム

介護を必要としない方のための施設です。高齢者のひとり暮らしによる不安を解消することを目的とし、共同生活を楽しむための老人ホームです。そのため介護や医療の設備はあまり充実しておらず、要介護になると退去しなくてはいけないというデメリットがあります。

サービス付高齢者向け住宅

軽度な介護者も入居できますが、基本的には健康な高齢者向けの施設です。安否確認と生活相談が主なサービスで、介護サービスは提供されません。しかし、生活の自由度がとても高いという特徴があります。高齢者向けのサービスが付加された賃貸物件という位置づけですので、自室にトイレやキッチン、浴室なども完備されています。

グループホーム

認知症の方を対象とした施設です。地域密着型のサービスで、施設と同一地域内に住民票がある方のみ利用できます。入居者は介護サービスを受けられますが、家事は自分で行う形での共同生活となります。認知症に詳しい介護スタッフが常駐しますが、医療に関する治療は受けることができません。

公的施設の種類

・特別養護老人ホーム
・介護老人保健施設
・介護療養型医療施設
・ケアハウス
・養護老人ホーム

上記5つが公的施設です。公的施設も各々で役割が違いますので、こちらも簡単に説明していきます。

特別養護老人ホーム

特養と呼ばれる老人ホームで、要介護3以上の認定を受けた方でも入れる施設です。日常生活のサポートと介護サービスを、民間の施設よりも安い金額で受けることができます。一方、日常生活のサポートすることが主体ですので、医療に関しては充実していないところが多く、常時看護が必須という方には適していません。

介護老人保健施設

リハビリを目的とした保健施設です。入居者は3ヶ月から半年を目安に、在宅復帰することを前提としています。日帰りでも利用でき、自宅まで迎えにきてくれるところもあります。医療設備も整っているため、老人ホームが見つかるまで一時的に利用している方が多い施設です。

介護療養型医療施設

公的な老人ホームの中でも医療が充実した施設です。ほとんどの介護療養型医療施設は医療法人が運営していて、要介護者でも安心して入居できます。とてもニーズの高い施設ですが、国により2017年末で廃止となっており、2024年まで移行期間が設けています。そのため、残念ながら新規の開設は認められていません。

ケアハウス

有料老人ホームは月額費用が高いので、低所得者は利用が難しいという問題があります。それを解決したのがケアハウスです。所得に応じて月額費用が決まるため、要介護度が高くなっても利用し続けられるというのが特徴です。そのため入居希望者が多く、ほとんど空きがない状態が続いています。

養護老人ホーム

介護の必要がなく自立はしているものの、生活保護を受けていたり低所得のため生活が難しい方を対象とした施設です。自立していることが前提ですので、介護職員は常駐していません。入居にかかる費用を抑えることができる反面、入居のハードルがとても高いというデメリットがあります。

民間と公的の老人ホームはどう違う?

民間施設と公的施設と分けて説明してきましたが、正確には公的な老人ホームというものはありません。公的施設と呼ばれているものは、社会福祉法人が運営を行っています。社会福祉法人以外の民間の会社が老人ホームを開業する場合は、民間施設ということになります。

公的施設は国が補助金を出して作っているため、入居費用や月額利用料金が安く設定されています。一方の民間施設は利用料金が高いというデメリットがあります。しかし、公的施設にはない手厚いサービスを提供することで差別化を図っています。

ご自身で老人ホームを開業する場合は、公的施設に引けを取らない魅力を用意しなければ、利用者の満足度を高めることができません。さらには他の民間施設とも比較されますので、入居することでどのような利点があるのかを明確にしておくことが大切です。

要介護度の違いによって、入居できる老人ホームが変わる

10種類の老人ホームについて説明しましたが、その中で「要介護」という単語が何度か出てきました。老人ホームは要介護度によって入居できる施設が変わってきます。

種類要介護度認知症受入
介護付有料老人ホーム自立~要介護4
住宅型有料老人ホーム自立~要介護3
健康型有料老人ホーム自立×
サービス付高齢者向け住宅自立~要介護3
グループホーム要支援2以上
特別養護老人ホーム要介護3以上
介護老人保健施設要介護1以上
介護療養型医療施設要介護1以上
ケアハウス自立~要介護4
養護老人ホーム自立

施設によって多少の違いはありますが、一般的には上記の表のとおりに要介護度が入居のための条件になります。老人ホームを運営する際は、どの層をターゲットにするのかで老人ホームの種類が変わってきます。施設内の設備も変わってきますので、事前によく確認しておきましょう。

老人ホームの開業と運営にかかる費用

どのような老人ホームを開業するかによって、開業費用は大きく変わりますが、いずれにしてもバリアフリーの建物が必須です。そのため、高額な費用を用意しなくてはいけません。

一般的には50人規模の有料老人ホームを開業するのに、2.5億〜3億円はかかると言われています。サービス付高齢者向け住宅の場合は、国からの補助金を利用できますが、それ以外は自分で資金を集めることになります。

さらに、運営をしていく上で人件費などもかかります。開業していきなり安定収入を得られる老人ホームはありません。最初の3ヶ月は収入が見込めないことも加味して、多く資金が必要になります。

・人件費
・共用施設の維持費
・食費
・水道光熱費
・管理費

上記の費用を入居一時金や月額利用料金でまかなわなければいけません。支出の60%は人件費です。老人ホームの種類によっては、24時間体制で専門の職員が常駐するため、多額の費用がかかります。上記の項目をしっかりと計算した上で、月額利用料金や入居一時金の設定を行いましょう。

まとめ

老人ホームをこれから開業しようと思っている方は、開業資金と運営資金が思った以上に高額で驚いてしまったかもしれません。とはいえ、きちんと収支計画を立てておけば、リスクに見合っただけのリターンを期待できるのが老人ホームの魅力です。

そのためには、どの形態の老人ホームなら収支をプラスにできるのかをしっかりと見極めましょう。また、収益を上げたいからといって人件費を下げてしまうと、施設にスタッフが定着しなくなります。人手が足りないと安定したサービスを提供できなくなり、評判が悪くなってしまいます。

スタッフの負担が大きくなりすぎないように配慮しつつも、利用者が満足できるサービスを提供することが経営者の大きな役割です。そのためには、十分な開業資金が必要になりますので、細かく収支計画を立てて無理のない開業を目指しましょう。

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