2019年4月15日

居抜き物件を選ぶ際のメリットとデメリットを徹底解説します

店舗を開業する際、居抜き物件を考えている方は多いと思います。居抜き物件を選択することで、どんなメリット・デメリットがあるのでしょうか。この記事では、メリットとデメリット以外にも、開業前、開業後に起こりやすいトラブルや対応策も掲載していますので、ご参考になさってください。

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居抜き物件とは

居抜き物件とは、前事業者が使用した設備や内装がそのまま残されている物件のことです。開業費用を安く抑えることができますが、レイアウトを自由に変更できないというデメリットがあります。

まずは、居抜き物件のメリットとデメリットについて解説していきます。

居抜き物件のメリットとデメリットは?

  • メリット

居抜き物件の最大のメリットは、開業時に必要な初期費用を大幅に抑えることができる点です。
前事業者が使用していた設備や内装をそのまま譲り受けれるため、あらかじめ営業に必要な機能がほとんど揃っており、大掛かりなリノベーションや、新規で設備を導入する必要がないのが特徴です。

一般的な貸物件(スケルトン物件)では、コンクリートがむき出しの状態のため、壁や天井、床など様々な設備を一から導入します。一方、居抜き物件であればある程度は設備が整っているため、同じ業種の飲食店を経営する場合であれば、材料さえあれば営業できるという物件もあります。

工事を行う場所を減らせることで、工事費が浮きますし設備購入費も抑えることが可能です。内装を一部変更したり修理するなどで済むと、工期を短縮できるので、早く開業できるのもメリットといえます。

  • デメリット

内装・設備がそのまま残っていることはメリットですが、デメリットにもなり得ます。前事業者から譲り受けた状態で使用するということは、大体のレイアウトが同じになってしまうため、前店舗の印象を引きずってしまうかもしれません。

以前からお店を知っていたお客様からすれば、前店舗と変化がないと「新しくオープンしたお店」という印象が薄くなります。かと言って、内装やレイアウトを大きく変更すると、既存の設備を撤去するという作業が加わるため、逆に費用が高くついてしまうケースもあります。

居抜き物件を選ぶ際は、既存の設備や内装をそのまま使用するになりますので、変更には制限がかかるということを念頭に置いておきましょう。
そうはいっても、前店舗との差異化は図る必要がありますので、天井や壁紙のカラーバリエーションを変更したり、前店舗と大きくコンセプトを変更することが大切です。

店舗のリノベーションについてはこちらの記事で詳しく解説しているので、ご参考ください。

居抜き物件の造作譲渡には要注意

造作譲渡とは居抜き物件で契約する際に、残されている設備や内装を前事業者が次の事業者に売り渡すことです。

一般的なテナントでは、入居時に施したリノベーションは「借り手が退去時にすべて解体・撤去する」という原状回復の義務が生じます。
入居時だけでなく、退去時にも大きなお金がかかるというわけです。原状回復は坪単価で算出され、お店の規模が大きければ大きいほど費用が高額になります。

そこで、お店を畳む予定の退去希望者がその物件を居抜き物件とし、次の借り手に内装・設備を譲る(造作譲渡)ことで、原状回復の費用を浮かすことができます。

一般的には居抜き物件と聞くと、前事業者の設備や内装は賃料に含まれている、あるいは無償だと思っている方がいるかもしれませんが、造作譲渡を受けるためには、造作譲渡料が発生することを忘れてはいけません。

ただし、次の入居者がなかなか決まらない場合、前事業者が造作譲渡料を無料にすることもあります。このような居抜き物件を見つけることができれば、既存の設備を無償で譲り受けることができますが、借り手が決まらない店舗にはそれなりの理由があるものですので、しっかり見極めましょう。

スケルトン物件とは

居抜き物件とは逆に、前事業者が使用した設備や内装がすべて解体・撤去されている物件をスケルトン物件と呼びます。スケルトン物件のメリットデメリットについても見ていきましょう。

スケルトン物件のメリットとデメリットは?

  • メリット

スケルトン物件最大のメリットは、あなたの自由に内装デザインやレイアウトを実現できることです。
前店舗の残したものが何もない状態ですので、レイアウトの制限なく自由に店舗づくりができます。間仕切りをいくつも設けて個室にしたり、特殊なレイアウトをつくることも可能ですので、お店の個性を出すこともできるでしょう。

  • デメリット

コンクリートがむき出しの状態から作るため、大掛かりなリノベーションが必要となり、設備も全て揃えるため多額な費用がかかります。

同時にリノベーションの工程が多い分、施工もそれなりに時間を要します。一般的に工事中も家賃が発生していますので、工期が長いとそれだけ赤字になってしまうでしょう。 開業日や工事日などは余裕を持って計画してください。

スケルトン物件は原状回復に注意

スケルトン物件をリノベーションして開業した場合、退去する際は内装を全て解体・撤去する義務があります。

一般住宅であれば、原状回復の責任は多くが貸主にあります。画びょうを刺した跡の壁の穴や、冷蔵庫などを置いた床の凹みなどの通常使用による傷みをはじめ、時間とともに自然と消耗されていく経年劣化は貸主の負担になります。

しかし、テナント物件では一般住宅の原状回復とは違い、経年劣化含めてほぼ全てを借主が負担することになります。借主と貸主は両者ともに事業主となり、立場は同等に捉えられていることと、テナントは多くの人が出入りと使用を繰り返すので、住宅よりも損傷や劣化の具合が激しいと推測されるからです。

居抜き物件のところでご説明しましたが、原状回復の費用を抑えたい場合は造作譲渡を利用すると良いでしょう。造作譲渡を行うためには、物件の解約6か月前から募集を行います。
希望者が見つかれば居抜きで引き渡せますので、原状回復の費用を抑えることもできます。

開業前に起こりやすいトラブル

店舗事業を始める際、物件を決めたり設備を整えるなどの準備を進めていきます。只でさえやることが多いのに、無用なトラブルに巻き込まれてしまうと、手間と時間を取られてしまいます。

ここからは、開業前に起こりやすいトラブルをいくつかご紹介します。

予想外の不具合が発生することがある

居抜き物件は前事業者の内装や設備が残っているので、そのまま使用できれば初期費用を抑えられるのが魅力です。

しかし、物件契約後に床材の腐敗やシロアリの被害、壁紙のシミや剥がれが発覚したため、リフォームを依頼したら床材や壁紙の全面張替えすることになった、ということも起こり得ます。

全面張替えとなると撤去・解体費用が発生するため、スケルトン物件よりも費用がかかってしまいます。
大掛かりなリフォームは考えずに予算を立ててしまうと、内装の不備が見つかった際に費用の見込みが崩れてしまうので、余裕を持って資産計画を立てておく必要があります。

物件オーナーと契約内容で揉めてしまう

物件の契約時にはオーナーと密なコミュニケーションを取り、契約の内容に相違がないようにしなくてはなりません。
特に多いとされるのが、内装のリノベーションに関する行き違いです。

契約前にリノベーション可能な範囲を確認しなかったことで、計画した内装やレイアウトができないという失敗事例が多々あります。リノベーション可能な範囲を決めるのは、物件のオーナーだということを覚えておきましょう。

契約内容で揉めないためには、居抜き物件に導入する設備や内装のデザインを先に考案し、物件の契約前に計画案、設計図をオーナーに伝えておきます。可能であれば工事工程の詳細も伝え、問題がないか確認しておきます。

また、建物の強度に関わるため壁が取り払えないなど、建物の構造上できない工事もありますので、確認は怠らないようにしてください。

工事を依頼した業者との相違が起こる

居抜き物件の内装工事にかかる費用は、物件の広さや使用する素材のグレードによって変わりますが、専門業者によっても差が出てきます。
業者を決める際は、少なくとも3社以上で見積もりの比較を行いましょう。比較を行うことで業者同士で価格競争が発生し、費用が下がることがあります。

ただし、割引をしすぎる業者には注意が必要です。
施工価格の安さは魅力的ですが、価格の安さだけで判断してはいけません。相場より低すぎる場合は、価格を抑えるだけの理由があるはずです。施工に使用する材料の質が悪かったり、手抜き工事をする悪質な業者も存在します。

店舗の内装(改装)工事業者の選び方についてはこちらの記事で詳しく解説しているので、ご参考ください。
店舗の内装(改装)工事業者の選び方

近隣住民からクレームがくる

内装工事を行う際、少なからず近隣住民に迷惑をかけてしまうことを頭に入れておきましょう。工事の騒音や業者が使用する車両での通行の妨げなど、どうしても発生するものですので、トラブルに発展させないよう工夫が必要です。

工事開始日が決まると、業者側から近隣住民に工事の旨を伝える挨拶回りや説明会が行われますが、説明の際は、工事で発生する騒音の程度、1日の作業時間、車両の駐車場所、工事期間など、細かく伝えておくことがマナーです。あらかじめ詳細を伝えておくことで、大きなクレームを回避することにもつながります。

また、挨拶は業者だけに任せずに、あなたも一緒に挨拶をした方が印象は良くなります。工事をしているのはあなたの店舗であり、近隣住民に迷惑をかけるのもあなたの店舗です。マナーのない対応は、店舗のイメージにもマイナスに繋がりますので、できるだけ丁寧に対応しましょう。

開業後に起こりやすいトラブル

お店を無事に開店できても安心はできません。開業してから発覚するトラブルもありますので、冷静な対処ができるよう、開業後に起こりうるトラブルについても確認しておきましょう。

付帯設備の確認ミスが発覚する

付帯設備とは建物に最初から備えられている設備のことで、水道、ガス、電気などを指します。付帯設備の不備が開業後に発覚すると厄介なので、事前に確認しておきましょう。

電気・ガスの必要な電気容量は一般住宅とテナントでは大きく異なります。
どの店舗でも家庭より多くの電子機器を使いますし、飲食店であれば、厨房設備が常に稼働している状態で多くのガスコンロを使用します。少ない契約容量ではブレーカーが落ちたり、ガスの供給が間に合わない可能性があります。

排水設備に欠損があった場合も水漏れなどのトラブルに発展します。排水に不具合があれば営業にならない可能性もありますし、階下に水が漏れてしまうと、その損害を支払うこともあるため、十分な注意が必要です。

オフィスの開業では、コンセントが足りないというトラブルも起こります。パソコンを多く利用するのに、コンセントが少ないというミスは致命的ですよね。事前にコンセントの位置や増設が必要かどうか検討しておきましょう。

居抜き設備が故障する

居抜き物件では、前事業者の設備を譲り受けることができますが、設備の動作確認をしなかったことで、開業後に故障などのトラブルが発生することがあります。

契約後に設備の故障や不具合が発覚しても、所有者が変わってしまっているため、前事業者や物件のオーナーに責任を負ってもらうことは難しいでしょう。そうなると、故障の対応や設備の買い替えが必要になります。

費用を抑えるために居抜き物件を選んだのに、故障した設備の撤去や設備の導入で多額の費用が必要になってしまっては、選んだ意味がありません。
契約前に、譲り受ける設備がいつから使われているもので、あとどれくらい使えるのかに加え、正常に使えるのかどうかも確認しましょう。

開業後に欠陥が見つかった

工事が無事に完工しても、工事からしばらくして欠陥が発覚する場合があります。壁紙が剥がれてきたり、床が軋んでいたり、業者の技術不足が招く欠陥もあります。

業者の技術を見極めるためには、ホームページなどで施工事例や実績を確認しましょう。経験豊富で技術に自信のある業者であれば、施工事例を堂々と公開していますし、対応している店舗の数も多いはずです。

どれだけ技術のある業者でも、予期せぬ不備や欠陥が発生することもあります。瑕疵担保責任保険(補修費用を保険会社が施工会社に支払う保険金制度 )の加入は、不備や欠陥に対して誠意を持って対応するという表れとも取れますので、信頼できる業者かどうかの判断材料のひとつです。

リース品の請求を受けた

リース品とは、レンタル契約を交わし、月額を支払って使用する設備です。
居抜き物件で起こり得るのが、残されていた設備にリース品が含まれていたというトラブルです。

居抜き物件を決める際に、リース設備がある物件であれば、リース品の使用契約も引き継ぐことになります。リース品であることを知らずに、造作譲渡料を払って契約してしまい、開業後にリース会社から請求が来て事実を知るケースが報告されています。

リース品があることを前事業者が明言していない場合、毎月の支払いを滞納している可能性もあります。リース会社にその負債まで請求されたり、設備を取り上げられてしまうことも起こらないとは言えませんので、必ず確認しておきましょう。

居抜き物件でのトラブルを回避する方法

居抜き物件で起こりやすいトラブルをご紹介してきましたが、トラブルを回避するにはどんなことに気を付ければ良いのでしょうか。
最後に、トラブルを回避するためのポイントを見ていきましょう。

居抜き物件の内見・内覧会を利用する

初期費用を抑えるために居抜き物件を選んだ場合、可能な限り物件の内見や内覧会に参加してください。
実際に物件を見ることができれば、残されている設備の品質や内装デザインをあらかじめ確認できます。

内見の際は担当者に、付帯設備に問題はないのか、設備の保証はあるのか、リース品は含まれていないかなど、気になることを質問してから検討するとよいでしょう。

物件契約の認識を合わせる

物件契約はオーナーと契約内容の認識を合わせてから行います。
物件契約はトラブルが起こりやすいので、原状回復の範囲やリノベーションの範囲に相違がないか、契約前に全て確認しておくことが重要です。

工事契約は口約束ではなく書面に残す

業者から見積書が提示されたら、工事内容やサービスについて必ず契約書に残すようにしてください。口約束には法的効力はありません。「言った言わない」というのは、トラブルでよくあるケースです。

口約束のトラブルを回避するには、施工内容や追加工事が発生するたびに書面にすることです。
追加変更同意書」と呼ばれるものを使用し、業者・依頼主の双方の同意があったことを分かるようにする必要があります。

悪質な業者は口約束で済ませようとしますので、依頼主から書面で残すことを提案しましょう。良質な業者であっても、口約束で最終的に揉めてしまうことは珍しくありません。お互いを守るためにも必ず行ってください。

前事業者の退居理由を知る

前事業者の退居理由を知るということは、非常に重要です。同じ場所で店舗を持つのですから、経営が成り立たず退去した理由は知っておかなければ、同じ道を辿りかねません。

例えば、立地に問題があってお客様を来店につなげることが難しかった、というのであれば外装に工夫をしたり、看板を出してアピールするなどの対策を講じることができます。

一方、衛生環境が悪く虫やネズミが頻繁に出ることで、客足が遠のいたとことが原因だったとすると、綺麗に改装しても以前通っていたお客様のイメージを払拭することは難しいでしょう。

悪いイメージは店舗の集客に大きな影響を及ぼします。前事業者の退去理由を知ることで、前もって経営の作戦を練ることができると共に、借りるべき物件かどうかを見分けることもできます。

まとめ

居抜き物件のメリットは、設備や内装をそのまま使用できることであり、開業までの流れがスピーディーに進むことです。
しかし、前店舗のイメージまで引き継いでしまうことがあるため、できる限り前店舗とコンセプトを変えたり印象を変えることで差異化を図りましょう。

居抜き物件では譲り受ける内装・設備に造作譲渡料が発生します。
次の入居者がなかなか決まらないような物件では、造作譲渡料を無償にしていることもありますので、費用を抑えたい場合はそのような物件を探してみるのもよいでしょう。

ただし、居抜き物件は大きなメリットがある反面、デメリットもあります。 同じ居抜き物件でも、それぞれ持っているメリットデメリットは違います。物件が開店予定の事業に合うかどうか、居抜き物件として借りるのに相応しい物件であるかなど、厳しい目でチェックしてください。

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