2018年6月19日

ダンススタジオ開業に関する基礎知識と注意すべきポイント

ダンスは、幅広い年齢層の人が楽しむことができます。近年、日本のダンス人口は増加傾向にあり、開業を考えている方も多いのではないでしょうか。ここでは、ダンススタジオを開業する際に知っておきたい基礎知識と注意すべきポイントをご紹介します。

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ダンススタジオの開業にはいくらかかる?

ダンススタジオ

出典:pixabay

まず初めに、ダンススタジオ開業する際に必要な資金について把握しておきましょう。 ダンススタジオを開業するには、開業場所や家賃などにもよりますが、800万円~1,000万円ほどの資金が必要になります。

開業資金は主に以下の5つに分かれます。

1.物件取得費

物件を取得するための費用です。 保証金(敷金。家賃6~12ヶ月分)、礼金(家賃1ヶ月分)、仲介手数料(家賃1ヶ月分)、前払い家賃(家賃1ヶ月分)、火災保険などが必要です。 仮に家賃が20万円とすると、最低でも180万以上かかる 計算になります。

2.内装工事費

ダンススタジオは、ヒップポップ、フラメンコ、社交ダンスなどダンスの種類によって、クッション性、防滑性などに優れた適切な床材を選び、しっかりと防音防振対策工事を行いましょう。 内装工事費は坪単価30~50万が相場といわれていますが、工事内容によって金額は異なります。

例えば、フラメンコでは、つま先やかかとで床を踏み鳴らしてダンスを踊りますよね。そのため、一般的な防音工事では防ぐことができないことが多く、フラメンコ専用の防音床施工をすることになります。

また、スケルトン物件と居抜き物件とでは大きく費用が異なってきます。 居抜き物件は、前テナントが同じダンススタジオであれば、防音防振対策が施されている可能性が高いため、工事費をいくらかおさえることができます。一方、スケルトン物件の場合は、防音防振工事を含めた内装工事を一からしなくてはいけません。

3.什器、備品、消耗品費

ダンススタジオを開業する際に什器、備品、消耗品の準備もしておきます。具体的には、以下のようなものがあります。

【什器、備品、消耗品の例】

・CDプレイヤー、DVDレコーダー、アンプ、スピーカー、マイク(ワイヤレス)、延長コード

・レジ、パソコン、プリンター、事務用品

・机、椅子、棚、ホワイトボード

・スリッパ、ロッカー、ハンガー

・会員カード、レッスンチケット

・トイレットペーパー

予算に余裕がない場合は、とりあえず営業に必要なパソコンや電話機などを用意し、その他必要だと思われるものは、開業後に適宜そろえていきましょう。

4.広告宣伝費

店頭看板、ウェブサイト開設費およびチラシ制作費などは、集客を図るためには欠かせない費用です。できればパンフレットも制作し、レッスン内容などを詳しく記載して積極的にアピールしましょう。

その他、SNSを有効活用することで、より多くの人にご自身のダンススタジオの魅力を知ってもらうことも大切です。各SNSの特徴を理解し、設定したターゲット層が利用してくれそうなものを選んで運用していきます。

5.運転資金

ダンススタジオが軌道に乗るまでの間、家賃、光熱費、人件費、オーナーの生活費などを含めたお金を算出して準備しておきましょう。最低でも約半年分くらいの経費を確保しておくと安心です。

開業の際に必要な5つの資金についてご紹介しました。

この中で一番大きな割合を占めるのが、「内装工事費」「物件取得費」、次いで「物件取得費」「内装工事費」です。ダンススタジオは、音楽を流して踊る場所ですので、外部に音や振動が漏れないよう天井、壁、床、窓、ドアなどに防音防振工事を行うため、その分費用がかさみます。

開業資金が足りないときは、「日本政策金融公庫」から融資を受けたり、地方自治体の「補助金や助成金」を利用する方法などがあります。利用にあたってはいずれの場合も条件がありますので、事前に確認しておきましょう。

ダンススタジオで必要になる設備とそれにかかる費用

ダンススタジオは、必ず音響設備工事や壁面に鏡を取付ける工事を行います。 音響設備工事費には、設計費、サウンド調整費、機材費などが含まれており、スタジオの広さや形状などによって費用は異なります。

壁面鏡の取付工事費は、鏡の大きさにより金額が異なります。横90cm×高さ180cmで1枚2万円~6万円くらいが目安になります。 いずれの工事をする際も、複数の業者から見積りを取って比較検討をしてください。そうすることで、工事内容や工事金額を見定めることができます。

やはり、設備が整ったダンススタジオは、様集客が期待できますので、その他の設備例も挙げておきます。

【設備の例】

・受付カウンター

・更衣室

・トイレ

・ロッカールーム

・シャワールーム

受付、更衣室、トイレは最低限必要ですが、できればロッカールームやシャワールームも完備してあるのが望ましいです。 物件の広さに余裕があるときは、このような設備も検討してみましょう。

出店場所の考え方

ダンススタジオに限らず、お店を開業する際は、出店場所を慎重に決めていくことが重要になります。 集客が全く見込めないところに出店しても経営が厳しくなるため、 ほとんどの方は集客が見込めるかどうか、家賃、物件の広さなどを一番に考えられると思います。

しかし、音楽を流したり、踊ったりするダンススタジオの場合は、音や振動といった問題も考えなければいけません。

たとえば、ご自分が気に入った物件がテナントビルの2階で、その階下に学習塾やエステなどがあったとします。このような環境の場合は、後々、騒音問題に発展してしまう恐れがあります。

そのため、近隣とのトラブルを防ぐことを最優先に考え、その場所がダンススタジオに適しているかどうかを、きちんと見極めなければなりません。 一度トラブルが発生してしまうと運営にも大きく影響します。トラブルの火種になりそうなものは、出店前にしっかりと解決しておきましょう。

防音防振対策で不安なときは、信頼できる業者に相談して物件の下見をしてもらってください。そして防音防振対策工事が可能であるかを判断してもらい、適切な工事を行ってもらうことが重要です。

ターゲットを明確にする

ダンススタジオの開業においては、出店場所の決定と同様に、ターゲット層やダンススタジオの方向性を明確にすることも重要です。 まず、子供、あるいは大人をターゲットにするのかを決めていきましょう。

そして「将来プロダンサーになる」、「健康的に趣味を楽しむ」など、ターゲットがどうなりたいのかといった、ターゲット層の目的も併せて設定します。

例えば、「小学校低学年くらいの子をターゲットとして、ダンスの楽しさを知ってもらう」など、より具体的に考えてみましょう。 そうすると、ダンススタジオの個性としてアピールができ、どんなダンスができるのかがお客様に伝わりやすくなります。

従って、ターゲットを明確にすることは、ダンススタジオのコンセプトにもつながり、出店場所はもちろん内装デザインなど、開業における様々な準備をスムーズに進めていくことが可能になります。

まとめ

ダンススタジオの開業にかかる費用の中でも、物件取得費と内装工事費は大きな割合を占めます。 特に内装工事では、それぞれのダンスに適した床材を選ぶほか、しっかりとした防音防振対策を行う必要があるため、物件によっては思っている以上に費用がかさむこともあるかもしれません。

しかし、適切な防音防振対策を行うことで、近隣との騒音トラブルを回避することができ、安心してスタジオを運営していくことができます。 防音防振工事は費用が多少かかっても、できるだけダンススタジオを多く手掛けている専門業者に依頼することが大切です。

ぜひ、生徒の方々に安全にダンスを楽しんでもらえるようなスタジオづくりを心掛けて下さい。

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監修者:

渡邊 一伸(ナベさん)

大工歴35年。大手ハウスメーカーで2年間現場監督に従事。3000棟以上のリフォーム・住宅修理の工事管理の実績をもつ。阪神淡路大震災においては1年間復興財団に奔走。その後、独立し、会社を10年経営。2016年に1月に株式会社ローカルワークスに入社。