2024年6月18日

水道工事には申請が必要? 申請の流れと必要な書類もお教えします!

水道は重要なインフラのひとつです。このため原則としてすべての水道は自治体ごとに管理されており、勝手に水道設備を新設したりや撤去したりすることが禁止されています。ここではそんな水道の工事をするにあたって知っておくべき申請方法や、申請の流れ、必要な書類だけでなく、注意点についてもしっかり解説します。

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水道工事で申請が必要になる工事

この記事では、どのような水道工事(給水装置工事)で、申請が必要になるか、また申請に必要な書類や申請の流れについてもご紹介します。あまり意識されたことはないかと思いますが、給水装置はすべて自治体によって管理されています。このため、給水装置に関するあらゆる工事には申請が必要です。

ちなみに給水装置とは、道路に埋め込まれた配水管の分岐部から、家の中にある蛇口などの水栓までのことで、途中にある給水管、止水栓、水道メーターなども給水装置に含まれます。これらの工事は自分で行うことはできません。
申請が必要な工事は、大きく分けて4つに分類することができます。

  • 新設工事
  • 改造工事
  • 撤去工事
  • 修繕工事

それぞれに、申請に必要な書類や申請の流れが違いますので、詳細は個別にご紹介していきますが、ここではそれぞれの工事について簡単に説明しておきます。

新設工事とは、新しく給水装置を設置する工事です。家を建てたときや土地に水道を引くときに、水道メーターを伴う給水用具(止水栓や蛇口など)を新たに設ける工事がこれに該当します。

改造工事は給水管の延長や配管サイズ、材料の変更、水栓などの給水用具の個数や位置の変更を行う工事です。2階に洗面台を追加するリフォームなどが該当します。

撤去工事は給水装置を配水管の分岐からすべて取り除く工事です。公道部分の水道管を残して、敷地内の給水装置を撤去する工事は撤去工事ではなく、改造工事になります。

修繕工事は給水装置の原形を変更せずに、部分的な破損箇所を修理する工事になります。給水管の交換や水漏れ修理がこの修繕工事に該当します。

新設工事の申請の流れ

水道工事

引越しで新しく給水装置を設置することになったときなど、新設工事の申請に必要な書類と、大まかな流れをご紹介します。

申請で必要になる書類

新設工事の申請で必要な書類は下記になります。

  • 給水装置新設工事申込書
  • 給水装置新設工事施工申請書
  • 給水装置工事設計審査申請書
  • 水道使用届
  • 工事用材料検査申請書
  • 位置図
  • 工事図面(平面図・配管図・断面図)
  • 建築確認済証
  • 利害関係者の承諾書
  • 道路工事施行承認書
  • 道路占用許可申請書
  • 道路使用許可申請書(付近の見取図も含む)

自治体や工事内容によって必要となる書類の名称や種類が違いますし、不要な書類や追加で必要となる書類もあります。

正確に把握されたい場合は、自治体の水道課にお問い合わせください。ただし、工事に関する申請はほとんど工事業者が行うので、このようなものが必要ということだけ把握しておくだけでかまいません。

申請の大まかな流れ

新設工事を行うときの見積依頼から申請の大まかな流れは、次のようになります。

  1. 施主が指定事業者を選定・請負契約を結ぶ
  2. 指定事業者が施主に必要な申請書類について説明
  3. 指定事業者が関係者と調整(利害関係者の承諾書の作成)
  4. 指定事業者が申請に必要な書類や設計図面を作成
  5. 指定事業者が給水工事課などの自治体窓口に申請
  6. 自治体による設計審査
  7. 自治体が手数料や給水加入金の納付書を発行
  8. 施主が手数料や給水加入金を納付
  9. 自治体による工事承認
  10. 自治体による道路占用許可申請手続き
  11. 道路管理者や所轄警察署による審査
  12. 自治体が道路占用許可書受領し指定事業者へ許可の連絡
  13. 指定事業者が道路使用許可申請を所轄警察署へ申請
  14. 所轄警察署による審査
  15. 指定事業者による材料検査
  16. 指定事業者が自治体に対して分岐工事立ち会い予約(道路使用許可書写し、使用材料適合証明書写しの提出)
  17. 着工

重要なのは、自治体が指定した事業者(指定給水装置工事事業者)に水道工事を依頼するということです。指定給水装置工事事業者でなければ、申請そのものができませんので、自治体のホームページなどで指定された事業者を確認し、その中から選びましょう。

6の設計審査は、水道工事が適正に施行されるか自治体が確認します。設置する給水装置の構造や使用材料、施工方法が条例や規定に問題があったときや、提出した書類の記載内容や設計内容に不備がある場合、指定事業者が修正を行い、再審査を受けることになります。

8の自治体が工事の承認を行ったあとは、道路を工事するための手続きを行います。工事対象が市道や町道のときは、占用申請から許可されるまで2週間、県道の場合は4週間、国道の場合には5週間程度かかります。この期間中に敷地内の工事を行うケースもあります。

申請の流れに関しても、市区町村によって違いがありますが、施主が行うことは共通していますので、一連の流れの中で施主として何を行わなければいけないのか、次項でご紹介します。

施主側が行うこと

上記の流れの中で施主が行うことはそれほど多くありません。

  • 指定事業者の選びと契約
  • 手数料や給水加入金を納付

基本的に申請手続きは指定事業者に委任することになりますので、上記以外は必要に応じて書類を記入する程度の作業しかありません。ただし、指定事業者が書類について説明を行いますので、その内容についてはきちんと把握しておく必要があります。

また、書類に問題がなくても手数料や給水加入金が支払われないと工事が承認されませんので、納付の依頼があったらすみやかに納付してください。

改造工事の申請の流れ

水道工事

改造工事はすでに配管されている給水装置に対して、管サイズを変えたり、水栓を追加したりするなど原形が変わるような変更を加える工事が該当します。このような工事をするときに、必要な申請書類や大まかな流れについてご紹介します。

申請で必要になる書類

改造工事の申請で必要な書類は下記になります。

  • 給水装置改造工事申込書
  • 給水装置改造工事施工申請書
  • 給水装置工事設計審査申請書
  • 工事用材料検査申請書
  • 位置図
  • 工事図面(平面図・配管図・断面図)
  • 建築確認済証
  • 利害関係者の承諾書
  • 道路工事施行承認書
  • 道路占用許可申請書
  • 道路使用許可申請書(付近の見取図も含む)

基本的には新設と同じ書類が必要になります。ただし、水道料金を工事用に切り替える場合には、水道中止届出書などが必要になることもあります。また、敷地内のみの改造という場合は、道路に関する申請は不要です。

申請の大まかな流れ

改造工事を行うときの見積依頼から申請の大まかな流れは、次のようになります。

  1. 施主が指定事業者を選定・請負契約を結ぶ
  2. 指定事業者が施主に必要な申請書類について説明
  3. 指定事業者が関係者と調整(利害関係者の承諾書の作成)
  4. 指定事業者が申請に必要な書類や設計図面を作成
  5. 指定事業者が給水工事課などの自治体窓口に申請
  6. 自治体による設計審査
  7. 自治体が手数料の納付書を発行
  8. 施主が手数料を納付
  9. 自治体による工事承認
  10. 自治体による道路占用許可申請手続き
  11. 道路管理者や所轄警察署による審査
  12. 自治体が道路占用許可書受領し指定事業者へ許可の連絡
  13. 指定事業者が道路使用許可申請を所轄警察署へ申請
  14. 所轄警察署による審査
  15. 指定事業者による材料検査
  16. 指定事業者が自治体に対して分岐工事立ち会い予約(道路使用許可書写し、使用材料適合証明書写しの提出)
  17. 着工

給水管の口径を変更する場合には、8の納付の際に従来の給水加入金との差額を支払う必要があります。また、道路工事の必要がない場合には、10~14は不要です。

施主側が行うこと

改造工事でも施主が行うことは新設工事と変わりません。

  • 指定事業者の選びと契約
  • 手数料を納付(必要に応じて給水加入金の差額も納付)

基本的には業者に委任する形で進めていきますので、指定事業者の選定と設計審査などの手数料納付を行うだけで済みます。一部の申請書類に記入する必要がありますが、それらも業者の指示に従って行ってください。

撤去工事の申請の流れ

水道工事

配水管の分岐から全ての給水管や給水用具を取り除く撤去工事は、新設や改造とは必要になる書類に違いがあります。それらも含めて全体の流れを見ていきましょう。

申請で必要になる書類

撤去工事の申請で必要な書類は下記になります。

  • 給水装置撤去工事申込書
  • 給水装置撤去工事施工申請書
  • 位置図
  • 建築確認済証
  • 利害関係者の承諾書
  • 道路工事施行承認書
  • 道路占用許可申請書
  • 道路使用許可申請書(付近の見取図も含む)

撤去工事の場合には、設計図面など設計に関する書類が不要になります。ただし、道路工事が発生しますので、道路に関する申請は必須となります。

申請の大まかな流れ

撤去工事を行うときの見積依頼から申請の大まかな流れは、次のようになります。

  1. 施主が指定事業者を選定・請負契約を結ぶ
  2. 指定事業者が施主に必要な申請書類について説明
  3. 指定事業者が関係者と調整(利害関係者の承諾書の作成)
  4. 指定事業者が申請に必要な書類を作成
  5. 指定事業者が給水工事課などの自治体窓口に申請
  6. 自治体による設計審査
  7. 自治体が手数料の納付書を発行
  8. 施主が手数料を納付
  9. 自治体による工事承認
  10. 自治体による道路占用許可申請手続き
  11. 道路管理者や所轄警察署による審査
  12. 自治体が道路占用許可書受領し指定事業者へ許可の連絡
  13. 指定事業者が道路使用許可申請を所轄警察署へ申請
  14. 所轄警察署による審査
  15. 指定事業者による材料検査
  16. 指定事業者が自治体に対して分岐工事立ち会い予約(道路使用許可書写しの提出)
  17. 着工

基本的な流れは新設と同じですが、新規で設置されるものがありませんので、設計審査の時間が短くなります。

施主側が行うこと

撤去工事の場合も指定事業者を選定すれば、手数料の納付以外はすべて指定事業者に委任することになります。

  • 指定事業者の選びと契約
  • 手数料を納付

自治体によっては手数料が不要なこともありますので、その場合には業者選定後に施主としてすべきことはほぼありません。必要に応じて申請書類への署名や記入を行ってください。

修繕工事の申請の流れ

水道工事

パッキンやコマの交換のような軽微な修繕工事を除き、修繕工事も原則として申請が必要になります。

申請で必要になる書類

修繕工事は水道メーターから**上流(道路側)を工事するのか、下流(建物側)を工事するかで必要となる書類に違いがあります。上流は自治体が工事を行いますので、申請そのものが不要です。下流の工事申請で必要な書類は下記になります。

  • 給水装置修繕工事申込書
  • 給水装置修繕工事施工申請書
  • 給水装置工事設計審査申請書
  • 工事用材料検査申請書
  • 位置図
  • 修繕工事施工図
  • 建築確認済証

修繕工事では道路工事に関する申請は必要ありません。ただし、使用者が原因で道路に埋まっている配管の修繕が必要と判断された場合など、一次側も使用者が修繕することになりますので、状況によっては道路工事に関する届け出も必要になります。

また、緊急性が高く、給水装置の原形を変えない範囲の小規模な修繕工事に関しては、事後の申請や、申請不要で修繕工事完了報告書の提出のみとなることがあります。

申請の大まかな流れ

修繕工事を行うときの見積依頼から申請の大まかな流れは、次のようになります。

  1. 施主が指定事業者を選定・請負契約を結ぶ
  2. 指定事業者が施主に必要な申請書類について説明
  3. 指定事業者が関係者と調整(利害関係者の承諾書の作成)
  4. 指定事業者が申請に必要な書類や修繕工事施工図を作成
  5. 指定事業者が給水工事課などの自治体窓口に申請
  6. 自治体による設計審査
  7. 自治体が手数料の納付書を発行
  8. 施主が手数料を納付
  9. 自治体による工事承認
  10. 指定事業者による材料検査
  11. 指定事業者が自治体に対して分岐工事立ち会い予約(使用材料適合証明書写しの提出)
  12. 着工

修繕工事であっても、きちんと手順を踏んで工事を行う必要があります。ただし、水道メーターより上流側の工事は自治体が行いますので、これらの申請は不要です。また、事前の申請が不要なケースでは、指定事業者に依頼後そのまま着工となります。

水道メーターの上流に水漏れや給水管の老朽化などの問題が発生した場合は、水道局のお客様受付センターに連絡してください。その際、利用者側で業者に依頼する必要はなく、水道局で工事を進めてもらえます。

施主側が行うこと

修繕工事の場合には、状況によって施主が行うことは違います。

  • 水道メーターから上流の修繕が必要な場合は水道局に連絡
  • 水道メーターよりも下流で修繕が必要な場合は、指定事業者の選びと契約
  • 手数料の納付

地域によっては手数料が発生しないこともあります。さらに、申請の流れや書類について明記していない自治体が多く、自治体ごとに施主が行うことが違います。工事を行う前に、自治体に問い合わせをするか、指定事業者に確認しておきましょう。

水道工事を申請する際の注意点

水道工事

水道工事の申請は指定事業者が行いますので、基本的には施主としてするべきことはありません。ただし、業者の選定も含めて、工事を行う上で注意しておくべき注意点が2つありますので、それぞれの注意点についてご紹介します。

水道局は業者の良し悪しまでは関与していない

まず、注意しなくてはいけないのが業者選びです。水道工事は自治体の指定事業者に依頼しなくてはいけませんが、指定事業者だからといって、必ずしも優良な業者であるとは限りません。指定事業者になるための条件は下記のようになっており、それほどハードルが高くありません。

  • 給水装置工事主任技術者が在籍している
  • 必要な機械器具を有している

この条件を満たしていれば、基本的にはどの業者でも指定事業者になれますので、中には経験値が浅く、ほとんど実績のない業者も含まれています。また、工事費用は自治体が決めているのではなく、施主と業者の間で決める必要があるため、相場よりも高い値段を提示されることもあります。

確かな技術があり、適正な価格で工事をしてもらうためには、1社にだけ見積依頼をするのではなく、複数の業者に見積依頼を行ってください。そのときに、値段だけで決めるのではなく、対応のよさや工事実績など信頼できると感じた業者に依頼してください。

申請の許可がおりるまで時間がかかる

実際に工事の申請をする上で注意をしたいのは、申請の許可に時間がかかるという点です。すでにお伝えしましたように、道路工事が必要になる水道工事は、県道や国道の占用許可に1ヶ月以上かかることがあるため、新築の場合は、家が建ったのに水道が間に合わないケースもあります。

自治体での設計審査なども新設の場合には時間がかかりますし、手数料の納付が遅れるとそれだけ許可が下りるのに時間がかかります。水道工事を行う場合は、すぐに着工できないことも考えて、できるだけ早めに申請できるように業者選定を行ってください。また、業者に委託したあとも定期的に進捗を聞き、申請が遅れていないかを確認しておきましょう。

まとめ

水道工事はパッキンやコマの交換といった軽微なものや、緊急性の高いトラブルを除いて、基本的にはすべて申請をした上で工事を行う必要があります。申請のほとんどは業者が代行してくれますので、自分で行うことはほとんどありません。

とはいえ、業者選びが遅れたり、業者が申請をしていなかったりすると、予定していた時期に工事を行えないということもあります。道路工事を伴う水道工事は、許可が下りるのに1ヶ月以上かかることもありますので、スケジュール的に余裕を持って動くことが大切です。

また、水道工事が可能なのは自治体が指定した業者のみです。指定されていない業者が工事を行った場合には罰金の支払いや、水道を止められることもあります。必ず地域の指定給水装置工事事業者に依頼してください。ただし、指定された業者が必ずしも優良な業者とは限りませんので、選定をする場合には複数の業者に見積依頼しましょう。

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監修者:

渡邊 一伸(ナベさん)

大工歴35年。大手ハウスメーカーで2年間現場監督に従事。3000棟以上のリフォーム・住宅修理の工事管理の実績をもつ。阪神淡路大震災においては1年間復興財団に奔走。その後、独立し、会社を10年経営。2016年に1月に株式会社ローカルワークスに入社。