2022年10月31日

FRP浴槽の補修にかかる費用相場とポイントもご紹介

浴槽の素材としてよく使われているFRPは、防水性や保温性が高くて丈夫といわれています。 ただし、ステンレスや人造大理石のお風呂と違い、長く使っているとひび割れが発生したり、汚れが目立つようになってきます。 この記事では、FRP浴槽の補修方法や費用相場などをご紹介していきます。

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FRP浴槽が劣化する原因とは

FRP浴槽

FRP(繊維強化プラスチック)浴槽は、表面に特殊な塗装を施してあります。 そのため、FRPの劣化は「塗装部分の劣化」と言い換えることができます。 まずはじめに、劣化する原因について見ていきましょう。

FRP浴槽の耐用年数(寿命)

FRPで作られた浴槽にも当然寿命はあり、一般的には10~20年で寿命を迎えます。 寿命を過ぎても利用可能ですが、よく見ると小さなクラックがいくつも入っていることがあります。

FRPの浴槽は塗装されていますので、クラックが発生していてもすぐに問題になるわけではありませんが、塗装自体にも寿命がありますので、そのまま放置すると水漏れを起こすことがあります。

思ったよりも寿命が短いと感じたかもしれませんが、FRPの魅力は補修することができるという点です。 あまりにもダメージが大きい場合には、流石に直すことができませんが、多少のクラックであれば補修することで再び使用できます。 補修方法については後ほど詳しく説明します。

膨張の繰り返しで浴槽の樹脂が弱くなる

FRPは樹脂ですので、温かいお湯を浴槽に張ると「膨張」します。 お湯が抜ければ元の形に戻りますが、お風呂を使う度に膨張と収縮を繰り返すことになります。

毎日お風呂を利用する方であれば、1年で365回、20年では7300回です。 いくら強度のあるFRPであっても、多くの膨張を繰り返すと強度が落ちてしまいます。

また、浴槽に人が入ることでそれだけの荷重がかかります。 お湯の重さも合わせると100kg以上の重さがかかることになるわけです。 強化しているとはいえ樹脂ですので、これらに耐えきれなくなって、クラックが入ったり欠けたりするのです。

劣化しているように見えて問題ないこともある

劣化の原因は塗装にもあります。 塗装も施したばかりはコーティングされ、汚れが付着しにくいように施工されていますが、長く使っているとコーティング効果が弱まっていき、次第に汚れが落ちにくくなります。

ただし、見た目が悪くなってくると浴槽が劣化したように思えますが、実は単純に表面の塗装だけが劣化していて、FRPの部分はまったく問題がないということがよくあります。 この場合には、塗装をし直すだけで新品同様の状態に戻ります。

FRP浴槽の劣化の種類

FRP浴槽

劣化の種類は以下のとおりです。

・ヒビ(クラック)
・割れ
・穴あき
・ふくれ
・変色

FRP浴槽には上記のような劣化が見られます。最もよく見られるのがヒビ変色です。ヒビは上でも説明しましたように、浴槽が何度も膨張を繰り返すことで発生します。 浴槽のヒビを放置しておくと、割れや穴あきに繋がります。

ヒビが入るだけで浴槽の強度は落ちてしまいます。そんな状態のところに、上からシャンプーのボトルなどを落としてしまうと、その部分が割れたり、大きな穴が開いたりします。 これを防ぐためにも、ヒビの段階での補修がとても有効です。

また、日常使いではあまり気づかないのが、「ふくれ」です。 浴槽が劣化すると、お湯を張って膨張するとその状態から元に戻らなくなることがあります。 最初はちょっとしたふくれだったのに、最終的には目で見て分かるくらいのふくれになることもあります。

変色については、すでにお伝えしましたように、塗装の劣化によって起こるものです。 もちろん、こちらも劣化には違いありませんので、できるだけ早いタイミングで補修することをおすすめします。

FRP浴槽が劣化したときの補修方法

FRP浴槽

家の外壁などにヒビが入ったときには、そこをパテなどで埋めてしまうのが一般的ですが、浴槽の場合には使用するときにまた膨張をしますのでパテで埋めただけではヒビが再発してしまいます。 このため、FRP浴槽を補修するときは、ライニング工法とよばれる方法で補修します。

  1. ヒビが発生している箇所の上からFRPシートを当てる
  2. 不飽和ポリ 樹脂を塗りこんでFRPシートと同化乾燥させる
  3. 表面のサンディング(研磨)を行う
  4. パテを充填して表面をフラットに仕上げる
  5. 塗料を吹き付けて塗装

ライニング工法は上記の手順で補修します。 既存の浴槽に対して、新しい層を上から重ねるイメージしてもらうと分かりやすいと思います。 非常に薄い層ですので、浴槽のサイズはほとんど変わりません。

大きく割れている場合は、FRPシートにコアマットと呼ばれるシートを何枚も重ねて補修できることがあります。 いずれにしても、補修をすることで新品同様の状態に戻すことができますが、実はかなり高い技術を求められる作業です。

このため、補修費用はどうしても高くなってしまいます。FRPの浴槽補修にどれくらいの費用が発生するのか、次章で詳しく見ていきましょう。

FRP浴槽を補修する場合にかかる費用

FRP浴槽

FRP浴槽の補修にかかる総額費用感

ひび割れ補修

4万円~10万円

浴槽全体の再塗装

10万円~20万円

FRP浴槽を補修する費用は、大きく分けて2種類あります。 ひとつはひび割れ補修にかかる補修で、ひび割れの大きさにもよりますが、小さなもので4万円以上かかります。 この方法で直すときには、部分的な補修しか行いませんので、どうしても補修部分が目立ってしまいます。

もし、きれいに仕上げたいというのであれば、ひび割れ補修だけでなく、浴槽全体を再塗装します。 この再塗装は面積が広くなるため、10万円程度の費用がかかります。 補修と塗装の両方を合わせると10万~20万円程度が相場になります。

ユニットバス全体を交換リフォームすると、100万円以上かかることもありますので、そのような方法と比べると安く抑えることができますが、少しまとまった金額は必要です。 浴槽は必ず劣化するものですので、リフォームに備えて積立をしておくのもよいでしょう。

また、予算に余裕がある方は浴室内全体の塗装も合わせて行ってください。 浴槽だけをリフォームしても、他の場所が汚れていたのでは浴槽だけ浮いてしまいます。

まとめてリフォームすれば、トータルコストも抑えることができますし、浴槽が劣化しているということは、他の場所も劣化している可能性が高いので、浴室全体のリフォームも合わせて相談することをおすすめします。

FRP浴槽はDIYでも補修できる?

FRP浴槽

リフォームの予算に余裕がない場合など、業者に依頼するのではなくDIYで補修しようと考える方がいらっしゃると思います。 DIYならば工事費用が不要ですし、自分の好きなタイミングで補修できます。DIY慣れしている方なら自分でやってみたくなりますよね。

結論からいいますと、「できないわけではないが、業者に依頼するほうが確実」です。
実際にDIYで塗装したという方もいますが、ホームセンターで売られている塗料では、1年も経過せずに劣化することがあります。

専用の塗料をネットショップなどで購入することもできますが、きれいに仕上げるのはある程度の経験と技術が必要です。 そのため、プロが仕上げたような肌触りにはなりません。 しかも、浴槽の下地づくりだけでも1日かかるなど作業に時間がかかります。

さらに、塗装は乾燥させて上塗りという作業が発生しますので、数日はお風呂を使えない状態になってしまいます。 雨が降ると乾燥が遅れるだけでなく、換気をきちんとしないと、塗料の成分により気分が悪くなることもあります。

FRP浴槽の補修は専用の塗料と専用の道具が必要ですし、劣化がひどくなってから業者に依頼すると、DIYで塗装した部分の剥離を行うため余計な費用が発生します。 状況次第ではありますが、FRP浴槽の補修は最初から専門業者に依頼するほうが確実に仕上げてもらえます。

FRP浴槽の補修を業者に依頼するときのポイント

FRP浴槽

業者に依頼する場合は気をつけなくてはいけないポイントが2つあります。

  • 浴槽の塗装は全ての業者ができるわけではない
  • アフターフォローがある業者にする

業者にFRP浴槽の補修を行ってもらう場合は、この2点を意識して業者に依頼してください。 そうはいっても、どのように意識すればいいのか分からないかと思いますので、それぞれのポイントについて、詳しく説明しておきます。

浴槽の塗装は全ての業者ができるわけではない

お風呂のリフォームを手がけている業者であれば、どこの会社でもFRP浴槽の補修ができると思われがちですが、浴室の塗装を上手く行うだけでも、高い技術と経験が求められます。 下手な業者が行うと、2年もしないうちに塗装が剥がれてしまいます。

さらに、FRPライニングをするとなると、また別のノウハウが必要になります。 このため、FRP浴槽の補修が完璧に行える業者というのは限られてしまいます。 見積金額だけで選ばずに、確かな技術を持っていることを確認しましょう。

  • 5~6年以上の実績がある
  • コンプレッサ(スプレーガン)を使って施工する

技術があるかないかは、この2点で判断できます。 5~6年の実績があるということは、過去に施工した際にトラブルがほとんど発生していないという証でもあります。 もしも腕の悪い業者であれば、2~3年経過したところでクレームが多発し、最終的に業界から撤退することになります。

また、刷毛やローラーで作業する業者もいるようですが、これはコンプレッサを使う技術がないためと考えてください。 もちろん刷毛やローラーでも塗装は可能ですが、コンプレッサを使ってスプレーで塗装した場合とは肌触りがまったく違います。

その他にも、安値をアピールしてくる業者に、ついつい依頼したくなりますが、1,2年で塗装が剥がれてしまうともう一度依頼をすることになります。 技術力があり信頼できる業者に依頼したほうが結果的に費用を抑えられます。

アフターフォローがある業者にする

浴槽の塗装は技術が高い業者が行っても、既存の塗装との相性によって剥がれが発生することもあります。 このため、通常は2年程度の保証期間を設けてあります。 ところが業者によっては、この保証期間がない場合があります。

アフターフォローがないと、施工後にトラブルが発生しても無料で補修を行ってくれません。連絡してもまったく相手にしてくれない業者もあります。 このような業者は見積金額が異常に安いケースにありがちです。

依頼する前に、どれくらいの保証期間があるのかを確認してください。 業者によって保証期間にバラツキがありますが、保証期間を設けるというのは失敗しないという自信の表れでもあります。 必ず十分な保証期間のある業者に依頼して補修してもらいましょう。

まとめ

FRP浴槽

軽量で保温性にも優れていることから、ユニットバスで採用されることの多いFRP浴槽ですが、10~20年ほど使っていると、熱による膨張によってどうしても劣化してしまいます。 しかし、劣化してもライニングなどの補修を行うことで、長く使い続けることができます。

部分的な補修であれば10万円以下、全体の塗装を行って新品同様の状態にしても20万円以内で補修ができます。 ユニットバスを新しいものに交換するよりも、低予算でピカピカな浴槽を取り戻せますので、予算が限られているという人は補修がおすすめです。

ただし、ライニングも塗装も高い技術が求められますので、DIYでの作業はおすすめできません。また、業者選びも慎重に行う必要があります。 補修費用が安いからといって、技術力の低い業者に依頼すると、2年もしなうちにまた劣化してしまいますので、金額では選ばずに確かな技術をもった業者に補修依頼しましょう。

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監修者:

渡邊 一伸(ナベさん)

大工歴35年。大手ハウスメーカーで2年間現場監督に従事。3000棟以上のリフォーム・住宅修理の工事管理の実績をもつ。阪神淡路大震災においては1年間復興財団に奔走。その後、独立し、会社を10年経営。2016年に1月に株式会社ローカルワークスに入社。