バリアフリー・介護リフォームを行ったときの費用相場は?
以下の表は、バリアフリーや介護リフォームを行ったときの費用になります。工事費用はご家庭の状況によって大きく変わってきますので、あくまで目安としてお考えください。
バリアフリー・介護リフォームの費用例
段差をスロープへ変更(玄関前手すり付き)
¥400,000 ~
手すりの取付け(1本単位)
¥30,000 ~
階段滑り止めの設置(約1m)
¥5,000 ~
開き戸から引き戸へ変更(住宅内間仕切り)
¥50,000 ~
廊下の幅を変更(850mm以上へ)
¥1,000,000 ~
ユニットバスの全面交換(同規格の場合)
¥500,000 ~
洗面台の全面交換(車椅子対応)
¥400,000 ~
トイレの全面交換(押入れを利用)
¥500,000 ~
バリアフリー・介護リフォームとは
バリアフリー・介護リフォームの費用をご紹介しましたが、リフォームするには介護の基本的な考え方や、バリアフリーと混同されやすい「ユニバーサルデザイン」について知っておくことが大切です。
ユニバーサルデザインとは
ユニバーサルデザインとは、年齢、性別、文化、言語などの違いがあっても、誰もが公平に利用できる商品、設備、システムのことを指します。
介護を必要とされる方のために行うバリアフリーに対し、ユニバーサルデザインは、個人差に関係なく誰もが使いやすいよう設計することですので、バリアフリーとは考え方と対象者が異なります。
男性、女性、障害をお持ちの方もそうでない方も、国籍も関係なく多くの方がにとって使いやすい形状を目指し設計されますので、リフォームというよりははじめの設計の時点でのデザインを指す言葉として使われます。
介護とは
介護は、高齢、疾病、疾患、障がいなど、ひとりで日常生活をこなすことが難しい方の生活の自立を目的とし、援助や補助をすることを指します。
まずは要介護認定を受け、介護保険を申請しましょう。要介護認定を受けることで、どの程度の支援、または介護が必要となるのかの確認ができ、その度合いに応じて受けられるサービスや負担費用が明確になります。
以前の介護リフォームは、介護が必要になってから対策を始めるという考えが一般的でしたが、最近では介護が必要になった場合を想定して対策をしておく、というご家庭が増えています。
バリアフリーとは
バリアフリーとは、障がいをお持ちの方や身体機能が低下したお年寄りなど、介護を必要とされる方にとって、日常生活動作を行う上で障壁となる設備やシステムを”後から取り払う”ことです。
段差を緩やかなスロープに変えたり、安全に住宅の階段を歩行できるように手すりを取付ける、などが挙げられ、バリアフリーは問題のある所を改修して改善していく、という考え方になります。
バリアフリー・介護リフォームを導入するポイント
ここからは、バリアフリー・介護リフォームをする際のポイントをご紹介します。導入はいつから考えるべきなのか、導入のタイミングについて解説していきます。
導入するタイミングの見極めることが大切
バリアフリー・介護リフォームを導入するタイミングとしては、どんなタイミングで検討するべきなのでしょうか。
ご家族に介護が必要なったとき
バリアフリーリフォームでもっとも多いケースは、ご家族に介護が必要となった際に導入です。
ケガや病気が原因で介護が必要になる、というのは分かりやすいタイミングですが、高齢者の方がご家族にいらっしゃる場合は随所に気を配らなくてはいけません。
高齢者の方は少しずつ身体能力が低下してくるため、小さな段差が障害となったり、浴室などで転倒してしまうことがあります。小さな転倒でも骨折しやすく、転倒が原因で車椅子生活になってしまったり、最悪の場合寝たきりになってしまう方もいます。
大きな事故にしないためにも、転倒が懸念されるような危険な部分は、前もって対策をしておく必要があります。
段差や滑りやすいところは危険ですので、手すりなどを設け体を支えやすい器具を廊下やお風呂場などに設置します。
ご自身・ご家族の将来を考えたとき
次に多いケースが、ご自身またはご家族の近い将来を考えて、前もって導入しておく場合です。
今は日常生活に支障がなくとも、将来を見据えバリアフリー・介護リフォームを導入しておくことで、実際に必要になったときも焦らずに対処できます。
バリアフリー・介護リフォームは、大規模な工事になることもあるため、一時的に引っ越しを行う必要が出てくることもあります。ご家族やご自身が介護が必要になってからリフォームする場合、介護生活を仮住まいでも行うことになります。
介護される側はもちろん、介護する側にも大きな負担となり得ますので、前もって検討しておくことで、このような事態は避けることができます。
そうはいっても、どの程度まで対策をしておくか、どんな設備が必要になるかの把握が難しいため、慎重に検討しましょう。あまりにも早いタイミングで検討してしまうと、いらない設備を取り付けてしまうこともありますので注意が必要です。
バリアフリー・介護リフォームの工事内容
バリアフリー・介護リフォームといっても、様々な工事があります。ここでは、工事項目別に具体的な内容を説明していきます。
段差をスロープへ変更
段差は足腰の弱い方にとって障壁となりやすい要素です。
わずかな段差であっても足が上がりきらずにつまずいてしまったり、段差がきつい階段の上り下りで足腰の大きな負担となるだけでなく、万が一転んでしまうと大怪我につながります。
戸建て住宅では、玄関に高低差があることが多く、外出の度に危険が伴うと外出自体が億劫になってしまいます。段差の場合は、敷居を低くして段差を撤去するか、スロープを設けます。段差がないと足腰の弱い方の負担が減ると共に、車いすの方も楽に上り下りができます。
スロープを設ける際は、勾配にも気をつけましょう。スロープの勾配が急だと、降りる際にスピードが出やすく、転倒のリスクを高める可能性があります。段差の高さにもよりますが、距離をとって緩やかにしなくてはなりません。
適切なスロープの勾配は10度といわれていますが、自走の場合は5度程度が適切です。
手すりを取付ける
手すりの取付けは、転倒防止のための基本的なリフォームとなります。
足元が少し危うい方であっても、手すりがあると一人でも安心して歩行ができるため、自立した生活を助けることにもなります。手軽に行えるリフォームでながら、リスク軽減に効果が期待できます。
2000年6月に改訂された建築基準法では、住宅の階段に手すりを取付けることが義務付けられていますが、2000年以前の住宅では取付けの義務がないため、築年数の古い住宅では取付けられていないことがあります。
手すりは階段や廊下だけでなく、浴室やトイレなど、立ったり座ったりする場所でも活躍します。
手すりの形状も非常に多様化しており、従来の一直線のものや、縦と横に伸びたL字型、壁に穴を開ける必要がない据置型、必要ない時は収納できる跳ね上げ型などが販売されています。
手すりは体を支えるためのものですので、設置はしっかり行ってください。体重を預けると外れてしまうのでは、かえって転倒のリスクを高めてしまいます。また、手すりがあっても高さが体と合っていないと、体を支えるために十分な機能を果たしません。手すりを使う人の使いやすさと高さを考えて、確実に設置しましょう。
開き戸から引き戸へ変更
開き戸は気密性が高く、遮音・防音・遮熱・断熱などの効果があるため、多くの住宅では一般的に開き戸が用いられています。しかし、バリアフリーの観点から見ると、開閉に大きな動きが必要となるため、引き戸へ変更するのがよいでしょう。
開き戸の玄関は、防犯性や気密性が重要となるため、特に重く頑丈に設計されています。力の弱い方では重い扉の開閉が難しく、車椅子を使用される方にとっても、扉を押さえながら片手で車椅子を操作しなくてなりませんし、手前に引く扉では開けることすら困難になります。
一方、引き戸へ変更すると、開閉に大きな力が必要なくなると共に、車いすを使用なさる方でも出入りが簡単になります。ただし、引き戸は扉を固定するためのサッシが、下部にあることがあります。このサッシの僅かな段差につまずく方もいらっしゃいますし、車椅子の出入りにも支障をきたす場合があります。
ただ引き戸にするだけではなく、バリアフリーに対応した吊戸式の引き戸にするのがおすすめです。吊戸式の引き戸は下部にサッシを設けず、上部で固定しているので段差を作りません。
廊下の幅を変更
ほとんどの一般住宅では、廊下の幅は人ひとり通れる程度の広さで設計されていますが、車椅子を使用される方がいる場合、廊下が狭いとすれ違うことができない、または車椅子自体が通れないことがあります。
廊下の幅を変更する際は、廊下に角がある場合や、室内に入るときに曲がることを加味し、車椅子の内輪差まで考慮した幅を確保することが重要です。車椅子は、車輪が巻き込まれないようやや大きめに曲がる必要がありますので、問題なく角を曲がれるよう最低でも85mm、できれば90mm以上余裕を持った幅で考えてください。
廊下の幅を変更するには、壁や柱の移動が発生したり、他の部屋の広さを狭くするなどの大掛かりなリフォームを行うことになります。さらに、住宅の構造上、家の耐久性に関わる壁や柱の撤去や移動はできません。廊下幅の変更は、リフォーム業者の専門的な視点で問題ないかの判断を仰ぐようにしましょう。
浴室の全面交換
体が不自由であっても入浴はできるだけ自分でしたいものでもあります。
しかしながら、浴室は家庭内の中で最も高齢者の事故が起こりやすい部分ですので、安全に入浴できるよう様々な点で工夫が必要です。
浴室は蒸気による湿気、石鹸カスやぬめり、お湯が床に広がることで、足を取られやすく転倒の危険性が非常に高い場所といえます。
手すりを慌てて掴んだとしても、手にせっけんが残っていれば手元も滑りやすく、頭を強く打ってしまったり、浴槽にお湯が張ってある中で転倒すれば溺れてしまう危険性もあります。
介助がより安全に補助するためにも、浴室の全面的な交換がおすすめです。部分的に対策をすると、項目が多い分非常に高額になってしまいます。
また、浴室のリフォームは在来浴室よりも、安全面を考慮して造られているユニットバスに交換してしまった方が、業者の手間も減るため費用が安くなり、結果的により高い安全性が期待できます。
バリアフリーリフォームは介護保険制度を利用しよう!
バリアフリー・介護リフォームは必要な施工が多くなりますが、大掛かりな工事になるものも多く、費用面はどうしてもかかるものです。
費用面を気にするあまり、必要な施工を省いてしまえば大事故に繋がりかねませんし、命にもかかわります。日本ではそんなバリアフリー・介護リフォームの出費をサポートする、介護保険制度や助成金制度があります。
介護保険制度とは
「介護保険制度」とは、40歳以上の方が加入する義務を持つ制度です。その保険料を元に、各市区町村が介護保険サービスを運営しています。
介護保険制度を利用することができるのは、介護保険制度に加入している方(40歳以上の方)、「要支援」・「要介護認定」を受けている必要があります。条件に当てはまっているかどうかは、各自治体へ必要書類を提出し、訪問調査などの審査を経て判断されます。
介護保険制度を利用するには?
介護保険制度を利用すると、1割自己負担でリフォームを受けることができ、最大工事費用が20万円まで補助を受けることができます。
工事費が20万(支払額18万)になるまでは何度でも利用可能ですが、工事内容が支給対象項目に当てはまるリフォームであることなど、細かな条件が定められています。
介護保険制度の補助金受給の対象者、対象工事、給付の手順を以下にまとめましたので、参考になさってください。
- 受給対象者
- 要介護認定で「要支援」・「要介護」と認定されている
- 改修対象住宅の住所が被保険者証の住所と同一で、実際に本人が居住している
- 助成額の限度は工事費用最高20万円(支給額18万円)
- 給付対象工事
- 手すりの取り付け
- 床段差の解消
- 滑りの防止、移動の円滑化等のための床または通路面の材料の変更
- 引き戸等への扉の取替え
- 洋式便器等への便器の取替え
- その他上記の住宅改修に付帯して必要となる住宅改修
- 給付の手順
- 市区町村に申し出て、要支援、要介護(1~5)の認定を受ける。
- 工事の際には一旦、施工会社に工事費を全額支払う。
- 領収書・工事費の内訳・改修完了確認証(施工前と後の写真付き)など必要書類を揃え、各市町村へ介護保険の給付申請を行う。
介護保険制度は介護報酬が3年に一度、制度自体が5年に一度見直しが行われています。
補助金給付額や計算方法は、見直しの際に改訂されることがありますので、最新情報については事前に介護支援専門員(ケアマネジャー)などに確認しておきましょう。
また、介護保険制度以外にも、各自治体などで、「高齢者住宅改修費支援制度」や「障害者住宅改造費助成制度」が用意されていることもあります。助成額がそれぞれ異なるので、一度自治体の相談窓口に相談してみることをおすすめします。
まとめ
バリアフリー・介護リフォームは、介護する側にもされる側にも安全で快適な空間へと作り変えることが重要ではありますが、介護を必要とされる方が自立した生活を送れるよう支援する手段のひとつでもあります。
導入するタイミングや施工の見極めは難しい部分ではありますが、ご家族状況に合わせて考えていきましょう。実際にリフォームを行うとなると非常に高額な費用が必要になりますので、「介護保険制度」や「各自治体の補助金制度」など、利用できる制度は上手に活用するのがおすすめです。
システムキッチンのバリアフリーを考えている方は以下の記事を参考になさってください。
お風呂のリフォームを検討している方は以下の記事に詳しく記載されています。
いかがでしたでしょうか。なるべく費用を抑えてリフォームをしたい方へお知らせです。リフォマは中間業者を介さずに、ご要望に合う専門業者を直接ご紹介します。中間マージンが上乗せされないため、管理会社や営業会社などより安く費用を抑えることができます。下記のボタンからお気軽にご相談ください!
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