2022年9月15日

【2022年度】HEMS(ヘムス)は補助金制度が利用できる! 自治体ごとに紹介

省エネや優良住宅を目指す上で重要になるHEMS(ヘムス)では、国や自治体の補助金制度を利用することができます。導入するには初期費用がかかるため、できるだけ費用を抑えたいですよね。この記事では、HEMSの概要や目安価格、メーカーごとの特徴比較と併せて、HEMSの補助金制度について詳しく解説します。

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HEMS(ヘムス)とは

出典:Panasonic

近年、省エネや優良住宅を目指す住宅のための補助金制度や助成金制度が充実する中で、HEMSという言葉を目にする機会が増えています。知っている方もいるかもしれませんが、まずはHEMSの概要について見ていきましょう。


出典:Panasonic

「HEMS(ヘムス)」とは、Home Energy Management System(ホーム・ エネルギー・マネジメント・システム)の略です。

使用する電気やガスの使用状況をリアルタイムに管理することで、**節電はもちろん、CO2削減など温暖化対策も見込めるようです。

例えば、スマートフォンの画面で電力使用状況を確認できるだけでなく、外出先からエアコンの電源を切ったり、逆に電源を入れたりすることが可能で、政府は2030年までに全世帯がHEMSを導入することを目指すと明言しています。

この記事では、次世代住宅を実現するHEMSで可能なことや、補助金制度について詳しく解説していきます。

HEMSを導入するメリット

まずは、HEMSを導入するメリットについて見ていきましょう。
HEMS導入のメリットは、大きく分けて次の2つです。

  • エネルギーを見える化できる
  • エネルギーを一元管理できる

エネルギーを見える化できる

出典:Panasonic

HEMSを導入することで、家電ごとの電力消費量を把握できます。
例えば、電気代が普段より高くなってしまったとき、どの家電が多く電力を消費しているのかが一目瞭然になります

また、家全体の使用電力量が設定した目標値を超えると、エアコンや床暖房が自動でコントロールされるといったことも可能です。
HEMSを使用することで、今まで気づかなかった無駄を電力を削減でき、効率的な節電につながるかもしれません。

エネルギーを一括管理できる

出典:Panasonic

HEMSを導入することで得られるメリットの2つ目は、家電を一括管理できる点です。

例えば、HEMS対応のスマートフォンアプリを利用することで、外出先から家の鍵を開けたり、電動の窓シャッターを閉めたりといった操作もできるようになるでしょう。
また、家にペットや高齢の方がいる場合は、外出先からエアコンの温度調整ができるなど、見守りの観点からもニーズが高まっているようです。

HEMSを導入した際に発生するデメリット

近未来の住宅を実現できそうなHEMSですが、一方でデメリットもあります。

HEMS導入のコストを回収できるとは限らない

HEMSの導入には、5万〜20万円ほど費用がかかります。
家電ごとの電力使用量を測るための専用ブレーカー(分電盤)や、情報を受信するルーターなどの設置工事が必要になり、ブレーカーに関しては、コンセント部分に計器を取り付ける方法もありますが、工事方法はメーカーによって異なります。

以下は、PanasonicのHEMS、AiSEG2を既存住宅に設置する際の概算費用です。

HEMS導入概算

エコーネットライト対応計測ユニット

69,800円

AiSEG2

80,000円

計測回路増設アダプタ用分岐増設CTセット

30,000円

計測ユニット用電源ブレーカ

2,850円

総額

182,650円(税抜)

出典:Panasonic

あくまで概算の費用ではありますが、月々約3000円、年間で約4万円の節約ができたとしても、初期費用の回収には4年以上かかることになります。
もちろん利便性を思えばHEMSを設置する価値は十分ありますが、HEMSの導入で受けられる恩恵と設置費用のバランスは慎重に考えたほうが良いでしょう。

HEMS対応の家電を用意する必要がある

HEMSと家にある電化製品を接続したい場合は、経済産業省 が推奨する「ECHONET Lite」という規格に対応しているものでなければいけません。
HEMSの推進によって対応家電は今後増えていくことが予想されますが、既存の製品では対応できないものが多く、HEMS導入と同時に家電製品の買い替えが必要になるかもしれません。

HEMS導入への補助金は?

HEMSは、国が推進するスマートハウス化の事業に沿っているため、経済効果や環境保護の観点からこれまで何度か補助金が実施されてきました。
HEMSの補助金制度は、国が実施する補助金と、地方自治体が個別に実施するものの2つがあります。

2022年度に国が実施するHEMS補助金について

HEMSの補助金事業は、一般社団法人環境共創イニシアチブが請け負っており、平成23年平成25年にそれぞれ実施しています。

しかし、平成31年度(2019年)、令和2年(2020年)ともに、国が実施するHEMSの補助金制度は5月現在も発表されていないため、実施は見送りになったと考えてよいでしょう。しかし、2030年までに全世帯へHEMSの設置を目指すという政府の方針を踏まえると、補助金制度が再開される可能性は高いかもしれません。

地方自治体が実施している補助金

続いて、主要都市(東京都、神奈川県、埼玉県、愛知県、大阪府、福岡県)の自治体が実施している補助金制度について紹介します。

補助額は自治体によって様々で、太陽光発電と組み合わせると助成額が多くなるものもありますので、内容を確認してから申請しましょう。

また、新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、郵送で申請を受け付けている場合は積極的に活用していくといいかもしれませんね。

東京都

神奈川県

  • 相模原市
    期間:①2020/9/1~2020/9/30
       ②2021/2/15~2021/3/15
    金額:奨励金 3万円
    備考:太陽光発電システムに加え、家庭用燃料電池システム又は定置用リチウムイオン蓄電池を設置し、かつHEMSを設置した方に奨励金を交付する
    URL:http://www.city.sagamihara.kanagawa.jp/kurashi/kankyo/hojyo/1008083.html
    TEL:042-769-8240(環境政策課)

  • 海老名市
    期間:2020/4/1~2021/2/26
    金額:1設備につき1万円(補助事業費が2万円未満の場合は補助事業費の半額)
    備考:スマートハウス加算として、太陽光発電施設とHEMSの導入以外に、定置用リチウムイオン蓄電池、又はエネファームの3設備を同時に設置した場合は2万円を補助する
    URL:https://www.city.ebina.kanagawa.jp/guide/kurashi/hozen/1009701.html
    TEL: 046-235-4912(経済環境部 環境課 環境共生係)

埼玉県

愛知県

大阪府

福岡県

詳しい募集条件や申請方法などは、記事に記載されているホームページを確認するか、担当窓口まで問い合わせてください。

上記以外の自治体でもHEMSの補助制度は行われていますので、インターネットで「HEMS 補助金 自治体名」などと検索をかけると見つかるかもしれません。
また、補助金制度は工事着工前の申し込みが必須になっている場合が殆どですので、業者に見積書を出してもらった時点で申請するのがおすすめです。

HEMS補助金対象のメーカー

最後に、HEMS補助金の対象となっている一部のメーカーをご紹介します。
メーカーごとに価格帯は様々ですし、中には既にHEMSのクラウドサービスを終了しているもありますので注意しましょう。

Panasonic


出典:Panasonic

【商品名】AiSEG2(アイセグ2)
【メーカー希望小売価格】40,000円(モニター付き80,000円)(どちらも税抜)
【設置工事費】約20,000円~
【URL】https://www2.panasonic.biz/ls/densetsu/aiseg/aiseg2/
【特徴】 Panasonicが販売するAiSEG2は、単に電力使用量を把握するだけではなく、使用量の多いTOP3の算出や月末予想まで確認できるため、節約のための具体的な行動に繋げることができるでしょう。

さらに、専用のアプリを使えば、お湯張りや宅配ボックスなど様々な家の電化製品を一括管理できるようです。このため、PanasoniのHEMSは完全なスマートハウスを実現したい方におすすめです。

NTT東日本

出典:NTT東日本

【商品名】フレッツ・ミルエネ
【月額使用料】フレッツ光の利用料金+400円 フレッツ・ミルエネ対応機器(無線親機、分電盤計測器)をレンタルする場合
【初期登録料】新規でフレッツ光とフレッツ・ミルエネを申し込む場合1,000円
すでにフレッツ光をご利用中でフレッツ・ミルエネを申し込む場合2,000円
【設置工事費】自分で取り付けた場合無料
【URL】https://flets.com/eco/miruene/fee.html 【特徴】
NTT東日本のHEMSはレンタル代が月々400円で済むため、フレッツ光との併用による高いコストパフォーマンスが魅力です。

フレッツ光を契約すれば集合住宅、一軒家問わずにHEMSを利用できるでしょう。
フレッツ光との契約条件が必須なものの、費用を最小限に抑えてHEMSを導入したい方には最適なプランといえそうです。

シャープ


出典:シャープ

【商品名】JH-AG01
【メーカー希望小売価格】48,000円+税
【URL】https://jp.sharp/e_solution/hems/lineup/index.html
【特徴】シャープのクラウドHEMSの特徴としては、蓄積された実際の消費電力量をもとに、電力会社ごとの料金プランを自動で試算してくれる機能です。

家族や家電とつながるアプリ「ココロボ~ド」と連携し、「エアコンの設定温度を変えてみてね。」といった節電応援アドバイスとともに、楽しく節電に励むことができるでしょう。

まとめ

今回は「HEMS(ヘムス)」の概要から始まり、自治体が実施している補助金制度や各メーカの商品について解説しました。

HEMSを利用することで、自宅で利用している電化製品の電力消費量が分かるようになり、電力消費量が設定した目標値を超えた際など、自動で電力をコントロールしてくれる機能もあるため、電気を使いすぎないようになりそうですね。

さらに、スマートフォンと連動することで、外出先にいながらエアコンや床暖房を操作して、家の中を適度な温度に保つこともできるようです。このように便利なHEMSですが、導入には色々とコストがかかります。

ですので、この記事で紹介した自治体の補助金を活用して、初期費用を少しでも抑えて導入するといいでしょう。上記で紹介した以外にも「HEMS 補助金 自治体名」で検索をかけると、お住いの自治体で補助金制度を実施しているか確認できるかもしれません。

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監修者:

渡邊 一伸(ナベさん)

大工歴35年。大手ハウスメーカーで2年間現場監督に従事。3000棟以上のリフォーム・住宅修理の工事管理の実績をもつ。阪神淡路大震災においては1年間復興財団に奔走。その後、独立し、会社を10年経営。2016年に1月に株式会社ローカルワークスに入社。