寿司屋の内装デザインで失敗しないためのポイント
寿司屋をこれから開業する方や長年営業している方の中には、「うちは味で勝負するから内装なんて簡素でいい」という方もいらっしゃると思います。
お客様に出す料理は確かに重要です。年季の入った内装も、創業年数を感じられるので一概に悪いとは言えません。そうはいっても、洗練されたお洒落な内装にすることで女性の方が入店がしやすくなりますし、小上がりを作ってゆっくり寛いでもらうのも良いでしょう。
寿司屋と一言でいっても、お寿司以外の一品料理に力を入れているところや、高級感を全面に押し出しているところなど様々です。そのため、寿司屋の内装デザインで一番大切なのは、お店のこだわりに適した内装にすることといえます。
内装工事で失敗しないためには、どんな寿司屋にしたいのかを自分の中でイメージを固めておくことが大切です。しっかりとしたイメージがあれば、業者との打ち合わせもスムーズに進みますし、業者側も具体的な提案がしやすくなります。
寿司屋の厨房はオープンキッチンで造る
寿司屋といえば、お客様の目の前で職人がネタを握る光景が思い浮かぶのではないでしょうか。オープンキッチンは一般家庭でも取り入れられていて、周囲に壁がないのでリビングやダイニングにいる家族と、コミュニケーションを取りながら作業できるキッチンのことです。
寿司屋ではショーケースを挟んでお客様と向かい合いながら調理します。そのため、ホールと調理場が離れている飲食店と違い、お客様が直接調理をするところを見ることができるので、1つのショーのように楽しんでもらえます。
また、作るところを見れるということは、単純にエンターテインメント性を高めるだけではありません。調理法や器具の扱いなど、衛生面で問題ないかお客様自身が確認できるため、安心して食することができるというメリットもあります。
一方、調理する側の職人は手元が常にお客様の目に晒されるため、周囲の整理整頓だけでなく清潔感も見られます。お客様の視線を意識して調理するということは、多くのことに気を配らなくてはいけません。
寿司屋の内装で必要になる設備
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前章で説明しましたのように、寿司屋では調理場とホールにほぼ仕切りがなく一体型のようになっています。 他にも、特徴的な設備がいくつかありますので、ここでは寿司屋で必要な内装設備について解説していきます。
カウンター
寿司屋の内装で重要になるのがカウンターです。ほとんどの寿司屋がカウンターを設置し、お客様と向かい合って料理を提供します。
カウンターは木製であることが多く、檜、杉、楠などがよく使われています。
特に檜は日本人の肌と同系色のため、見た目も心地よさを感じるのに加え、木目が大人しいので寿司屋を含めた和食系の料理と相性が良いといわれています。さらに、檜には殺菌効果、防腐効果などがあるため、料理を置くカウンター向きの素材とも言えるでしょう。
カウンターの幅は縦が大体1m程度、横はお客様1人に対して60cm程度を確保できるのが理想です。カウンター越しに料理を提供するため、お客様と職人の距離が離れているとお寿司を置きづらいですし、かといって距離が近すぎると互いに落ち着かないですよね。
また、付け台(カウンターの上の一段高い台)を設置している寿司屋が多く見受けられます。ラーメン屋などでは目線の上辺りまで付け台を高くしていますが、寿司屋ではお客様から調理作業が見えるように10~15cm程度がおすすめです。
ネタケース(ショーケース)
カウンターと共にネタケースも寿司屋では定番の設備です。ガラスの中に新鮮なネタや旬の海鮮がところ狭しと並んでいたら、ついつい目がいってしまいますよね。気になったので追加で頼んでしまった、というお客様も出てくることでしょう。
ネタケースは冷蔵方式と恒温高湿式の2種類があります。冷蔵方式は底面と上部からまんべんなく冷却することができ、厚みのある食材も冷却できます。恒温高湿式はお好みの湿度に調整できるため、保湿と保冷がしやすくなっています。価格や料理のこだわりに合わせて購入してください。
そして、ネタケースは断熱ガラスを使用している商品を購入しましょう。断熱ガラスではない製品ですとガラスの表面に結露が起こり、水滴で折角のネタが滲んで見えにくくなってしまいます。断熱ガラスを使用しているネタケースであれば、結露の発生を防ぐことができます。
生け簀
その日に仕入れた魚介類であっても、その場でさばいたほうがお客様はより新鮮に感じることでしょう。そのため、寿司屋では生け簀を設置しているところを多く見かけます。
生け簀を置くことでお客様の目を惹くことができますし、その日に仕入れて使わなかった魚を生きたままストックすることも可能です。生け簀の大きさは横幅が60cmや120cmのものと様々ですので、店舗の規模に合わせて設置するとよいでしょう。
小上がり
一般家庭でも床から一段高い部分に和室を造り、小上がり和室にしているところがありますが、寿司屋でもカウンター以外にも小上がりを用意することで、より落ち着いて店内で過ごすことができます。
さらに、小上がりはカウンターに1人で座ることができない、乳児や幼児がいる家族連れの方にも人気の設備です。少し費用はかかってしまいますが、小上がりに掘りごたつを設置すると座りながら足を伸ばせるので、足腰が悪いご年配の方でも安心して利用できます。
寿司屋の厨房で必要になる設備
寿司屋の内装について説明してきましたが、ここでは厨房に必要な設備について説明していきます。寿司屋はホールと厨房の一部が一体化しているため、普通の飲食店と同じように造るわけにはいきません。
煙が発生してしまう焼き場や、調理場に近くにあると衛生的にあまり良い印象を与えない洗い場は、仕切りを作るなどしてお客様から見えないようにし、厨房の奥に設置しているところが多いようです。
ここでは、寿司屋の厨房において重要になる設備についてご説明します。
冷蔵庫・冷凍庫
食材がネタケースだけで収まることはほぼないでしょう。寿司以外の料理を提供したり、ネタのストックを用意することを考えると、冷蔵庫や冷凍庫が別途必要です。冷凍庫や冷凍庫の容量は、店舗の大きさや提供する食材の多さによって異なります。
また、冷凍庫や冷凍庫はほとんどが金属製の扉ですので、内装に木を多用しているお店では、厨房に置いてあると浮いて見えてしまいます。見栄えもよろしくないですし、非日常的な空間を演出するためにも、調理台の下に冷蔵庫や冷凍庫を設置して客席から見えないようにするのがおすすめです。
グリストラップ
グリストラップは飲食店で働いたことがある方なら、一度は必ず目にしたことがある設備だと思います。油や野菜の切れ端などが混じった汚水が直接下水に流れないよう、分離して綺麗な水にするための装置です。
床下に埋めるタイプと床に置くタイプがありますが、排水量が多い寿司屋では床下に埋めるタイプがおすすめです。 グリストラップのサイズは、溜められる水の容量で決まります。大規模な店舗は200~500リッターもあれば十分でしょう。小規模な店舗では100リッター前後あると、問題なく運用できます。
スケルトン物件は一からご自分で設置することになりますが、居抜き物件であれば前のテナントが設置したものをそのまま利用できます。多くの都道府県でグリストラップの設置が義務付けられていますので、店舗を管轄する下水道局に問合せて確認しましょう。
寿司屋の内装工事にかかる費用
以下は、寿司屋を開業する際の主な費用内訳になります。
- 物件取得費用
- 内装工事費用
- 厨房機器費用
- 空調工事費用
- 電気、ガス、水道工事費用
- 外装工事費用
- 看板工事費用
- 広告宣伝費用
寿司屋の内装工事費用は、坪数やどのような部材を使用するかで大きく異なりますが、おおよそ坪単価は40万円前後といわれています。そのため、仮に10坪の店舗ですと内装工事だけで400万円かかることになります。
この他にも、開業前は家具代や食器などの什器代は費用がかかり、開業後は人件費や光熱費、家賃といった店舗を運営するための費用が発生します。
一般的に店舗の開業では、物件取得費用+開業費用+運用費用が必要になり、総額の1/3~半分程度をご自身の資金でまかなえるとよいとされています。
寿司屋の開業費用は1000万円かかる?
寿司屋に限らず、どんなお店でも内装や外装にこだわると工事費用は1000万円を超えます。例えば、店内のインテリアは全て檜で揃えたいとなると、安価な木材を使用したインテリアよりも当然高額になります。
かといって、高級感のある寿司屋を開業したいとなったとき、安価な木材を使用したインテリアで固めてはコンセプトとズレてしまいます。逆に、庶民的で親しみやすい寿司屋にしたいのであれば、インテリアにはそれ程こだわらなくてもよいでしょう。
まずはご自身がどのような寿司屋を開業したいのか、お店の核となるコンセプトを明確してください。寿司だからいって和にこだわる必要はなく、和洋折衷の料理を提供するのでカジュアルな内装にしている、という寿司屋もあります。
予算に余裕がないのであれば、フランチャイズで開業する方法もありますが、内装の自由度は高いとはいえません。個人で開業するのであれば無理のない範囲で予算を決め、寿司屋の内装工事を施工した経験がある業者に相談することで、ご自身の思い描く内装のイメージをより具体的に形にすることができます。
リフォマ加盟店が行った寿司屋の施工事例をご紹介
それでは、最後にリフォマに加盟している工務店が実際に行った、寿司屋の内装工事をご紹介します。店内の雰囲気や家具も含めて参考にしてみてください。
和と高級感のある仕上がりへ飲食店リフォーム×寿司屋×岐阜県岐阜市
- AFTER
まとめ
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寿司屋は内装によって高級感がある店舗にもできますし、気軽に入りやすい親しみのある店舗にもできます。どのような寿司屋にするか、開業前にしっかりイメージを固めてください。
業者に相談しながらイメージを固めることも可能ですが、核となるコンセプトを決めておかないと、相談を受けた業者も提案に困ってしまいます。 良い店舗にするためにも、どのような寿司屋にしたいのか、どのような料理を提供し、どのようなお客様に来てほしいのか決めておきましょう。
いかがでしたでしょうか。なるべく費用を抑えてリフォームをしたい方へお知らせです。リフォマは中間業者を介さずに、ご要望に合う専門業者を直接ご紹介します。中間マージンが上乗せされないため、管理会社や営業会社などより安く費用を抑えることができます。下記のボタンからお気軽にご相談ください!
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渡邊 一伸(ナベさん)