資金調達の方法
それではまずどのような資金調達方法があるのかについて、見ていきましょう。どれが良いというのではなく、自分にとって最適な調達方法を利用しましょう。
自己資本
資金調達として一番理想なのが自己資本です。無借金で店舗の開業ができれば、開業後の収益がそのまま利益になります。借金をすると返済がありますので、無理してでも売上を上げなくてはいけないというプレッシャーがありますが、自己資本ならその心配はいりません。
また、お金を借りるにしても自己資本の有無によって、審査結果が変わってくることもあります。1000万円用意するのに、300万円自己資本があれば、借入額は700万円で済みます。1000万円借りるのと、700万円借りるのとでは、後者のほうが明らかに審査に通りやすくなります。
しかも自己資本があることが、審査においての印象も良くなります。それだけ貯められたという実績から、「この人なら融資しても大丈夫」というイメージを持ってもらえますので、ある程度のまとまったお金は用意しておきたいところです。
ただし、自己資本にこだわっていると、機会損失となる可能性があります。例えば立地のいい物件が出たときに、資金が足りないからと断念しなくてはいけなくなることがあります。どんなお店でも立地はとても重要で、いい条件の物件はあっという間に借り手が見つかります。
他の人に借りられてしまう前に契約をする必要がありますので、そういうときは無借金にこだわっている場合ではありません。理想は無借金でも、それによってチャンスを逃さないように気をつけましょう。
親族,血縁関係から借入
自分で資金を用意できないなら、家族や親戚などを頼るというのもよくある資金調達方法のひとつです。特に親族に経営者がいる場合は、開業のための相談にも乗ってもらえます。すでに成功している人は、惜しみなく自分の経験を語ってくれますので、開業に向けて力強い味方になります。
反対に、親族や血縁関係者がみんな安定志向だった場合、開業資金を貸してもらいたいと言ったところで、誰も本気になって取り合ってくれない可能性があります。これまでの人間関係も大きく影響しますので、人によってはほとんど頼れないということもありますよね。
親族や血縁関係から借りる場合に、気をつけたいポイントが2つあります。
- 親族であっても借用書を作り利息をつける
- 期日通りの返済を行う
基本的な考え方として、親族であっても「お金を借りている」という意識をきちんと持つことが大切です。その相手が身近な人というだけであって、借りる時の約束はきちんと紙にして残すことが大切ですし、返済を絶対に滞らせないようにしてください。
近い人だから甘えたくなりますが、その人との関係を悪くすることのないように、金融業者と同じようにしっかりとした返済を行いましょう。簡単でもいいので開業後の経営状態もきちんと伝えておきましょう。
また、親から借りる場合は利息なしで借りると、譲渡とみなされてしまう可能性があります。1%でもいいので利息をつけて返済するようにしましょう。
知人から借入
人脈が多い人は、開業時に多くの友人や知人が手助けしてくれるかもしれません。余裕のある人なら金銭的なサポートもしてくれるはずです。ただし、友人からお金を借りるというのは様々な理由からあまりおすすめできません。
その最大の理由は、返済できなくなったときの人間関係が崩れてしまうためです。お金が絡んでなければ、開業に失敗したとしても慰めてくれる大切な仲間でいられますが、そこに融資という行動が加わることで、私たちの人間関係が大きく揺さぶられます。
返せなくなったことを負い目に感じてしまって、疎遠になるというのはよく聞く話です。もちろん開業して成功した後に、助けてくれた人たちにお返しするというのが理想です。でもすべての人が成功するわけではないのが開業です。こういうときは最悪の展開も考えて、そのことも含めて話をしてから融資をするかどうかを決めてもらいましょう。
また、親族から借りるときと同様に、きちんとした借用書を作ることも忘れないようにしましょう。親しき仲にも礼儀ありという部分が抜けていると、あとからトラブルになります。開業という過程で大切な人を失わないようにするためにも、細かい取り決めをしておきましょう。
地方銀行等の金融機関からの制度融資を受ける
あまり知られていませんが、地方自治体の多くが中小企業融資のための融資制度というものを用意しています。その地域で開業し利益を上げることで、自治体には税収入が入り、なおかつ雇用が生まれるなどの大きなメリットがあるため、将来性が期待できる開業を促すための制度です。
中小企業の経営者:お金が必要
地方銀行等:お金を貸したい
制度融資がない場合、この2つのニーズがうまく噛み合いません。地方銀行にしてみれば貸したい気持ちはあるものの、慈善事業ではないので、絶対に返ってくるという保証がないと融資はできません。中小企業や個人経営のお店などは銀行からするととても不安定な経営をしています。
ましてやこれまでの実績なしに開業をしようという人に、高額な融資をするのはとても勇気がいります。いまは銀行も株式会社ですので、株主への説明責任もあるわけです。「経営者がいい目をしていた」というような理由での貸付は株主から批判されてしまいます。
このため、これから開業する人への融資は原則として行えないのですが、この2つのニーズをつなげてしまおうというのは自治体による制度融資です。各自治体にある信用保証協会が返済を保証することで、銀行は安心して中小企業者への融資を行うことができます。
もし借りた人が返せなくなっても、信用保証協会が代位弁済をしてくれますので、銀行側にしてみれば損失は発生しないというわけです。ノーリスクでリターンを得られるなら、そんなありがたい話はないですよね。
中小企業者は信用保証協会にお金を払って、保証をしてもらいますが、それほど高額な費用ではありません。もちろん信用保証協会の審査を受けなくてはいけませんので、きちんとした事業計画を作らなければ融資を断られてしまいます。
とはいえ、安定した経営を目指すなら事業計画書は作ってあたり前のものです。事業計画書なしで開業するのは地図を持たずに山に登るようなものです。ほぼ間違いなく遭難(廃業)することになりますので、審査そのものは難しく考える必要はありません。
また信用保証協会に払う保証料の一部は自治体が補助してくれますので、かなりお得にお金を借りられる仕組みが制度融資です。これから店舗を開業するなら、ぜひ検討してもらいたい資金調達のひとつですので、しっかりと頭に入れておきましょう。
ただし、融資開始までにとても多くの作業が発生するため、申込から融資開始まで時間がかかってしまうという問題があります。すぐにでも開業したいという場合には、あまり適していませんので注意してください。
日本政策金融公庫から融資を受ける
これから開業するという人は、自治体の支援なしには銀行からお金を借りるのはとてもむずかしくなります。銀行はリスクをできるだけとらないようにしているため、開業したばかりの人に対する融資を行ってくれません。
そこで初めての開業の場合は、日本政策金融公庫を利用して開業資金調達をすることになります。これまで会社員だった人は、日本政策金融公庫についてよくわからないと思います。簡単に説明すると、日本政策金融公庫は国による企業や個人経営のサポートの仕組みになります。
日本政策金融公庫を利用するメリットは次の3点が挙げられます。
- 金利が低い
- 銀行などの審査を落ちた人でも借りられる
- 融資の申し込みをする前に相談できる
審査は決して甘くありませんが、基本的なスタンスとしては支援することを前提にサポートしてもらえます。これから開業するという人にとっては、経営に関してわからないことだらけですよね。そういうときに、相談してアドバイスをもらえるのはとてもありがたいことです。
また、何よりも低金利であることが嬉しいところです。銀行などと違って、日本政策金融公庫は大きな利益を上げる必要がないため、利用者に嬉しい低金利で融資をしてくれます。借入額が大きいため、1%の金利でも1年後には数十万円の返済額の違いになることもあります。
低金利かつ、相談をしながら融資を進めて行きたいという人は、日本政策金融公庫での借り入れも視野に入れておきましょう。
助成金・補助金を利用する
日本政策金融公庫は国による事業支援で、お金が必要になった企業や個人事業主などへの融資を行っています。そこで得られるお金は借りたものですので、いずれ返済しなくてはいけません。ところが自治体によっては、毎月のように助成金や補助金制度による融資を受けることができます。
助成金、補助金はお金を返す必要がありません。このためとても多くの申し込みがあります。さらに、種類があまりにも多すぎて、自分が使うことのできる助成金や補助金を見つけるのはとても大変です。
専門家でもすべてを把握しきることは難しいと言われていますので、中小企業診断士のような人たちに相談して、最適な助成金や補助金に関するアドバイスをしてもらいましょう。もちろん依頼するのにはお金がかかりますが、助成金をもらえればそれはとても小さな出費で済みます。費用対効果を考えて依頼してみましょう。
店舗の開業に必要な資金
開業に必要な資金をどこから調達するかについて学んだら、次は店舗の開業にどれくらいのお金がかかるのかを見ていきましょう。どんぶり勘定で見積もっている人もいると思いますが、それでは融資を受けることはまずできません。
ここでどのような費用が必要になるのかを理解して、それを自分に当てはめて予算書を作成してみましょう。
物件取得費
まず大きな費用として考えなくてはいけないのが、店舗となる物件の取得費用です。取得費用は少し複雑ですので、少し分かりやすく説明します。
- 保証金:家賃の10ヶ月分
- 礼金:家賃の1~2ヶ月分
- 仲介手数料:家賃の1~2ヶ月分
- 造作譲渡費:0~200万円
- 前家賃:家賃の1~2ヶ月分
物件を取得するにはこれだけのお金がかかります。家賃が20万円だった場合、造作譲渡費を除けば、最大で16ヶ月分の320万円用意しなくてはいけません。しかも、これは最初にかかる費用であって、そこから毎月の家賃を払わなくてはいけません。
保証金は原則として全額戻ってきますが、それでも借りる前には必ず必要になるお金です。これが一番大きなお金で、立地のいい場所にお店を開こうとして、家賃の高い物件を選ぶと、それだけ初期費用は大きくなるので注意してください。
これらに加えて造作譲渡がある場合は、100万円程度の出費が必要になります。もっとも、ここでの出費は内装工事費や設備費用の出費を下げることができますので、譲渡される内容と金額が見合っているようでしたら、あまり気にする必要はありません。
また、時間が経てば経つほど造作譲渡費は安くなります。交渉によっては無料になることもありますので、予算に限りがある場合はダメ元でも交渉してみることをおすすめします。
さらに費用を抑えたいという人には「フリーレント」という選択肢もあります。フリーレントというのは数カ月分の賃料が無料になる仕組みで、なかなか借り手が見つからない物件は、6ヶ月分の家賃が無料というようなケースもあります。
少なくとも前家賃分は初期費用から引くことができますので、予算が厳しい場合には検討してみましょう。ただし、フリーレントになっているのは、基本的には借り手の見つかりづらい立地の悪い物件です。店舗を構えるときに、本当にその場所でいいのかよく考えて選ぶようにしましょう。
内装工事費
店舗を取得したら、次に行うのが内装工事です。内装工事費は何のお店を開くのかによって変わってきます。例えば、飲食店を開くのとアパレルのお店を開くのでは、必要になる工事が全く違ってきます。飲食店は水回りの工事が必要になるため、どうしても費用が高くなってしまいます。
飲食店:50万 ~ 80万円/坪
物販店:30万 ~ 60万円/坪
サロン:40万 ~ 70万円/坪
あくまでもひとつの目安ですが、これくらいの費用が発生します。例えば20坪のカフェをオープンした場合には、1000万円くらいの内装工事費が必要になります。思ったよりも大きな金額になるかと思います。
これを避けるためには、店舗の作りをシンプルにしたり、居酒屋などでは仲間と内装工事をしたりするという方法もあります。ただし、お店の種類によってはそうもいかないですよね。高級品を扱うお店の内装がコンクリートの打ちっぱなしではバランスが悪すぎます。
いずれにしても、これくらいの費用が必要になるということだけでも頭に入れておきましょう。お店が大きくなればなるほど、内装工事費は膨れ上がりますので、予算的にも無理のない範囲での店舗を開くようにしましょう。
設備費用
内装工事が終わったら、次はお店に必要な設備を整えなくてはいけません。こちらも業種によって必要になる金額に違いがあります。最も費用が高くなると言われている飲食店の開業に必要な設備は下記のようになります。
- 厨房機器
- 看板
- レジ
- 備品
厨房機器にかかる費用は、100万円を超えることも珍しくありません。冷蔵庫などを中古品で揃えるという方法もありますが、中古品にはメーカー保証などがないケースが多く、トラブル発生時に必要以上にお金がかかることになります。予算が許すのであれば、新品で揃えたいところです。
看板は20万円くらいあれば取り付けることができます。ただし、取り付ける場所によっては高額な作業費が発生することもあります。看板をシンプルにすれば費用を抑えることができますが、それですと他のお店に隠れてしまう可能性があります。
どのような業種なのかにもよりますが、ライバル店が多い場所では凝った看板にしないと、お店が埋もれてしまいますので、ある程度しっかりとした看板を作るようにしましょう。
レジや棚などの備品は、その他の費用に比べればそれほど多くありませんが、アパレルや雑貨屋の場合は、お店の雰囲気に合ったものを揃えようとすると、予想以上に費用がかかることもあります。あまりこだわり過ぎないように気をつけましょう。
これらの設備費用は居抜き物件を借りるとこで、大幅に減らすこともできます。前の店舗の状態をそのまま引き継ぎますので、先述の造作譲渡費を払う必要がありますが、それでもすべて揃えるよりは安く済ませることができます。
また初期費用を減らすためには、リースを使うという選択肢もあります。リースであれば新品を使えますし、その費用を分割する形で払うことになります。用意した費用が底をつきそうなときなどは、リースを活用するということも検討してください。
その他諸経費
お店を開くにはさらにお金が必要になります。例えば次のようなものが諸経費として必要になります。
- 広告宣伝費
- 従業員募集費
- 開店前研修費
- 光熱費、共益費
これらが代表的な諸経費ですが、オープン当初は何かと思わぬ出費が重なります。最も重要なのは広告宣伝費です。よほどの有名人がオープンさせるのでなければ、宣伝をせずにお客さんがやってくるということはまずありません。
最近は人材不足がニュースなどにもなっていますが、アルバイトを雇うだけでも大変です。すべて自分や家族、知人だけで経営していくのであればアルバイトは後から考えればいいのですが、ほとんどのお店がそうではないはずです。これらを募集するための費用も小さなものではありません。
もちろんアルバイトを雇った場合には研修を行わなければいけません。特に開店時のスタッフにはまとめて教育をすることになりますが、外部に依頼すると高額な費用が発生します。ただし、この研修を疎かにすると、営業開始してからの評判が悪くなる可能性もあります。
さらに、借りている物件には光熱費や共益費なども発生します。それほど大きな費用ではないかもしれませんが、オープン後も必要になるお金だと考えると無視することもできません。
運転資金
ここまで用意すれば、後はオープンするだけと思っている人もいるようですが、本当に重要なのは運転資金を確保することです。運転資金を用意していないと、お店はあるけど商品が何もない状態になります。売るべきものやサービスを仕入れるためにはお金が必要です。
従業員の給料も払わなくてはいけません。いきなりお客が付くというイメージがあるかもしれませんが、駅前の活気がある商店街にでもお店を構えない限り、お客さんが定着するまでにとても時間がかかります。
今は人気店になっている郊外のお店などでも、1年間はひたすら耐えたという話をよく聞きます。それができるのも、きちんと運転資金を用意していたからです。飲食店の場合は、軌道に乗るまで半年以上かかると考えてください。他のお店もそれほど違いはありません。
運転資金が尽きたら、またお金を借りるか、お店を畳むしかありません。数ヶ月で資金がショートするような見通しの甘い経営者に融資をしてくれる金融機関はほとんどありません。少なくとも半年間は無収入でも経営していけるだけの運転資金は用意しておいてください。
資金調達の流れ
店舗の開業に必要な資金が見えてきたら、次はいよいよ資金調達です。どのような流れでお金を借りればいいのか、融資をしてくれる機関ごとに、その流れをご紹介します。
地方銀行等の金融機関からの制度融資を受ける
融資を受けるための流れ
それではまず制度融資を受けるための流れについて見ていきましょう。
- 制度融資取扱金融機関に融資申し込み
- 取扱金融機関から自治体の信用保証協会に保証依頼
- 信用保証協会からの保証の承諾
- 融資開始
- 利用者から信用保証協会への信用保証料の支払い
- 利用者が取扱金融機関に返済
- 滞納が発生した場合は、信用保証協会が利用者に代わって代位弁済する
- 代位弁済してもらったお金を利用者が信用保証協会に支払う
いきなり金融機関に申し込みとしましたが、この前段階として信用保証協会や他の相談窓口などで、融資に関する相談をすることも可能です。
利用条件
制度融資を利用するにはいくつかの条件を満たしている必要があります。
- 該当する自治体で同一事業を原則として1年以上営んでいる
- 保証対象となる業種である
- 税金を完納している
小売業やサービス業は保証対象ですので、心配する必要はありません。また通常は税金も感応しているはずですので、これも気にしなくても大丈夫ですよね。もし滞納しているのであれば、すぐに完納してください。
もっとも悩ましいのは1年以上の業務実績が必要だということです。ただし「原則」ですので、もちろん例外もあります。その例外というのが新規の開業です。この場合は、事業振興資金や創業支援融資といった融資メニューを利用することになります。
これから開業するという人は「1年の実績がないから無理」と諦めるのではなく、例外の融資メニューがないのか探してみましょう。もしわからない場合には、自治体や信用保証協会に問い合わせしてみましょう。
日本政策金融公庫から融資を受ける場合
それでは次に日本政策金融公庫で、お金を借りるときの流れについてご紹介します。
- 日本政策金融公庫に電話で相談する
- 創業計画書を持って支店窓口を訪問
- 借入申込書の提出
- 日本政策金融公庫による面談
- 融資の可否決定
- 日本政策金融公庫と契約する
- 希望の銀行口座へ融資金の送金
- 返済
大きな流れはこのようになります。申し込み前に相談を行うことがポイントです。相談することで融資を受けやすい計画書に修正できますので、審査落ちする可能性を下げることができます。また、創業時に利用できる融資制度がいくつかありますので、どれを利用すべきかなども相談することでアドバイスをもらえます。
ちなみに日本政策金融公庫で創業時に利用できる融資制度には次のようなものがあります。
新規開業資金
融資限度額:7,200万円(うち運転資金は4,800万円以内)
返済期間:運転資金7年以内/設備資金20年以内
利用条件
- 現在勤めている企業の在籍期間が6年以上(同じ業種なら通算6年でも可)
- 事業開始から7年以内
- 大学等で修得した技能等と密接に関連した職種に継続して2年以上勤め、それに関連した事業を始める人
- 雇用の創出を伴う事業を始める
通常の開業の場合はこの新規開業資金を利用します。利用条件がやや厳しく、一番気をつけたいのが、雇用を創出するということです。雇用を創出しない開業の場合は利用できませんので注意してください。
女性、若者/シニア起業家支援資金
融資限度額:7,200万円(うち運転資金は4,800万円以内)
返済期間:運転資金7年以内/設備資金20年以内
利用条件
- 女性または30歳未満か55歳以下の男性
- 事業開始から7年以内
女性や若者、シニア世代を支援するための制度が、この女性、若者/シニア起業家支援資金です。新規開業資金よりは条件は緩くなっていますが、男性は利用できる年齢に制限があります。
再チャレンジ支援融資(再挑戦支援資金)
融資限度額:7,200万円(うち運転資金は4,800万円以内)
返済期間:運転資金7年以内/設備資金20年以内
利用条件
- 廃業歴がある
- 廃業時の負債が整理されている
- 廃業の理由がやむを得ない場合
廃業した人が、もう一度チャレンジするときに利用できる制度です。廃業の影響が残っていないことが利用のための条件ですが、新しい気持ちでやり直そうという人にとって、とてもありがたい制度のひとつです。
新創業融資制度
融資限度額:3,000万円(うち運転資金は1,500万円以内)
返済期間:各種融資制度で定めるご返済期間以内
上記の3つの制度を利用する場合に取り扱える無担保・無保証人の特例措置が、新創業融資制度です。新たに事業を始める人や、業績の短い人のための制度ですので、これから店舗を開業する場合はもちろん利用対象になっています。
助成金・補助金を利用する場合
補助金にはいくつもの種類がありますので、その中でもこれから開業する人向けに絞り、人気の高いものについてその利用手順をご紹介します。
創業補助金
創業補助金は創業することで新たな雇用を創出することを目的に、創業・事業承継補助金事務局が行っている補助金制度です。
補助率:1/2以内
補助金額の範囲
- 外部資金調達がない場合:50万円以上100万円以内
- 外部資金調達がある場合:50万円以上200万円以内
利用条件
- 事業完了日までに、従業員を1名以上雇い入れる
申し込み手順
- 認定市区町村または認定連携創業支援事業者へ相談
- 支援の確認書・支援証明書発行
- 応募
- 事務局による審査
- 採択決定・採択通知
- 交付申請・交付審査
- 交付決定
- 事業期間
- 実績報告・確定検査
- 補助金請求・支払い
ポイントは補助対象となる事業が完了してから補助金が支払われるということです。このため、とりあえずのお金は自分で用意しなくてはいけません。開業のための直接的な資金としては利用できませんので気をつけてください。
また、応募は年に1回しか行われませんので、そのタイミングに合っていないと利用しづらいというデメリットもあります。それでも返さなくてもいいお金を手にすることができますので、タイミングが合えば、ぜひ申し込みしてみましょう。
小規模事業者持続化補助金
小規模事業者持続化補助金は、販路開拓の取り組みに対して補助する制度です。
補助率:2/3以内
補助金額の範囲:50万円以内
利用条件
- 会社もしくは個人事業主であること
申し込み手順
- 経営計画書・補助事業計画書の作成
- 地域の商工会議所で事業支援契約書の作成・交付依頼
- 日本商工会議所へ書類の提出
- 日本商工会議所による審査・採択・交付決定
- 交付決定度販路開拓の取り組み実施
- 実績報告書の提出
- 日本商工会議所が報告書の確認
- 補助金の請求・支払い
こちらも創業補助金と同じように、事業報告書を出した後に補助金を手にすることができます。まずは自分の資金で支払いなどをしなくてはいけません。すぐにお金を借りられるわけではありませんので注意してください。
申込受付から補助金が出るまでのあいだ、1年以上かかることもあります。急ぎでお金が必要な場合になどには利用できませんので気をつけてください。ただし、そのようなデメリットがあるものの、商工会議所の指導や助言を受けられますので、補助金が出なくても学べることがいくつもあります。
店舗の開業で、地域に広告を出すようなケースでも利用できますので、該当するようであれば、少しでも運転資金を増やすために、助成金の申請をしておきましょう。
まとめ
ここまで店舗の開業について、その資金調達の基本的な考え方について紹介してきましたが、その概要だけでも理解できたでしょうか?資金調達方法があまりにも多すぎるため、すべてを把握しきれていない人も多いかもしれません。
それでも一読しておくだけで、中小企業診断士との話も進みやすくなります。どのような借り方があるのかだけでも頭に入れておきましょう。
理想は自己資金を利用しての無借金での開業ですが、お店を持つときには借金することを怖がってはいけません。十分な資金を用意しているのであれば別ですが、そうでないのに無借金にこだわると、いい物件が出てきたときにすぐに借りられず、他の人に借りられてしまう可能性があります。
ある程度の自己資金は用意しておくべきですが、金融機関を上手に利用するという考え方も重要です。ある程度の借金は、開業には必要なものだと割り切ってください。
借りるときにはまず、自分の開業にいくら掛かるのかを計算して、事業計画書を作成してから相談に行きましょう。きちんと予算を把握してからでないと、いくら借りるのかについて何も決めることができません。
事業計画書がしっかりしていれば、制度融資でも日本政策金融公庫でも審査に通過しやすくなります。事業そのものも安定しますので、大変だとは思いますが初めが肝心です。時間をかけてしっかり将来のビジョンを固めた上で資金調達を行ってください。
いかがでしたでしょうか。なるべく費用を抑えてリフォームをしたい方へお知らせです。リフォマは中間業者を介さずに、ご要望に合う専門業者を直接ご紹介します。中間マージンが上乗せされないため、管理会社や営業会社などより安く費用を抑えることができます。下記のボタンからお気軽にご相談ください!
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