目的別に使う資金
飲食店を開業するためには開業資金、つまり初期投資が必要です。 いくら飲食店を開業したくても資金がなければ、当然、開業することはできませんよね。 開業資金は、様々な目的に対して使っていくものですが、それぞれを上手に使っていかなければなりません。 資金は確保できたものの、何に使えばいいのか理解できていなければ、何のための資金なのかも分からなくなってしまいます。
飲食店を開業する際に必要になる主な費用は、以下の4つです。
- 物件取得費
- 店舗設備費
- 運転資金
- その他諸経費
次に、この4つの費用が何をするために必要なものなのかを詳しく説明します。まずは、これらの費用について理解することから始めていきましょう。
1.物件取得費
店舗を開業するには開業する場所、つまり物件を取得する必要があります。 この物件の取得に関わる費用を物件取得費といいます。 物件取得費には以下のようなものが含まれます。
保証金（敷金）
住居として借りるアパートやマンションの敷金は、家賃の2～3ヶ月分が相場です。しかし店舗として借りる場合は、物件の状態や立地などによって様々ですが、家賃の6～12ヶ月分が相場となっています。基本的には物件を明け渡すときに、償却額を差し引いた金額分を返金してもらえますが、念のため契約前に確認しておくと安心です。
礼金
契約時に借主が貸主に支払うお金で、基本的に返金はしてもらえないものです。物件によっては不要な場合もありますが、家賃の1～2ヶ月分が相場です。
仲介手数料
仲介業務の免許を持つ不動産業者に、仲介業務に対する報酬として支払う手数料です。 家賃の1ヶ月分が相場となっています。
造作譲渡費
「居ぬき物件」に残されている内装や厨房設備、什器等を新しい借主が買取るための費用です。貸主との契約とは別に前の借主との契約が必要で、その費用は前の借主に支払います。
前家賃
前家賃とは、賃貸契約の際に前もって支払う家賃を指します。契約日から翌月分までの家賃を支払いますが、契約月は日割り計算で算出されます。
火災保険
火災保険は不動産会社によって、任意加入、あるいは強制加入の場合と様々です。 店舗の床面積、補償内容、保険会社によってその金額は異なります。
2.店舗設備費
店舗設備費は、主に店舗の内装や厨房設備などにかかる費用です。 内装工事費は、内装や設備が何もない状態の「スケルトン物件」に比べ、内装や設備がそのまま残っている「居抜き物件」の方が費用をおさえることができます。しかし、居抜き物件でも後から内装をやり直そうとすると逆に費用が多くかかってしまうこともあるため、物件選びは慎重に行いましょう。
内装工事費
店舗内の床、壁、カウンターなどの内装工事費用、また、電気、ガス、水道、空調などを使用するために必要な配管工事費用などです。
設備費
飲食店の場合、冷蔵庫、冷凍庫、ガス代、シンクなどの厨房設備が必要です。一般家庭のキッチンとは違い、プロが使う厨房設備は金額も高くなります。
3.運転資金
運転資金は、お店を経営していくために必要な資金です。資金額を決める際には、この運転資金もしっかりと含めた金額を確保しておきましょう。 お店が軌道に乗るまでは、安定した売り上げが望めないこともあるかもしれません。 開業後も家賃をはじめ、水道光熱費、人件費、仕入代などは毎月発生する経費ですので、これらが払えなくなってしまうと、お店を経営できなくなってしまいます。
そのため、最低でも開業してから3ヶ月分の支払経費を用意しておく必要があるのです。運転資金があることで、しばらくの間は資金繰りに困ることもなくなります。
4 その他諸経費
その他諸経費に含まれるのは、家具や什器、備品、消耗品などを買い揃えるための費用や宣伝広告費などです。 特に飲食店の場合は、様々な備品や消耗品が必要になります。
- 家具・什器：テーブル、椅子、レジなど
- 厨房の備品：調理器具
- その他の備品：メニューブック、オーダー伝票、ハンディターミナル、ユニフォームなど
- 消耗品：ペーパーナプキン、トイレットペーパー、タオルなど
- 宣伝広告費：ショップカード、チラシ、ウェブサイト開設費、フリーペーパーなどへの広告掲載費など
開業資金の目安
飲食店の開業資金は、お店を構える場所や業態によって違いはありますが、1000万円近い金額が必要になるとされています。 用意する資金の中で最も大きな金額となるのが、内装工事費です。また運転資金や設備費も大きな割合を占めます。
まとめ
飲食店を開業するために必要な費用には、様々なものがあります。その主な費用は大きく「物件取得費」、「店舗設備費」、「運転資金」、「その他諸経費」の4つに分けられます。
資金を準備するにあたって、これらの費用が何のために必要で、どんな使い方をすべきなのかをきちんと理解しておく必要があります。 資金はお店を経営していく上で大切な基盤となるものです。しっかりとした資金計画を立てて、開業準備をスムーズに進めていきましょう。
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