薬局の内装リフォームを行う際に意識すべきこと
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最近の薬局(調剤薬局)は、カフェと見間違えるような綺麗な内装のところを多く見かけます。以前の薬局ですと、10坪程度の店舗に所狭しと薬品が並んでいるところが多かったのですが、現在はスタイリッシュなデザインや温かみのあるデザインなど、多岐にわたっています。
薬局の内装リフォームに力を入れることで、数多くある他店舗と差別化を図ることが可能です。薬局であっても内装デザインを蔑ろにせずに、きちんとコンセプトを決めてリフォームしましょう。
オシャレな内装の薬局が増えている理由
先ほどお伝えしたように、オシャレな内装にしている薬局が増えています。
薬局(調剤薬局)もお客様と直接やり取りをするサービス業ですから、おもてなしの心が重要です。ただ薬を渡す場所にならないための工夫としても、オシャレな内装にしている薬局が増えているのではないでしょうか。
既存の枠に捉われないデザインを採用することで、数多くある薬局の中でも道行く人の印象に残りやすくなります。薬局に堅苦しいイメージを持たれている方も多いため、内装次第では入りやすい雰囲気にすることもできます。
お客様にゆったり寛いでほしいのであれば、木材をふんだんに使用してナチュラルな内装にする、薬を扱っているのでお客様を不安にさせないために清潔感のある内装にするなど、訪れた方にどんな印象を与えたいかを考えて内装を決めてください。
薬局のレイアウトで重要になるポイントを解説
こだわった内装だったとしても、トイレへ行くための通路が狭くてすれ違うのも一苦労という薬局では、また次も利用しようとはならないですよね。
また、お客様のことだけでなく、薬局で共に働く従業員のことも考えなくてはいけません。1人で運営するのであればそこまで気にしなくてもよいですが、誰か雇うのであれば働きやすい職場であることも重要です。
さらに、薬局も他の業態と同様に内装制限があります。折角内装にこだわって造ったのに、保健所の審査で指摘されて作り直しとなってしまうと、時間だけでなく費用も余計にかかってしまいます。薬局の内装制限など、ここでは内装のポイントについて詳しく説明しています。
調剤室
薬局において調剤室は必要不可欠な設備です。法律により、調剤室は6.6㎡以上と定められています。市区町村によって出入口が引き戸、または開き戸であること、他の場所と明確な仕切りがなくてはいけないなど、様々な審査基準が設けられています。
さらに、調剤室で重要になるのが透視面です。薬局では薬品を扱うわけですから、作業の透明性を維持するためにも、待合室から調剤室内を見通せる造りでなくてはいけません。そのため、調剤室の一角をガラス張りにし、誰もが中を覗ける造りにする必要があります。
薬局を新規で開業される方は、管轄する自治体に必ず確認をとってから工事を行うほうが確実です。
受付
受付はできるだけ入口の近くにあるのが良いとされています。お客様が一番集中する場所ですので、待合室を経由した先にあると、お客様同士がぶつかってしまったり、通りづらくなって不便さを感じてしまいます。
お客様の動線(お客様や従業員が動きを線で表したもの)を考え、車いすの方もスムーズに動けるようなレイアウトを心掛けてください。待合室の先に受付があるレイアウトであれば、通路をかなり広めに取るなどの工夫をしましょう。
坪数に余裕があるのであれば、会計でお客様をお待たせしないために、受付カウンターを長めにしてレジを複数設置するのがおすすめです。薬の説明をしっかり行うと、当然時間がかかってしまいます。かといって、回転率を気にするあまり説明を簡易にすると、説明不足だと感じて離れていくお客様もいらっしゃいます。
「長い説明はいらないから薬だけ渡してほしい」というお客様もいますので、接客スタイルに正解はありませんが、入り口の近くにある方が出入りに時間がかからないため、不満を持つ方は少ないでしょう。
待合室
薬局では調剤を行うため、店内の混雑状況によっては30分以上待つケースがあります。ほとんどの薬局には待合室があり、座りながら待つことができますが、テレビや雑誌だけでは少々退屈ですよね。
近年、ご自身の携帯で時間を潰す方が大半かもしれませんが、年配の方では携帯を多用しない方もいらっしゃいますし、小さなお子様も長時間待てないことがあると思います。そのため、客層に合わせて待ち時間も快適に過ごせるものを設置しましょう。
ご年配の方であれば商品棚を待合室の周囲に設置し、効能などを分かりやすく書いて見てもらう、健康に関するコラムを壁に貼って掲載するのも1つの方法です。 小さなお子様には、簡易的なキッズスペースを設置する、おもちゃや絵本などが置いてあると、子ども連れの方が来店しやすくなります。
事務所・更衣室
多くの自治体で、薬局内に事務室(休憩室)と更衣室の設置が必須となっています。着替える場所や休憩できる場所がないとなると、到底働きやすい環境とはいえません。自治体で特に指定がなかった場合でも、従業員が働きやすい環境にするために設置することをおすすめします。
また、事務所や更衣室は薬局の面積には含まない、としている自治体が多いためレイアウトには注意してください。薬局では必要な面積が定められていますが、事務所や更衣室は除いて条件を満たす必要があります。
坪数的に余裕がないときは、兼用でも問題ないとしている自治体もありますので、事務所と更衣室についても忘れずに確認しておきましょう。
内装制限を意識して造る
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薬局は薬を取扱うこともあり、飲食店やアパレル系の店舗に比べると様々な制限が設けられています。国で定められていますので、内装制限に基づいた内装する必要がありますし、規定を満たさなければ薬局は開業できません。
以下は国で定められている薬局の内装制限の一部です。
- 薬局の内装は概ね19.8㎡(5.99坪)以上であること
- 天井及び床は板張り、コンクリート、またはこれらに準ずるものであること
- 調剤業務従事者以外が侵入できないような措置が取られていること
- 鍵のかかる貯蔵設備を有すること
- 交付する場所の照明は60lux(ルクス)以上、調剤台の上は120lux以上の明るさを有すること
- 換気が十分であり、かつ清潔であること
- 医薬品は通常陳列とすること
上記の他に、自治体でも個別に内装制限が設けられていることがあります。管轄する自治体の保健所で確認できますので、内装制限について詳しく知らない方は一度相談してみてください。
そうはいっても、ご自身だけで全てを確認するのは大変ですよね。保健所に確認する時間がない方は、薬局の内装を手がけたことがあるリフォーム会社であれば、内装制限に則って施工してもらえるでしょう。
薬局の照明は自由に選べない?
内装制限で照明についての記述がありましたが、薬局の照明は自由に選べるわけではありません。国によって、場所ごとに必要な明るさが決まっています。
薬は間違って飲んでしまうと、最悪の場合死に至ることもある大変危険なものです。従って、お客様に薬を受け渡す際に間違いがないように、ある程度明るい店内にすることが必須となります。
国の基準では、交付する(引き渡す)場所の照明は60lux(ルクス)以上、調剤台の上は120lux以上、となっていますが、薬局やドラッグストアでは更に明るい照明を設置しているところが多く見受けられます。
JIS(日本産業規格)の照明基準では、薬局は500lux程度を推奨していますので、国の基準よりも約4~8倍は必要としています。JISはあくまで基準ですので、守らなかったといっても罰則が発生ありませんが、無用のトラブルを避けるためにも明るめの照明を配置するのがおすすめです。
薬局の内装リフォームを行う場合の費用相場
薬局を開業するには500万~1000万円程度かかると言われています。
そのうち内装リフォームにかかる費用は、10坪で200万~500万円前後となっています。
店舗の坪数が広ければ当然費用は倍以上になりますし、原材料にこだわった部材を使用すると、内装だけで1000万円かかることもあるでしょう。上記で挙げた費用はあくまで目安とお考えください。
薬局の開業では内装・外装工事費だけでなく、物件の取得料、宣伝費、人件費や光熱費なども必要になります。他にも様々な申請が必要になるため、予算は余裕を持って組んでおくことが大切です。
薬局でも看板や外装にはこだわるべき
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薬局の内装リフォームについて解説してきましたが、薬局に限らずどんな店舗でも看板などの外装工事をおろそかにしてはいけません。
道行くお客様は外観や看板を見て、その場所に薬局があることを認識します。その場は通り過ぎたとしても、後で「あそこに薬局があったなぁ」と思い出すことで、その後の集客に繋がりやすくなるでしょう。
一目で薬局と分かる看板にする
看板は遠くからでも店舗の存在を知ってもらえる、大変便利なアイテムです。一般的な薬局の看板は青や緑を基調としていますが、橙色や黄色を使用して目立たせている薬局もあります。
周りより目立つ看板にしたほうが、より集客効果が期待できますが、奇抜なデザインにしたり、筆記体でお洒落な看板にしたりするなど、何のお店なのか分からない看板はおすすめできません。
内装を見れば薬局だと分かるかもしれませんが、店内を見ようと近づいてくれるお客様は稀でしょうし、期待した業態と違うことでマイナスの印象を抱かれてしまい、逆に集客を逃す可能性もあります。
まずは処方せんや薬といった言葉を大きく目立たせることで、薬局であることを知ってもらいます。凝ったものよりはシンプルの方がおすすめですが、他の薬局と差別化を図るためにデザインに凝りたいのであれば、専門の看板業者に依頼すると安心です。
薬局の外観で集客が変わってくる
看板だけでなく薬局の外観も、道行く人に何のお店なのか分かってもらえる造りにしてください。外に面した壁の一部をガラス張りにし、通りががった際に中が覗けるようにしている薬局が多いようです。
他の薬局と差をつけるのであれば、何の薬を取り扱っているのかが分かり、印象に残るデザインにしましょう。通りかかった人が思わず入りたくなるような、魅力あるデザインにするのが理想です。
そして、看板では伝えられる情報に限りがあります。そこで、外壁にタペストリーなどを設置し、どんな薬を取扱っているかを簡潔に記載することで、目的に合ったお客様の来院が期待できます。
入口をバリアフリーに対応する
内装の設備に関する章で車いすという単語が出てきましたが、薬局には体が不自由なお客様や具合が悪い方が多く訪れます。そのため、できるだけ身体に負担をかけない造りにすることも大切です。
例えば、入口に段差があると足腰の悪い方は上り下りが大変になってしまいますし、車いすの方は自力での入店が困難になります。できるだけ入り口には段差がない造りが望ましいですが、構造上どうしても段差ができてしまうこともあると思います。
そのため、スロープや手すりを設置するといったバリアフリー対応をするとことで、どなたでも快適に利用することができます。
また、入口だけでなくトイレや内部の壁にも必要に応じて手すりをつけると、お客様が移動しやすくなります。
まとめ
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薬局の内装は華美である必要はありませんが、競合他社との差別化を図るために何かしらこだわりが見える造りにしてください。 そして、見た目だけでなくお客様の動線を考え、誰でも無理なく移動できるレイアウトにすることが非常に大切です。
また、他の業態に比べて内装に必要な設備も多いですし、内装制限もあるためある程度知識が必要になります。開業する場合は管轄する保健所に問い合わせることで、詳細を教えてもらえます。ただし、時間がない方は薬局の内装を仕上げた経験があるリフォーム会社と直接相談することで、問題ないデザインに仕上げてもらえるでしょう。まずは気軽に相談してみてください。
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