2017年9月1日

接骨院の内装リフォームのポイントとは? 施術室や待合室の内装も解説

接骨院の開業許可を得るためには守らなければならない規則があります。その規則に従いながらも、患者さんがリラックスする空間に仕上げなければならないでしょう。 ここでは、開業許可に必要な設備基準と内装を考えるうえで気をつけるべきポイントをご紹介します。

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接骨院の出店場所と店舗を決めると、次は内装のイメージを固めて、施工に取り掛かります。
接骨院で行う施術はほかの店舗と際立った違いは見られません。患者さんの来院を促すためには居心地のよい待合室や整頓された受付、落ち着ける施術室を作る必要があります。

どのような点に注意をすれば、集客力のあるお店を開くことができるのでしょうか。接骨院の内装工事で押さえておくポイントを並べました。紹介する情報を開業に役立ててください。

接骨院の設備は「構造設備基準」に従っていなければならない

画像出典:写真AC

接骨院を開業する方は、施術所の案内図、平面図などと共に「施術所開設届」を保健所に提出する必要があります。 開設するにあたって、店内のレイアウトや設計を自由に決めていいのかというとそうではありません。定められた「構造設備基準」を満たした内装でなければなりません

もし、「構造設備基準」を満たしていないと、接骨院の再工事が必要となる場合があります。すると、開業が予定日より遅れてしまったり、工事で余計に費用がかかってしまいます。 そうならないためにも「構造設備基準」とはどういった基準なのか、ご説明いたします。

構造設備基準とは

「構造設備基準」とは、施術室や待合室の広さや、照明や換気などの衛生面について定められたルールのことです。接骨院を営業するためには、この「構造化設備基準」を守らなければなりません。

「構造設備基準」には省令と指導基準の2つで構成されています。 「指導基準」は各保健所が定めたルールのことです。「省令」と「指導基準」はどちらも守らなければなりません。

「構造設備基準」の内容を次項で見ていきましょう。

店舗の全体に求められる基準

接骨院の受付、待合室、施術室で求められる基準が、おおよそ3つあります。開業後も継続してこの基準を満たす必要があります。

  • 店内を常に清潔に保つこと
    衛生面を保つために必要な措置は、厚生労働省が定める措置に基づいて行います。

  • 明るい室内に保たれていること
    室内に、適度に日差しが入り、照明が備え付けてあることが求められます。

  • 十分な換気が行われること
    空気中の一酸化炭素と二酸化炭素は基準以下に保ってください。石油ストーブや石油ファンヒーターなどの暖房器具からは、一酸化炭素が排出されます。中毒を起こさないために、基準以下の濃度に保たなくてはなりません。また、二酸化炭素も基準以下に保つことで、快適に施術を受けられる環境を作ることが義務付けられています。

このほか、塵・ホコリ・湿度・空気の流れ・健康被害が報告されるホルムアルデヒドの量も、基準を下回る値でなければなりません。また、体への負担を減らすために、室内の温度は17℃以上28℃以下と定められています。お店の中と外の温度は差を広げないように設定をしてください。

開業する方は基準の範囲内で、体が驚かない程度で快適に過ごせる気温を知っておく必要があります。外の気温を調べてから室温を設定して、窓の開閉やエアコンの温度設定を行いましょう。

施術を行う部屋には、必要なサイズの窓や換気のための機械を設置し、待合室・受付などのそのほかの場所には、エアコンや空気清浄機を置いて基準を満たしましょう。

参考:建築物における衛生的環境の確保に関する法律施行規則

施術室や待合室の広さの基準

施術室や待合室は患者さんを迎える部屋です。それぞれの部屋の広さが「構造設備基準」によって定められています。

  • 施術室は、6.6平方メートル(=2坪)以上が必要。

  • 施術室は衛生管理が行き届いた場所です。そのため室面積(=歩くことができる床の面積)の7分の1以上を外気に晒すことが可能か、これに代わる換気装置を設置する必要があります

  • 待合室は3.3平方メートル(=1坪)以上が必要。

  • 手や指の消毒設備が必要。

参考:柔道整復師法施行規則

指導基準で定められた基準

「指導基準」とは、管轄の保健所が定めた基準です。「指導基準」の内容や書き方が各保健所ごとに違うため 、「構造設備基準」は一般に開設する地域で異なると言われています。 このため、必ず開設する地域の保健所が定めた指導基準を確認しましょう。ここでは東京都北区を例に取り上げます。 こちらを参考におおよその内容を理解しましょう。

【指導基準例:東京都北区】

  • 施術をする建物は構造上、住まいやほかのお店と独立をしていること。(出入り口を別に作り、住居の出入り口と区別をすること)

  • 施術を行う部屋は、待合室と動かない壁で固定し、隙間なく仕切られていることが望ましい。

  • ベッドを2台以上置く場合は、患者さんのプライバシーを守るために、カーテンやパーティションで視界を遮ることが望ましい。

さらに、あん摩マッサージ指圧・はり・きゅうの施術と、柔道整復を同じお店で行う場合は、施術を行う部屋を動かない壁で分ける必要があります。ただし、一人で二つの施術を行う場合には、仕切りを必要としません。 また、待合室は共用して使うことが可能です。(患者さんを十分に収容できる広さがあれば許可されます)

これらはあくまで一例です。細かな基準はお店を構える地域によって守るべき条件が異なります。保健所のHPで確認をし、間違えのないよう申請と内装工事を行ってください。

参考:東京都北区ホームページ

接骨院の待合室の内装

画像出典:写真AC

待合室は、施術を待つ患者さんが待機するスペースです。場合によってはたくさんの患者さんを待たせてしまうかもしれません。 そのため、待合室は患者さんがリラックスして待機できるように設計する必要があります。ここではそんな待合室の内装のポイントについてご紹介します。

壁紙や電球の色

色は、人の気分に様々な効果を与えると言われています。 淡い色はやさしい空間を演出し、青系の色は清潔感や落ち着きを与え、緑色はリラックス効果があります。 上手に色を取り入れて、待合室を快適でリラックスできる空間にしましょう。

バリアフリー

接骨院は、高齢者や車椅子を利用する患者さんを想定しておいた方が良いでしょう。 待合室から施錠室、待合室からトイレや入り口から受付までの動線をバリアフリー化しましょう。

例えば、フロアーの段差をなくしたり、吊り戸(病院で使われるスライド式の扉)の扉を採用しましょう。 特に扉は、高齢者の方の負担にならないような、開け閉めが安全で静かに行える「ダブルクローズ」機能のついたものが良いでしょう。

既存の窓に内窓を取付ける

今ある窓の内側に、窓をもう一枚取り付けます。二枚の窓の間に空気の層ができ、夏は外の暑い空気を遮断し、冬はあたたかい室内の空気を外に逃がさない効果があります。冬の窓際であっても寒くなりません。

また、このように室内の温度を適度に保つことができるので、冷暖房の節約にもつながります。

出入り口からの風を遮る間取りが理想

雪や風が出入り口から室内へ入ってこないように、壁や仕切りを設置すると良いでしょう。患者さんの出入り口と待合室は空気の流れを感じさせない造りが望ましいです。物件により既存の壁を活かせるのか、新しく施工や仕切りの設置が必要かを頭に入れて、物件選びを行いましょう。

施術室の内装

続いて施術室の内装のポイントをご紹介します。

治療機器やベッドの大きさ・数を知ること

ベッドの数や配置、ローラーベッドなど幅を取るものを考慮して、設置場所を決めておきましょう。「一度にどのぐらいの患者さんの施術が行えるのか」を、スタッフの数を含めて予測を立てると部屋の広さがイメージできます。

音を遮る静かな空間を作る

待合室の声や外からの騒音が大きい場合、施術中の人にとってみればリラックスができないかもしれません。そのため施術室は、防音効果を高める工夫を施すと良いでしょう。 壁に防音工事を施せば、外からの騒音や待合室の話し声を遮断することができます。

費用を抑えたいと思う方には、隣に並ぶベッドの間を「遮音カーテン」で遮る方法があります。 これは、樹脂で覆ったカーテンの裏地が高い音を吸収します。さらにこのカーテンは室内の話し声のほかに、外からの音も遮ります。大勢の患者さんを迎える広い施術室なら、遮音カーテンを取り付けて患者さんのプライバシーを確保しましょう。

防音工事と遮音カーテンは、患者さんの数や予算を考慮して検討してみましょう。

仕事がしやすい環境を作る

患者さんに十分なサービスを提供できる環境を整えることが大切です。そのためには、施術を行うスタッフの動線や、設備の置き場所を考慮しておく必要があります。

幅の広い通路を作る

患者さんが通る道や施術を行うスタッフの動きも考えて物件を選び、内装のプランを考えましょう。ベッドとベッドの間が狭いとスタッフ同士がぶつかってしまったりするので施術の質が落ちる可能性があります。患者さんが受けるサービスに影響が出てしまうので、患者さんとスタッフ両方の動線について予め考えましょう。

受付回りは使い勝手と整理整頓

受付は患者さんを迎える最初の場所です。入り口を正面に設置してしまうと、威圧や圧迫感を与えてしまいます。入り口は、角度をつけた配置が望ましいです。

また、受付は患者さんの保険証を預かり、カルテや保険適用の書類などを保管しておく場所です。セキュリティを高める必要があるので、防犯対策を考える必要があります。
患者さんの目に触れる機会が多いため、備品や通信機器も整えて配置をしておきましょう。見栄えの悪い電化製品からのびる配線は、設計を考えるときに対応すると、整頓された受付が仕上がります。

まとめ

接骨院の内装(改装)工事で気を付けるべきポイントを紹介しました。 内装は自由に決めることはできません。「構造設備基準」に従った内装でなければなりません。 保健所のチェック後に内装の再工事が必要になると、その分費用が発生します。そうならないためにも内装工事を依頼する際には、予め「構造設備基準」を業者に伝えておきましょう。

「構造設備基準」に従ったうえで、待合室はリラックスのできる空間になるよう、色や照明の使い方を工夫しましょう。 特に高齢者の方の利用が想定される場合には、バリアフリーを導入して患者さんの負担を減らすようにすべきでしょう。 患者さんがリラックスして施術を受けられるような居心地の良い接骨院を作りましょう。

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監修者:

渡邊 一伸(ナベさん)

大工歴35年。大手ハウスメーカーで2年間現場監督に従事。3000棟以上のリフォーム・住宅修理の工事管理の実績をもつ。阪神淡路大震災においては1年間復興財団に奔走。その後、独立し、会社を10年経営。2016年に1月に株式会社ローカルワークスに入社。