日本政策金融公庫の新創業融資制度について
店舗開業にあたり資金調達が必要になりますが、資金調達には様々な方法があります。その中でも日本政策金融公庫の新創業融資制度は最も利用されている方法と言えます。日本政策金融公庫から融資を受けるための流れを知る前に、新創業融資制度の内容を把握していることが大切です。そこで、初めに新創業融資制度についてご紹介します。
新創業融資制度とは、設備資金や運転資金といった店舗開業時に必要となる資金を融資の対象とします。設備資金には内装工事やパソコンなど、初期投資のハード面にかかる資金が含まれます。運転資金には仕入れや人件費といった売り上げが入金されるまでに毎月出て行く経費を指します。これらの資金を3000万円を限度に融資してもらえますが、1500万円は運転資金が割り当てられます。
返済資金は設備資金の場合20年以内、運転資金は7年以内と定められており、どちらも2年以内の据置期間があります。据置期間とは元本の返済を待ってもらえる期間で、この間は利息のみを支払うことになります。原則担保と保証人が不要であることも、新創業融資制度が新規開業者に有利と言われる理由です。
日本政策金融公庫から店舗開業の融資を受けるための流れ
日本政策金融公庫からの融資で利用されることの多い新創業融資制度についてご紹介しました。どのような資金が対象でいくらまで融資してもらえるのか、どれくらいの期間で返済を行えば良いのかなどを理解できても、申し込みまでに必要な書類などを用意できなければ利用できません。融資を受けるためには、専門家を通して申し込むのか否かで必要な手順が異なります。それでは、それぞれの流れを見ていきましょう。
専門家を通さない場合の流れ
ご自身で融資を受けるための申し込みをする場合、初めに事業資金相談ダイヤルに連絡します。 制度や申し込み手続きなどを日本政策金融公庫のスタッフが説明してくれます。連絡後、一度日本政策金融公庫の支店を訪れる流れになるかと思いますので、お近くの支店を訪問しましょう。
この時、借入申込書を窓口に提出することになります。申込書の他に下記の書類を準備する必要があります。ただし、現状で必要書類は変わってきます。
- 創業計画書
- 通帳コピー半年分
- 設備投資のための見積書
- 履歴事項全部証明書(法人の場合)
- 過去2年分の源泉徴収票又は確定申告書
- 不動産の賃貸借契約書(店舗分及び自宅分)※店舗は契約前であれば見積もり
- 借入金のある場合は、現在の借入残高や月々の支払額が分かる支払明細書
- 担保をご希望の場合は、不動産の登記簿謄本(担保を希望する場合)
- 運転免許証コピー
- 印鑑(印鑑証明書と同じもの)
- 印鑑証明書
- 3ヶ月分の水道光熱費の支払い状況がわかる資料
- 保険や投資しているものがあれば、それが分かる書類
必要書類の準備ができたら、担当者による面談と現地調査が行われます。融資が決定したら契約に必要な資料が送られてきますので、資料に記載をし、返信用封筒に資料を同封して送ってください。資料が日本政策金融公庫に到着後3営業日後に着金されます。
ただし、記載内容に不備や記入漏れがあると資料の再提出が必要となり、融資までに時間がかかりますので、不備のないよう気をつけましょう。
専門家を通す場合の流れ
専門家を通して融資を受ける際には流れや必要書類が異なるだけではなく、メリットもあります。
専門家とは認定支援機関に登録している方を指します。専門家を通すことで「中小企業経営力強化資金」という制度を利用できるようになり、金利を安くできたり、担保や保証人無しで融資を受けられます。
これを利用するためには、まず認定支援機関の融資専門家に電話をしてください。 連絡後、創業計画書や借入申込書の他に、事業計画書が必要です。 この事業計画書があることで、中小企業経営力強化資金制度を利用することができ、金利を約1%安くすることが可能になります。
その他の必要書類は専門家を通さない場合と共通です。専門家が書類を確認してから日本政策金融公庫に郵送されます。専門家が確認してくれるため、不備はないかなどの心配もありません。
郵送後初めて日本政策金融公庫を訪れることになり、面談となります。専門家の同席を認めてもらえることもあります。日本政策金融公庫の担当者による現地調査以降の流れは専門家を通さない時と同様です。
日本政策金融公庫に融資を申し込む際の注意点
日本政策金融公庫からの融資を受けるまでの流れをご紹介しました。ご自身のみで申し込むのか専門家を通すのかで流れや必要書類が異なります。 制度の内容や流れの把握の他に融資を受けるために確認しておくべきことがありますのでご紹介します。
申し込み要件を確認する
融資を申し込むにあたり、自己資金や経験年数が確認されます。認定特定創業支援事業の認定を受ければ自己資金要件はなくなりますが、新創業融資制度を利用する場合は10分の1以上の自己資金が必要と言われていますが、以前の新創業融資制度では3分の1が要件とされていたため、実質3分の1は必要だという意見もあります。自己資金は3分の1は用意しておくと安心でしょう。
経験年数は開業する事業での経験が6年以上あるか否か見られますが、実際には6年未満でも審査に通るケースもあります。この場合、経験内容が問われます。 たとえばアルバイトで配膳のみを行っていたのか、料理人としてメニューの考案や食材調達などを行っていたのかで評価は異なります。 未経験の業種で開業を考えた場合、最低1年は経験を積むことをおすすめします。
法人で店舗開業する場合は設立後に申し込みをする
一般的に融資金を会社の資本金にすることはできないため、法人で開業する場合は法人設立後に融資を申し込まなくてはなりません。法人で融資を申し込むためには、法人設立登記後に入手できる履歴事項全部証明書の提出が必須です。
履歴事項全部証明書の入手には1週間程度かかるため、この期間を考慮した上で申し込みから融資を受けるまでの計画を立てましょう。
新創業融資制度の面談前に確認しておくべきこと
ご自身のみであっても専門家を通しても、日本政策金融公庫の融資を申し込むためには面談があります。面談と聞くと緊張してしまいますが、どのような内容が聞かれるのかを分かっていれば、面談対策も可能ですので緊張も和らぐでしょう。そこで、面談で聞かれることの多い事項についてご紹介します。
たとえば、創業動機です。創業計画書にも記載欄がありますが、審査担当者は創業者自身の言葉で開業理由を聞きたいと思っています。また、面談は計画書だけでは説明できなかった理由を直接話せる機会にもなります。店舗の強みやどのように他の店舗と差別化を図るのかを説明できることも大切です。
面談では金銭面の確認事項も多いです。自己資金をどのように貯めたかを確認することで、創業者の金銭管理能力や事業へのやる気を確かめられます。前職の給料を貯めて開業に向けて努力してきたのか親族などから貰ったお金なのかで印象は変わってくるでしょう。
ただし、創業者の通帳をチェックすればお金の出入りは分かりますので、誰かから貰ったお金であっても自分で貯めたものであると誤魔化しては印象は悪くなります。用意した自己資金は全て店舗に使えるお金であることを説明できるようにしておきましょう。
また、売り上げや費用の見込みに合う返済計画が立てられているかも確認されますので、売り上げなどの金額と計算根拠はいつでも提示できるようにしておきましょう。無事に店舗を開業できても、経営が厳しくなる可能性はあります。そのような時の対策も立てているのかも確かめられます。万一具体的な案ができていなくても、仕入れを安く抑えるために新しい仕入れ先を探しているなど、リスクに対処できる準備はしていることをアピールしましょう。
審査担当者は面談で創業者がどれ程真剣に店舗開業を考えているのかを確かめます。しかし、担当者は特定の事業に詳しいわけではありませんので、事業特定の用語などを知っているのを当然に説明しても理解されない可能性があります。そこで、誰にでも分かりやすく説明できるように準備しておきましょう。
まとめ
店舗開業に向けて日本政策金融公庫の融資を受けるまでの流れをご紹介しました。日本政策金融公庫から融資を受けるためには専門家を通すのかご自身だけで申し込みを行うのかで利用できる制度や申し込みの流れが異なります。しかし、どちらにも様々な書類を用意したり面談をする必要がありますので、事業計画や金銭管理はしっかりしておかなくてはなりません。融資を受けて、店舗開業を実現させましょう。
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