2018年2月13日

デイサービスの開業時に必要な内装工事の中身と費用相場を解説

デイサービスを開業するときには、飲食店やアパレルのように、すべて自分の好みで内装を決めることはできません。ある程度の自由度はありますが、法律や条例などで必要とされる設備などがあり、それらを守らなければ認可が降りません。 ここでは、デイサービスを開業する上で、必ず知っておくべき内装工事の基礎知識についてご紹介します。また、内装工事の費用を抑えるためのポイントについても分かりやすく説明します。

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デイサービスに必要な設備

出典:photo-ac.com

それではまず、デイサービスにどのような設備が必要なのかを見ていきましょう。デイサービスの規模や、開業をする地域によって多少の違いはありますので、ここでは一般的に必要だとされるものを中心にご紹介します。実際に開業する際には、自治体の担当者に確認しながら、内装工事のプランを立ててください。

事務室(事務所)

デイサービスでは、利用者の設備ばかり考えがちですが、最適なサービスを提供するには、職員がきちんと仕事ができる環境が必要です。十分に余裕のある事務机とその周りの空間を用意してください。事務机と椅子は事務員の数だけ用意してください。

相談室

デイサービスには相談室が必要です。横並びでも対面でもかまいませんが、車イスでも問題なく出入りができるだけのスペースが必要です。また、エレベーターがない場合は、2階以上に設置することは認められていません。玄関のすぐ近くのようなプライバシーを守りにくい場所や、静養室の隣なども声が漏れる可能性がありますのでNGです。

会議室

デイサービスでは毎月1回自治体の担当者も含めての会議が必要です。このため、最低4人が座って話ができる会議室が必要です。ただし、相談室に十分なスペースがある場合は、相談室を会議室と兼ねてもかまいません。

食堂及び機能訓練室

デイサービス利用者にとってはメインとなるエリアです。必要な広さは「利用定員×3㎡」と決められています。テーブルや椅子は、利用者が全員同時に使えるだけの数を用意します。例えば、18人を定員とした場合の広さは、54㎡で18脚の椅子が必要になります。

ただし、これは最低限必要なスペースであり、動線などに無理がある場合には、さらに広げる必要があります。

静養室

デイサービスは宿泊がありませんので、ベッドなどが不要だと思っている人もいるようですが、介護が必要な高齢者が利用します。このため、気分が悪くなることも想定して、ベッドを設置した静養室が必須となります。

食堂及び機能訓練室に隣接する個室が理想ですが、プライバシーが守れる場合には、食堂及び機能訓練室にスペースを確保できるケースもあります。

トイレと洗面台

デイサービスの場合は、利用者がサービスを受ける場所ですので、利用者のトイレと職員のトイレ、洗面台は別に設置する必要があります。トイレの数や洗面台の数は、利用定員に合わせて、設置してください。

また、食事を提供しないから洗面台は必要ないと考えている人もいるかもしれませんが、衛生管理や感染予防のためにも、洗面台は必須です。車イスの人でも利用しやすい洗面台を設置してください。

消火設備

消防法では、150㎡未満の事務所に消火設備を設置する義務が発生しませんが、原則として消火設備は必ず設置しておきましょう。消化器だけでなく、スプリンクラーや自動火災報知設備、火災通知装置などを設置してください。

その他の設備

上記でご紹介した設備の他に、厨房や入浴設備などサービス内容に応じた設備を用意しなくてはいけません。福祉用具や備品をしまっておくための保管設備も必要です。必要だと思われるものはすべてリストアップして、漏れのないようにしてください。

デイサービスの内装工事にかかる費用相場

デイサービスは規模によって、内装工事に必要な費用が変わってきます。例えば、スケルトン物件と呼ばれる、コンクリートのむき出しの状態から開業する場合には、坪単価で15万~20万円くらいかかると言われています。入浴設備などが必要な場合は、さらに費用が発生します。

入浴設備なし40坪:600万~800万円

これらの費用に加えて、大型テレビやDVDなどの設備費用、送迎用の車両取得費なども必要になります。リハビリなども行いますので、それらの設備も含めて1500万~2000万円は必要だと言われています。

小規模デイサービスを開業する場合は、もう少し予算を抑えることができますが、それでも1000万円以上は必要です。十分な予算を確保した上で開業を行ってください。

デイサービスの内装工事費用を抑えるポイント

デイサービスを立ち上げるときに、最も高い費用となるのが内装工事費用です。できるだけ、この費用を抑えることが、経営の安定化にも繋がります。どのようにすれば、内装工事費用を抑えることができるのか見ていきましょう。

居抜き物件を活用する

デイサービスに限らず、賃貸物件で利用する場合には、ゼロから作り上げるスケルトン物件ではなく、内装をそのまま引き継げる居抜き物件のほうが、費用を抑えることができます。ただし、飲食店のように既存の内装をすべて活用できるというケースはあまりありません。

デイサービスはご紹介しましたように、設備にある程度の決まりがありますので、デイサービス施設の居抜き物件でなければ、大掛かりな内装工事が必要になります。かといって、デイサービスの廃業は、増えているとはいえまだそれほど多くありません。

居抜き物件にこだわりすぎると、いつまでも開業できませんので、物件探しをしているときに、デイサービスに利用できそうな物件があれば活用するくらいに考えておきましょう。

利用する資材のクオリティを下げる

他の施設との差別化を図るために、より高級感のある資材を利用したくなりますが、デイサービスで重要なのは、ストレスのない内装と、安心できるサービスです。木目が美しい壁や床などは確かに居心地がいいのですが、価格に見合っているかというと、必ずしもそういうわけではありません。

すべての資材に言えることですが、安全性が確保できるなら、できるだけ安い資材を使って内装工事の見積もりを作ってもらいましょう。シンプルな内装を目指せば、安い資材を利用しても、それほど安っぽくはなりません。

限られた予算で施設を作らなくてはいけませんので、見えない部分には徹底してコスト削減にこだわりましょう。

設備は自分で手配する

内装業者に手配までお願いすると、管理費もかかりますし、手数料も必要になります。トイレや洗面台、浴槽などは自分で手配することも頭に入れておきましょう。最近はインターネットでもそれらの購入ができます。

さらに、内装業者は契約している会社から内装設備を購入しますので、どうしても割高になってしまいます。内装業者の見積もりが高いようであれば、ネットショップなどを活用して、必要最低限の機能がついた安価なもので揃えましょう。

相見積もりで内装業者を決める

相見積もりも、工事費用を下げるためにはとても重要です。相見積もりを行うと、交渉をしたり、断りの連絡をしたりと、何かと手がかかってしまいます。それでも、1社に決め打ちして依頼するのと、複数社に依頼するのとでは、出て来る見積もりの金額が変わってきます。

一括見積もりができるサイトを利用するか、複数社に「相見積もりですが」という前提で、見積依頼をしてください。そうすることで、内装業者同士で勝手に価格競争をしてくれます。いつくかの見積もりを見ることで、内装工事の相場も把握できますので、極端に相場から外れた価格を提示してくる業者を省くこともできます。

注意したいのが、選定するときには価格だけで決めないということです。もちろん安いに越したことはありませんが、工事の質などが悪くては意味がありません。きちんと信頼できる業者を選んで依頼してください。どのような選び方をすればいいのかについては、次項で説明します。

デイサービス施設の内装業者を選ぶ方法

デイサービス施設の内装業者を選ぶには、相見積もりを行うのが一般的です。このとき、価格は参考程度にして、「ここなら任すことができる」業者に依頼します。そのときの選考基準について、見ていきましょう。

デイサービスの内装工事実績がある

内装工事業者ならどこでもいいというわけではありません。大事なのは過去に実績があるかどうかということです。できれば、開業する自治体での施工実績がある業者を選びましょう。デイサービスは様々なルールが定められていますので、それを把握している業者に依頼するのが理想です。

初めてデイサービス施設の内装工事を手掛けるとなると、内装工事が終わった後の監査で引っかかる可能性があります。そうなると予定通りの開業ができなくなることも考えられますので、選ぶときには実績を重視してください。

詳細な見積書を出してくれる

見積依頼をして「内装工事一式」のような見積書を出してくる業者は、できるだけ利用しないでください。まずは「明細を出してください」とお願いして、どの工事にどれくらいの費用が発生するのか、どの設備をいくらで仕入れるつもりなのかを確認しましょう。

また、見積書で分からないことがあれば、質問してみましょう。丁寧に答えてくれる業者であれば、その後の作業を任せても安心できます。反対に、専門用語を並べて説明するような業者は、避けておいたほうが無難です。

できるだけ地元の業者を利用する

デイサービスの内装業者は、できるだけ地元の業者を利用しましょう。開業後に何かトラブルが発生したときに、地元の業者であればすぐに対応してもらえます。また、自分たちが手掛けた施設ですので、それを口コミで伝えてくれることもあります。将来的には利用者になってくれる可能性もあります。

デイサービスは地域密着型のサービスですので、立ち上げのときから周辺の業者を頼ることで、その地域の活性化にも繋がります。単純にコストだけでは測れないプラスの効果がありますので、信頼できる地元の業者を積極的に利用しましょう。

まとめ

デイサービスは、開業するために飲食店やアパレルなどのショップとは違った知識やスキルが求められます。まずは、ここで紹介した最低限の知識くらいは身につけておきましょう。どのような設備が必要なのか、部屋の大きさはどれくらい取らなくてはいけないのかを把握せずに工事をすると、監査で引っかかってしまうおそれがあります。

それらを避けるためには、デイサービスの内装工事を手掛けたことのある内装業者の利用をおすすめします。可能であれば、開業する地域の内装業者を選びましょう。1社だけの見積もりですと、足元を見られた見積もりを出されることもありますので、必ず相見積もりの形にして依頼してください。

また、デイサービスは内装設備にとてもお金がかかります。何でも最高級品で揃えようとするのではなく、必要最低限の機能だけ備わった資材を選び、コストダウンを行ってください。見た目よりも、メンテナンス性を重視して、いつでも清潔な状態を維持できるような内装を目指しましょう。

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監修者:

渡邊 一伸(ナベさん)

大工歴35年。大手ハウスメーカーで2年間現場監督に従事。3000棟以上のリフォーム・住宅修理の工事管理の実績をもつ。阪神淡路大震災においては1年間復興財団に奔走。その後、独立し、会社を10年経営。2016年に1月に株式会社ローカルワークスに入社。