2018年1月29日

病院(クリニック)開業におけるコンセプトの作り方とポイント

病院(クリニック)の開業におけるコンセプトは、病院の経営や患者さんに提供する診療内容に大きく影響します。 ここでは、コンセプトの重要性やコンセプトを作るときのポイントをまとめました。 病院を開業しようと考えている方は、ぜひ参考にしてみて下さい。

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病院のおおまかな分類

病院を開業するときは、ます開業できる病院の種類について理解しておきましょう。 開業医が選択できる病院は、主に3つのタイプに分類されます。

  • 利便性重視タイプ
  • 地域密着タイプ
  • 自由診療タイプ

利便性重視タイプ

利便性重視タイプの開業医は、大病院のように複数の専門医による様々な治療や検査を行います。 そのため、患者さんは同じ病院で異なる診療科目が受診でき、点在する他の病院に行く手間を省くことができます。 特に高齢者は、病院から病院に移動するだけでも大きな負担になることも多く、異なる診療科目をまとめて受診できるのは便利だと感じてもらえるでしょう。

だだし、このような大病院を個人で開業するには土地代、建設費用、設備費用、人件費などの膨大な開業資金が必要です。 親族、あるいは親族以外の第三者からの事業承継であれば、初期投資などの金銭的な負担も少なくそのまま引き継ぐ事も可能です。

しかし、個人で一から開業する場合は、開業準備のプロセスや金銭的なことを考えると、なかなか開業に踏み切ることは難しいかもしれません。

地域密着タイプ

地域密着タイプの開業医は、患者さんにとって身近で気軽な相談ができる、いわゆる町のお医者さん「かかりつけ医」です。 ちょっとした風邪や怪我をしたとき、なんだか体調がすぐれないときなど、いつでも駆け込むことができるような心強い存在であり、地域に根差した病院でなければなりません。 医師はもちろん、看護師やスタッフが、日ごろから患者さんとのコミュニケーションを大切にしながら診療を行えるような環境を整えることが大切です。

そして入院や高度治療などの必要があれば、適切な医療機関を紹介できるように、総合病院と連携した「地域連携医療」などに取り組むことも必要でしょう。 そうすることで、患者さんにも安心して受診してもらうことができ、信頼できる病院として集患、増患も見込めるはずです。

自由診療タイプ

健康保険を利用した医療を「保険診療」と言うのに対し、健康保険が適用されない、つまり患者さんが治療費をすべて自己負担する医療を「自由診療(保険外診療)」と言います。

保険診療の場合は、どこの病院で治療を受けても医療費は同じですが、自由診療の医療費は、病院が自由に決めることができます。 そのため、医療費の設定金額次第で利益を上げることも可能です。 自由診療の代表的な治療には、がん治療などの先進医療、健康上の理由以外で行う美容整形などがあります。 開業医の場合は、美容医療を専門にした美容整形外科、美容皮膚科、美容外科、また整骨院、鍼灸治療院などが自由診療を行います。

しかし、主な治療が自由診療であっても、一部の治療に対しては保険診療を行うクリニックも存在します。 最近では、患者さんの幅広いニーズに応えて、自由診療と保険診療の両方を扱うところが増えています。 集患や増患を図るためには、ホームページやチラシ広告で自由診療のメリットなどを積極的にアピールすることが大切です。 「医療費が高い!」という自由診療のマイナスイメージを払拭させる工夫が必要でしょう。

また美容医療以外にも自由診療となる治療もあります。 内科であればインフルエンザの予防接種、健康診断、人間ドック。また歯科ではインプラント義歯治療、歯列矯正、眼科ではレーシック近視矯正手術などです。 自由診療を上手く取り入れることで、患者さんにより高度な医療を提供できることはもちろん、病気の予防や早期発見にもつながり、医療の幅を広げることができます。

病院の開業におけるコンセプトとは?

病院の開業を目指す場合においても、コンセプトは事業計画すべてに関わる重要なものです。 病院開業の場合のコンセプトは、「どんな特徴のある病院なのかを明確にする」ためのものだと捉えて下さい。

医師として、どんな患者さんに、どのような医療を提供するのかという「診療方針」をしっかりと定めることが大切です。 そしてどのような信念を持ち、何を目的として治療を行うのか、患者さんや地域にとってどんな病院でありたいのかを明確にしましょう。

病院開業におけるコンセプトの例を挙げてみましたので、コンセプト作りの参考にしてみて下さい。

【コンセプトの例】

  • 地域に根差す「家庭医(ホームドクター)」でありたい
  • 地域の様々な医療、介護サービスなどと連携し、患者さんが安心できる環境を提供する
  • 女性のライフスタイルを支援するための相談や治療を提供する
  • 在宅医療などにも対応し、地域住民の健康を支える

なぜコンセプトが必要なのか?

ではなぜ、病院の開業でコンセプトが必要なのでしょうか?ここでコンセプトの必要性をきちんと理解していなければ、患者さんに必要とされる医師、また経営者にはなれないかもしれません。 開業医は医師として患者さんに適切な治療を行うことが大前提ですが、医師であるとともに、その病院のかじ取り役、つまり経営者でもあります。

そこで、医師と経営者の二つの役割を担っていくために必要になるのがコンセプトです。コンセプトにより病院の「基本理念」「指針」が確立し、医師、また経営者としてのバランスが取れるようになります。そうすると診療内容が明確になり、病院経営の安定化に繋がっていくのです。

病院の開業でコンセプトが必要になる理由は主に以下の4つです。それぞれの理由について詳しく説明しますので、しっかりと理解を深めておきましょう。

1. 病院のスタイルなど、細かな計画が立てやすくなる

コンセプトを明確にしておくと、病院の規模、開業場所、必要な設備、スタッフの人数など細かな計画も進めていきやすくなります。

例えば、特定の疾患に対して専門性の高い医療を行う病院をを開業する場合を例にします。この場合は、同様の診療科が少ない立地を選択するのが得策だと分かります。またその治療にどれくらいの診療スペース、どんな設備が必要になるかなど、開業に関わる様々な計画がスムーズに進みます。

2. 患者さんへのアピールポイントになる

患者さんが病院に行こうとするとき「診療科目やどんな治療をしている病院なのか」が分からないと、自分の行くべき病院が判断できませんよね。 コンセプトを定めるということは、どんな症状の患者さんを対象とし、どんな治療を行う病院なのかを地域の人たちに明確に示すことでもあります。

また周囲の医療機関とは異なる診療時間や休診日を設けたり、緊急時には夜間対応するなど、自院だけの特徴があるとアピールしやすく印象にも残ります。

3. 従業員に病院の方向性を示すことができる

病院に限らず、一般企業においても従業員全員のチームワークが大切です。 医師、看護師、受付スタッフ、一人ひとりが病院の掲げる理念を共有し、同じ方向に向かって進んでいかなければなりません。

コンセプトが曖昧だと、自院が理想とする人物像を描くことができず、どんな人を採用すればいいのかも決めることができない可能性があります。 各々の経験は重要視すべき点ですが、病院の方向性に理解を示してくれるスタッフであるかどうかを見極めることも大切です。

そのようなスタッフに働いてもらえると病院の方向性が明確になり、病院の印象や雰囲気にも現れてきます。

4. 原点に立ち返って考えることができる

開業医は、医師であると同時に経営者としての経営判断や意思決定を求められることが数多く出てきます。 患者さんのニーズに応えるべく、新しい医療機器の導入などを検討することが出てくるかもしれません。

このような場面でどう判断すべきか迷ったら「自分が今、何をすべきか、求められているものは何か」ということをもう一度、再確認してみる必要があるでしょう。開業時に定めた明確なコンセプトを基に原点に立ち返えることができ、「経営理念」にぶれない適切な判断ができます。

コンセプトの作り方のポイント

最後にコンセプトを作るときのポイントについて簡単に解説します。 ポイントになる点は以下の3つです。

  1. これまでの診療経験を踏まえて、「自分の強み・弱み」は何かを分析する
  2. 強みを生かした診療方針を考える
  3. ターゲットとする患者層を定める

コンセプト作りで最も重要なのは、「自分の強みや弱み」を客観的に分析することです。 自分はどのような治療を得意としているのか、またどんな診療が不得意なのかを書き出してまとめてみましょう。 これらが明確になると、ご自身の強みを活かした他院にはない、特徴のある診療が行えます。

そしてどんな患者さんをターゲットにするのかを決めることで、提供できる診療内容もおのずと見えてきます。

まとめ

病院(クリニック)には様々な分野の診療科目がありますが、どんな病院でも必ず「コンセプト」は定める必要があります。

明確なコンセプトがあることで、開業に関するすべての計画をスムーズに進めていくことができます。 そして患者さんにも満足してもらえる治療を提供することができ、集患や増患も見込め、信頼できる病院として経営も安定します。

コンセプトを作る際には、ご自身の「強みや弱みを」分析し、強みを活かせるような治療を実現させましょう。

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