水道の口径とは
そもそも、水道の口径というものが何なのか分からないという人もいるかと思いますので、まずは水道の口径についての基本についてご紹介します。
水道管は道路の下などに埋め込まれている配水管から分岐して、宅地内の水道メーターに引き込まれます。このとき使われる給水管の大きさを示したものが「口径(口径サイズ)」です。口径は給水管の内寸(内径)によって決まり、13mm、20mm、25mmなどがあります。
口径は大きくなればなるほど、一度に流せる水の量が多くなります。13mmと20mmでは2倍以上の水量の違いがあり、20mmのほうがより多くの水を同時に使うことができます。以前は13mmの給水管が主流でしたが、新設する場合には20mm以上としている自治体も多く、一般家庭用の給水管は20mmが主流になっています。
ちなみに水道管の口径は、自分で勝手に決めることはできません。工事業者が設計計算を行い、最大使用水量などを算出して口径を決定します。その設計計算を自治体が審査して、問題なければ承認されて口径が決まります。
水道の口径の太さは誰に聞いたら分かるのか
水道の口径を変更する前にしなくてはいけないのが、現在の口径を調べるということです。とはいえ、すでに利用している水道の場合なら調べるのは難しくありません。下記のいずれかをチェックすれば口径が記載されています。
- 水道局から送られてくる「ご使用水量・料金のお知らせ」や領収書
- 水道メーターの蓋
これから家を建てるという場合は、上記の方法では調べられないこともあります。そういうときにどうすれば口径が分かるのか、詳しく説明していきます。
どこに聞けばわかるの?
水道はすべて自治体が管理していますので、口径の確認は自治体の管理部門で行えます。自治体によって部門名が違いますが、下記のいずれかに該当するはずです。
- 水道局
- 水道課
- 企業局
水道の情報(図面)は管路台帳で管理しており、窓口にて閲覧もしくは複写交付を依頼します。電話やFAXなどでは教えてもらえませんので、必要書類を用意して水道局などの窓口まで足を運ぶようにしましょう。
用意する書類
水道局などで閲覧するには、下記の2種類の書類が必要になります。
- 不動産の位置が分かるもの
- 身分証明書もしくは委任状
まず、どの場所の情報を知りたいのかを伝える必要がありますので、土地の住所がわかる住宅地図や公図、登記事項証明書などを用意してください。
管路台帳には個人情報も記載されていますので、原則として給水装置の所有者本人しか閲覧することができません。このため、本人であれば身分証明書(運転免許証やパスポート)、本人以外が閲覧する場合には委任状を用意しておきましょう。
これらに加えて、自治体によっては「給水装置に係る情報の提供請求書」や「管路情報図提供請求書」への記入が必要になります。押印をしなくてはいけないこともありますので、念のため印鑑も持っていくようにしましょう。
水道の口径を変更する際のメリットとデメリット
水道の口径を変更すると、様々なメリット、デメリットがあります。まずは、後悔しないためにも口径を変更する前に、メリットとデメリットについて理解しておきましょう。
メリット
口径を変更するにしても、増径するのと減径するのとではメリットが違いますので、それぞれについてご紹介します。
増径のメリット
- 1度に使える水栓(蛇口)の数が増える
- シャワーなどで水量不足を感じなくなる
増径すると1度に使用できる水量が増えますので、水栓の同時使用が可能になります。13mmの場合には同時使用は2つまでです。3つ以上になると水量不足が起こる可能性があるため、家族の人数が多い場合は、度々ストレスを感じることになります。
13mmから20mmに増径することで、水道使用時の水量不足が起きることもなくなりますし、タンクレストイレで水量が足りなくて流れない、というトラブルも回避できます。
1度に使える水栓の数が増えるため、洗面台やトイレを増設リフォームすることもできます。むしろ、それらのリフォームを行うとき、業者から増径を勧められることが多々あります。増径せずに増設リフォームを行うと、自治体の工事許可をもらえないことがありますので注意してください。
減径のメリット
- 水道の基本料金が下がる
一般家庭で25mmを使っている場合、20mmや13mmに減径すると基本料金が月1000円程度下がることもあります。例えば、沖縄の那覇市では13mmと20mmは基本料金が620円なのに対して、25mmは1,680円もかかります。
日常生活に問題がなければ、減径することにより基本料金が下がるため、光熱費のコストダウンに繋がります。
デメリット
デメリットもメリットと同様に、増径と減径で内容が違ってきますので、それぞれ説明していきます。
増径のデメリット
- 基本料金が上がる
- 交換工事の費用が発生する
- 水道利用加入金が発生する
増径することで発生するデメリットはいずれもコストに関するものです。自治体によって違いがありますが、13mmから20mmへの増径でも水道の基本料金が上がることがあります。さらに工事費用が発生しますので、まとまったお金が必要になります。
口径によって水道利用加入金に違いがある場合は、その差額を払う必要があります。長崎市の加入金額を例に挙げて説明しますと、
20mm:143,640円
13mm:64,800円
この場合、差額の78,840円を工事費と別に支払わなくてはいけません。水道利用加入金の金額は自治体ごとに違いがありますので、お住まいの自治体のホームページなどでご確認ください。水道の基本料金は口径によって決まるため、大きくなるほど基本料金が高くなります。
ただし、このときの口径は給水管ではなく水道メーターの口径で決まります。配水管からの分岐した給水管が25mmで、水道メーターが20mmというケースもあります。この場合の基本料金は20mmで計算されます。
減径のデメリット
- 1度に使える水量が減る
- 交換工事の費用が発生する
減径すると1度に使える水量が減ります。このため、食器洗いを使用している最中に洗濯機を回しながらシャワーを使用すると、それぞれの水量が不足することがあります。常に、どこで水を使っているか考えて利用するのは、かなりストレスが溜まりますよね。
水量が減ると、給湯器などに十分な水量が流れずに点火しないなどのトラブルが発生することもあります。このため、減径をするときはきちんと設計計算をしてもらう必要があります。
また、減径する場合にも工事費用が発生します。費用については後ほど詳しくご紹介しますが、減径をしても水道利用加入金の差額は戻ってきません。
水道の口径を変更する前に確認すること
水道の口径を変更する前には、下記の2点について確認しておきましょう。
- 本当に口径の変更が必要なのか確認する
- 依頼する業者が指定工事業者であることを確認する
まず大事なのは、本当に口径の変更が必要なのか確認することです。水量が少ないと思ったら、蛇口が劣化していただけということもあります。止水栓の調整で水量が上がることもありますので、口径の変更工事を行うべきなのか、きちんと確認することが大切です。
ご自身で確認するのは難しいかと思いますので、まずは水道工事業者に相談してみましょう。このときに相談する業者は、自治体の指定工事業者か確認してください。口径の変更工事は指定工事業者以外は施工できない、と決められています。
指定工事業者は水道局のウェブサイトで調べることができますので、リストアップされた業者の中からより信頼できるところを選びましょう。
水道工事業者の選び方のポイントは、以下の記事で詳しく説明しています。
水道工事業者を選ぶポイント
水道の口径を選ぶときの目安
大は小を兼ねると言いますが、水道の口径に関しては必ずしもそういうわけではありません。口径が大きいと水道の基本料金が上がりますし、水道利用加入金も高くなります。何より、設計上の使用量に見合った口径でないと、自治体の設計審査で引っかかってしまいます。
20mm:一般家庭
25mm:2世帯住宅
基本的な考え方としては、上のような分類になります。実際には工事業者が設計計算を行って提案をしてくれますので、目安として覚えておくくらいで構いません。問題は既存の水道が13mmだった場合で、家を建てるときや水回りのリフォームをするときに増径を勧められたときです。
悪徳業者でもない限り、工事業者は使用人数や地域の水圧、洗濯機や給湯器などの使用水量を考慮し、きちんと設計計算を行った上で検討しています。明らかに水量不足の場合は、住宅ローンなどの設計審査で差し戻される可能性もありますので、勧められたときは変更しておいたほうが確実でしょう。
新築であれば、水道メーターまでの水道は13mmのままにしておき、水道メーター以降の建物内の配管を20mmにしておくという方法もあります(自治体によってはできない場合かあります)。この場合、水量が少ないことは変わりませんが、水量不足を感じて工事を行うときに、建物内の工事をしなくて済むというメリットがあります。
予算や将来のリフォームの可能性も含めて、工事業者と相談しながら最適なサイズを決めるようにしましょう。
水道の口径を変更するときにかかる費用
水道の口径を変更する際、気になるのはやはり工事費用ですよね。インターネットで調べても出てくる金額には幅があり、どれくらいかかるのかよく分からない、という方もお思います。ですので、水道の口径を変更するときの費用について、分かりやすく説明します。
口径変更には2つの工事方法が考えられ、それぞれに費用が違います。
水道メーターのみの交換:2万~5万円
水道メーターと引き込み管の交換:40万~50万円
配水管から水道メーターまでの引き込み管を交換するかどうかで、費用は大きく変わります。水道メーターだけを交換する場合には数万円で可能ですが、引き込み管を交換するとなると、配管から掘り起こす工事が発生するため、新設するのと変わらない費用がかかります。
増径の場合には、敷地内の配管も部分的に増径を行うと、工事内容によっては100万円以上かかることもあります。また、配水管までの距離が長い場合も1、00万円を超えることがありますので注意が必要です。
これらの費用に加えて、水道利用加入金の差額や設計審査料などが発生します。自治体ごとに金額が違いますので、正確な金額を知りたい場合には、水道局や水道課にお問い合わせください。
まとめ
水道口径の変更をするのに、配水管の分岐部から水道メーターまでの工事が必要な場合には40万~50万円、距離が長い場合には100万円を超える費用が必要になります。新築や水回りのリフォームの場合でも、できれば余計な出費はしたくない方が多いのではないでしょうか。
とはいえ、ストレスを感じることなく水を使用したいのであれば、経口を20mmに変更することをおすすめします。自治体によっては「建物を新設する場合、口径は20mm以上」と決められていることもあります。もし、13mmからの口径の増径を工事業者から勧められたら、将来的なことを考えて20mmにしておくと良いでしょう。
反対に減径をする場合には、工事費用と水道基本料金を比較して、きちんと工事費用を回収できることを確認した上で行ってください。いずれにしても、専門的な知識を持った人の判断が必要ですので、まずは水道工事業者に相談することをおすすめします。その際は自治体の指定工事業者に依頼することが必須です。
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