2018年9月21日

家の増築にかかる費用相場はいくら? 増築の種類や注意点も紹介します

子どもが生まれて家が手狭になったときや、親との2世帯での暮らしを始めようとなったとき、戸建ての方なら一度は自宅の増築を検討しますよね。新しく建て直すよりも低予算で部屋を増やせる家の増築ですが、ここではそんな増築のメリットやデメリット、そしてどれくらいの予算で行えるのかを分かりやすくご紹介します。

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家を増築したときにかかる費用

増築

家の増築をする前に、どれくらいの費用がかかるのか気になるところですよね。あまりにも高額だった場合には、増築を諦めて間取り変更リフォームにしなくてはいけないというケースも考えられます。

木造住宅:35万円/畳
鉄骨住宅:50万円/畳
2階の部分増築:60万円/畳

既存の家の状態や工事環境によって違いはありますが、ざっくりとした費用としては上記のような費用相場になっています。木造住宅の1階部分を6畳増築した場合には210万円。2階に4畳の増築をした場合には240万円といったように、おおよその金額が算出できます。

ただし、これらは空間を作る費用だと考えてください。例えば2階にトイレを増築する場合には、2畳くらいですので空間の増築は120万円くらいで可能ですが、別途配管工事やトイレ本体の価格などが加わりますので、トータルで200万円前後はかかることがあります。

増築にかかる費用ばかりに目が行きがちですが、何らかの設備がともなう場合は、設備費用と付随する工事の費用が発生するということを忘れないようにしましょう。

増築工事とはどんなものなのか

増築

まずは増築工事がどのような工事なのかについて説明します。増築の定義は「同じ敷地の中で床面積を増加させること」を示します。例えば、離れを作ることも増築ですし、平屋に2階を作ることも増築です。単純に床面積が増えるものはすべて増築だと考えてください。

ただ、増築にもいくつかの種類があります。その代表的なものについてご紹介します。

差し掛け増築

最もスタンダードな増築方法が差し掛け増築です。差し掛けという日本語は日常では使われないのであまりイメージができないかもしれませんが、既存の建物に対して、壁に寄せかけるように増築するのが差し掛け増築になります。

一般的には1階に部屋やキッチンなど、空間を新たに継ぎ足したい場合に用いられます。既存の家と接する部分だけしか解体をしないで済むため、工事期間も短くて費用も抑えることができます。

おかぐら増築

おかぐら増築は、平屋の家に対して2階を増築するときに用いられます。既存の家の屋根を撤去して、その上に2階部分を継ぎ足す方法になるため、1階の強度が不足している際は、梁や柱の補強も行ったうえで2階部分を増築します。
補強に費用がかかるため、差し掛け増築よりもコストは高くなります。

取り壊し増築

取り壊しと聞くと、建て直しと同じじゃないかと思うかもしれませんが、正確には「建物の一部を」取り壊しする増築方法です。例えば、1階も2階も増築したい場合は、建物の壁も屋根も部分的に取り壊ししたうえで増築を行います。これを取り壊し増築と呼びます。

解体範囲が広く、さらに新たな補強も必要になりますので、リフォーム費用が高額になりやすい方法です。

家を増築する際のメリットとデメリット

増築

自宅の部屋数を増やす方法としては増築ではなく、建て替えという選択肢もあります。他にも、既存の床面積をそのままに、間取り変更リフォームという方法も考えられます。それらの方法と比較して、増築にはどのようなメリットやデメリットがあるのでしょうか?

ここでは、増築を行うで発生するメリットとデメリットについて、詳しく説明していきます。

増築する際のメリット

まずは、増築をするときに得れるメリットについて見ていきましょう。

  • 申請が不要な場合がある

家を建て替える場合には様々な手続きが必須です。解体するにも手続きが必要ですし、新たに立て直すにも書類を出さなくてはいけません。ところが増築では、10㎡未満の場合は確認申請をしなくてもいいという決まりがあります。

もちろん、法規に則って増築する必要はありますが、違法建築にならないのであれば申請せずに部屋を増やすことができます。ただし、防火地域および準防火地域に指定されている場合は、10㎡未満の増築でも役所に対し確認申請を行うことになるので注意してください。

  • 住みながら工事ができる

増築の種類にもよりますが、差し掛け増築などであれば既存の家での生活を続けながら工事を進めることができます。立て直しや間取り変更リフォームの場合には、工事期間中のために仮の住まいを用意しなくてはいけません。

アパートを借りるにしても入居費用や引越し費用がかかってしまいますので、思った以上にお金が必要になります。増築の場合であればそれらの費用を全てカットできます。

  • 建て替えよりも費用が安くなる

建て替えの場合には、解体工事の費用の他に廃棄物処理の費用がかかります。すでにご紹介しましたように、引越し費用も発生します。それに対して、増築の場合は新規に建てる部分の費用と接合部処理の費用だけですので、総費用を圧倒的に安く抑えることができます。

ただし、前提として既存の家の状態が良いことが条件になります。すでに家の基礎が弱くなっていたり、建物の強度が不足しているような場合には、増築時に補強工事が別途必要になるので、想定以上の出費となるケースもあります。必ずしも増築は費用が抑えられるわけではない、ということも頭の片隅に置いておきましょう。

増築する際のデメリット

増築にはメリットがいくつもあり、予算の少ない人におすすめのリフォームですが、もちろんメリットだけでなくデメリットもあります。工事をしてから後悔しないためにも、増築前にどのようなデメリットがあるのかみていきましょう。

  • 固定資産税が増える

家屋を増築した場合には、新たに不動産を取得したとみなされ、床面積の大きさに関わらず固定資産税が増税になります。

固定資産税を算出してもらうには、地方税法に基づき「家屋調査」を受ける必要があります。確認申請が不要な工事であっても、増築工事が終わったら市役所に連絡してください。

  • 外観のバランスが崩れることがある

増築はきちんと行わないと、見た目が悪くなってしまいます。外壁に同じ色の塗料を使ったとしても、古いところと新しいところでは明らかに差が出てしまいます。その差をデザインとして調和させることができればいいのですが、これはリフォーム会社の技術力によって変わってきます。

外観だけでなく、内装ももちろんバランスが崩れます。増築部分が別空間になるのであれば問題ありませんが、リビングの増設のようにひとつの空間を大きくしたい場合には、内装も合わせてリフォームすることが重要になります。

  • 耐久性に差が出てしまうことがある

既存の家は古いと増築した部分は新しいため、当然耐久性に差が出てしまいます。
そもそもの強度も違いますし、耐震に対する考え方も違います。例えば大きな地震があったときに、それぞれの揺れ方が違うために、接合部から破断してしまうこともあります。

住宅は地震に対する強度を考慮して建てられています。はそれを無視して行われるケースも有り、大きな地震があった場合には強度不足で倒壊することもあります。増築する場合には必ず災害も考慮して設計してもらいましょう。

増築するときに気をつけること

増築

家を増築するときにはいくつかの注意点があります。しっかり頭に入れておかないと違法建築で指摘されたり、想定外の見積り金額になったりして焦ることになります。「知らなかった」とならないように、気をつけるべきポイントをご紹介します。

増築工事できるか確認する

そもそも増築ができるのかどうかという大きな問題があります。土地に建物を建てるときには、建ぺい率というものがあり、敷地面積に対する建築床面積が決められています。さらに総床面積が容積率の範囲内に収まるようにしなくてはいけません。

建ぺい率は用途と地域によって30~80%の間で定められています。例えば建ぺい率が50%で、土地が120㎡なら、60㎡までの範囲内を使って家を建てることができます。仮にすでに55㎡使っていたとすると、増築で使えるのは5㎡までということになります。

土地が120㎡で容積率が80%なら総床面積は96㎡となり、平屋ですでに60㎡を使っている場合には、2階以上の増設は36㎡までと決められています。この建ぺい率と容積率を超えての増築は出来ませんので気をつけてください。

ただし、それらの計算はリフォーム会社が行ってくれます。そのようなものがあるとだけ頭に入れておいて、増築リフォームの設計をしてもらった段階で、建ぺい率と容積率に問題がないか確認してください。

水回り工事が発生する

2階に増築をする際に、トイレやお風呂、洗面所などを増やすとなったときは、通常の増築工事だけでなく、水回りの工事も発生します。給水工事と排水用配管工事、防水工事などの費用がかかりますので、予算が限られている場合には、本当に2階に水回りが必要なのかをしっかりと検討してください。

申請が必要になる

すでに簡単には触れましたが、10㎡を超えて増築する場合には確認申請をしなくてはいけません。この確認申請というのは、行政に増築の許可を取るための申請だと考えてください。

自分の土地なのだから自由に増築させて欲しいと思うかもしれませんが、自由に増築すると違法建築になる可能性があるため、事前に行政が確認して可否を判断しています。

一般的に確認申請は建築士にお願いすることになります。構造計算なども必要になってきますので、かなりの知識がある人でないと、自分で申請するのはおすすめできません。ただ、自分で建築士を探す必要はなく、増築を依頼するリフォーム会社で確認申請をしてもらえます。

審査には1~2週間かかり、許可が下りてからでないと増築工事ができません。また、工事が終わったら、申請どおりに増築できているかの完了検査も行われます。基本的にはリフォーム会社任せになりますが、行政がチェックしていることを意識しておきましょう。

増築にかかる費用をおさえるには?

増築

家を立て直しするよりは、増築したほうが費用は安く済みます。しかし、増築範囲が広い場合には、1000万円近い費用になることもあります。予算が限られているのであれば、できるだけ費用を抑えたいですよね。

予算に余裕がないときは、下記の方法で費用を抑えましょう。

  • 大手リフォーム会社ではなく、地元の小さなリフォーム会社に依頼する
  • 複数のリフォーム会社に見積もり依頼をし、相見積もりの状態にする
  • 予算を伝えてその範囲でできることを提案してもらう

まず、大事なのはリフォーム会社選びです。大手リフォーム会社に依頼した場合には、下請け会社に丸投げされるだけですので、中間マージンがかかる分だけ費用が高くなります。このためできるだけ大手リフォーム会社は利用せず、増築工事ができる地元の工務店に相談してみましょう。

その際、1社だけでなく2~4社くらいに相談して、それぞれに見積もりを出してもらうことが大切です。「他社にも見積りをお願いしている」と伝えておくと、いずれのリフォーム会社も自社で選んでほしいため、通常よりも低めの金額を提示してくれることがあります。

さらに、最初からご自身の予算を伝えておくという方法もあります。やりたいことに優先順位をつけて伝えておくと、それを踏まえたうえで出来ることを提案してくれます。あとから予算に合わないと言って値切るよりも、最初から予算を伝えている方が業者も気持ちよく仕事をしてくれます。

きちんと増築工事をしてもらうには、業者のモチベーションを下げないようにすることも重要です。いくら低予算で工事したいからと言って、業者も生活がかかっているわけですから、強引に値引きを迫られると良い気はしません。予算に合わせるため、手抜き工事をされるケースもありますので注意してください。

まとめ

増築は実質的には新しく建物を追加で建てるようなものですので、家を建てる時と同じように申請が必要です。さらには、新しく増築した部分には固定資産税がかかります。

他にも建物の強度が落ちてしまったり、見た目が歪になってしまったりと懸念点もあります。建ぺい率や容積率により、増築できる大きさにも制限がありますので、増築する場合にはそれらのデメリットも把握しておきましょう。

また、増築で重要なのはリフォーム会社選びです。費用を抑えるために相見積もりにしたり、地元のリフォーム会社に依頼したりということも大切ですが、金額だけで決めずに信頼できる業者に工事をお願いすることが何よりも重要です。

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監修者:

渡邊 一伸(ナベさん)

大工歴35年。大手ハウスメーカーで2年間現場監督に従事。3000棟以上のリフォーム・住宅修理の工事管理の実績をもつ。阪神淡路大震災においては1年間復興財団に奔走。その後、独立し、会社を10年経営。2016年に1月に株式会社ローカルワークスに入社。