テラスやベランダの出入りの際にサッシに足を取られてしまったことはありますか?布団を運んでいて足元が見えなかったりすると、つまずいたりしてしまうことがあります。
多くの場合はつまずくだけで済むことが多いのですが、お子さまやご高齢の方にとっては普通に通るだけでも危険が伴うことがあります。ましてや車椅子で通ることは非常に困難です。
そこで開発されたのが、段差のない、バリアフリー対応のサッシです。ここではバリアフリーサッシにどのような特徴があるのかを紹介します。
バリアフリーサッシの特徴
バリアフリーサッシとは、足の不自由な方や車椅子をご使用の方のために作られた、段差をなくしたサッシです。外と室内の床を繋ぐ下枠の段差をフラットにしただけでなく、車椅子で通れる開口幅や、簡単に操作可能なレバーハンドル・大型ハンドルなどが採用されています。
ノンレールサッシ
サッシの下枠の段差を無くし、さらにレールの溝も塞いだフルフラット構造のサッシです。少しの段差や凹凸も無いので、つまづいたり転倒する心配がありません。車輪の障害となる物が無いので、車椅子でもスムーズに通行することができます。
通常のレールフラット構造もレールの凹凸はないのですが、杖をついている方は溝に杖の先が引っかかってバランスを崩してしまう心配が伴います。フルフラット構造であれば、杖をついての通行も非常に安全です。あらゆる方にとっての障害を取り除いたバリアフリーサッシと言えます
限られた窓幅で大きな開口を確保
車椅子の幅を考えてみると、人一人分と余裕を持ったスペース、その外側にはひじ掛けがあり、さらに外側にタイヤがついており、思っているよりも広いことがわかります。電動のものまで含めると、JIS規格でだいたい60㎝~70㎝くらいあります。このことから考えると、車椅子で安全にストレス無く通行するには、90㎝以上の幅が必要になります。
2枚建の引違い窓として、180㎝以上の開口部があればよいのですが、それだけの幅がないことも多々あります。
そこで使用されるのが、3枚建ての引違い窓です。ガラス面を3枚にすることで、2枚建よりも通り道を広く確保することができます。例えば150㎝の開口部だった場合、2枚建てでは通行可能な幅が半分の75㎝ですが、3枚建てにすることで3枚のうちの2枚分を通る幅として使えるため、100㎝の有効開口が確保できるのです。
サポートハンドル
サッシの開閉には少なからず力が必要です。サポートハンドルは形状が握りやすく力を入れやすい構造になっているので、大型の窓や複層ガラスなどの重量のあるサッシ窓でも開閉をラクに行えます。
引手をサポートするタイプや、大型のハンドルなどもあり、ライフステージに合わせて交換することもできるようなものもあります。
バリアフリーサッシを取り扱うメーカーを紹介
LIXIL
出典:http://www.lixil.co.jp/lineup/sash/ippan/nrail/
LIXILのノンレールサッシは、レールのすき間も塞いだフルフラット構造で、段差や溝に足をとられて転倒する心配がありません。車椅子でも余裕を持って通行できるように、間口も広く確保されています。さらに雨などでサッシの周辺が濡れている状態でも滑らないようにノンスリップゴムを取り付けているので、安全に通行することができます。
レールがなく室内の床から外のテラスまで同じ高さだと、雨が入り込んできたりしないかが心配ですが、下枠が水密性を高める構造になっているので、大雨の日でもお部屋への水の浸入を防ぐことができます。
YKK AP
出典:https://www.ykkap.co.jp/search-b/elderly-sp/barrier-free.html
YKK APはアルミ建材メーカーです。YKKというとファスナーで有名ですが、アルミ建材の取扱いにはファスナーと同じくらい力を入れています。アルミサッシ国内市場におけるシェアがLIXILに次ぐ2位であることからも、YKK APは信頼できるメーカーだということがわかります。
住まいのバリアフリー化を推し進めていて、バリアフリーサッシの取扱いも豊富です。完全フルフラット構造のサッシはもちろんのこと、車椅子で通行した際にぶつかってもガラスが割れたりしにくいキックプレートも用意しています。
ご家族のライフステージに合わせて使えるように、操作部品はサポートハンドルを含めて4種類から交換することができます。
三協アルミ「マディオ」
出典:http://alumi.st-grp.co.jp/products/window/madio/sash/sash10.html
ユニバーサルデザインを採用し、どなたにとっても使いやすい構造に設計されています。サッシ下枠に補助材を取り付けることで、室内とテラスの段差を3㎜以内に抑えています。この下枠補助材は後付けが可能で、必要に応じたタイミングで取り付けることができます。
開口部は750㎜以上を確保できるタイプがあり、手動の車椅子であれば通行可能です。
ハンドルの操作性にも優れ、てこの原理で開閉時の重さを低減し、お子様やお年寄りの軽い力でも簡単に開け閉めできます。
さらにオプションとしてセーフキーパーを取り扱っています。勢いよく閉めたときに手を挟まないように先側に取り付けたストッパーで窓を止め、ゆっくりと閉めるときには通常通りに閉まるという仕組みになっています。
バリアフリーサッシの価格の目安
LIXILのシンフォニーウッディを例に、価格の目安を見てみましょう。
参考価格:117,900円(税別・工事費等別)
※引違い窓 ノンレールサッシW1,690㎜ H2,030㎜の場合
同じ寸法のノンレールサッシではないタイプの価格が91,300円なので、多少の金額の上乗せでバリアフリー対応のサッシにすることができると言えます。 ご家族のライフステージが変わると、室内のバリアフリーリフォームをする必要が出てきます。そのようなタイミングに備えて、サッシ以外の箇所も含めてバリアフリーリフォームの総予算の見積りをしておくことが大事です。
まとめ
各メーカー共に、バリアフリーに対応した様々な種類のサッシを取り扱っています。それらを比較して、ご自身のご家庭に適した窓サッシを選びましょう。
また、窓サッシを通して、室内から室外への出入りは毎日のように行います。毎日利用する箇所だからこそ、窓サッシにおけるストレスやリスクは減らしておきたいですよね。家族全員が快適に暮らせるように、バリアフリーやユニバーサルデザインに対応した、どなたにとっても利用しやすいサッシに交換してみてはいかがでしょうか。
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