階段リフォームの種類
階段のリフォームには、大きく3つの目的があげられます。
- 手すりの設置や勾配を緩やかにするなど、安全性を高める
- 天窓や飾り棚など、インテリア性を上げる
- 階段の場所を変え、より使いやすい家の構造に変更する
階段は家の中でも特に事故が起こりやすい部分でもあるため、安全性を高めるリフォームの需要が高く、既存の階段にすべり止めや手すりをつけるだけの工事は費用も工事日数も抑えられ、転落事故のリスクを削減することができます。
一方、急な勾配を緩やかにするなどの工事は、家の構造から変える必要があり、費用が高額になりがちです。
階段のリフォームといっても、階段の一部を「部分的」にリフォームする場合と、階段や家の中の別の部分も同時に「全体的」にリフォームする方法があり、リフォーム内容が大きく異なってきます。
まずは、部分リフォームと大規模な全体リフォームでは、どのようなことができるのかを、見分けてみましょう。
【部分的な】階段リフォーム
部分的な階段リフォームでは、既存の階段の位置を変えることはできません。しかし、階段の位置は変えずに、できる階段リフォームもいくつかあります。
例えば、
- 手すりの設置・交換
- すべり止めシートの貼り付け
- 階段の踏み面の交換
- 階段の窓設置
- 階段の勾配を緩やかにする
などは、大規模な工事を行わなくても、リフォームすることができます。
手すりの設置・交換
手すりの取り付けは、階段リフォームの中でもっとも需要が高いリフォームです。
手すりがあることによって体を支えることができ、足腰の負担軽減にもなります。
階段の左右に切れ目なく取り付けるのが最善ですが、厳しい場合には降りる際の利き手側に取り付けると良いでしょう。
また、階段の手すりには、大きな力がかかる場合があるので、しっかりと取り付ける必要があり、下地が弱い場合には下地の補強から行わなければなりません。
自己判断が難しく、取り付けが甘いと大きな事故に繋るため、DIYは控えて業者にお願いするようにしましょう。
手すりを新たに設置する場合や既存の手すりを新しい手すりに交換したい場合は、階段の壁を利用して設置するため、階段そのものを工事する必要がなく低予算で済みます。 下地が弱い場合には、別途下地工事が必要になるため費用が上乗せになることがあり、築年数の高い家では特に、下地の工事なしで手すり取り付けが可能なケースは少なく、手すりの価格・下地補強と取り付けの費用がかかるのが基本です。
下地補強まで合わせた総額は10万〜15 万円程度が相場です。 階段で使用する手すりの値段は、長さあたりで変わるため、コーナー部分が多い「かね折れ階段」や「らせん階段」は、費用も多少高くなってしまいます。
また、飾り付き手すりなどは本体価格が25万〜30万円のものもありますので、希望によっては費用が大きく上がります。
一般的に取り付ける手すりの太さは、32㎜程度ですが、お子さんがいる家庭では、しっかりとつかめるように、あまり太くない手すりにするとよいでしょう。
より安全な昇降のために、すべり止めシートも同時に取り付けることをオススメします。
階段すべり止めシートの貼り付け
階段で起きてしまう事故は、「踏み外し」や「すべりによる落下・転倒」がほとんどです。 転倒落下を防ぐためにも、階段の踏み面や段鼻(階段のきわ)にすべり止めのシートを貼ることをオススメします。
すべり止めは、階段全体に取り付けるマットや、端に貼る目立たないシールなど、種類も豊富で、デザインや雰囲気に合わせて選ぶことができます。 階段すべり止めシート・マットは1万円以下の製品が多く、材料費が安く収まります。
また、設置作業も難しいものではないため業者に依頼しても費用はさほどかさみません。
総額で1万円〜2万円程度が相場で、もっとも費用が安く済ませることができるリフォームです。
階段の踏み面の交換
階段本体は交換せずに、階段の踏み面のみを交換することができます。 階段部材の種類には、カーペット・フローリング・コルクなど様々あり、部材の種類を変えたい、汚れやめくれが目立つなどの理由で、行うのが階段部材交換です。
階段そのものを交換するのは、大がかりな工事になり、費用も膨れてしまうため、階段の勾配や幅の変更する必要がない場合は、階段ごと交換する必要はないので、階段板のみを交換する階段部材交換がおすすめです。
階段がキレイに生まれ変わるので、雰囲気を変えたい方に多いリフォームです。
また、素材によって肌触りやすべりにくさなどの特徴があるため、目的に応じて素材を選ぶとよいでしょう。 階段部材の種類によって材料費に差があり費用も変わりますが、15万〜30万円程度と考えておきましょう。
階段の窓設置
日中、照明なしで階段を明るくする窓は、階段の印象を大きく変えてくれます。
また、風通しもよくなるので、間取りによっては廊下や玄関などの換気が簡単になります。
窓の種類や個数にもよりますが、20万〜35万円程度が相場で、階段の窓は小口なものが多いので、2窓以上設置するのが一般的です。
階段の勾配を緩やかにする
きつい勾配の階段を緩やかにしたい場合は、既存の階段を一度撤去する必要があり、階段の作り直しは他の部分リフォームより工事費が高くなってしまいます。
しかし、他の空間への影響はあまりないため、大規模工事にはなりません。 既存の階段の勾配を緩くするには、階段を長くして、段数を1〜2段増やす必要があるため、スペースにゆとりがある場合のみ施工できるリフォームです。
勾配を緩くすることで、階段が伸びて階段下にデットスペースが生まれてしまうため、階段下に収納を作ることでスペースを有効活用することができます。 検討の際は、同時に階段下収納を確保できる工事方法を相談しましょう。
また、階段の勾配は、緩ければ緩いほどよい、というわけではありません。勾配が緩くなると、踏み面が長くなり、2階に到着するまでの歩数が増えてしまいます。 適当な階段の勾配は、年齢や体格によって、大きく異なるため、実際にいろいろな階段で昇り降りしてみて、自分にあうサイズを見つけるとよいでしょう。
急勾配な階段を緩やかにしたい場合は、階段の安全性向上を目的としているので、手すりも同時に取り付けるケースが多いです。 階段の段数を増やして勾配を緩やかにする工事は、約25〜40万円で行うことができ、既存の階段を一度撤去して再構築しながら勾配を緩める工事は、約100〜120万円かかります。
【大規模】階段リフォーム
階段リフォームは、階段だけをリフォームしようとすると、できることに限界があります。
しかし、大規模リフォームで家全体を一気にすれば、階段も自分好みにデザインすることができます。 既存の階段の撤去や新設が必要な階段リフォームは、家の間取り変更が必要なものが多く、階段リフォームの中でも高額になってしまいますが、自由自在にデザインすることができ、満足感も高まるでしょう。
大規模リフォームでできる階段リフォームには、
- 階段場所の変更
- 階段用昇降機の設置
- 階段の種類を変える
階段場所の変更
間取りを大きく変更したいときや、より快適な動線を確保するために行われるのが、階段そのものの場所を移動するリフォームです。
階段の位置を変更すると、1階と2階の間取りにも影響があるため、階段の工事単体だけでなく家全体のリノベーションの際に同時に行うとよいでしょう。 間取り変更を含むような大規模リフォームでは、間取りに合わせて自由に階段の位置を決めることができます。
しかし、自由に階段の位置を変えることができるのは、在来木造の家(木造軸組工法)のみなので注意しましょう。
階段の位置を変更する工事は、既存の階段の撤去費用・新設工事含めて80万円程度が相場です。
家の大掛かりな構造変更によって100万円を超える場合もあります。
リノベーション内容によっては相場通りにはいかない場合も多くあるため、事前に業者と相談しましょう。
階段用昇降機の設置
階段用昇降機やホームエレベーターは、高齢の方や足が不自由な方など階段の昇り降りが難しい方が階段を使うことを助けてくれるもので、少しの段差であれば、より手軽に設置することができオススメです。 階段にレールを設置し、レールの上を昇降機が移動することで座ったままの昇降を可能にします。
階段が直線なのか、曲がり角があるのかによってレール価格と施工費用が大きく変わりますが、昇降機本体が50万〜120万円程度と高価で、大きさやデザインなどによっても価格が違うので取り付けたい階段の種類を知っておく必要があります。
階段用昇降機自体が重いため、設置には階段の補強が必要になります。
階段用昇降機本体価格に加え、階段補強と取り付け費用がかかるため、施工費が高くなりがちです。
家の耐久性にも関わることですので、信頼できる施工業者にしっかりと相談して設置するようにしましょう。
階段用昇降機本体・階段の補強・施工費用はしっかりと業者と打ち合わせて設置するようにしましょう。
階段の種類を変える
大規模なリフォームを行う場合は、階段の大きさや、種類も自由に決めることができます。 階段の種類は大きく「直階段」「かね折れ階段」「折り返し階段」「らせん階段」「カーブ階段」「スケルトン階段」の6種類に分けることができます。
それぞれの階段にメリット・デメリットがあるため、詳しく見ていきましょう。
直階段の費用・メリット・デメリット
直階段のメリット
直階段とは、上の階と下の階をまっすぐな階段で繋ぎ、スペースをあまり必要としない階段です。 踊り場を設ける必要がない直階段は、狭くて小さな住宅でよく使われています。
見通しがよく、設置費用も他の階段に比べると比較的安く、階段下にデッドスペースができるため、収納スペースを設けることができる点も特徴的です。
直階段のデメリット
一方で、直階段は勾配が急になりやすく、お年寄りや足腰が弱い方には昇降時に体に負担がかかってしまいます。 また、階段で足を踏み外してしまった際に、一番下まで落ちてしまう危険性があることがデメリットとして挙げられます。
直階段の費用相場
直階段の設置にかかる費用は、段数や階段の素材によって、多少のバラつきはありますが、20〜35万円程です。
かね折れ階段の費用・メリット・デメリット
かね折れ階段のメリット
かね折れ階段は、階段の途中でL字型に曲がっている形の階段を指します。 折れ曲がっている部分に、踊り場があるため、昇り降りする際の負担は、直階段に比べると少なくなります。
また、バランスをくずして足を踏み外してしまっても、階段の一番下まで落ちる危険性は少ないため、けがをするリスクを減らすことができます。
かね折れ階段のデメリット
安全面で優れている反面、かね折れ階段は直階段に比べると多くのスペースが必要になり、面積が大きい分、費用もかさんでしまいます。
かね折れ階段の費用相場
かね折れ階段の設置にかかる費用は、直階段よりも少し高く、30〜40万円が費用相場になっています。 折り返すことで、段数が増えて勾配が緩やかになり、安全性の高い造りのため、お子さんやお年寄りがいる家庭に向いているでしょう。
折り返し階段の費用・メリット・デメリット
折り返し階段のメリット
折り返し階段はU字型・コの字型に折り返された階段で、かね折れ階段同様、踊り場があり、学校などの階段を想像するとイメージができるでしょう。 折り返し階段は、広い踊り場があるため、安全性が高く、上がる場所とたどり着く場所が同じなので、間取りを考えやすいです。
折り返し階段のデメリット
折り返し階段は、段数が多く、踊り場もあるため、大きなスペースが必要になってきます。 スペースに余裕があれば問題ありませんが、居住スペースが狭くなってしまうこともあります。
折り返し階段の費用相場
折り返し階段の、設置費用は、既製品の使用であれば、25〜40万円で設置することができます。
らせん階段の費用・メリット・デメリット
らせん階段のメリット
らせん階段は、一本の柱を軸に、らせん状に回りながらステップが設置されているタイプです。 一般的に、部屋の真ん中に設置して、空間を効率的に使うことで、コンパクトなスペースにも設置することができるため、狭小住宅にもオススメです。
また、オブジェのような存在感があり、圧迫感もなく、インテリア性が高いので、「魅せる階段」として人気があります。
らせん階段のデメリット
らせん階段はおしゃれな分、複雑なステップの組み合わせでできているため、設置費も高額になりやすいというデメリットがあります。
また、踏み台が三角形になっているため、階段を踏み外しやすく、家族構成などによっては不向きな場合もあります。
らせん階段の費用相場
らせん階段は、アルミ製の階段を使用すると比較的安く設置することができ、アルミ製の階段を使うと、150万円程になります。
カーブ階段の費用・メリット・デメリット
カーブ階段のメリット
カーブ階段は、サーキュラー階段ともよばれ、緩やかなカーブが特徴で、輸入住宅や洋風の住宅によくみられるタイプで、ゴージャスな印象を与える階段です。
らせん階段に比べると、カーブが緩やかで、ステップも三角形でないものもあるため、昇降時の不安要素は少なく安心して使うことができます。
カーブ階段のデメリット
カーブ階段は広いスペースを要するため、狭小住宅への設置は居住スペースが狭くなってしまうため、オススメできません。
スペースがたくさん必要なカーブ階段を設置したい場合は、空間のゆとりを十分に考えた上でプランを立てるとよいでしょう。
カーブ階段の費用相場
カーブ階段は、既存品を設置する場合は、比較的安く、100万円程度で工事ができますが、造作すると高額になります。造作の場合、階段の段数や幅、使う素材によっても費用が変わってきます。
スケルトン階段の費用・メリット・デメリット
スケルトン階段のメリット
垂直の蹴込み板がなく、部屋全体を見渡すことができる階段で、シースルー階段と呼ばれることもあります。 垂直の板がないことによって、開放感のある部屋を演出し、デザイン性にも優れています。
スケルトン階段のデメリット
スケルトン階段は開放感のある空間をつくることができますが、階段下に収納スペースを設置することができません。
また、垂直の板がないので小さな子供は隙間から落ちてしまうリスクもあり、家族構成によって落下防止などの安全対策が必要になります。
スケルトン階段の費用相場
スケルトン階段は、木とアルミを組み合わせたタイプで、150万円程の予算が必要になります。
階段リフォームのポイント
建築基準法に応じた階段
階段のリフォームを行う前に、最低限知っておくべきことは、建築基準法に基づいた階段の各パーツのサイズです。 階段の各パーツは、昇り降りのしやすさや、安全面への配慮から、規定内のサイズで階段をつくる必要があります。
- 横幅75cm以上
- 蹴上げ23cm以下
- 踏み面15cm以上
が、建築基準法をもとに最低限守る必要があるサイズです。
この法律を守りつつ、一般的に昇降しやすい階段のサイズは蹴上げ18〜20cm、踏み面20〜22cmになっています。
手すりに関してもいくつかの義務があり、
- 手すりの設置
- 片側だけに手すりを付ける場合、手すりがない側は側壁またはその代わりのものとすること
と、あります。
ご自宅の階段とはいえ、規定に沿ってデザインやサイズを決める必要があることを忘れないようにしましょう。
詳しくは、建築基準法施行令 第23条 (階段及びその踊場の幅並びに階段の蹴上げ及び踏面の寸法)でご確認ください。
▼参考▼
【建築基準法施行令 第23条】
階段の明るさ
段差が多く、勾配のある階段は足元が暗く、夜は特に足元が見えづらくなってしまいがちです。 足元が暗いと、つまずいたり、踏み外したり、転倒する危険性が高まるため、階段自体の色を明るめにすることをオススメします。
サイズと勾配
階段を使う方の年齢や体格などによって、「ちょうどいい」階段のサイズが異なります。 また、サイズに加えて勾配にも気を配る必要があります。 勾配を緩やかにすれば蹴上げは短く、昇りやすいと感じる方は多いですが、緩ければ緩いほどいい、というものでもありません。 実際にいろいろな階段で昇り降りしてみて、自分にあうサイズを見つけるとよいでしょう。
階段のすべりにくさ
階段の床材は、リビングや廊下の床材と揃えることが一般的ですが、踏み台の部分は滑りにくいコルクやカーペットを使用することをオススメします。 階段をすべりにくくするためには、一段一段の踏み面にカーペットを貼ると格段に安全性があがります。階段はすべらないことを一番に考慮し、すべり止めを別途で設置してもよいでしょう。
階段リフォームの施工例
【階段リフォーム事例】その1
昇り降りがしやすい階段にリフォーム!
- BEFORE
- AFTER
【階段リフォーム事例】その2
階段手摺取り付け工事 価格5.5万円(税込)
- BEFORE
- AFTER
【階段リフォーム事例】その3
立川市 階段リフォーム 安心して昇り降りができます
- BEFORE
- AFTER
階段リフォーム費用を抑えるコツ
バリアフリーに関する助成金制度を使う
階段のリフォームは、施工内容によって補助金の申請ができます。階段リフォームで申請ができるのは、介護保険の「介護保険住宅改修費助成制度」です。対象となる階段リフォーム工事の内容は、手すりの取り付け、すべり止めカーペットの取り付け、床材へのすべり止め表面加工などがあり、支給額は18万円が上限です。
介護保険住宅改修費助成制度は、原則一人一回までの支給ですが、 - 要介護状態区分が3段階上がった場合 - 転居した場合
は、同じ施工内容でも再申請することができます。
補助金を受けるには、必ず工事前に自治体への申請が必要になるため、工事前に申請しましょう。
相見積もりをとる
このポイントは、どのリフォームでもいえることですが、業者に見積もりを依頼する際は、必ず3社以上から見積もりをもらうようにしましょう。3社以上から見積もりをもらうことによって、適正価格が分かりやすくなります。また、多くの会社から見積もりをもらうことによって、1社だけでは見抜けなかった問題点に気づく可能性もあります。
複数の会社に見積もりを依頼する際は、工事内容と使う床材を統一してください。 工事内容や使う床材によって、値段の差があるので、統一しなければ複数社に見積もりを依頼する意味がなくなってしまいます。
ただし、業者を選ぶ際には、値段だけにこだわらないようにしましょう。 納得のいく階段リフォームに仕上げるためには、自分たちのイメージにあった工事をしてくれる業者なのか、というポイントも忘れずに業者選びをしましょう。
階段リフォームまとめ
家の中で危険の多い場所である階段のリフォームは、安全性を重視するものが多く、需要も高いリフォームです。
手すり一つ設置するだけで足腰の弱いご家族は安心して昇降ができ、家内部での行動範囲を広げることができます。
手すりの設置に加え、階段部材を選ぶことで転倒転落のリスクを下げ、足腰の負担を軽減させることも可能です。
家族が毎日、昇り降りする階段だからこそ、事故防止を考えたリフォームをしましょう。
いかがでしたでしょうか。なるべく費用を抑えてリフォームをしたい方へお知らせです。リフォマは中間業者を介さずに、ご要望に合う専門業者を直接ご紹介します。中間マージンが上乗せされないため、管理会社や営業会社などより安く費用を抑えることができます。下記のボタンからお気軽にご相談ください!
まずは相談から
渡邊 一伸(ナベさん)