大規模修繕が必要な理由
大規模修繕は工事期間が長く費用もかかるため、「何かトラブルが発生した際に行えば良いのでは」と後回しにされがちです。しかし、問題が起こる前と後では工事内容が異なりますし、症状が現れてから工事を行うとさらに費用もかかります。
そのため定期的な補修やメンテナンスは、居住者の安全かつ快適な暮らしに欠かせません。
まずは、改めて大規模修繕の目的について考えてみましょう。
安全な居住性を保つため
外壁などは雨や風などの過酷な環境にさらされているため、見た目には変化がなくても日々劣化しています。劣化した壁の一部が剝がれて落下し、人や物に当たる危険もあります。そのため外壁の塗装や屋上の防水膜の剥がれ、コンクリートのひび割れなどが見られたら、建物全体の安全を保持するため早急に修繕しましょう。
資産価値を高めるため
大規模修繕工事の前後でマンションの売却価格を比較すると、工事後の方が高くなるといわれています。 また、マンション購入を検討している人が、大規模修繕がいつ行われ、どのような工事を実施したのか、今後修繕予定はあるのかなどをあらかじめ確認することも珍しくありません。
長期固定金利の住宅ローンの中には、長期修繕計画書の内容や修繕積立金も審査対象となっており、大規模修繕が可能な物件でないとローンが組めないものもあります。 このように工事の有無がマンションの価値を左右するといっても過言ではありませんので、大規模修繕はきちんと行う必要があるといえます。
時代に合った住みやすい建物にするため
築年数の経過したマンションでは、住み始めた当初は気にならなかった場所に、居住者が不便を感じる可能性があります。
たとえば、段差でつまずく方が多ければスロープにする必要があるでしょう。安全な歩行のために手すりも設置するなど、大規模修繕でバリアフリーに対応するマンションも珍しくありません。
マンションの設備は時代と共に利便性が求められますし、新築時は最新だったものも古くなっていますので、最新設備への入れ替えが行われることもあります。
大規模修繕を怠ると起こり得るトラブル
次に、大規模修繕をしないと起こり得るトラブル事例をご紹介しましょう。
防水効果が落ちて亀裂が発生する
外壁などが塗りたての頃はツヤがあり、防水効果もある状態です。しかし、経年と共にツヤが失われてきて、防水機能の劣化も始まります。防水効果が失われ始めたサインとして、水をはじけないために外壁などが湿気たりゆがみが生じます。
頻繁にゆがみが起きたり、大きなゆがみになると壁には小さなひび(ヘアークラック)や小さな亀裂が入ります。
弾力性のある塗料であればヘアークラックは起こりにくいですが、塗料も経年劣化するため修繕をしなくてはいけません。塗料の質が良くなかったりゆがみが大きかった場合、塗装したばかりでもヘアークラックが起こることがあります。
すぐに修繕を行えば、大きなトラブルにはつながりませんが、放置しておくとひびや亀裂はどんどん拡大し、すき間から雨水などの侵入につながります。
建物の土台や基礎部分が劣化する
塗装した時にできる塗膜は水の浸入を防ぐ役割をしますが、経年劣化した塗料は塗膜も薄くなっており、水が浸入しやすくなります。防水シートも経年劣化するため、防水機能が弱まり、木材やコンクリートを劣化させます。
劣化が続くことで建物の土台や基礎部分の劣化が早まり、マンション全体の強度に影響を及ぼす恐れがあります。
大規模修繕に必要な工事と注意点
大規模修繕が必要である理由については、おわかりいただけましたでしょうか。ここからは、大規模修繕の具体的な工事内容や注意点についてご紹介します。
仮設物や足場の設置
工事期間中は作業の準備を行うための場所や、作業で使用する資材を保管する倉庫などが設置されます。休憩所や手洗い場、トイレや廃材コンテナの他に、外壁やベランダなどを修するために足場も組まれます。足場の外側は透過性のあるシートで覆い、塗料などの飛び散りを防ぎます。
下地・タイル補修工事
外壁タイルとコンクリート面の接着が弱まると、タイルが浮くという現象がみられます。浮きが生じると見た目が悪くなるだけではなく、すき間から雨水が浸食し、躯体を脆くする原因となるため、エポキシ樹脂の接着剤で浮きを固定する必要があります。浮いている箇所を見落とさないために、事前に入念な打診調査が大切です。
タイルのひび割れが一カ所でもあれば、他の場所でも同じような状態になっているかもしれせん。放置すればひびがさらに大きくなる懸念もありますので、割れた箇所は最優先で補修してもらうようにしましょう。
ベランダなどの手すりの根元が腐食すると、支柱周辺のコンクリートの亀裂の原因となります。手すりの防錆処理でも修繕可能ですが、設置してから年数が経過している場合は既存のものを撤去後に新しいものを設置します。
コンクリートは内部の鉄筋の腐食が進むと膨張し、最悪の場合は内部から破裂します。鉄筋が剥がれ落ちる現象を爆裂といい、事故にもつながるため注意しなくてはいけません。
シーリング工事
シーリングとは窓や扉の枠周辺にはめ込まれたゴム状のもので、劣化してしまうと防水機能の低下や、タイル同士が擦れてひび割れの原因となります。劣化を確認したときは事故が起こる前に交換する必要があります。基盤に適した材質のものを選ぶことでシーリングの劣化を抑え、効果を発揮することにつながります。
洗浄工事
外壁は雨や風にさらされるため汚れやすく、汚れを放置しておくと壁が劣化して耐震性や耐久力が落ちてしまいます。
そこで行いたいのが、外壁などの洗浄です。美観を向上させることに加え、目立たなかった劣化部分を見つけやすくすることにもつながります。温水洗浄や高圧洗浄など、汚れ具合や洗浄の目的で作業方法が決められます。
塗装工事
塗装工事は外壁塗装と鉄部塗装に分けられます。外壁塗装は美観を保ち、防水性を維持するために行われます。大規模修繕の際には、マンションの印象を変えるためにこれまでと異なる色の上塗り材を選ぶこともあります。
鉄部塗装は鉄製部材の錆や腐食の進行を遅らせるために行われます。劣化の予防ができれば大規模な工事をしなくて済むかもしれません。
塗装する場所によって、通行や出入りができなくなる場合があります。
防水工事
漏水が起こると建物内部で水漏れの被害が発生するだけでなく、建物全体の耐久性も低下していきますので、防水工事が行われます。 床面に雨水が浸入するのを防ぐことを目的に、主にベランダや屋上に対して工事が行われます。
床面工事
廊下や階段の防水対策のために塩ビシートを貼る工事が行われます。塩ビシートを貼り直すことで防水機能の向上だけではなくデザイン性の向上にも役立つため、色や柄選びも重要になります。また、通行に支障をきたさない日程で工事を行うことが大切です。
居住者への説明が大切
実施する工事内容にもよりますが、大規模修繕は、工事期間が長く居住者に不便を強いることになります。工事に関する情報が行き渡らないとクレームやトラブルもに発展する恐れもあるため、細かな配慮が重要です。
例えば、足場が組まれると侵入者を心配する方が多いため、足場入口の施錠の徹底や死角となる所に防犯カメラを設置するなどの対策をとるケースもあります。
また、作業員が足場を使用して作業を行う際は、プライバシー確保のために、カーテンを閉めたり洗濯物を干さないよう居住者に協力をお願いする場合も多いです。ベランダの私物を撤去する必要性なども丁寧なアナウンスが必要でしょう。
理事や修繕委員の方は、スムーズに大規模修繕を進めるためにも、まずは、居住者が工事内容や日程日程を把握しておけるよう事前に周知をしておくことが重要であることを覚えておきましょう。
まとめ
大規模修繕の必要性と工事内容をご紹介しました。費用も日数もかかる工事ではありますが、後回しにしてしまうと、その分劣化は進み、大きなトラブルにつながります。マンションの安全性・快適性の向上はもちろん、資産価値維持のためにも大規模修繕は必要と言えるでしょう。
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