2018年5月25日

大規模修繕にかかる費用の目安と工事費用不足を防ぐポイント

タワーマンションの多くが、大規模修繕費用が不足しているというようなニュースなどを見ていると、自分のマンションは大丈夫なのか気になりますよね。避けて通ることのできないマンションの大規模修繕。いったいどれくらいの費用が必要なのでしょうか。ここでは大規模修繕にかかる費用の目安と、工事費用を抑えるためのポイントをご紹介します。マンションの修繕費用が足りているのか不安な人や、修繕委員会のメンバーになってこれから大規模修繕を進めていかなくてはいけない立場になった人はぜひ参考にしてください。

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大規模修繕工事にかかる費用の目安

大規模修繕

出典:photoAC

それではまず、大規模修繕工事にどれくらいの費用がかかるのか見ていきましょう。マンションの規模などによって変わってきますが、一般的にどれくらいの金額を用意すればいいのか見ていきましょう。

一般的な1戸あたりの金額

大規模修繕で必要になる1戸あたりの費用は「60万~120万円」くらいです。金額に幅があるのはマンションの戸数や修繕内容によって違うためです。ただし、これらは目安でしかなく、120万円以上の費用が必要になることも珍しくありません。

修繕費用が不足しがちなタワーマンションの場合は、1ヶ月に4万円集めても億単位で不足することもあります。それは極端な例ですが、価格の高いマンションほど1戸あたりの金額は大きくなる傾向にあります。

1戸で100万円と考えれば、戸数が40戸あるなら4000万円の費用が必要になります。このようにして導き出した金額をベースに長期修繕計画書が作られ、各戸が1ヶ月あたりに積み立てる金額が決定されます。

戸数以外に工事費に影響を与える要因

マンションは戸数が多ければ多いほど修繕工事費は大きくなりますが、工事費に影響を与えるのはそれだけではありません。例えば次のようなものが工事費に影響します。

・マンションの高さや形状
・導入して売る設備の数
・老朽化の進み具合

工事費に影響をあたえるのは上記の3点です。後ほど詳しく説明しますが、基本的な考え方として、工事が大掛かりになればなるほど費用はアップします。大規模修繕は足場を組んで工事を行いますので、タワーマンションなどになるとそれだけで費用が高額になります。

デザイン性が高く複雑な形状をしているマンションも、足場を組むのが大変です。吹き抜けがあるような場合には、そちらにも足場が必要です。シンプルな形状で、なおかつそれほど高さのないマンションほど工事費は安くなります。

外壁塗装や屋上防水、金属部分の塗装などが一般的な作業ですが、それらに加えてエレベーターや機械式駐車場、オートロックなどの機械設備も定期的な修繕が必要です。このような充実した設備があると工事がアップします。

また、老朽化が進みすぎている場合には、その修繕に手間と時間がかかります。塗装の老朽化くらいなら通常の修繕の範囲内で直せますが、クラックなどが入っている場合には、原因解明と対処をしなくてはいけません。その結果、工事費がアップします。

何回目の修繕かによって金額が変わる

工事費は何回目の修繕なのかによっても金額が変わります。これは、すべての設備が同じように老朽化するわけではないためで、1回目よりも2回目、2回目よりも3回目のほうが費用は高くなります。

1回目
外壁改修、床・屋上防水、鉄部塗装

2回目
1回目+金物や設備機器などの取り替え

3回目
2回目+玄関扉やサッシなどの取り替え、エレベーターなどの設備の取り替え

このように、回数が増えるたびにするべきことが多くなります。このため、同じように積み立てをしていても、2回目3回目になると修繕費用が足りなくなります。このため、長期修繕計画書を作るときには、3回の修繕まで考えて積立金額を決めなくてはいけません。

3回目の修繕でマンションはほぼ全面改修ができますので、4回目は3回目よりも費用が安くなります。ただし、3回目の外壁塗装を上塗りで行った場合、4回目には古い塗装を剥離する必要があります。そうなると、4回目でも高額になるケースもあります。

工事費が高くなるケース

大規模修繕の工事費はマンションごとにバラツキがあると説明しましたが、工事費が高くなるマンションには共通点があります。どのようなケースで工事費が高くなるのか、詳しく見ていきましょう。

15階以上のタワーマンション

マンションの大規模修繕は基本的に足場を組んで行いますが、足場はどこまでも高く出来るわけではありません。周辺環境にもよりますが14階くらいがいいところです。それ以上の高層マンションの場合は、屋上からゴンドラを吊るすか、移動式昇降足場を設置する必要があります。

いずれも作業効率がよくないため、工事に時間がかかります。工期はそれだけ人件費に影響するため、どうしても工事費がアップしてしまいます。また、それらの設備を使う費用もかかりますので、高額な修繕工事費が必要になります。

また、タワーマンションの大規模修繕はリスクが高いため、修繕工事のできる業者はそれほど多くありません。値引きをしてまで実施しようとする業者もほとんどいませんので、高額な費用が発生します。

機械設備が老朽化している

エレベーターやオートロック、機械式駐車場といった設備機器は、30年くらいで交換が必要になります。

オートロックにするだけでも1000万~2000万円かかり、エレベーターの交換でも同じくらいの金額が必要です。 機械式駐車場は台数にもよりますが、もっとお金がかかります。このような機械設備の交換が大規模修繕と重なった場合には、工事費がかなり高額になります。

グレードアップ工事を行う

マンションを建てたときには必要でなかった設備が、後から必要になることがあります。例えば、マンションの住民が高齢化し、バリアフリー工事をしたいという意見が総会で出て、実施が決定されると当然想定外の費用が発生することになります。

バリアフリー工事に限らず、大規模修繕に合わせて、これまでよりも使い勝手を良くするグレードアップ工事を行うと、修繕工事費は高くなります。

工事費用を抑えるポイント

大規模修繕の工事費用は住民の修繕積立金を使って行います。そのため、予算には限りがありますので、できるだけ工事費は抑えたいところです。どうすれば、大規模修繕の工事費用を抑えることができるのか。そのポイントについて説明します。

・管理会社に任せない
・相見積もりで業者を選ぶ
・コンサルタントを雇う

大規模修繕を行うには専門的な知識が必要です。さらに修繕委員会をしてくれる適任者が見つからないこともあり、マンションの管理会社に大規模修繕を完全に丸投げしているケースがほとんどです。そうなると、管理会社の下請けが工事を行うこともあり、競争原理が働かずに工事費用がどうしても高くなります。

これを回避するには、管理会社に任せずに自分たちで工事業者を選ぶしかありません。そのときに1社だけに見積依頼をするのではなく、複数の業者に見積もりをしてもらい、相見積もりの状態にします。

競争相手がいるとなると、どの業者も仕事を請けるために限界まで見積金額を下げてくれます。その結果、管理会社に依頼するよりも、はるかに安い金額で大規模修繕を行えます。ただし、自分たちで選ぶには知識や経験が必要ですよね。それができないから管理会社に丸投げになっているわけです。

住民の中に大規模修繕に関する知識がある人がいないのであれば、コンサルタントを雇うという方法もあります。コンサルタント費用がかかるじゃないかと思うかもしれませんが、管理会社に依頼するよりは、トータルの費用を抑えることができます。

これだけでも工事費用を数千万円減らせることもありますが、マンションが大きい場合などは、それでもまだ積立金が不足することもあります。そんなときにどう対処すればいいのか、その方法について次章で説明していきます。

工事費用が足りない場合に取る方法

大規模修繕は長期修繕計画書を作って積み立てをしているとはいえ、実際に見積もりを出してもらうと、思った以上に工事費用が膨れ上がることがあります。最近は工事業者も忙しく、予定通りの修繕であっても、人件費の高騰で予算オーバーとなることもあります。

工事費用が足りないからといって工事をやめてしまうと、今度はマンションの資産価値が下がってしまいます。何よりも、生活で不便を感じることも出てきます。なんとしてでも、最低限の工事はしたいところです。そういうときにどう対処すればいいのか説明します。

・必要な額を積み立てられるまで工事を延期する
・住民から一時金を集める
・工事内容を見直す
・金融機関からお金を借りる

工事費用が足りないときに取るべき方法は上記の4点です。それぞれの方法について説明しますので、工事費用不足で困っている人は、ぜひ参考にしてください。

必要な額を積み立てられるまで工事を延期する

積立金の不足分がそれほど多くないのであれば、工事を延期するというのもひとつの方法です。不足分を補うまでに1年以上もかかるのであれば、それだけ老朽化も進んでしまいますので、あまりおすすめできませんが、半年程度なら問題ありません。

業者に出してもらった見積もりをベースに、どれくらいの期間で不足分を補うことができるのかを計算してみましょう。また、業者には事情を説明して、数ヶ月後でも同じくらいの金額で工事してもらうように交渉しておきましょう。

住民から一時金を集める

工事を延期して不足分を補うまでに1年以上かかりそうなら、住民から一時金を集めるという方法もあります。例えば40戸あるマンションで1000万円不足しているなら、1戸あたり25万円徴収することですぐに工事できます。

すでにマンションの外壁にクラックができていたり、共有部分で雨漏りが発生していたりするようですと、工事の先送りというのは好ましくありません。このため、多くのマンションで、一時金を集めて早急に大規模修繕を行っています。

ただし、一時金の額が大きすぎると、支払いできない住民も出てしまいます。その場合、総会で認可されない可能性もあります。不足額があまりにも多い場合には、一時金以外の方法でお金を揃えるようにしましょう。

工事内容を見直す

シンプルに工事内容を減らすというのも選択肢のひとつです。調査結果を元に、急ぎで修繕しなくてもいい箇所はそのままにしておいて、次回の修繕で直すようにしましょう。またグレードアップ工事を考えていた場合は、それらを見送るようにしましょう。

また、エレベーターや機械式駐車場、オートロックなどは、必ずしも大規模修繕時に行わなくてもかまいません。まだ寿命を迎えていないのであれば、これらの設備は別のタイミングで、新しいものに取り換えるようにしましょう。

最近は機械式駐車場を廃止して、平面駐車場にするというマンションも増えています。利用台数が減っている場合には、機械式駐車場にこだわらないようにしましょう。もちろん住民の同意が必要ですが、そのような方法もあるということを頭に入れておいてください。

金融機関からお金を借りる

修繕工事は先送りできない。でも一時金も集められない。そういう場合には、銀行などの金融機関からお金を借りましょう。多くの金融機関で、マンションの大規模修繕用のローン商品がラインナップしています。金利も比較的低く、返済の負担もそれほど大きくなりません。

借りたお金は、大規模修繕後の積立金で返済します。このとき、続きの積立額を増額しておくと、次の修繕でお金が足りないということを回避できます。ただ、積立金の増額も総会での同意がないとできません。長期修繕計画書を見直しして、なぜ増額が必要なのか、住民にきちんと理解してもらいましょう。

まとめ

大規模修繕にどれくらいの費用がかかるのか、そして費用が不足したときにどうすればいいのかについてご紹介してきました。これまで大規模修繕を行ったことのない人も、いくらくらいの予算が必要なのか見えてきたかと思います。

きちんと積み立てを行っているとはいえ、実際に見積もりを依頼してみると、想定よりも高額になることがよくあります。そのときにはどうするべきなのか、大規模修繕の時期が近づいてきたら、総会などで話し合いをしておくと、不足金が発生したときにスムーズな対応が可能です。

不足が分かってから何とかしようとしても、住民全ての理解を得るのはとても大変です。場合によっては大規模修繕を進められず、マンションがどんどん老朽化していくことも考えられます。そうならないためにも、普段から大規模修繕の必要性についてきちんと話し合いをしておきましょう。

もちろん、大規模修繕の費用を抑えるための努力もしてください。管理会社に丸投げでは予算がいくらあっても足りません。コンサルタントを雇い、少しでもコストを抑えるように協力してもらいましょう。

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