2018年6月29日

マンションの大規模修繕で、まず知っておくべき大まかな流れ

マンションは月日の経過とともに確実に劣化していきます。このため、必ず大規模修繕を行わなくてはいけません。大規模修繕の経験がない方は、何から手を付けていいのか分かりませんよね。ここではマンションの大規模修繕における基本的な流れや進め方について、分かりやすくご紹介しています。

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大規模修繕はいつ実施したらいいのか

大規模修繕

出典photoAC

大規模修繕の実施は、マンションの理事会や総会で決定されますが、基本的には長期修繕計画に従って行われます。しかし、マンションは予定通りに劣化するわけではありません。予定よりも早くにトラブルが発生することもありますので、その場合は予定期日になっていなくても、大規模修繕を行うことになります。

大規模修繕を検討するきっかけとしては、次のようなケースが多いようです。

・長期修繕計画の予定日が近づいてきた
・日常点検で問題が頻繁に起こるようになった
・マンションの住民から要望が出た

修繕委員会を立ち上げる

マンションの理事会や総会で大規模修繕の実施が決まったら、次に行うのは修繕委員会を立ち上げることです。「理事会や総会が担当すればいい」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、それでは一部の人に負担が偏ってしまいます。

修繕委員会の役割は、大規模修繕を進めていくことにあります。決定権などは理事会にあるため、あくまでも決定をするための情報収集などを行うのが、修繕委員会だと考えてください。

マンションの規模にもよりますが、5人くらいで委員会を組むといいでしょう。忙しい方も多いでしょうから、常に全員がそろうわけではありません。できるだけ1人1人の負担と責任を減らすためにも、これくらいの人数がいると安心です。

委員会のメンバーは、基本的にはマンションの住民から希望者を募るようにしましょう。ただし、名乗り出てくれるケースはまれです。希望者がいなかった場合は、理事会の経験者にお願いすることになります。それでも決まらないのであれば、理事会や総会が引き受けることになるかもしれません。

それも難しい場合は、管理会社にすべて任せることになりますが、その場合は費用が高くなる傾向にあります。2~3割ほど修繕費用が増すこともありますので、誰も修繕委員会を引き受けない場合は、追加で修繕費が必要になる可能性があることを居住者にアナウンスしておきましょう。

大規模修繕の進め方

修繕委員会が立ち上がったら、どのようにして工事を進めるのかを決めていきます。一般的には次の3つの方法があります。

・設計施工会社などのコンサルタントに委託する
・管理会社に委託する
・マンションの管理組合で進める

それぞれにどのような特徴があるのかを見ていきましょう。

設計施工会社などのコンサルタントに委託する

マンションの調査・診断・修繕委員会のサポートと、工事の監理をコンサルタントに委託します。工事そのものは別の業者が行うため、大規模修繕にかかる費用が明確になるだけでなく、工事現場を監視してくれるので手抜き工事などを防ぐことができます。

しかし、工事の施工会社とは別にコンサルタント会社と契約するため、費用が高額になってしまうというデメリットがあります。

管理会社に委託する

マンションの管理会社に委託すると、修繕委員会や理事会の負担が大幅に減るというメリットがあります。一方で、施工会社の選択は管理会社が行うため見積もりの比較ができません。

マンションの管理組合で進める

もし、マンションの住民に大規模修繕の知識がある専門家がいる場合などは、どこにも委託せずに自分たちだけで進めていくという方法もあります。

調査会社や工事会社の選定などを、すべて自分たちで行うため時間がかかりますが、業者を公募することで費用を減らすことができます。

建物の状態を診断し、工事を設計していく

工事の進め方が決まったら建物の診断・調査を行い、どのような工事を行うのかを決定します。どのように工事を進めるのか、委託先はどこにするかによって流れが少し違ってきます。

コンサルタントに委託する:コンサルタント会社が調査・診断会社を決定
管理会社に委託する:管理会社が調査・診断会社を決定
管理組合で進める:調査から工事までを工事施工会社にまとめて依頼

いずれも調査や診断は、専門に行っている業者に依頼します。その調査結果をもとに、それぞれの委託先が修繕仕様書や積算資料を作成します。管理会社で進める場合は、工事施工会社に調査結果から工事までをすべてまとめて依頼します。

調査や診断を行う前に、住民に対するアンケートを取っておくと要望を事前に把握できます。あとから不満が出てこないようにするためにも、マンションの住民に困っていることを確認しておきましょう。

工事会社を決める

工事内容が決まったら、それをベースにして施工会社の選定を行います。基本的には工事施工会社を決定するのはマンションの管理組合ですが、管理組合が進めていないときは委託先が行います。

管理会社が工事施工会社の募集をした場合、関連の下請け業者が工事を行うことがほとんどです。このため、決定権が管理組合にあっても1~2社程度しか選択肢がなく、修繕費用が割高になるということがあります。

コンサルタント会社に依頼した場合は、比較的中立な立場で募集をしてくれますし、なおかつ最適な施工業者選びのアドバイスもしてもらえます。このため、コストを抑えるために工事の品質が低い業者に依頼することを回避できます。

資金の計画を決める

工事会社が決まると修繕費用が確定します。そこで次に行うのは資金をどうするかということです。積立してきた金額内で収まれば問題ないのですが、3回目の大規模修繕くらいになると、1億円以上かかることもあるため積立金だけではまかなえなくなることがあります。

この場合の選択肢は3つあります。

・修繕項目の変更
・マンションの住民から追加徴収
・金融機関からの借り入れ

まずは、工事施工会社やコンサルタント会社、管理会社から工事金額と工期についての説明を受けて、修繕委員会や理事会が資金繰りも含めた検討を行います。一般的なのは住民からの追加徴収ですが、あまりにも高額すぎると総会での決議が通りません。

追加徴収の場合は1世帯あたり100万円くらいが限度額だと言われています。予算が足りなくて修繕できない、という事態を防ぐためにも長期修繕計画を定期的に見直し、早めに月々の積立費を増額するなどの対策を行っておきましょう。

最近はマンション共用部分リフォーム融資を利用して、マンションの大規模修繕を行うケースが増えてきました。マンション共用部分リフォーム融資とは、共用部分のリフォーム工事や耐震改修工事などが対象となる融資のことです

住民の負担が一時的に重くなってしまいますが、3回目の大規模修繕が終われば次の修繕はそれほど大掛かりなものにならないため、修繕積立金で返済できる可能性もあります。

いずれにしても修繕は必須であり、予算は限られています。潤沢な予算があるのでなければ、修繕委員会や理事会で幾つかの案を検討します。このとき、コンサルタント会社に委託していれば、過去の実績から最適な資金調達方法の提案をしてもらえます。

総会で決議をし、工事契約を結ぶ

大規模修繕を行う際の最終決定は、マンション住民による総会で決定します。理事会や修繕委員会で決めるのは、業者の絞り込みと修繕内容の決定までです。住民の承認なしでいきなり修繕を行うことはできません。

・修繕内容
・工期とスケジュール
・会計

この3点について理解してもらい、その上で過半数以上の同意が得られれば工事契約を結ぶことができます。ここで否決されると大規模修繕は先延ばしされますが、先延ばしになってもよいことはありません。

マンションの老朽化が進み、資産価値はどんどん下がります。それだけでなく、生活をしていて不便に感じるところも、月日を重ねるごとに増えていきます。そのため、第三者的な立場で大規模修繕の必要性を説明できる、コンサルタント会社や管理会社の存在は重要です。

コンサルタント会社や管理会社は総会でも合意のためにサポートをしてくれるため、世帯数が多いマンションの場合はとても心強い味方になってもらえます。管理組合が中心になって進める場合は、契約書に問題点がないかなどを自分たちで判断していく必要があることを心得ておきましょう。

工事の実施から完了まで

実は工事が始まってからも、修繕委員会はやらなくてはいけないことがたくさんあります。工事中と工事完了時、それぞれに何をしなくてはいけないのかを見ていきましょう。

工事中にすべきこと(委託先がある場合)

・スケジュール通りに進んでいるかの確認
・委託会社からの報告書のチェック
・住民と工事施工会社の橋渡し

基本的には、問題なく修繕が進んでいるかの確認を行います。スケジュール通りに進んでいるのか、委託会社からの報告書を確認しながら定期的にチェックします。遅れが生じている場合は、納期までに終わるのか確認と調整を行います。

また、大なり小なり住民の不満が出てきます。騒音問題や汚れ、現場作業員の対応など不満を感じることになる要素はいくつもあり、それを聞いて工事施工会社に伝えることなども修繕委員会の役割です。

工事中にすべきこと(委託先がない場合)

・工事監理
・住民への告知

委託先がある場合は、細かいスケジュール管理などは委託先がまとめてくれます。管理組合が中心になって進めている場合は、すべての監理を修繕委員会や理事会で行わなければいけません。もちろん工事施工会社にも監理スタッフがいますので、工事すべての指示を出す必要はありませんが、頻繁に打ち合わせをすることになります。

また、通常は委託先が行ってくれる住民への通知も自分たちで行わなければいけません。「断水のお知らせ」や「洗濯物干し不可」などの通達も修繕委員会で行います。

工事完了時にすべきこと(委託先がある場合)

・委託会社からの報告書の確認
・工事完了引き渡し書の取り交わし
・書類の確認

工事そのものは委託会社が責任を持って行ってくれます。このため委託先がある場合は、報告書を確認して書類上の手続きを行えば大規模修繕は完了となります。

工事完了時にすべきこと(委託先がない場合)

・工事がきちんと行われているかの検証
・工事完了引き渡し書の取り交わし
・書類の確認

委託先がない場合は、工事がきちんと行われているのかを自分たちで検証することが大切です。ただし、プロであっても手抜き工事を見抜くことは難しいため、ほとんどは工事箇所の確認をするだけで終わります。工事施工会社を信用するしかないというのが現実です。

工事箇所の確認をしたら、こちらも書類上の手続きをすれば工事完了です。

アフターサービス

大規模修繕を行ったら、それで次の大規模修繕まで何もしなくていいというわけではありません。むしろ重要なのは、工事が終わった後のアフター点検です。基本的には見積もり条件に含まれていますので、施工会社の義務として行われます。

通常は引き渡し後、数年ごとに定期点検を行い、必要に応じて補修工事を行います。保証期間内であればもちろん無償で直してもらえます。保証期間は工事内容ごとに違いますが、例えば外装塗装であれば、5~7年間は工事施工会社負担で修繕してもらえます。

まとめ

マンションの大規模修繕の基本的な流れや進め方について、おわかりいただけましたか。委託会社に依頼をするにせよ、管理組合で進めるにせよ、誰かが舵取りをしなければマンションの老朽化が進み、資産価値がどんどん下がっていってしまいます。共有部分での雨漏りなど、生活の中でも不便に感じることが増えてきます。

修繕委員会や理事会は大変な役ですが、まずはご自身のマンションに最適な進め方や方向性を決めるなどできることから着手し、大規模修繕をすすめていきましょう。

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