空き家とはそもそも何なのか
出典:photoAC
空き家の解体について説明する前に、その定義と種類について説明しておきます。空き家だと思っていたものが、定義上は違かったということもありますので、自分の持ち家が該当するのか確認しておきましょう。
空き家とは
国土交通省が定めた空き家の定義は下記のようになっています。
「空家等」とは、建築物又はこれに附属する工作物であって、居住その他の使用がなされていないことが常態であるもの、及びその敷地(立木その他の土地に定着する物を含む。)をいう。ただし、国又は地方公共団体が所有し、又は管理するものを除く。
ここでいう「常態」については、「空家等に関する施策を総合的かつ計画的に実施するための基本的な指針」に記載されています。
居住その他の使用がなされていないことが常態であるとは、建築物等が長期間にわたって使用されていない状態をいい、例えば概ね年間を通して建築物等の使用実績がないことは1つの基準となると考えられる。
出典:空家等に関する施策を総合的かつ計画的に実施するための基本的な指針
国は平成26年11月に、空き家を放置しておくことで起こる周囲の被害を未然に防ぐ対策として、特別措置法を施行しました。
特別措置法では、空き家の実態調査や所有者へ適切な管理の指導などが定められています
そもそも空き家とは、約1年間通して居住者がおらず、全く使用された形跡がない建物のことを指します。 以前は空き家でも立ち入ると不法侵入になるため、敷地内に入ることができませんでしたが、特別措置法により立ち入り調査ができるようになりました。
空き家の種類
現在、全国での空き家数は推定で1000万戸を超えていると言われています。2033年には2000万戸を突破すると言われ、大きな社会問題に発展しつつあります。
空き家は下記のようにいくつか種類があります。
- 二次的住宅
- 賃貸用または売却用の住宅
- その他の住宅
二次的住宅は分かりやすく言えば別荘のようなものです。最近では都内で仕事をする方が、職場の近くにマンションを借りて仕事で遅くなった日だけ利用する、というケースが増えています。これも居住しているわけではありませんので、空き家としてカウントされます。
賃貸用または売却用の住宅とは、将来的に人が住むことが前提となっている住宅です。現在売りに出されている住宅や入居者待ちのアパート・マンション・一軒家も、利用する人がいなければ空き家になります。この賃貸用住宅は人口の減少にともない、今後大幅に増えると想定されています。
そして、最も大きな問題となっているのがその他の住宅です。誰かに貸し出す予定もなく、転勤などで持ち主が長期不在の状態になっている住宅を指します。他にも、地方にある実家を継いだものの、生活の拠点にすることなく放置しているものも含まれます
特定空き家って何?
特定空き家とは、長い間放置されて倒壊などの危険な状態にある空き家のことです。
下記に該当するものは、特定空き家に指定される可能性があります。
- 倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある
- 著しく衛生上有害となるおそれのある
- 適切な管理が行われないことにより著しく景観を損なっている
- その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である
特定空き家であるかどうかは市町村が認定し、解体や修繕、木の伐採などの指導、勧告、命令を行います。 特定空き家の持ち主はその指示に従い、適切な対応を行わなくてはいけません。
空き家を解体するメリットとデメリット
空き家の処分に困っている方は、まずメリットとデメリットを比べてみましょう。それぞれ理解した上で解体を検討することが大切です。
空き家解体のメリット
- 市町村からの指導や勧告がなくなる
- 管理の負担から開放される
- 土地の売却をスムーズに行える
持ち家が特定空き家に認定されると、市町村から何度も改善のための指導が入ります。それらを無視していると特定空き家に対する、固定資産税の住宅用地特例が解除されたり、強制的に解体が行われてその費用を徴収されたりします。
空き家を解体してしまえば、市区町村からの指導はなくなります。 特定空き家ではないときは、きちんと管理している状態だと思いますが、人が住むかどうか分からない建物に、お金を掛けてメンテナンスを続けると金銭面で大きな負担となります。
解体してしまえばメンテナンスが不要になるだけでなく、市町村からの対応もしなくて済みます。売却を考えている場合は買い手が見つかりやすく、スムーズな売却を期待できます。
「家があったほうがお得じゃないか」と思うかもしれませんが、よほど魅力的な家がでもない限り、解体することになるため更地のほうが好まれます。
空き家解体のデメリット
- 固定資産税の住宅用地特例がなくなる
- 解体費用が発生する
- 思い出の家がなくなる
大きなデメリットとしては、固定資産税の住宅用地特例から外れるため、固定資産税が上がるという点が挙げられます。土地に居住するための家が建っていると、固定資産税と都市計画税が軽減されます。
小規模住宅地
固定資産税:価格×1/6が減額
都市計画税:価格×1/3が減額
土地の評価額が高い地域では、この措置がなくなることで高額な固定資産税を支払うことになります。但し、特定空き家に認定されると、固定資産税の住宅用地特例の適用が認められなくなるため、解体しなくても増額になります。
国の指導で空き家の解体を行うと、解体費用は空き家の持ち主が負担することになります。具体的な費用については後ほど説明しますが、一般的には数百万円かかるため、それだけのお金を用意しなくてはいけません。
そして、なかなか解体に踏み切れない理由のひとつとして、ご自身が過ごしてきた思い出の場所がなくなるという懸念です。特に地方のでは、持ち主が解体したくても親族の反対にあって解体できないというケースがあります。 人によって空き家を解体することで大きな喪失感を生む、ということを頭に入れておきましょう。
空き家の解体に踏み切るポイント
空き家を解体するメリットとデメリットを理解したところで、次に解体に踏み切るためのポイントをご紹介します。
- 特定空き家に認定された
- メンテナンスが負担を感じる
- 賃貸にしたいが建物が古すぎて借り手が見つからない
- 土地活用をして利益を得たい
特定空き家に認定されたら、今後住む予定がないのであれば解体するべきタイミングだと考えてください。市町村も適当に認定しているわけではなく、このままでは危険だと感じて認定しています。
また、空き家をメンテナンスをきちんとしていても、それを継続するのが難しくなったときも解体しましょう。経済的負担が大きくなったり、体力的にも手入れができないいのであれば、状態を維持するのは簡単ではありません。
賃貸用の物件でも、築30年のような古い物件では借り手がなかなか見つかりません。不動産業者からは家賃の値引きを提案され、それでもまだ借り手が1年以上見つからないという場合は、賃貸物件としての価値を疑いましょう。
買い手が見つからないようなら、更地にして駐車場にするなどの土地活用する方法もあります。資産に余裕があれば新築に立て直すのもよいですし、トランクルームや駐車場であれば少ない投資資金から始められます。
維持していても利益を得られないのであれば、解体して活用することも選択肢のひとつとして考えてみてください。
解体費用の目安
空き家を解体するにしても、先立つものがなければ解体できませんよね。空き家を更地にするのにいくら必要なのでしょう。解体費用は現場の状態によって変わってきますが、一般的には下記が解体費用の相場です。
木造建築:25,000~40,000円/坪
鉄骨建築:30,000~60,000円/坪
鉄筋コンクリート建築:35,000~70,000円/坪
坪数が35坪だとすると木造の解体費用は87.5万~140万円という計算になります。思ったよりも掛かりますよね。これだけの金額をいきなり用意するのは難しいという方もいるかと思います。そういう方のために、資金調達の方法をご紹介します。
市町村の助成金
空き家は国にとっても問題になっていますので、国が補助してでも空き家を減らすべく動いています。このため市町村によっては解体に助成金を出すところがあります。
例えば横浜市では、耐用年数を経過している建物の解体に工事費用の2/3(最大150万円)の助成金が用意されています。 自治体ごとに助成金の有無が違いますが、ある場合には積極的に利用すべきです。解体する前に市役所などに問い合わせて、助成金が出るかどうかを確認しておきましょう。
空き家解体ローン
自治体の助成金が出ないときは全額自己負担になります。もし一括で用意できないのであれば、空き家解体ローンを利用しましょう。空き家問題の解決のために、多くの自治体が地元の銀行などの金融機関に対して、空き家解体ローンの要請をしています。
この空き家解体ローンは、利用しやすいように金利が低く設定されています。返済期間や借りられる額は金融機関ごとに違いますが、一般的なサイズの家であれば融資金額が足りないということはまずありません。お金を借りる際は、地元の銀行や信用金庫に問い合わせしてみましょう。
解体業者を選ぶときのポイント
解体工事では、業者選びがとても重要になります。
しかし、見積もりを出してもらわないことには、どれくらいのお金を用意しなくてはいけないのか分かりませんよね。
ここではスムーズに解体工事をすすめるために、解体業者選びのポイントをご紹介します。
必要な登録をしているか確認する
依頼する業者が、建設業許可がある、もしくは解体工事業の登録をしていることを確認します。ホームページがあればほとんどのところが登録を掲載しているはずです。掲載されていないときは、必ず問い合わせをして国に認定された業者であることを確認した上で、見積を依頼をしてください。
いずれも持っていないという場合は、見積金額が安くてもトラブルに繋がる可能性があります。そのような業者は利用しないほうが無難でしょう。
複数の業者に見積もりを出してもらう
見積依頼をする場合は、1社ではなく複数の業者に依頼します。1社だけに依頼すると、見積の金額を比較できません。業者によっては、相場よりもかなり高い金額を提示してくることがあります。その金額が妥当かどうかを判断するには、複数の業者との比較が必須です。
見積金額だけで決めないほうがいい
見積もりが出揃ったら、あとは依頼先を決めるだけなのですが、ここで注意したいのが金額だけで決めないということです。極端に安値になっている業者は、手抜き工事をしたり技術がない可能性があります。
解体工事で手抜きされてしまうと、近隣とのトラブルにつながります。そのため、あまりにも安すぎる業者はおすすめできません。何にでも適正な価格というものがありますので、相場を考えた上で安値の業者を選びましょう。
さらに、その業者が信頼できるかどうかというのも重要です。解体工事は工事業者と施主がきちんと打ち合わせをすることで、スムーズに進めることができます。担当者の態度が悪い、工事に対する説明が曖昧という業者ではなく、見積の金額が多少高くても、「ここなら大丈夫」と思える業者に依頼してください。
まとめ
自分の持ち家に関しても、解体すべきかどうかの判断材料になったのではないでしょうか。
空き家は放置していても良いことはありません。
特に活用する目的のない空き家は、維持するだけでもお金がかかりますし、かといって放置していると強制解体となり、その費用を支払うことになります。
解体することを心苦しく思う方もいるかもしれませんが、ここで紹介した内容を参考にして、最適な方法で業者を選んで解体を進めるようにしてください。
いかがでしたでしょうか。なるべく費用を抑えてリフォームをしたい方へお知らせです。リフォマは中間業者を介さずに、ご要望に合う専門業者を直接ご紹介します。中間マージンが上乗せされないため、管理会社や営業会社などより安く費用を抑えることができます。下記のボタンからお気軽にご相談ください!
まずは相談から