2019年4月19日

解体工事の流れを徹底解説! 業者の選びから工事後に必要なことまで

解体工事は、ただ取り壊して土地を更地にするだけではありません。工事の過程で様々な手続きが必要となり、トラブルなく工事を終えるための準備も重要です。ここでは、知っておきたい解体工事の流れ、注意点などを詳しく紹介しています。解体工事を行う方は、全体の流れを把握するのにお役立てください。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • メールで送る

解体工事をする前に行うこと

解体工事

出典:photo-ac.com

家の建て替えで解体工事をする場合には、ハウスメーカーが解体工事も行ってくれることもあります。更地に戻す場合は、解体専門の業者に依頼したほうが無難でしょう。工事を依頼する業者が決まったら、解体工事に向けての準備を行います。

このときにすべきことは下記の3つです。

  • 届け出の提出
  • 近隣への挨拶
  • 引込配管や配線の撤去依頼

いずれも解体工事が始まる前に必ずしておかなくてはいけません。どのような準備をしなくてはいけないのか、詳しく見ていきましょう。

解体工事で必要な届け出の提出

解体工事は勝手に行っていいものではなく、きちんと届け出を出さなくてはいけません。
届け出として掲出することになるのは下記の4種類です。

  • 建設リサイクル法の事前申請
  • 建設工事計画届
  • アスベスト除去に関する届出
  • 道路使用許可申請

建設リサイクル法の事前申請は、床面積の合計が80㎡以上の建物を解体工事するときに必要な届け出です。工事着手する日の7日前までに各自治体の窓口へ提出します。提出義務は施主にありますが、解体業者が代行で提出することもできます。

建設工事計画届は建物の高さが31mを超える場合の届け出ですので、マンションやビルの解体でもない限り提出は不要です。 古い家を解体するときは、アスベストが使われている可能性があります。アスベスト除去作業をする届け出は、4日前までに自治体の窓口に提出しなくてはいけません。

家の付近に車を停める所がなく、公道に作業車を停めることになった場合は、道路使用許可申請を提出します。こちらは解体業者が提出しますが、ときどき面倒だからという理由で申請を出さない業者がいます。近隣に迷惑をかけることになりますので、申請したかどうかの確認はしておきましょう。

近隣への挨拶回り

解体工事を滞りなく行うためには、近隣への挨拶が必須です。解体工事は大型の機械を使って行いますので、どうしても振動が発生しますし、粉塵も飛び散ってしまいます。

解体工事ですので、ある程度は近隣の方も許容してくれますが、すべての人がガマンできるわけではありません。突然解体工事が始まると、不快に思う方も出てきます。トラブルにならないためにも、解体業者は事前に近隣への挨拶回りを行ってくれます。

この挨拶回りには依頼者も一緒についていきましょう。それだけで近隣からの苦情は大幅に減らすことができます。知らない人が挨拶に来るよりも、普段顔を合わせている方が説明に来たほうが近隣の人も安心します。

業者が一緒に行けないときは、あなただけでも挨拶に行くようにしてください。「ご迷惑をおかけしますが、よろしくお願いします」のひと言だけで構いません。解体工事後に家を建てるのであれば、近所との付き合いはこれからも続きます。人間関係を悪化させないためにも積極的に行ってください。

引込配管や配線の撤去依頼

解体工事のスケジュールが決まったら、ライフラインの撤去依頼を行います。ガスや電気などの配管や配線を残した状態では解体工事ができません。 必ず下記の撤去依頼を行ってください。

  • 電気関係
  • ガス関係
  • 排水関係
  • 電話線やケーブルテレビの配線
  • 水道関係

この中で早めに連絡しなくてはいけないのが、ガスと電話線やケーブルテレビの配線です。都市ガスの場合は数日で撤去してもらえますが、プロパンガスは小さな会社が管理していることもあり対応に時間がかかります。
電話線やケーブルテレビの配線も依頼してから撤去まで10日程度かかることもあります。

電気は電力会社、ガスはガス会社に依頼して 、「解体工事をするので切り離してください」と言うだけで伝わります。水道は散水などで必要になりますので、撤去はしないでください。解体業者と相談し、いつまでに撤去するのかを決めた上で水道局に連絡します。

排水設備は自治体が管理していますので届け出が必要です。自治体によって方針が違いますので、まずは上下水道局などに連絡しましょう。

解説工事の流れを徹底解説

それでは、実際に解体工事が始まってからの流れを見ていきましょう。解体工事が始まってしまうと、施主ができることはほとんどありません。しかし、きちんと作業が進んでいるか危険な工事をしていないのかなど、時々は現場に足を運んで工事を確かめることが重要です

問題が起きていないかを判断するためにも、解体工事の流れと工事内容を把握しておかなくてはいけません。ここでは、どのような手順でどのような作業を行うのかを説明します。

足場と養生シートを設置する

解体工事で足場を組む理由は2つあります。

  • 高所作業を安全に行う
  • 養生シートを設置する

高所作業では安定した足場がないと転落する恐れがあります。作業員が安心して解体作業するために必ず足場を組みます。この足場が敷地の外にはみ出していないか、施主は確認しておきましょう。

近隣の建物との隙間が狭いと、足場が隣の家の敷地内に入ってしまうことがあります。許可をとっているのであればいいのですが、無許可かつ隣の家に足場が当たってしまうと、トラブルの原因になりますので現場監督に相談して対処してもらいます。

また、解体現場を見たことのある人なら、知っていると思いますが、解体現場では建物の周りを養生シートで囲います。これは解体中に発生する粉塵が飛び散るのを防ぐためです。

さらに、養生シートで囲うことで解体中の騒音を抑えることもできるため、近隣トラブルのリスクを回避するのにとても役立ちます。 養生シートは設置が義務づけられているわけではないため、設置せずに解体工事をする業者もいますが、近隣トラブルを避けるためにもできるだけ設置してもらいましょう。

周辺にある不用品の撤去

足場を組んで養生シートを設置したら、ようやく解体工事が開始します。解体工事は重機でいきなり建物を壊すというイメージがありますが、実は重機を使って取り壊すのは最終段階です。

解体工事をするときは、まず建物の周辺にある不用品を撤去します。庭木やブロック塀、カーポートなどを取り除いていきますが、このとき注意したいのが隣の建物との境界線にあるブロック塀などです。自分の家のブロック塀だと思っていたら、実は隣のものだったというようなことが時々あります。

勝手に取り壊してしまうとトラブルの原因になりますので、撤去する前にきちんと図面を確認し、自分の家の塀であることを証明してから撤去してもらいましょう。

室内の解体工事

周辺にあった不用品取り除けたら、室内の解体を行います。室内の解体は分別解体といって、廃棄物を種類ごとに分別しながら解体を行います。解体の手順は次のようになります。  

  • 建築設備や内装材の取り外し
  • 屋根材の取り外し

気をつけなくてはいけないのはアスベストの取り扱いです。1970年~1990年代に建てられた住宅は、アスベストを使用している可能性があります。

アスベストは他の廃棄物と混ざることのないように細心の注意が払わなくてはいけません。また、危険性が高い処理をするときは届け出がきちんと掲出されているかも、合わせて確認しておきましょう。

外装の解体工事

建設設備や内装、屋根材を取り外したらいよいよ外装の解体です。ここからは重機を用いて建物を取り壊していきます。重機の搬入ができない場合は、外装材も手作業で解体することになるため、作業期間が長引くと費用が高くなります。

ここで注意しなくてはいけないことは、水を散布しているかどうかです。重機を使って壊していきますので、かなりの粉塵が発生します。養生シートを使っていても、隙間から粉塵が近隣へ散ってしまうことがあるため、それを防ぐために水撒きが必須です。

但し、水撒きをすることで近くの道路に汚れが流れてしまうことがあります。それらを放置することなく、きちんと清掃を行うように指示してください。小さなことから近隣トラブルにつながることもありますので、可能な限り事前に防ぐように努力しましょう。

解体工事で出た廃材の処理

以前の解体工事では、廃材はすべて廃棄物として処分されていましたが、現在は建設リサイクル法により、すべて分別した上でリサイクルすることになりました。

分類項目として代表的なものを見てみましょう。

  • コンクリート
  • アスファルト
  • 木くず

この3点が廃材の80%を占めているといわれ、さらには石膏ボードやガラス、陶器などに分類して廃棄します。廃棄物には産業廃棄物一般廃棄物がありますが、解体工事で出る建築資材の廃棄物は前者で、産業廃棄物中間処分場か産業廃棄物最終処分場に持ち運んで処分します。

一般廃棄物とは何か

タンスやエアコン、食器類などの産業廃棄物以外の廃棄物は、一般廃棄物という扱いになります。一般廃棄物の許可を持っていない解体業者は、タンスやエアコンなどの処分ができません。このため下請けとして、別の業者を利用して処分します。

施主としては、解体業者がきちんと許可を持っているのかを確認し、許可がない業者の場合はどのように処分するのかを聞いておきます。許可がないことがNGというわけでなく、無許可で勝手に処分することが問題なのです。

地中に埋没している物の確認と撤去

解体工事は建物を取り壊したら終わり、というわけではありません。コンクリートの塊が土の中にあると、次に建てるときに邪魔になってしまうため、基礎を取り壊した後にすることがあります。

それが地中埋設物の確認です。更地にした際に、地中に何か埋まっていないか業者に見てもらいます。もちろん何もないこともありますが、ゴミが出ててきたり、古い浄化槽が出てくることもあります。

地中埋設物が見つかったときは、撤去するために追加費用が発生します。地中のことは現調でも分からないため、見積もりに反映されていなかったとしても解体業者には責任がありません。

もちろん施主が悪いわけではありませんが、土地の所有者としてそれらを取り除く責任があります。見なかったことにしたとしても、調べれば分かってしまうことですから、必ず追加料金を支払って取り除いてもらいましょう。金額は埋設物の種類によって変わりますが、大きなものだと10万円以上かかることもあります。

整地

建物を取り壊しと埋設物の確認も済み、土地を整地して解体工事は完了します。似た言葉で「更地」というものがありますが、更地は建物を取り除いた状態のことをいいます。特に土地を整えることがなく凸凹していることもあるため、業者にどちらで行うのか確認しておきます。

この整地も業者ごとで仕上がりがまったく違います。一見するときれいに仕上がっているように見えても、近づいて見ると波打っていることがあります。

波打っていても、次に土地を利用する人が利用目的に合わせて整地すればいいじゃないかと思う方もいるかもしれませんが、整地するにもお金がかかります。 このため、解体工事の整地はただ土地の状態を整えるだけでなく、次に利用するときに再整地しなくてもいい状態に仕上げてもらいましょう。

また、単純に「整地」と言うだけでは、業者と施主との間でイメージしているものが違う可能性があります。最終段階でトラブルにならないように、どれくらいのレベルに仕上げればいいのかを共有しておくことが大切です。

解体工事を行った現場は最終確認をする

整地が終わると引き渡しになりますが、その前に現場の最終確認を行います。解体業者が終わったと言っても、現場に廃材が残っていることもあります。最後にもう一度現場を見に行くことが大切です。

最終確認のポイント

  • 廃棄物の撤去忘れがないか
  • 周辺の道路を清掃しているか
  • 近隣の塀や壁に破損はないか
  • 契約内容をすべて履行しているか

ありがちなのが廃棄物の撤去し忘れです。見ればすぐに分かることですので、業者に連絡して撤去してもらいましょう。

その他にも、敷地内はきれいでも周辺の道路が泥だらけだったり、近隣の塀や建物を損傷させている可能性もあります。道路が汚れている場合は清掃してもらい、隣の家の塀や壁の状態は、その家で暮らしている方と一緒に問題がないことを確認しましょう。

問題がなければ契約内容を再度確認し、すべて履行されていれば解体工事は完了となります。

廃棄物が埋められている可能性もある

ただ、工事が完了しても注意したいのが、業者が地中に廃棄物を埋めていないかということです。意図的でなくても、ちょっとした手違いで地中に廃材が残るようなことがあります。

素人がこれを見抜くことは不可能に近いため、すぐに家を建てる場合や、売却先が決まっている場合は、新居の建築会社や土地の購入先の担当者も最終確認に立ち会ってもらいましょう。

しばらく土地を使う予定がないのであれば、土地から廃棄物が出てきたときに、どう保証するのかを話し合って書面に残しておきます。きちんと解体工事をした業者ならば、断る理由がありません。断られたときは、地中に埋設物がないか調査したほうがいいかもしれません。

解体工事後に行うこと

工事が終わったら、建物滅失登記の申請と解体工事費の支払いをすることに完了なりますので、忘れずにきちんと手続きを済ませましょう。

建物滅失登記の申請をする

すべての建物は国によって管理されています。このため建物を取り壊したときには、建物がなくなったことを申請することになります。申請しない場合は、まだ建物があるとみなされて固定資産税を払い続けなくてはいけません。さらには土地の売買や建て替えもできません。

解体工事が終わったら、できるだけ早く法務局に建物滅失登記の申請を行いましょう。期日は解体工事完了から1ヶ月以内です。怠った場合は10万円以下の過料に処されることもありますので気をつけてください。

建物滅失登記に必要な書類

建物滅失登記の申請に必要な書類が次の4点です。

  • 建物滅失登記申請書
  • 案内図
  • 取毀証明書
  • 解体業者の登記事項証明書
  • 解体業者の印鑑証明証

解体業者の登記事項証明書は自治体によっては不要です。必要かどうか解体業者が把握していますので不安な方は相談してみてください。 建物滅失登記申請書は法務局のWebサイトで入手できますし、案内図は住宅地図に該当する場所をマークして提出します。
残りの3点は解体業者に提出してもらいましょう。

解体工事費の支払いについて

解体工事がすべて完了してから工事費用を支払います。一般的には一括払いですが、工事規模によっては分割払いをお願いされることがあります。それぞれの特徴を把握したうえで、施行業者と相談しながら支払い方法を決めておきましょう。

段階ごとの分割払いもできる

分割払いといっても、クレジットカードのように毎月決まった額を支払うのではなく、解体工事では「前払い・中間金・最終金」のように段階ごとに支払います。工事には人件費や機材の費用もかかりますので、業者の負担が大きい場合は分割払いをお願いされます。

分割払いで重要なのは、きちんと進捗の確認をすることです。事前に解体工事のスケジュール説明を受けて、どの段階になったら中間金を支払うのかを決めておき、工事が予定通り進んでいるのを見定めた上で支払います。

全額前払いは基本しない!

業者によっては全額前払いをお願いしてくることがあります。これには絶対に応じないでください。当たり前のように言ってきたとしても、解体工事は工事が終わってからの支払いが基本です。

全額を前払いで支払っても依頼側には施工不良や持ち逃げなどのデメリットしかありません。そのような業者は避けるようにしましょう。

まとめ

解体工事はすべてを施主1人でチェックするのはかなり大変です。このため、大切になるのはやはり業者選びです。見積金額だけで業者を決めてしまうと、トラブルにつながる可能性がありますので、対応が対寧などの基準で選ぶようにしましょう。

見積もり作成前にはできるかぎり詳細なことまで決めておき、工事が始まってからもこまめに現場に足を運んで状況確認をしてください。疑問に感じた点はその場で現場監督に質問し、納得した上で工事を進めて行きましょう。業者に任せきりにするのではなく、一緒に解体工事を行うという意識が大切です。

いかがでしたでしょうか。なるべく費用を抑えてリフォームをしたい方へお知らせです。リフォマは中間業者を介さずに、ご要望に合う専門業者を直接ご紹介します。中間マージンが上乗せされないため、管理会社や営業会社などより安く費用を抑えることができます。下記のボタンからお気軽にご相談ください!

リフォマは中間業者を介さずに、ご要望に合う専門業者を直接ご紹介します。中間マージンが上乗せされないため、管理会社や営業会社などより安く費用を抑えることができます。
リフォマなら中間マージンカットで専門業者をすぐ紹介
監修者:

渡邊 一伸(ナベさん)

大工歴35年。大手ハウスメーカーで2年間現場監督に従事。3000棟以上のリフォーム・住宅修理の工事管理の実績をもつ。阪神淡路大震災においては1年間復興財団に奔走。その後、独立し、会社を10年経営。2016年に1月に株式会社ローカルワークスに入社。