土蔵とは?
出典:photoAC
土蔵の解体工事についてご紹介する前に、まずはどのようなものなのか簡単にご説明します。
土蔵の構造などを知っておくと、解体費用が高くなる理由も納得してもらえるのではないでしょうか。
土蔵は日本の建築様式のひとつで蔵とも呼ばれています。貯蔵庫や倉庫、店舗として使われていました。江戸時代は火事が頻繁に起こっており、大切な家財を守るために防火性の高い土蔵が採用されました。
内部の湿度がとても低いため、家財を傷めずに長期保存できるというメリットがあります。
構造としては木造の骨組をベースにして、竹などで組んだ木舞(小舞)と呼ばれる下地を作り、その上に何重にも土を塗りつけて壁を作ります。表面は漆喰で仕上げることが多いため、土蔵は真っ白な壁に仕上がっています。
土蔵の屋根は基礎となる石の上に、そのまま置かれているだけということも多く、解体時の安定性があまりよくありません。このため先に屋根を取り除いたり、壁を取り壊す作業は慎重に行わないと、思わぬ事故を引き起こしてしまう可能性があります。
土蔵を解体工事の流れ
それでは解体工事の流れを見ていきましょう。
きちんと流れを把握しておくことで、解体業者との打ち合わせもしやすくなります。業者に依頼する前に流れをイメージしておくことが大切です。
1.土蔵内を確認
解体工事をお願いする前に、土蔵内にあるものを調査します。歴史ある土蔵の場合は、思わぬお宝が眠っているかもしれません。素人から見ると値段がつかなそうな品が、歴史的価値のある骨董品というケースもあります。
そのため土蔵の内部に残っているものを、骨董品を取り扱っている専門の業者にチェックしてもらい、必要に応じて買い取りしてもらいましょう。価値のないものは自分で処分すると解体工事費用をおさえることができます。
また、土蔵の内部は残留品だけでなく、蔵の柱なども高値で売れる可能性があります。立派な柱が使われているときは、古材の買取業者に見てもらうのがおすすめです。
古材を傷つけずに解体するため、解体工事費用は高くなってしまうことがあるので注意してください。
2.解体業者に依頼・現地調査
土蔵内の調査が終わったら、解体工事の業者に見積もり依頼をします。その際に必ず現地調査を行ってください。
解体業者によっては土蔵のサイズだけで見積もりを作ろうとしますが、詳細な情報が分からないと後からトラブルになるかもしれません。
実際に現場を見てもらい、打ち合わせを行いながら見積もりを作ってもらいましょう。解体工事は現場ごとに状況が違います。土蔵の状態もそれぞれですので、必ず現地調査を行うことが重要です。
3.解体業者からの見積提出・契約
現地調査が終わったら見積書を提出してもらいます。現地調査の応対で信頼できる業者だと判断し、なおかつ見積もり金額に納得できれば契約しましょう。
ここで注意したいことは、見積もりが「解体工事一式:◯◯万円」となっていないことです。
一見するとシンプルで分かりやすいのですが、工事内容が記載されていないと「産業廃棄物の処分は別料金です」と言われて、追加料金を請求されることがあります。見積もりでは何の工事にいくらかかるのか分かる、明細を出してもらってください。
契約を済ませたら、解体業者と一緒に近所への挨拶まわりをします。解体工事は振動や粉塵の飛散が発生してしまうため、近隣の方に迷惑をかけてしまいます。工事開始前に必ず挨拶をしておきましょう。
4.足場組立と養生シートの設置
契約が完了するといよいよ現場での解体工事が始まります。
解体というと、機械で一気に壊すというイメージを持っている方もいるかもしれませんが、基本的には部材ごとの分別が義務付けられています。
このため、まずは屋根材を取り除くための足場を組みます。
さらに、周辺に粉塵を撒き散すのを防ぐため足場の周辺にシートを張って養生します。シートを張ることで騒音レベルも下げることができます。
5.残留物の撤去
解体作業をはじめる前に、土壁の内部の不用品はすべて撤去します。あらかじめ自分で捨てておけばこの作業は必要ありません。工事をスムーズに進められるだけでなく、解体工事の費用を安くおさえることができるため、積極的に行いましょう。
6.瓦の分別撤去
解体工事は分別が基本ですので、最初に上部にある瓦から取り除いていきます。土蔵は、屋根瓦がしっかりと固定されていないこともあります。事故のないように慎重に工事を進めなくてはいけません。
7.土壁の解体作業
屋根の瓦を取り外したら、いよいよ土蔵の解体です。
この作業は基本的に重機を使って行います。ただし、重機を持ち込めないような場所にある場合は、すべて手作業で解体を行うこともあります。その際は手間も時間もかかるため費用は高くついてしまいます。
8.土壁の処理
土蔵の壁は土と藁を混ぜて作られており、そのまま土として処分することができません。このため土と藁の分別が必要になりますが、その作業は手作業で行います。
9.産業廃棄物の分別と撤去
すべての解体作業が終わったら、産業廃棄物を種類ごとに分別して現場から撤去します。産業廃棄物は処分場で処理することが、法律で義務付けられていています。
10.整地にする
解体後の土地は平らではありませんので、仕上げとして整地工事を行います。
きれいに整地されていないと、土地の売却時に整地費用を請求されることもありますので、業者にきちんと仕上げてもらいましょう。
11.現場確認・引き渡し
整地が完了したら最終確認のためにご自身が立ち会います。
このとき次の点について必ず確認してください。
- 整地に問題がない
- 近隣の住宅に被害がない
- 産業廃棄物が残っていない
この3点を確認して、特に気になる所がなければ工事完了です。不備がある場合は引き渡し不可として、該当部分をきちんと対応してもらいましょう。
12.解体代金の支払い
引き渡しが完了したら、解体工事のマニフィストと建物滅失登記などの書類を提出してもらいます。書類の確認が済んだら代金の支払いを行い、解体工事は終了になります。
土蔵を解体するときの費用相場
土蔵の解体は家屋の解体よりも坪当たりの単価が高いと言われています。
土蔵の状態によって費用に違いはありますが、目安としては1坪あたり3.5万~5万円が相場だといわれています。仮に10坪だった場合は、35万~50万円程度の費用がかかります。
壊すだけでこれだけの費用がかかるのは、もちろん理由があります。土蔵解体の流れでもご紹介しましたが、土蔵の壁はすべて土と藁に分別しなくてはいけません。
昔の解体工事では土壁の分別をすることなく、そのまま土に埋めていました。ところが、土を練り込むときに使うニガリが、農作物などに被害を与えることが分かり、正しい分別が義務付けられました。
しかし、現代では土蔵の数が減っていますので、土の分別作業に慣れている解体業者も少なくなってきています。そのため、作業時間がかかり工事費用が割高になりやすいというわけです。
他にも、土蔵を取り除いた土地に埋設物などがあると、さらに工事費用は増えてしまいます。土蔵は年代が古いものが多いため、その下に何が埋まっているか分かりません。埋設物が見つかった際は追加料金を請求されます。
解体業者を選ぶ際のポイント
トラブルなく解体工事を進めていくためには、業者の選定がとても重要になります。
あまり解体の実績がない業者に依頼すると安全面で不安が残ります。さらに、見積もりの金額は低くしておいて、後から高額な追加料金を請求してくる業者もいるので気をつけなくてはいけません。
ここでは安心して解体作業を進めることの出来る、解体業者を選ぶポイントについてご紹介します。
見積もりは複数の業者に依頼する
解体工事には相場があるものの、状況次第で費用が大きく変わってきます。このため1社にしか依頼しないと、出てきた見積金額が妥当なものなのか判断できません。複数の業者から見積もりを出してもらうことで、異様に高値を提示している業者を省くことができます。
見積金額だけで選ばない
業者選定で見積もり金額は重要なポイントの1つですが、金額だけで決めないようにしましょう。いくら金額が安くても、雑な工事をされると近隣の家の壁を傷つけたり、産業廃棄物を不法投棄されたのでは意味がありません。
現場調査時に信頼できる業者かどうかを見極めた上で、安心して任せられると判断したところに工事依頼をしてください。
実績の有無を確認
できれば過去に土蔵の解体をしている業者を選びます。そのような業者がいない場合は、解体工事を行っている実績が数多くある解体業者がおすすめです。土蔵の解体には熟練の技術と経験が必要のため、実績がない業者は候補から外しておくほうが無難でしょう。
まとめ
土蔵の解体は建物の性質により費用がかかります。
高くなる理由については、上記でも説明した通り分別の処理を行うためです。また、解体方法も普通の住宅と異なります。
土蔵は所有していてもそれについて詳しい知識がない方も多いため、異様に高値の見積もりを掲出してくる業者もいます。そのような悪徳業者に捕まらないように、少し時間をかけてでも信頼できる解体業者を見つけましょう。
解体工事をスムーズに終わらせることができるかどうかは、業者選びにかかっています。しっかりと打ち合わせを行って、安心して解体作業を任せられる業者に依頼してください。
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