解体工事の大まかな流れを知る
出典:photo-ac.com
解体工事の準備について説明する前に、まずはどのような流れで工事が行われるのか簡単にご説明します。
- 解体業者探しと見積り依頼
- 工事前の挨拶回り
- 電気やガスなどのインフラ設備の撤去
- 解体工事
- 工事完了
解体工事が始まると、ほぼ業者に任せることになりますので、依頼主としてできることは多くありません。しかし、解体工事でトラブルを起こさないためには、1〜3の前準備がとても重要です。
トラブルが起きて工事が中断した、ということにならないためにも、どのような点に注意すればいいのか詳しく説明していきます。
現地調査は必ずしてもらう
業者を選定するために、3~4社に見積りを依頼します。そのとき現調と呼ばれる現地調査を必ずしてもらいましょう。業者によっては土地と建物の大きさだけで見積りを出すところがあります。
過去の実績から土地と建物のサイズで概算の見積りは出せるため、時間をかけて現場を確認する必要はないと考えているのかもしれませんが、実際の現場を見なければ、作業車の出入りや立地条件などが分かりません。
現調にできるだけ立ち会う
立ち会いには時間がかかるため、業者にすべてまかせてしまいたくなりますが、施主がいない状態での現地調査はあまりおすすめできません。
現地調査は単に現場の確認をするだけでなく、業者との意見交換の場でもあります。解体工事を行うスケジュールや、庭木や家の中にある荷物の取り扱い、解体にともなう道路使用許可の有無など、あらかじめ決めておきましょう。
細かな作業も含めて業者は見積りを作ってくれますが、綿密に打ち合わせをしておかないと、実際に解体工事が始まってから「そういう処理じゃなかった」という状況が発生することがあります。後のトラブルを防ぐためにも、できる限り現調には立ち会ってください。
きちんと要望を伝えておく
現調はただ作業を見守っているだけではいけません。自分の要望は伝えるようにしましょう。建物を解体するための条件が違うと見積りにも影響します。
- 完全に更地にはせずに部分的に残してもらいたい
- 建物に使用していた建具や柱を再利用したい
- 新しく建てる家の玄関の向きを変えるので、ブロック塀も解体してもらいたい
このような意見は先に伝えておかないと、解体されたくない部分を壊されてしまったり、解体工事の途中で追加依頼することになります。工事業者の意見を聞くだけでなく、自分の要望を必ず伝えておきましょう。
業者の対応を見る
現調を行う理由は後々のトラブルを回避するためだけではなく、信頼できる業者を選ぶ判断基準にもなります。業者に会って意見交換をすることで、丁寧な対応や真摯に説明してくれる業者かどうかみえてきます。
見積りの安さだけで選ぶと、工事内容なとで後々揉める可能性があります。金額だけで選ぶのではなく、できるだけ親身になって相談に乗ってくれる業者を選ぶことが、解体工事をスムーズすすめることにつながります。
見積のチェックポイント
仮に1社だけしか依頼していない場合は、提出された見積書の金額で満足できなければ別の業者に見積り依頼をしましょう。 見積りは解体工事を依頼するための重要な判断材料ですので、出されたものはきちんと目を通して、納得した上で契約をしなくてはいけません。
工事内容が詳細に書かれている
業者によっては「解体工事一式 150万円」のような見積書を出してきます。このような見積書が出されたら必ず「内訳明細書も出してください」とお願いしましょう。解体工事一式では総額が分かっても工事内容が分からないため、その金額が妥当なのかどうかの判断ができません。
どのような作業にいくら掛かるのかを明確にしておかないと、依頼したはずの作業がされていなかったということもあります。
- 家屋の解体はされたが庭木がそのまま残っていた
- 解体工事後に廃棄物の処分代を追加で請求された
上記のような問題を発生させないためにも、必ず内訳明細書を出してもらい、面倒でも内訳と依頼内容にズレがないか確認してください。
解体工事に必要な届け出を出す
解体工事を行うためには、いくつか届け出を掲出することになります。届け出を怠ると罰金を支払うこともありますので、「知らなかった」では済まされません。解体工事をする際に掲出する届け出で代表的なものが下記になります。
- 建設リサイクル法の事前申請
- 建設工事計画届
- アスベスト除去に関する届出
- 道路使用許可申請
- 建物滅失登記
このうち建物滅失登記は解体工事後に提出するものですので、事前準備としては不要です。解体工事完工から1ヶ月以内に提出しなくてはいけない、とだけ覚えておきましょう。その他の届け出について詳しくご説明します
建設リサイクル法の事前申請
床面積の合計が80㎡以上の建物を解体するときに申請する届け出です。工事着工7日前までの提出が必要で、提出義務は施主にあります。ただし、委任状を書くことで業者が提出することもできます。事前にどちらが提出するのかを決めておき、届け出を忘れることがないように注意してください。
提出義務:施主
提出期限:工事着工7日前
建設工事計画届
建設工事計画届は建物の高さが31mを超える際に提出することになります。自宅の解体というよりはマンションの解体時などに必要となる届け出で、提出義務は事業者にあります。そのためこのような届け出があるとだけ覚えておきましょう。
提出義務:業者
提出期限:工事着工7日前
アスベスト除去に関する届出
解体する建屋にアスベストが使われているときは、特定粉じん排出等作業実施届出書を提出しなくてはいけません。2006年に使用が禁止になりましたが、それ以前に建てられた家にはアスベストが使われている可能性がありますので、設計図などで確認します。
ご自身で判断できないときは、業者に確認してもらいましょう。
提出義務:業者または施主
提出期限:アスベスト除去作業の14日前
道路使用許可申請
車を停められる所が付近になく、工事中に作業車などを道路上に停める場合は申請します。届け出は業者が行いますが、届け出を出さずに車を車道に停める業者もいますので、提出したかどうかは必ず聞いておきましょう。
提出義務:業者
提出期限:工事着工7日前
近隣への挨拶は必須
解体工事を依頼する業者が決まりスケジュールも確定したら、次は近隣への挨拶を行います。解体工事のトラブルで多いのが近隣トラブルです。解体工事は重機を使って行いますので、振動や騒音だけでなく手違いで隣の壁を壊してしまうということも起きています。
家の損傷は業者と綿密に打ち合わせをすることで防げます。しかし、建物の解体をする上で振動や騒音はどうしても避けることができません。近隣の方もある程度は仕方ないことと許容してくれますが、人によっては苦情を言ってくることもあります。
家の建て替えでは、解体して新しく建てた後もそこで生活するわけですから、できることなら近所の人たちといい関係を維持したいところです。
そのためには、事前に挨拶をすることが大切になります。通常は工事業者が工事内容の説明も含めて挨拶回りを行ってくれるのですが、できることならこの挨拶回りに同行しましょう。業者が同行できない場合は、自分だけでも挨拶しにいきます。
ガス管や電気の配線などの撤去依頼
解体工事のスケジュールが決まったら、近隣への挨拶だけでなくもうひとつ行うことがあります。それはガスや電気などの配線、配管を撤去することです。これらの撤去は解体業者では行えません。工事が始まる前に次の設備を撤去しておきましょう。
- 電気関係
- ガス関係
- 水道関係
- 排水関係
- 電話線やケーブルテレビの配線
ほぼすべてのライフラインが対象となりますので、解体工事のためにはそれぞれ専門の業者に連絡をして、撤去依頼をしてください。ここでは撤去するときの注意点について簡単に説明します。
電気関係
電線は電力会社に撤去してもらいます。電力会社に電話やインターネットなどで「解体工事のための撤去」だと伝えましょう。伝えたことにより、電線の切り離しとメーターの撤去を行ってくれます。電線の撤去には立ち会いが必要です。
撤去工事は申し込んでから5営業日以降の施行になりますので、1週間前までには依頼しておきましょう。
ガス関係
ガスも電気と同じく、「解体工事のための撤去」としてガス会社か担当の営業所に依頼しますが、プロパンガスと都市ガスでは撤去にかかる日数が違います。
都市ガスは大手ですので比較的早く対応してもらえますが、プロパンガスはすぐに撤去できないことがあるので気をつけましょう。また、契約内容によってはガスボンベの撤去費用がかかることがあります。
水道
水道は解体工事で散水などに使用するため、止めないでほしいという業者がほとんとです。 工事にかかった水道代は業者が負担することもあれば、依頼主の負担になることもあるため、後々トラブルにならないように前もって確認しておくのがよいでしょう。
排水関係
排水設備の撤去については自治体によって方針が違います。届け出がいるケースもありますので、各市区町村の上下水道局などに相談してください。公共下水道廃止届書を提出し、排水管をキャップ止めし、その作業状況の報告をするのが多いようです。
電話線やケーブルテレビの配線
電話線やケーブルテレビの配線は、それぞれ契約している会社に連絡を入れましょう。NTTの場合は、電話線の撤去に10日くらいかかります。ケーブルテレビでは契約会社に連絡しますが、NTT同様に撤去に時間がかかるため、余裕をもって依頼しておくと安心です。
都合がつかず、解体工事までに撤去できなかったというケースもあります。
それでも解体業者はきちんと対応してくれますが、できれば早めに連絡をして撤去依頼をしましょう。
まとめ
解体工事でどのような準備をしておくべきか、理解していただけましたでしょうか。もしかしたら情報が多すぎて、混乱している方もいるかもしれません。
ですので、重要なポイントを最後にまとめてご紹介します。
- 現調は必ずしてもらい、可能であれば立ち会う
- 見積りには詳細に書いてもらう
- 業者は金額だけで選ばず、応対がしっかりしているところに決める
- 業者と相談しながら届け出を提出する
- 近隣への挨拶はできれば業者と一緒に行う
- 解体工事までに配管や配線の撤去を完了しておく
スムーズな解体工事をするための鍵となるのは業者選びです。しっかりとした業者に工事を依頼することで、様々な面からしっかりサポートをしてくれます。それにより、届け出を忘れたり近隣の方とトラブルになる可能性も低くなります。
ここで読んだ内容を参考に準備を進めて、問題を起こすことなく解体工事を終わらせましょう。
いかがでしたでしょうか。なるべく費用を抑えてリフォームをしたい方へお知らせです。リフォマは中間業者を介さずに、ご要望に合う専門業者を直接ご紹介します。中間マージンが上乗せされないため、管理会社や営業会社などより安く費用を抑えることができます。下記のボタンからお気軽にご相談ください!
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