解体の届出が必要となる条件と書類の種類
解体工事で提出する届出や申請は、解体工事前に行うものと解体後に行うものがあります。 さらに、業者に届出義務あるものと、依頼者が届出ものがあるため理解しておくことが重要になります。
解体工事の届出は法律で定められており、掲出を怠ることで罰則を受ける恐れがあるので、必要な届出や申請の内容を確認していきましょう。
建設リサイクル法に基づく届出
建設リサイクル法とは、「建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律」の通称です。
特定建設資材の分別解体や特定建設資材廃棄物の再資源化などの促進を、目的に制定されました。
特定建設資材とはコンクリートや木材、アスファルトのことで、特定建設資材廃棄物はコンクリートやアスファルト・コンクリートの塊、工事で発生した木材を指します。
届出を掲出する条件は、特定建設資材を用いた建物、床面積の合計80平米(24坪)以上の建物、500万円以上の費用がかかる解体工事の3つが対象です。
一般住宅は特定建設資材を用いていたり、床面積が80平米以上の建物であることがほとんどのため、ご自身の住宅も対象となると考えてよいでしょう。
解体工事を行う7日前までに、各都道府県知事に届出しなくてはなりません。政令指定都市では市長宛てです。原則として依頼者が申請を行うのですが、解体業者が代理で申請してくれることもあります。その場合、解体業者に対して委任状が必要になります。
委任状の他には「届出書」「分別解体等の計画」「工事工程表」「建物写真と現場写真」などの書類提出が必須です。
届出書は依頼者の住所や解体工事の概要などを記入します。分別解体等の計画は建物の構造や搬出経路、廃棄物の見込み量などを記入しますが、専門知識が不可欠な項目のため一般的に業者が書いてくれます。
道路使用許可の申請
解体工事中、道路上に作業用車両や資材用車両を停めることになった際に、管轄の警察署長に道路使用許可を申請することになります。
ただし、解体工事を行う敷地内に車両が入るスペースがあれば申請は不要です。この届出は解体業者が担当するため、見積もり時に道路使用許可の有無を確認し、必要な場合は忘れずに申請をしてもらいましょう。
アスベスト除去に関する届出
アスベストを含んだ建物を解体するときは、建設リサイクル法の他に「労働安全衛生法」、「大気汚染防止法」、「廃棄物の処理および清掃に関する法律(廃棄物処理法)」などの法律が関わってきます。
アスベストはレベルにより届出が違うため注意しましょう。
石綿含有吹き付け材の除去作業は、発塵性が極めて高いレベル1に該当します。石綿含有吹き付け材は耐火建築物の梁や柱、立体駐車場の天井や壁、エレベーターの周囲などで使用されています。
解体工事前に含有量などの調査をし、「工事計画書」は労働基準監督署に除去工事の14日前に届出ます。「建築物解体等作業届」は工事開始前であれば問題ありません。さらに、都道府県知事に「特定粉じん排出等作業の実施の届出」を提出します。
石綿含有保温材や断熱材などの除去作業は、発塵性がやや高いレベル2に該当します。これらは使用している建築物の梁や柱、空調ダクトの保温材などで使用されています。
レベル2の場合は、労働基準監督署に「建築物解体等作業届」を、都道府県知事に「特定粉じん排出等作業の実施の届出」を提出しなくてはなりません。
「特定粉じん塵排出等作業の実施の届出」は、レベル1、レベル2ともに除去作業の14日前までの届出が義務づけられています。
ライフラインの停止申請
解体工事期間中は、ガスや電気、電話やインターネットなどのライフラインの停止や撤去が必須です。工事開始の7日前までには、電力会社や電話会社、ガス会社などに連絡しておきましょう。
ライフラインの停止と聞くと、水道の停止も考えてしまいますが、解体工事ではゴミやホコリが飛散しないように散水を行うことが多々あるため、申請を行う前に業者に水道の扱いを聞いておきましょう。
その他にも、消防法の規定によって判断されたときに限り、「危険物貯蔵所廃止届」と「消防指定水利廃止届」を消防署へ提出します。
解体工事後に必要になる届出や書類
解体前は法律に基づいて安全に工事を行うための申請しますが、解体工事完了後にも「建物滅失登記」という手続きが必要です。
建物滅失登記とは、その土地の上に建物が存在しないことを証明するもので、解体後1ヶ月以内に法務局へ届出を提出します。
手続きを行うためには、まず法務省のサイトから登記申請書をダウンロードするか、郵送で取り寄せてください。そして、登記簿謄本を見ながら記入していきます。
記入方法が分からないときは、法務省の記入例を見ながら記載していきましょう。
あとは、解体した建物の地図と原本還付請求書を用意します。建物の地図は解体する場所が明記されていれば特に指定はなく、原本還付請求書は原本の返却を希望しない方は不要です。
ご自身で用意するのは上記の3点のみで、それ以外の書類は解体業者が用意することになっています。業者に用意してもらうのは、会社謄本または資格証明書、解体業者の印鑑証明書、取毀し証明書の3点です。
建物滅失登記は原則、建物の所有者が行いますが、手続きする時間がなかったり書類の作成に自信がないという方は、土地家屋調査士に代行依頼することも可能です。代行依頼する場合は、委任状と依頼者の印鑑証明書の提出と、代行の手数料として4~5万円かかります。
解体工事の費用は決して安くないため、少しでも工事費をおさえるためにご自身で手続きすることをおすすめします。
ご自身で行うと1000円程度でできるといわれています。
解体工事の届出を怠ると罰則がある
解体工事の前後では様々な届出があるため、「掲出を忘れてしまうかも」と心配になる方もいらっしゃると思います。不安を煽るわけではありませんが、解体工事の届出は怠ると罰則を受けることがあります。
ここでは、届出ごとに罰則の内容をご説明しますので、掲出を忘れないように心がけましょう。
建設リサイクル法に違反した場合
建設リサイクル法の罰則は違反内容や都道府県で異なります。
東京都では、対象となる工事の届出違反や変更届出違反で20万円の罰金が科されます。分別解体等義務の実施命令違反や再資源化等義務の実施命令違反で50万円の罰金が科されます。
ただし、届出を業者に委任して業者が届出を行ったときは、業者のみが罰則の対象で依頼者は罰せられません。
廃棄等の届出違反で10万円、技術管理者の設置違反で20万円の罰金が業者に科せられます。
道路使用許可申請を怠った場合
道路使用許可が必要だったにもかかわらず、申請なしで道路を使用してしまうと3ヶ月以下の懲役、または5万円以下の罰金が科されます。さらに、道路占用許可を得ることなく無断で車両を停めていると1年以下の懲役、または50万円以下の罰金となります。
道路使用許可申請は業者が行うのですが、申請せずに違反していることが判明すれば工事は中断せざるおえないため、工事期間が延びてしまいます。予定通りに解体工事を終わらせるためにも、見積もり依頼時に道路使用許可申請をしてもらえるか業者に確認し、不備なく手続きを行えていることが大切です。
アスベスト除去に関する違反をした場合
アスベスト除去は法律によって罰則が異なります。
たとえば「大気汚染防止法」では、レベル1やレベル2のアスベスト除去作業の届出を怠ったり、虚偽の届出を行うと3ヶ月以下の懲役か30万円以下の罰金が科されます。
平成26年6月1日の法改正で、届出の義務が依頼者に変わったため必ず届出ましょう。また、解体工事前の立ち入り調査の拒否や、妨害をすると30万円以下の罰金が科されます。
業者や依頼者は石綿について事前調査し、その結果を解体工事の現場に掲示します。業者は依頼者に書面で結果を報告する義務があり、違反しても罰則はありませんが工事が中断してしまう恐れがあります。
建物滅失登記を怠った場合
建物の滅失登記を行わないと10万円以下の罰金が科されます。それだけでなく、滅失登記を行わないことで、登記簿上は土地の上に建物が存在していることになり、土地の売却や銀行などからの借り入れができなくなります。
建物滅失登記は業者に依頼することはできません。ご自身で手続きを行うか、土地家屋調査士に依頼することになります。滅失登記を行わないと、固定資産税が課税され続けるためご自身が損してしまいます。
まとめ
解体工事は安全と周辺住民の方に配慮しながら行わなくてはいけません。そのため、様々な手続きが必要になります。
不備などで申請期間に間に合わないと、罰則の対象になってしまうだけでなく、解体工事の中断などにつながります。申請期間や書類を確認し、ゆとりをもって届出を行いましょう。
手続きの仕方が分からないという方は、業者や役所に前もって相談に行くと直前になって焦らずに済みます。
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