ビル解体はいつ頃行うのがいいのか
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そもそもビルの寿命はいつなのでしょうか?
建物は築30年もするとボロボロになるイメージがありますが、ビルを解体するタイミングについてご説明します。
一般的に鉄筋コンクリートのビルは100年前後で寿命を迎えると言われています。ビルのパーツの中で、最も寿命が短いのがコンクリートで、その寿命が100年といわれているからです。
そうはいっても、日本では100年以上も建っているビルはありません。
日本は地震の発生率が高いため、耐震基準が常に見直されています。そのため、古いビルが耐震強度不足で取り壊しになっているケースが見受けられます。今から100年前は大正時代です。
日本最初の高層ビルといわれる、霞が関ビルディングも2018年時点でまだ築50年ですので、100年も経過しているビルは今のところないといえます。
また、日本のビルが100年もたたずに解体するのは、耐震基準や寿命だけが原因ではなく、法定耐用年数が鉄骨造で34年、RC・SRC造で47年と決められているためです。ちなみに鉄骨造は骨格材の厚みにより年数が異なるので注意しましょう。
この法定耐用年数を超えると銀行が融資を渋る傾向にあるため、大掛かりなメンテナンスができなくなります。 このことから、ビル解体を行うタイミングとしては、法的耐用年数がひとつの基準だと考えてください。
メンテナンスをすれば問題ないのに、もったいないと思う方もいらっしゃるかもしれませんが、安全も考慮しての法定耐用年数です。ただし、法定耐用年数はあくまで目安ですので、老朽化が目につくようでしたら解体工事を検討しましょう。
ビル解体の簡単な流れ
ビルの解体の流れは、住宅の解体と大きく変わるわけではありません。
どのような流れで工事を行うのか見ていきましょう。
- 解体業者による現場の調査
- 見積書の確認と業者選定
- 業者との契約
- 現場を再度確認、近隣への挨拶回り
- ガス、電気、電話線などの撤去依頼
- 足場組立と養生
- 内部の建材を分別解体
- 建物本体の解体
- 基礎コンクリートの解体
- 整地工事
- 現場に赴いて最終確認
- 工事費用の支払い
業者によっては、工事費用の一部を契約した時点で支払ってほしいとお願いされることがあります。ビル解体の場合、坪単価で5万~8万円といわれているため、100坪のとき500~800万円かかる計算になります。
小さなビルでも100万円前後はかかりますし、1000万円以上になることもあります。全額後払いですと、現場の作業者への給料などが支払えなくなるため、工事費用が高額なときは前払いできるように準備しておきましょう。
ビルは建物自体がとても大きいため、ひとつの作業にとても時間が掛かります。現調をするのにも1~2日かかりますし、解体工事も鉄筋コンクリート造で100坪の場合、1ヶ月以上かかることがありますので期間には余裕をもって依頼することが大切です。
ビルの解体方法
続いて、ビルの解体方法を具体的にご紹介します。
ビルは周辺の建物との距離が近いことが多く、足場を組んで上から解体していくのが難しいケースがあるため、環境に合わせていくつか解体方法があります。
ここでは、その中でも代表的なものを5つご紹介します。
地上解体
地上解体はハイリフト重機という特殊な重機を利用することで、40メートルくらいの高さであれば解体することができます。ハイリフト重機の中でも超ロング解体機と呼ばれるものですと、ビルの高さが65メートルまで対応しているものもあります。
高さの上限は解体業者が所持しているハイリフトにもよりますが、騒音や振動がとても少なく、周辺のビルや住宅にあまり迷惑をかけることなく、解体作業を進めることができます。
階上解体
階上解体では、大型クレーンを利用して重機をビルの最上階に乗せて、上から下に向かって解体工事を行っていきます。ハイリフト重機が使えないような高層ビルや、十分な足場を組むことができない繁華街などのビル密集地に適した解体方法です。
重機をビルに載せるため、床が抜けてしまったり、壁の崩壊による落下に注意しながら、慎重に解体していかなくてはいけません。
上部閉鎖式解体
高層ビルの解体に適しているのが上部閉鎖式解体です。新しい解体方法として注目されていて、ビルの上部に移動ができる閉鎖空間を作り、その内部でフロアの解体作業を行います。フロアの解体ができると下の階に移動して解体していきます。
赤坂プリンスホテルの解体作業などにも使用された技術で、工事現場を閉鎖空間にすることにより、周辺への騒音や粉塵の飛散、解体物の落下などにおける、工事の危険性を低下させることができます。超高層ビルの解体に向けた技術として期待されている工法です。
だるま落とし式解体
だるま落とし式解体はその名のとおり下部から解体していき、ビルが少しずつ低くなっていく工法です。最下部にジャッキを設置して上階を持ち上げ、1フロアを解体した後でジャッキダウンし、次の階を解体していきます。
カットアンドダウン工法とも呼ばれ、景観への影響がなく粉塵の飛散や騒音をおさえることができます。さらに、環境にも優しい解体方法として今注目されています。
ブロック解体
ビルの解体として、スタンダードな解体方法がブロック解体です。タワークレーンを最上階に設置し、建材をブロックごとに解体してて地上に下ろします。
従来の方法に比べて騒音が発生しにくく、地震が起きたときの安全性も保てるといわれています。工事期間も短縮でき、汎用性が高いため幅広くビルの解体にも対応しています。
ビル解体の業者選び
ビルの解体は1000万円を超えることもあるため、コストをおさえることにつながる解体業者選びはとても重要です。ただし、見積金額だけで業者を選ぶと、工事が始まってからトラブルになることがあります。
ここでは、スムーズな解体を行うためにどのような業者を選べばいいのか、そのポイントについてご紹介します。
ビル解体に必要な登録をしている
解体作業をしていいのは下記の3つの業種と決められています。
- 建設業
- とび・土木工事業
- 解体業
このいずれかに登録されていれば、解体業を請け負うことができますが、500万円を超える工事に関しては建設業の許可が合わせて必要になります。ビルの規模や構造によって金額が変わってきますが、500万円を超えそうなときは、建設業の認可がある業者に相談しましょう。
解体で発生した産業廃棄物を搬出するには、産業廃棄物収集運搬業の許可が必須です。廃棄物の搬出だけ別の業者に任せるという方法もありますが、解体工事に関わる業者数が増えるとトラブルの発生確率が上がってしまいます。できるだけ産業廃棄物収集運搬業の許可を持った解体業者を選びましょう。
相見積もりのポイント
解体を請け負える許可があることが確認できたら、次のステップとして見積依頼を行います。この見積依頼はできるだけ複数社に依頼します。ビル解体の見積もりは1~2日かかるため、選ばれなかった会社に対し申し訳ない気持ちになるかもしれませんが、相見積もりを行って金額や工事内容を比較することはとても重要です。
1社だけに見積依頼をすると、高額な見積額を提示されることがあります。複数の業者に依頼することにより、解体工事の相場も把握できますので、極端に金額の高い業者に依頼するリスクを回避できます。
相見積もりをするときのポイントは、見積書の明細を出してもらうということです。「解体工事1式 ◯◯万円」と書かれていても、どのような作業が含まれているのが分からず、後から追加費用を請求されるかもしれません。必ず何の工事にいくらかかるのかを明確にしてもらいましょう。
そのとき見積金額だけで選ばないように気をつけてください。安値でも手抜き工事をしたり、産業廃棄物を違法投棄する業者がいます。「ここなら任せても大丈夫」だと判断した業者の中から、見積額の安いところに依頼しましょう。
中間マージン
ビル解体工事を依頼する場合、大手建設会社に依頼する方が多いと思いますが、どうしても解体費用が高くなってしまいます。大手建設会社のほとんどが現場監督だけを行い、実際の作業は下請け業者が行っています。
少しでも安く工事を行いたいのでしたら、下請け業者に直接依頼しましょう。
そうすることで中間マージン分は安く済ますことができます。下請け業者がなかなか見つからないときは、自社で施行をしている解体業者に依頼します。
ビルを解体するときにかかる工期
土地の売却が決まっていて、期間内に解体工事をしなければいけないときは、ビルの解体工事にどれくらいの時間がかかるのか気になりますよね。上記で軽く触れましたが、ここでは詳細に解体時間についてご紹介します。
ビルの周辺環境やアスベストの有無などによって、解体にかかる日数は変わってきますが、一般的な解体工事の工期は下記のようになります
鉄骨造ビル(S)
延床面積 | 解体工期 |
---|---|
50坪 | 10~15日 |
100坪 | 20~30日 |
300坪 | 40~50日 |
鉄筋コンクリート造ビル(RC)
延床面積 | 解体工期 |
---|---|
50坪 | 15~20日 |
100坪 | 30~40日 |
300坪 | 50~60日 |
500坪 | 70~80日 |
鉄骨鉄筋コンクリート造ビル(SRC)
延床面積 | 解体工期 |
---|---|
50坪 | 30~50日 |
100坪 | 60~80日 |
500坪 | 90~120日 |
頑丈に作られているビルほど工期は長くなる傾向にあります。自分のビルがどれに当てはまるのか確認して、最大日数で工期がかかることも考慮しておきましょう。
ビル解体における、アスベストやダイオキシンの処理
ビルを解体する工期はアスベストの有無に加えて、ダイオキシンの処理によっても変わってきます。
ビルに限らず建物を解体するときは、アスベストの調査を行います。
アスベストの使用が禁止されてから十数年しか経過していないため、現在老朽化しているビルでは使用されている可能性があります。
アスベストは吸い込んでしまうと肺がんや中皮腫などを引き起こす、とても危険な物質です。
きちんとした手順で解体しないと、解体作業者だけでなく周辺の住民の健康も害してしまいます。除去作業は手作業が基本ですので工期が大幅に伸びるだけでなく、別途でアスベストの除去費用がかかってしまいます。
アスベスト対策は義務付けられていますので、必ず行わなくてはいけません。現地調査をしてもらうときに、アスベストの有無を確認してもらい、使用されていることが判明した場合は、届出を掲出するなどしてきちんと解体工事を行いましょう。
解体するビルに焼却施設や煙突があると、ダイオキシンが発生しているケースがあります。この場合も通常より解体工期が長くなり、解体費用が高くついてしまいます。焼却設備などがあるビルは、ダイオキシンのことも想定しておく必要があります。
まとめ
行う機会があまりないビルの解体工事は、解体方法だけでも様々な種類があります。 大まかな流れを理解していただき、所有するビルに適した解体方法を選択するとともに、不明な点があれば解体業者に必ず相談しましょう。
実際に工事を行うのは解体業者ですので、すべてを把握する必要はありませんが、まったく知識がないと業者を選ぶ指標がないため迷ってしまいます。ある程度はビルの解体について理解し、解体業者の現地調査に立ち合うことをおすすめします。
見積金額は重要ですが、それ以上に大事なのは安心して解体を任せることができる業者かどうかということです。現地調査や打ち合わせの場で、対応がしっかりしているのかをチェックして、解体の許可を所持している業者にしてください。
また、解体工事が始まっても業者に任せきりではなく、定期的に現場に足を運んで、業者としっかりコミュニケーションを取りながら、工事を進めていくことが大切です。
アスベストやダイオキシンの有無が確認できた場合は、周囲の方の安全と健康に配慮して施工を行わなくてはいけません。
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