屋外設置タイプと屋内設置タイプ
出典:photo-ac.com
ガス給湯器を選ぶときにまず考えるのが、屋外と屋内どちらに設置するのかということです。屋外は雨風の影響を受けやすく、冬場などはとても気温が下がってしまうため、効率よく運転することができなくなります。一方、屋内設置にすると屋内でガスを燃やすことになり、安全性の面で不安が残ります。
居住地域の特性なども考慮して、どちらにするか選択しなくてはいけませんが、それらについては後ほど説明するとして、ここではそれぞれにどのようなタイプがあるのかについて説明しておきます。
屋外設置タイプ
- 壁掛型
- 据置型
- パイプシャフト方式
屋外に設置する場合には、吸気も排気も屋外で行なえます。このため本体から直接吸排気を行います。設置スペースが十分にある場合は据置型、スペースがあまりない場合には壁掛型を選びます。また、マンションなどの集合住宅の場合は、スペースの関係でパイプシャフト(パイプスペース)にレイアウトされることがよくあります。
屋内設置タイプ
屋内設置タイプは排気を屋外に出さなくてはいけません。このため、吸排気のスタイルによる分類と設置スタイルによる分類の2つの分類方法があります。
吸気・排気スタイルによる分類
- CF式(自然排気式)
- FE式(強制排気式)
- BF式(自然吸排気式)
- FF式(強制給排気式)
CF式とFE式は屋内の空気を利用してガスを燃焼させます。そのときの排気を自然に行うものがCF式で、ファンを使って強制的に排気するのがFE式です。
BF式とFF式は屋外の空気を取り込んでガスを燃焼させます。そのときの排気を自然に行うのがBF式で、ファンを利用して吸排気を行うのがFF式です。
設置スタイルによる分類
- 壁掛型
- 浴室据置型
屋内に設置する場合は、排気口が人よりも高い位置にくるようにするために、壁掛型が基本となります。ただし、浴室用給湯器の場合は浴室据置型として、浴槽に並べてレイアウトされます。
設置場所がなぜ重要なのか?
ガス給湯器はどこにでも設置できるわけではないと説明しましたが、なぜ設置場所を重視しなくてはいけないのでしょう?その理由は大きく分けて2つあります。
- ガス給湯器の能力を最大限に発揮させる
- 利用する人の安全を守る
まず重要なのは、ガス給湯器に無理のない吸排気をさせることです。吸気口や排気口近くに障害物がある場合、ガス給湯器本来の能力を発揮できなくなります。計算上で吸えるはずの空気を吸えなくなると、給湯器内で不完全燃焼が起こることがあります。このため、ガス給湯器は吸気口や排気口近くに何もない環境を整えてあげる必要があります。
そして、もうひとつ重要なのが安全性です。どんなに安全なガス給湯器でも、ガスを燃焼させている以上、100%の安全はありません。排気ガスを吸ってしまったり、存在に気づかずに手で触れてしまったりしたら大変ですよね。そうならないためにも、設置場所の基準が定められています。
戸建てとマンションの違い
戸建ての場合は、設置場所に関して自由度があります。ガス給湯器の周りの環境さえしっかりしていれば、屋内に設置することも屋外に設置することもできます。一般的には屋内での爆発や火災のリスクを回避するため、屋外に設置するケースが多くなります。
マンションの場合は管理規約などもあり、自由にどこにでも置けるというわけではありません。例えば既存のものがパイプシャフトに設置されている場合には、買い替えをする場合にはそのスペースに合ったものを選ばなくてはいけません。
配管工事の自由度もそれほど高くありません。マンションの場合はガス給湯器のカタログを見る前に、どのようなものなら設置できるのかの確認が必要です。それを把握した上で、適合するサイズのガス給湯器から、希望する商品を選ぶことになります。
設置には基準がある
それではガス給湯器を設置するときの、具体的な設置基準について見ていきましょう。給湯器を設置する場合に意識しなくてはいけないポイントは次の4点です。
- 可燃物と排気口出口との離隔距離
- 可燃物と機器本体との離隔距離
- 開口部と排気口出口との離隔距離
- 修理・点検のスペース
それぞれの離隔距離や位置関係がどのようになっているのか見ていきましょう。
可燃物と排気口出口との離隔距離
排気口近くに物があると不完全燃焼を起こしてしまう可能性があります。下記寸法範囲内に障害物などがないようにレイアウトしなくてはいけません。
- 上方:排気口から300mm(不燃材の場合も同様に300mm)
- 下方:排気口から150mm
- 前方:600mm(不燃材の場合は300mm)
屋内配置の場合、排気筒トップから600mmは障害物がないようにしてください。特に排気筒トップが下向きになっている場合には、荷物などをその周辺に置いてしまわないように気をつけてください。
可燃物と機器本体との離隔距離
ガス給湯器本体は建物や障害物との距離を、下記寸法以上離して設置する必要があります。
- 上方:150mm
- 前方:150mm
- 後方:10mm
- 側方:150mm(10mmの機器もあり)
開口部と排気口出口との離隔距離
せっかく排気して、汚れた空気を屋外に出したのに、すぐうえに窓などがあると、そこから排気が侵入してしまいます。それを避けるために、排気の吹出口と窓などの建物開口部の位置関係が定められています。
- 上方:建物開口部から300mm(300mm以内でも実長が600mm以上離れていれば除く)
- 下方:排気口から150mm
- 側方:150mm
排気口が排気カバーなどで上を向いている場合には、排気カバー端から窓まで600mm以上あけなくてはいけません。
修理・点検のスペース
機器の修理、点検のための作業スペースを設ける必要があります。
- 前方:600mm
- 側方:150mm
排気筒の設置基準(屋内設置タイプ)
排気筒とは給湯器から伸びているアルミの煙突のようなもので、ガスの燃焼に必要な空気を補給して排気ガスを屋外へ排出する設備のことです。その排気筒に関しても設置基準があります。排気方式によって基準が違いますので、それぞれの方式ごとの基準をご紹介します。
FE式、FF式
- 排気筒の機器からの立ち上がり部を1m以内に抑える
- 排気筒を横に延長する場合には1/50の勾配をつける
FE式とFF式で気をつけたいのが、排気筒内の結露です。結露がガス給湯器側に流れてこないように、必ず勾配を付けておきましょう。
CF式
- 排気筒トップを風圧帯の範囲外に設置する
風圧帯という聞きなれない単語が出てきましたが、簡単に言えば排気筒内に空気が逆流しないようにレイアウトするということです。風が吹いても排気が逆流しないように、風の流れを考慮して排気筒の設置を行いましょう。
設置基準を守らないと危険
いくつもの設置基準があり、すべて守ろうとするとかなりの制約を感じる人もいるかもしれません。こんな基準を守ったら、どこにも設置できないというようなケースも考えられます。ただし、設置基準を無視して無理に配置したらとても危険な状態になります。
ガス給湯器が不完全燃焼を起こす
排気口の前に壁などがあると、うまく吸排気ができなくなります。その結果、ガス給湯器が不完全燃焼を起こします。このとき一酸化炭素が排出されるだけでなく、何度も不完全燃焼を発生させるとインターロックがかかってしまうことがあります。そうなると、メーカーに修理を依頼しなくてはいけなくなります。
火事が発生する
ガス給湯器近くに可燃物を置いてしまったことで、そこに火がつくということもあります。排気口の上にタオルや布巾などを載せて、そこに引火して家事になったというケースもあります。物を周りに置かないようにするだけで回避できることです。必ず設置基準に従って安全な環境でガス給湯器を使いましょう。
給湯器設置の業者の選び方
ガス給湯器はそれほど大きなものではありませんので、インターネットなどで安く購入して、自分で取り付けできると思っている人もいるようですが、設置作業は専門業者に依頼しなくてはいけません。ただし、専門業者も信頼できる業者から悪徳業者まで幅広くいます。信頼できる業者を選ぶにはどうすればいいのでしょう?
- 給湯器設置の実績が豊富な業者を選ぶ
- アフターフォローがしっかりしている
- できるだけ近所の業者を選ぶ
選ぶ基準はいろいろありますが、この3点は特に重視してください。基本的にはガス給湯器の販売設置をメインの仕事として請けている業者を選びましょう。ホームセンターなどでも設置してもらえますが、それが本業ではない可能性があります。価格だけでなく設置ノウハウがしっかりとしている業者を選びましょう。
また、とにかく安さばかりを強調する業者の場合は、アフターサービスを受付けないか有料にする業者もあります。そういう業者は設置時にミスをする可能性が高いと考えてください。優良業者であれば、設置ミスをほとんどしませんので、アフターフォローをする余裕があります。保証期間をきちんと設けてくれる業者を選びましょう。
上記2点を意識した上で、できるだけ近所の業者に依頼しましょう。いくら金額が安くても、トラブルが発生したときに、遠方過ぎてすぐに来られないというのでは不安ですよね。多少費用は高くても、すぐに駆けつけてくれる近場の業者を選びましょう。
まとめ
ガス給湯器の設置場所、設置方法について説明してきましたが、しっかりと理解できたでしょうか?実際には工事業者がきちんと説明してくれるはずですが、基本的な考え方くらいは把握しておかないと、業者との会話が噛み合わなくてトラブルになることもあります。
安全に使うためには、安全な設置場所にこだわらなくてはいけない。それだけはきちんと頭に入れておきましょう。
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