浴室、脱衣所に手すりを取付けるメリット
浴室や脱衣所では、高齢者の転倒事故などが起こりやすいため、「手すり」の取り付けが必須です。 まずは、浴室と脱衣所に手すりを取付けるメリットを2つご紹介しますので、重要性をしっかりと理解しておきましょう。
浴室での転倒防止
在来工法の浴室は床がタイルで滑りやすく、さらに脱衣所と浴室の段差により、つまづいて転倒する事故が起こりやすくなるといわれています。
一方、ユニットバスの床には、すべり止め加工が施されたものも多く見られます。しかし、水や石鹸かすなどが付着していると足元が滑りやすく、高齢者や小さなお子様は、転倒してしまう危険性があります。 特に高齢者の方は、脚の筋力が衰えていることもあり、バランスを崩しやすく、転倒のリスクが高くなるといえます。
浴室や脱衣所の壁に、手すりを取付けることで、手すりにつかまりながらゆっくりと移動することができるため、転倒事故の防止になります。
立ち上がるのが楽になる
浴室や脱衣所はかがんだり、立ち上がったりと身体に負担のかかる姿勢になることが多い場所です。
浴室では、身体を洗ってイスから立ち上がるときや浴槽へ出入りするときは、足腰が弱い高齢者の方、ひざや腰に痛みのある方にとって、体に負担がかる動作になることが懸念されます。 また、脱衣所での衣服の着脱の際にも、同様のことがいえるでしょう。
手すりにつかまることで、自分の体を引き寄せて、体重を移動させることができるので、立ち上がりなどの動作が楽に行え、体勢も安定します。
浴室、脱衣所の手すりを取付ける位置
浴室と脱衣所の適切な箇所に手すりを取付けることが、安全で快適な入浴につながります。ここでは、浴室、脱衣所の手すりの種類、おすすめの取付け箇所をご紹介します。
手すりの種類
手すりは、ご自宅の浴室や脱衣所の他にも、玄関、廊下、階段などに取付けることができ、種類も様々です。 用途や場所に合わせて、適切な手すりを取付けるためには、手すりの種類をきちんと把握しておかなければなりません。
浴室および、脱衣所に取付けると良いされる手すりは、次の4種類が挙げられます。各手すりの特徴を簡単に説明しますので、設置する際の参考にしてみてください。
- 縦手すり(I型手すり)
出典:快適空間スクリオ
「縦手すり」は、床面に対して垂直に設置します。ドアの開閉、段差を乗り越える際や、立ち座りなどの体重移動を伴うとき、姿勢を安定させたい場所に設置すると良いでしょう。
手すりを掴むことで身体のバランスが安定し、動作が安全に行えます。 また、浴室などの水回りに取付ける縦手すりは、しっかりと握ることができるように、握り径がやや細めの32mm程度のものを選ぶのがおすすめです。
- 横手すり(水平手すり)
出典:快適空間スクリオ
「横手すり」は、床面に対して水平に設置するもので、水平移動や一定の姿勢を保持する際にあると便利です。 脱衣所から浴室への移動や、浴室内を歩く際に手すりに捕まって移動できるので、転倒防止に役立ちます。
- L型手すり
出典:快適空間スクリオ
「L型手すり」は「L字型」に設置するもので、縦手すりと、横手すり、両方の機能をあわせ持っています。 浴室では浴槽への出入りや、立ち上がる際など、身体を支えて安定させたい場所に取付けられることが多いようです。
一般的には、浴槽のフチから約10cmくらいの位置に、横手すりがくるように設置するのが良いとされています。 縦手すり同様に、しっかりと握れるように握り径は慎重に選びましょう。
- 逆T字手すり
出典:快適空間スクリオ
「逆T字手すり」は、アルファベットの「T」の文字を逆さまにした形状で、L字型手すり同様に縦手すりと、横手すりの2つの機能をあわせ持ちます。 浴槽付近に取付けることが多く、浴槽へ入る際に左右どちらの向きに座っても、支障なく手すりを握ることができるので便利です。
おすすめの取付け箇所
浴室内であらゆる動作を安全に行うためには、数ヶ所に手すりを設置するのがおすすめです。一般的に設置されている3つの箇所と、適切な手すりの形状をご紹介します。
- 浴室の出入り口
出入り口では、浴室のドアの開閉や出入りの際に身体のバランスを崩しやすいため、脱衣所側に「縦手すり」があると、身体を支えることができます。
浴室の床は滑りやすいため、浴室側のドア近くに握り部が位置する「オフセットタイプの手すり」を取付るのもおすすめです。
- 洗い場
洗い場で身体を洗ってから浴槽に向かうなど、洗い場は移動を伴う空間です。最近のユニットバスは床が乾きやすくなっていますが、乾くまでは転倒の危険が高いといえますので、安全に移動するためにも「横手すり」がおすすめです。750~850mmの高さに取付けられることが多いですが、使う方の体型に合わせて、握りやすい高さに取付けましょう。
イスの立ち座りは、身体に負担がかかります。「縦手すり」があることで、ラクな立ち座りが可能になります。シャワーハンガーと手すりを一体化させたものもありますので、浴室の状況に合わせて選びましょう。
- 浴槽
浴槽の出入りは、身体のバランスを崩しやすい動作です。浴槽フチの真上に「縦手すり」があれば、身体が支えられ、安全な出入りが可能です。また、浴槽フチに挟み込んで取付ける「手すり」もあり、工事をせずに取付け可能なため、すぐに取付けたい方や、工事費用を抑えたい方は検討してみてください。
湯船に浸かるために座ったり、出る時に立ち上がるなど、浴槽内でも立ち座りの動作があります。そこで「L型手すり」を取付けると、立ち座りがラクになります。また、横手すりは、湯船に浸かっている間の姿勢を安定させます。
浴室、脱衣所の手すりを取付ける費用はいくら?
浴室、脱衣所に手すりを取付ける際の費用には、手すりの本体価格と工事費が含まれます。手すりは、ホームセンター等で2,000円程度から販売されていますが、補助金を申請するためには、手すりの長さなどが指定されています。補助金の申請を考えている方は、募集条件を満たす商品を選んでください。
ユニットバスを扱うメーカーでは横手すりやL型手すりなど、様々な形状の手すりを扱っています。メーカーによって価格は異なりますが、15,000~25,000円が相場価格となります。工事費は、15,000円程度が相場です。
浴室、脱衣所の手すりを取付けられないケースがある
浴室や、脱衣所の壁材によっては、手すりの取り付けができないことがあるため、注意してください。 通常、ユニットバスには、各メーカーから販売されている「ユニットバス専用後付け手すり」を使用します。
しかし、次のような壁材の場合は、取付けできないことがあるので、お使いのユニットバスメーカーに問い合わせてみてください。 メーカーでは、各壁材に応じた商品を揃えていることもあるため、確認してみると良いでしょう。
- タイル
- プラスチック板
- ホーロー
- FRP板
- 天然大理石 など
また、タイル壁の在来工法浴室でも、壁に穴を開けてから、手すりをネジで止めることができれば、取付けることが可能です。 ただし、「積み上げ工法」のタイル壁の場合は、壁の一部に空洞があるため、手すりの取り付けができないことがあります。 業者に現地調査をしっかりと行ってもらい、設置方法について適切な判断をしてもらいましょう。
※積み上げ工法とは、比較的古い家に多くみられるタイルの貼り方で、タイル一枚一枚に、団子状にしたモルタルが盛られており、部分的に空洞のあるタイル壁のことです。
浴室、脱衣所の手すりを介護保険で取り付ける方法
リフォームの費用を、できる限り抑えたい方は多いのではないでしょうか。手すりを取付ける際は、条件を満たせば、介護保険による補助金を受け取ることができます。受給条件や、どのような手続きが必要なのかを説明しますので、ご自身やご家族が該当者であるかなどを含め、しっかり確認してください。
介護保険を受けるための条件
介護保険で、手すりの取り付けなどの住宅改修(介護リフォーム)を行うためには、以下の5つの条件を満たしていなければなりません。
- 1.使用する人が「要介護認定(要支援、要介護)」を受けている
- 2.工事をする家屋が、使用者の住民票上の住居であり、実際に生活している
- 3.工事の内容が介護保険に適応している
- 4.該当する工事の内容について、市区町村から許可がおりている
- 5.工事の申請金額の上限は20万円まで
「要介護認定」は、申請者にどのような介護が、どの程度必要なのかを判断するためのものです。お住まいの市区町村の介護保険窓口で申請し、要支援または、要介護の認定を受けます。 各自治体で、介護保険が適用される工事の種類は、異なることがありますので、注意してください。
また、介護リフォーム工事の対象となる工事費は20万円までです。交付される額は申請者の所得税によって異なるため、基本は工事費の9割ですが7割や8割というときもありますので、最高でも18万円となります。
浴室や脱衣所に手すりを取付けただけで、20万円を超えることはほとんどありませんので、浴室のドアの交換や段差の解消など、他のリフォームと併用することも可能です。 20万円を超える工事も行えますが、超過分した分は全額自己負担となります。
【例:工事費25万円のリフォームの場合】
工事費 25万円-交付金(18万円)=7万円(自己負担を1割で計算)を支払うことになります。
支給を受けるための大まかな流れと必要に書類
介護保険を利用して介護リフォームを行うときは、業者に依頼する前にケアマネージャーに相談し、リフォーム内容などについて、アドバイスを受けておくと安心です。
以下は、手続きの流れと必要な書類になりますが、市区町村によっては「ケアプラン(介護サービスの計画書)」の提出するなど、書類が異なります。必ず事前の確認を行ってください。
【基本の手続きの流れ】
- 1.ケアマネージャーに相談する
- 2.業者に改修工事を依頼する
- 3.改修工事前に必要な書類を、市区町村の窓口に提出する
- 4.改修工事着工
- 5.改修工事完了
- 6.改修工事後に必要な書類を、市区町村の窓口に提出する
【改修前に提出する書類】
- 支給申請書
- 住宅改修が必要な理由書
- 工事見積書
- 住宅改修の完成図(写真または、簡単な図面など)
【改修後に提出する書類】
- 住宅改修工事の領収書
- 工事費内訳書
- 住宅改修後の完成が確認できる書類(写真)
- 住宅の所有者の承諾書(住宅の所有者が利用者本人でない場合)
※ケアマネージャーは介護を受ける人のために、介護の方針、サービス内容、 費用などの計画を立てる専門家です。
まとめ
浴室や脱衣所に手すりを取付けることで、高齢者の転倒事故の防止や、入浴中のあらゆる動作の負担を軽減させることができるため、安全性、快適性を高めることができます。
手すりにも様々な種類がありますので、出入り口や浴槽周辺など、適切な箇所に合ったものを取付けましょう。 取付けの際は、介護保険を利用できることがありますので、お住まいの市町村区の窓口で、支給を受けるための条件や提出書類などについて、確認しておくと安心です。
記事でご紹介した内容を参考にして、家族が安全に入浴できる浴室にリフォームしてみてください。
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