2019年3月29日

浴室の水はけが悪い原因は勾配にある?リフォーム費用と基礎知識を解説

入浴してから何時間も経過しているのに、床が乾かず濡れたままになっていることはありませんか?浴室の水はけが悪くなる原因は、床に十分な勾配がないため起こっている可能性があります。ここでは浴室の床の勾配について、基礎知識や勾配をつけるための費用についてご紹介します。

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浴室の床に勾配がある理由

浴室の勾配

出典:photoAC

そもそも浴室の洗い場に勾配なんてあるの?と思うかもしれませんが、一見するとまっすぐに見えても、ほとんどのお風呂の床には、排水口に向かって勾配がつけられています。これがないと、いつまで経っても排水されず床が濡れたままになります。

海外のホテルなどでは、勾配のついていない浴室もありますが、それは乾燥している地域だからできることで、日本のように高温多湿な地域では、しっかりと勾配をつけておかないと、浴室の床に水が溜まってしまいます。

さらに、床の水には石鹸カスや皮脂などの汚れが混ざっています。このため、水が溜まったままですとカビや細菌が繁殖し、衛生的にも良いとはいえません。床の水が溜まるのを回避するためには、床にきちんと勾配を持たせることです。

水は重力によって自然と低いほう(排水口)に向かって流れていくため、浴室の床をきれいな状態で維持できます。

浴室の床の勾配の基準

浴室の勾配

勾配があれば水は流れていきますが、体感できるほどの傾斜があると、洗い場を使うときに違和感がありますし、何より滑りやすくなってしまいます。問題なく使用するためにも、適切な勾配というのがあります。

浴室の勾配:1/50~1/100

上記の割合が水の流れる適切な勾配とされています。この数値は法律や条例で決められているわけではなく、下水管の勾配が1/50~1/100と定められており、これだけの傾斜があれば十分に水が流れるため、ひとつの目安となっています。

1/50~1/100といわれてもイメージしにくいかもしれませんが、1mの場合で1~2cm下がることになります。一般的な床材には、なめらかな素材を使用していますので、基本的には1/100程度の勾配があれば、床面に水が溜まるということを回避できます。

浴室の床の勾配には種類がある

浴室の床に勾配をつけるリフォームをする際、注意しなくてはいけないのが排水口の位置です。浴槽前にグレーチング(すのこ)がある洗い場と、洗い場の隅に排水口が1ヶ所だけある場合とでは、勾配の付け方が変わってきます。それぞれどのような勾配をつければいいのか、見ていきましょう。

浴槽前にグレーチングがある場合

グレーチングがある場合

浴槽前にグレーチングがあり、排水溝が1直線にある場合は、そのグレーチングに向かって傾斜を付けます。床面全体でいえばグレーチング部分を低くして、その反対側の壁面の位置を僅かに高くします。下地作りさえしっかりしておけば、タイル床でも施工は可能です。

排水溝には元から傾斜のある部品を使うことができますので、このような片勾配で済む床面は施工しやすく、リフォーム費用も比較的安価に抑えることができます。

排水口が一箇所しかない場合

排水口が1つしかない場合

排水口が洗い場の隅に1ヶ所しかない場合には、そこに向かって水の流れを作り出さなくてはいけません。グレーチングがあるときのように片側だけを単純に高くしてしまうと、どうしても排水口と同じ高さの部分に水が溜まってしまいます。

それを避けるためには2方向に勾配を付ける必要があります。設計として2方向に傾斜をつけることは簡単ではなく、実際の現場で行うには高い技術が求められます。また、タイル床の場合には、2つの傾斜が重なり合う部分にタイルを貼るため熟練の技術が求められます。

業者の腕の見せどころではありますが、技術力のない業者に依頼するときちんと排水されないだけでなく、床面が目に見えて歪むことになるので注意が必要です。

他にも、無理に2方向の勾配を付けるのではなく、新規に排水溝を設置してそちらに向かって片勾配を付ける方法もあります。見た目を重視するのか、予算を重視するのかによって最適な勾配の付け方が変わってきますので、まずは業者に相談して最適な方法を提案してもらいましょう。

浴室の床に水がたまるのは排水管が原因かも?

浴室の勾配

浴室の床に水が溜まるのは、勾配がないからという理由だけではありません。排水がきちんとできない状態になると、いくら床に勾配がついていても、水がせき止めて流れていかないので、いつまで経っても床に水が溜まった状態になってしまいます。

床全体ではなく排水口周辺に溜まっているときは、排水口と排水管をチェックしましょう。それぞれに発生する問題とチェックするポイントについてご紹介します。

排水口が詰まっている

浴室の排水口には、排水トラップと呼ばれる水を溜めるための部品がついています。ここに水を溜めておくことで、下水からの臭いが逆流してくるのを防ぎます。この排水トラップは複雑な形状をしているので、髪の毛や石鹸カスが溜まりやすく、定期的なお手入れが必要になります。

床に水が溜まる場合には、まず排水口を可能な範囲で分解してみましょう。そして部品のぬめりなどを取り除いてください。それだけで詰まりが解消されて、水が溜まらなくなることもあります。構造が複雑で自分で手入れができない場合には、専門のクリーニング業者に依頼しましょう。

排水管が詰まっている

排水口の掃除をしてもまだ水が溜まっている場合は、排水管のトラブルが考えられます。よくあるのが排水管が汚れて詰まっているケースです。こちらは薬剤を流して解決することもありますが、汚れがこびりついているときは高圧洗浄機でのクリーニングが必須です。

また、お風呂の施工をした業者が手抜きをしていた場合、本来ついているはずの勾配がなかったり、逆勾配になっていて水が流れないような構造になっていることがあります。きちんと施工されていても、浴室の老朽化によっては勾配が緩くなることもあります。

このようなケースでは、浴室の床をいくら改善しても意味がありません。排水口周辺で水が溜まっているときは、リフォーム会社ではなくクリーニング業者に清掃してもらい、それでも解決しないときは、お風呂リフォームを専門に行なっている業者に見てもらいましょう。

お風呂そのものの老朽化が進んでいるようでしたら、クリーニングなどをしてもすぐに再発しますので、思い切って浴室全体のリフォームも検討してみてください。

水ハケが悪い浴室の床は放置していると危険

「水ハケが悪いだけなので、それほど困ってないから特に何もしてない」、という方もいらっしゃるかもしれませんが、小さいお子さんや高齢者と一緒に暮らしていると、床が滑りやすくなるため何かしらの対策を考えたほうがよいでしょう。

濡れた床にシャンプーや石鹸が残っていると、バランスのよくない小さなお子様や高齢者の方は、簡単に滑って転んでしまいます。浴室内で骨折する高齢者の方は意外と多く、そこから寝たきりに近い生活を送ることになったり、お尻や腰を打つくらいならまだいいのですが、頭を打ったとなると一大事です。

水ハケが悪いのを改善するためには、浴室の床に勾配を付けるだけで、そのような危険性を下がることにつながります。リフォームする際に滑りにくいタイルを選べば、さらに転倒を防ぐことができます。

いずれにしても、浴室の水ハケが悪い状態を放置しておくのは危険です。そうはいっても、勾配をつけるためのリフォーム費用が高額ですと、行うのに躊躇してしまいますよね。次章では、浴室の床に勾配をつけるための費用について解説します。

浴室の床の勾配をつけるための費用

浴室の勾配

浴室の床に勾配をつけるためには、床に敷かれている既存のタイルなどを取り外して、床面を整えてから床材を貼るという作業を行います。この工程で発生するのは、材料費・工事費・廃材処分費・雑費などです。

では、それぞれの費用の目安について見ていきましょう。

材料費+工事費:10万円~
廃材処分費:5千~1万円
雑費:3千~5千円

床材にどのようなグレードのものを選ぶかによって費用は違いますし、床面の広さや工事内容よっても大きく変わってきますが、一般的な浴室であれば10万円前後で、浴室の床に勾配をつけることが可能です。高価なタイルを使用すると、20万円以上かかることもあります。

いきなり20万円を用意するのは難しいかもしれませんが、樹脂の床材にすれば費用を抑えることができ、安全性を高めることもできます。業者によっては、リフォーム費用を分割で対応してくれるところもあります。

お風呂の状態によって、最適な床材も変わってきますので、まずはリフォーム業者に相談してみましょう。予算を伝えておけば、その範囲内でできることを考えてくれます。依頼する業者が決まってないのであれば2~3社に相談して、最適なプランを提案してくれた業者を選んでください。

まとめ

浴室の勾配

お風呂の床に勾配がついていないと、いつまで経っても床面に水が残ってしまい、足を滑らせる原因になります。今まで問題なかったとしても、家族の誰かがケガをしてしまう可能性がありますので、できるだけ早くリフォームして勾配を付けるようにしましょう。

勾配は1/100程度はつけるようにして、しっかりと水が流れるようにします。ただし、床面が濡れているのは、必ずしも勾配だけが影響しているわけではありません。排水口周辺だけに水が溜まっている場合は、排水口と排水管のクリーニングを行ってください。

それでも改善しないようであれば、リフォーム会社などの専門業者に調べてもらいましょう。業者によって勾配の付け方について考え方が違いますので、できるだけ複数の業者に提案してもらうのがおすすめです。

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監修者:

渡邊 一伸(ナベさん)

大工歴35年。大手ハウスメーカーで2年間現場監督に従事。3000棟以上のリフォーム・住宅修理の工事管理の実績をもつ。阪神淡路大震災においては1年間復興財団に奔走。その後、独立し、会社を10年経営。2016年に1月に株式会社ローカルワークスに入社。