蛇口に分岐水栓を取り付ける水道工事は自分でできる?
分岐水栓とは何か?
分岐水栓とは、水道の蛇口から分岐させることで、複数の用途に対応できるようにするための装置です。例えば、キッチンの蛇口から直接食洗機や浄水器に水を供給したい場合に使用されます。これにより、蛇口からの水を分けることができるため、家庭内の様々な設備に効率よく水を供給できます。
分岐水栓は、専用の分岐口を持つ蛇口に取り付けることで、蛇口の水流を分岐させる仕組みです。これにより、食洗機や浄水器を別々に設置する手間を省き、簡単に接続できます。また、分岐水栓は多くのメーカーから様々な種類が販売されており、用途や設置環境に合わせて選ぶことが可能です。
自分で分岐水栓を取り付けることは可能か?
蛇口に分岐水栓を取り付ける水道工事について、DIYで行って良いのかについて説明します。結論から言えば、自分で取り付けることは可能です。水道工事は原則として自治体が指定した工事業者に依頼しなければなりませんが、蛇口に分岐水栓を取り付ける程度の簡易な修繕工事はDIYで行っても問題ありません。
ただし、適切な分岐水栓を選定しなければなりませんし、水道工事には水漏れのリスクがあります。プロの業者が施工しても、水漏れの可能性がゼロではないのが水道工事です。簡単なDIYとはいえ、何か問題が起こった際は自己責任となります。
蛇口自体を取り外すような難しい作業や、自治体やメーカーが業者での工事を推奨している場合は、その指示に従うことが重要です。
分岐水栓の水道工事を行うための道具
分岐水栓を既存の蛇口に取り付ける場合には、以下の2つの工具が必要になります。
- レンチ(モンキーレンチ・ウォータポンププライヤー)
- ドライバー
どの分岐水栓を取り付けるにもレンチが必須です。通常のレンチでは決められたサイズのみの利用となるため、サイズが分からない場合はモンキーレンチやウォーターポンププライヤーを用意しましょう。サイズが分かっている場合は、しっかりと固定できる通常のレンチがおすすめです。
水栓の形状によってドライバーは不要ですが、シングルレバー混合水栓などはドライバーがないと分解できません。必要に応じてプラスドライバーもしくはマイナスドライバーも用意してください。
このほか、蛇口によっては専用工具が必要になることもあります。場合によってはメーカーに問い合わせして、必要な工具を取り寄せましょう。
食洗機用の分岐水栓を選ぶポイント
食洗機用の分岐水栓を購入しようと思ってホームセンターに行ったり、ネットショップで調べたりしたときに、ほとんどの人が困ってしまうのが種類の多さです。水栓に合わせて何十種類もあり、その中から正しいものを選ばなければなりません。
しかし、選び方を知っていればそれほど難しい作業ではありません。蛇口が全メーカー共通の単水栓や混合栓(お湯と水が個別に供給されている水栓)だった場合、汎用品の分岐水栓を利用できます。この場合は4種類程度しかないため、自宅の蛇口に適したものがすぐ見つかります。
問題はメーカー独自にデザインされた水栓です。これらの水栓は専用の分岐水栓を選んで取り付けなければなりません。メーカーや製品番号(型番)が分かる場合と、そうでない場合で選び方が異なりますので、それぞれの方法に分けてご紹介します。
蛇口のメーカーが分かる場合
蛇口の裏側などには、メーカー名や製品番号が書かれたシールが貼られています。これがあれば、メーカーのホームページや問い合わせをすることで、水栓の品番(製品番号・型式)を調べることができます。
分岐水栓は品番で分類されていますので、分岐水栓メーカーのホームページなどでその品番の商品を購入しましょう。分岐水栓メーカーによっては、品番で分岐水栓の検索が可能です。
例えば、メーカーがTOTOの場合、「水栓金具品番特定システム 見つかるちゃん」を利用すれば水栓金具の品番を絞り込むことができます。メーカー名や製品番号が書かれたシールには品番も書かれているはずですので、品番が分かる場合には蛇口メーカーのホームページなどで調べる必要はありません。その品番に合う分岐水栓を購入してください。
蛇口のメーカーが分からない場合
蛇口に貼られているシールがなかったり、シールの文字がかすれて読めなかったりした場合には、パナソニックの「分岐水栓サポートデスク」を利用して、最適な分岐水栓を選定することができます。メールで水栓の写真を送るだけで、最適な分岐水栓を提示してもらえるサービスです。1営業日程度で回答してもらえますので、メーカーや製品番号が分からないときに利用してみましょう。
食洗機の分岐水栓をDIYで取り付ける方法
ここでは、食洗機の分岐水栓をDIYで取り付ける方法についてご紹介します。取り付けるときの参考にしてみてください。
取り付け方法
- 分岐水栓と工具を用意する
- シンク下の止水栓を閉める
- 蛇口本体を分解する
- 分岐水栓を取り付ける
- 蛇口を組み立てる
- 分岐部分を締めて固定する
- 元栓を閉めて水漏れがないことを確認
シンク下に止水栓が見つからない場合には、水道の元栓から閉めるようにしましょう。メーターボックス内に元栓がありますので、ハンドルを左に回して閉めてください。元栓を閉めている間は室内で水を使うことができませんので、トイレを使用する場合などに注意してください。
分岐水栓の水道工事をDIYで行うときの注意点
食洗機の分岐水栓を自分で取り付けるときは、2つの注意点があります。どのような点に注意してDIYを行えばいいのか見ていきましょう。
食洗器
に繋ぐ分岐水栓の位置を考える
分岐水栓の種類にもよりますが、組み立てる段階で分岐方向が固定されるものがあります。このタイプの場合には、蛇口に対して右と左のどちらに食洗機を置くのか、決めておく必要があります。食洗機と反対方向に分岐水栓が向いている場合は、配管チューブを大きく引き回さなければならないため注意が必要です。
分岐水栓と食洗機が近い位置にあるときは、あえて逆向きに設置しないと近すぎて接続できないこともあります。いずれにしても、分岐水栓を取り付けるときには、食洗機までの距離をしっかり考えておきましょう。
水かお湯か決める
お湯と水を出すことができる混合栓を使っている場合、分岐水栓をどちらに接続すればいいのか迷うことがあります。お湯の方が汚れが落ちやすそうですが、ガス代が上がるかもしれません。まずは、お湯を接続するメリットとデメリットを見ていきましょう。
お湯のメリット
- 食洗機でお湯を作る時間が短縮でき、食器洗いの時間が短くなる
- 電気でお湯を沸かさないので電気代を抑えられる
- 食洗機の発熱を抑えられるので壊れにくい
お湯のデメリット
- ガス代が上がってしまう
メリットとデメリットを考えると、デメリットの方が少ないのでお湯接続がおすすめですが、注意しなければならない点があります。
- 食洗機がお湯接続に対応している
- 給湯温度は60℃以下に設定する(低温洗浄の場合は45℃以下)
あたり前のことですが、お湯接続に対応していない食洗機には水を接続してください。最新の食洗機であれば、ほぼお湯に対応していますが念のため確認しておきましょう。また、メーカーが水接続を推奨している場合には、水側に接続してください。
食洗機は60℃以上で給湯すると壊れる可能性があります。必ず給湯温度が60℃以下になるように設定してください。給湯器が古く温度設定できないタイプのものを使っている場合には、水側に接続をしましょう。食器に優しい低温洗浄を使いたい場合には、45℃以下にする必要があります。この場合も水側への接続がおすすめです。
DIYで分岐水栓を取り付けられない場合
通常、DIYで分岐水栓を取り付ける作業はそれほど難しくありませんが、いくつかのケースでは自分で水道工事をするのは避けたほうがいい場合があります。どのようなケースが該当するのか見ていきましょう。
蛇口自体が破損する可能性がある場合
まず、蛇口のネジやナットが固くて、自分で分解するのが難しいケースです。本来はドライバーやレンチで回すだけで簡単に取り外せる構造になっていますが、メンテナンスなしで長く使っていると固着して簡単には回せなくなることもあります。
特に注意したいのは十字穴付きのネジです。ネジを無理に回そうとすると、溝を潰してしまう可能性があります。そうなると、専用の工具を使わないと取り外せなくなります。ナットも無理に回そうとすると、蛇口本体が壊れてしまうことがあるため気をつけてください。
自分で外すのが難しいと感じたときは、無理に作業を進めるのではなく、面倒でも業者に依頼して取り付けてもらいましょう。業者は特殊な工具を持っていますし、何よりも固くて動かないネジやナットを取り外す技術があります。
とはいえ、完全に蛇口が壊れてしまっては、業者でもお手上げになってしまいます。蛇口を壊してしまうと、蛇口ごとの交換になってしまい、割高な費用が発生します。自分では無理そうだなと感じたら、DIYでの交換は諦めましょう。
止水栓に分岐水栓を取り付ける場合
水道の蛇口に取り付ける分岐水栓は、蛇口に適合したものを選ばなければなりません。しかし、最新の蛇口や特殊な蛇口では、適した分岐水栓が発売されていないことがあります。この場合はシンク下の止水栓に分岐水栓を取り付けます。
- 止水栓に分岐水栓を取り付ける
- シンク上部に穴を開ける
- 給水コンセントを穴に取り付ける
- 分岐水栓と給水コンセントを接続する
- 給水コンセントと食洗機を接続する
止水栓に分岐水栓を取り付ける作業は、蛇口に取り付けるのと難易度はそれほど変わりませんが、シンクに穴を開けるには特殊な工具が必要です。工具があったとしても、DIYでは失敗するリスクがありますので、止水栓に分岐水栓を取り付けなければならないケースでは、業者に依頼して接続したほうが確実です。
賃貸の場合
賃貸物件の場合は、返すときに原状回復が基本ですので、上記の止水栓に分岐水栓を付けるというのは、シンクに穴を開ける段階でNGとなります。システムキッチンに組み込まれるタイプのビルトインタイプの食洗機も、原状回復できませんので難しいでしょう。
水道の蛇口に分岐水栓を取り付けるという場合は、大家さんや管理会社によって判断が違います。「退去するときに元に戻すならいいじゃないか」と思うかもしれませんが、食洗機には水漏れのリスクがありますので、認めていない物件もあります。
賃貸物件で食洗機を設置する場合には、業者に依頼するにしても、まずは大家さんや管理会社に確認をしてから水道工事を行ってください。
分岐水栓を業者に依頼したときの費用は?
自分で取り付けるのが難しい場合には、業者に依頼して取り付けしてもらうことになります。その場合の費用はどれくらいになるのでしょうか?
費用項目 | 費用範囲 |
---|---|
家電量販店の工事(食洗機取付) | 5,000円 |
家電量販店の工事(分岐水栓のみ取付) | 4,000円 |
水道工事業者の工事(食洗機取付あり) | 2万~3万円 |
水道工事業者の工事(分岐水栓のみ) | 1万~1.5万円 |
※分岐水栓代別途
大手家電量販店で購入した場合、食洗機本体の設置も込みで5,000円程度で設置できます。食洗機は自分で付けるから、分岐水栓だけを付けて欲しいという場合には4,000円程度です。思ったほど高くないと感じた方も多いのではないでしょうか。
ネットショップなどで購入したものを水道工事
業者に依頼する場合には、食洗機の取付込みで2万~3万円くらいになります。取付工事で調べると8千円前後と出てきますが、それは食洗機のみの設置費用で、分岐水栓の取付や配管などを含めると、これくらいの金額になります。分岐水栓のみの取付であれば、1万~1.5万円で取り付けできます。
まとめ
食洗機の分岐水栓はDIYに慣れた方なら、自分で取り付けるのはそれほど難しくありません。蛇口に合った分岐水栓を選定することと、手順どおりに交換すれば失敗する確率はかなり低くなります。ただし、工具を持っていない場合はそれらを揃える必要があり、結果的に業者に依頼したのと大して費用が変わらないこともあります。
また、食洗機は重さが20kg近くあります。それ以上に重たいものもあるため、力の弱い女性ですと持ち上げるのも難しく、男性でもケガをする可能性があります。少しでも作業に不安がある場合は、設置も含めて工事業者に依頼したほうが安全です。
ネットショップで購入してDIYで分岐水栓を取り付ければ、トータルの費用を大幅に減らすことができますが、それなりのリスクも伴います。少しでも作業が難しいと思ったら、きちんとした技術を持った水道工事業者にお願いするようにしましょう。
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