マンションやホテルなどの居住空間だけでなく、今や公共施設や商業施設など多くのトイレにウォシュレットがついているのは当たり前という時代になってきています。
「ついている」ことに価値があったウォシュレットは、今では機能面やメンテナンスのしやすさなどライフスタイルやニーズに合わせて「選ぶ」時代になってきました。
ウォシュレットとは
ウォシュレットは温水洗浄便座ともいわれていて元々は用便後のおしりを洗浄する目的でしたが、今では機能が多様化してきて、ビデ、便座の暖房、便器の洗浄、トイレの脱臭、抗菌、自動化などトイレの機能面を一手にひきうけています。
元々の目的の洗浄に使う給湯方式については、おおまかに「貯湯式」と「瞬間式」に分かれます。
洗浄用の湯をあらかじめ貯めておくかおかないかの違いで、イニシャルコストは貯湯式の方が安くなりますが、お湯の保温に電気を使うのでランニングコストは瞬間式の方が安くなります。
また、瞬間式はタンクがない分コンパクトでスタイリッシュなデザインが多いので、最近は瞬間式の方が人気のようです。
ウォシュレットの主要メーカーと商品の特長
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ウォシュレットを始めに売り出した老舗メーカー。
大小の水玉を連続して出す「ワンダーウェーブ」という独自の洗浄方法は水量と強さを共存させながら節水にもなる機能です。
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温水洗浄便座にシャワートイレという名称をつけています。プラズマクラスター機能が最大の特長で、除菌と脱臭が同時に行えます。ノズルを格納できる機能はLIXILだけです。
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ナノイーで除菌と脱臭をします。エコナビや節水機能など、省エネ機能が充実しています。継ぎ目のないステンレスノズルも特長です。
*各特長は品番によっては搭載していない場合があります。
各メーカーの代表的なウォシュレットの機能と特長
TOTOアプリコット(F3AW) | LIXILシャワートイレパッソ(EA14) | Panasonicビューティ・トワレ DL-WH60 | |
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洗浄機能 |
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おしり洗浄機能 | おしり/おしりソフト/やわらか/ムーブ/マッサージ ワンダーウェーブ洗浄は大小の水玉連射で高い洗浄力 |
パワフル洗浄/マイルド洗浄 | おしり洗浄/ワイド水流洗浄/水流リズム洗浄/温水リズム洗浄/おしりムーブ洗浄 低水圧対応 |
ビデ洗浄機能 | ビデとワイドビデの2種類(ワンダーウェーブ洗浄) | ビデ専用レディスノズル | ビデ洗浄 ビデムーブ洗浄 |
温水方式 | 瞬間式 | 瞬間式 | W瞬間式 |
お掃除が楽になる機能 |
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便ふた着脱 | ○ | × | ○ |
ウォシュレット本体着脱 | ○ | △リフトアップ | ○ |
継ぎ目なし便座 | ○+フチなし凹凸なし | ○ | △(継ぎ目・段差が少ない) |
掃除がラクになる機能その他 | 掃除後にリモコンで除菌水を便器内にふきつけるきれい仕上げ機能 便座コード内臓 |
使用しないときはノズルを完全にしまえるスッキリノズルシャッター ノズル先端脱着可能 |
ステンレスノズル おまかせノズルクリーニング アルミ合金をハードコートクリーン便座で傷がつきにくい |
省エネ機能 |
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センサーで瞬間暖房 | ○ | × | ○ |
断熱材入り便座 | ○ | ○ | × |
省エネ機能その他 | タイマー節電・おまかせ節電 スーパーおまかせ節電 ワンダーウェーブによる節水 |
ボタンで待機電力をなくす待機電力ゼロモード 使わないときに便座保温をセーブするエコナビ機能 8時間切タイマー 水圧調整のための逃がし水を削減して節水 |
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除菌・脱臭機能 |
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除菌 | きれい除菌水で使用前使用後に自動洗浄 ノズルもきれい除菌水で自動洗浄 便座とノズルの素材に汚れが付きにくい樹脂を使用 |
プラズマクラスターで便器表面から便座裏まで除菌 | 便ふたと便器内部をナノイー除菌 銀イオンパワーを使用した抗菌便座 継ぎ目のないステンレスノズルに温水を流して除菌、使用前・使用後に自動洗浄 |
脱臭 | オートパワー脱臭 | プラズマクラスターがにおい原因菌を除去 | ナノイー脱臭 センサーによるお出迎えオート脱臭 |
便利機能 |
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ふた自動開閉 | ○+ソフト閉止機能 | ○ | ○ |
ライト | ○ | ○ | × |
自動便器洗浄 | ○ | ○ | × |
便利な機能 | 便座センサー(洗浄後温風でおしりをサラササに) 着座センサー(座るまで各種スイッチをうけつけない) |
ワイヤレスリモコン |
ウォシュレット取付の前のチェックポイント
自宅のトイレにウォシュレットが取り付け可能かどうかチェックしてみましょう。
トイレのタイプ、便器の大きさ
水洗トイレのタイプは大きくわけてタンク式とタンクレス、タンク式の中でも三角形のタンクが付いているものは隅付タンク型と呼ばれます。
便器の大きさは大型と普通サイズに分かれます。
Cが440mm、Dが320~350mmが普通サイズ、
Cが470mm、Dが360~380mmが大型サイズとなります。
あわせて便座取付け穴の間隔(B)と、タンクまでの距離(A)も測っておきましょう。
トイレの広さ
トイレの広さをチェックする際は便器から壁(ドア)までの距離を測ります。また、壁に障害物はないか、ドアが内開きならドアを開けた時便器までどのくらいの距離があるかも確認します。
さらに隅付タンクの場合はタンクの高さも把握しておく必要があります。
電源、アース、消費電力
トイレ内に電源とアースがあるか、ある場合は電源から便器までの距離はどのくらいか、電源は取り付けようとするウォシュレットの消費電力に適合しているかを確認しましょう。 新たに電源を設置する場合は必ず専門の業者さんへ依頼する必要があります。
止水栓
水を制御する止水栓にもいくつかのタイプがあるので確認しておきましょう。
メーカーサイトでご自宅トイレとの適合性を調べる
各ウォシュレットメーカーでは自社のウォシュレットが適合するかどうかチェックポイントを詳しく説明しています。型番で探せる機能もあるので便利です。
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自宅のトイレにTOTOのウォシュレットがつけられるか調べられます。他社製トイレの場合にもチェックポイントを詳しく紹介しています。
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フローチャートに従ってチェックポイントを紹介しています。LIXIL(INAX)製便器の他にもTOTO製便器の品番からも適合が調べられます。
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設置診断ページから自社製品が取り付けられるか調べることができます。LIXIL、TOTO製便器の品番でも調べることもできます。
自分でウォシュレットを取り付ける方法
基本的な取付の流れ
1、準備。水栓を止める。元々別のウォシュレットがついている場合は電源を抜く。
2、新しい給水器具(分岐金具、ホースなど)を取り付けて古い給水器具を外す。
3、古い便座を外して新しい便座を取り付ける。
4、給水器具をウォシュレット本体に接続する、電源とアース接続する。
ウォシュレットを自分で取付けを行う前に
必要な道具はスパナとドライバー、このほかモンキーレンチやウォータープライヤーがあれば便利です。万が一の水漏れに備えてバケツと雑巾も用意しましょう。
DIYが得意な人ならさほど難しくない工程ですが、「自宅の止水栓のタイプが説明書にない形だった」「小さなパッキンの取り付け方が悪くて水漏れした」「ボルトが固くて動かなかった」「作業場所が狭いので思うように作業しづらい」など、上手くいかない例もあります。
何より水漏れしたら大変なこと、問題なく取り付けられるまでトイレが使えないなど、適当に終わらせることができない作業ですので、よほどの自信がない場合は、専門の業者さんに依頼することを検討した方がいいでしょう。水漏れした場合は電気を使用しているので漏電の危険性もあります。
業者さんに依頼すれば工具の用意も必要ありませんし、不要になった古い便座の処理も依頼することができます。
なお、トイレに電源コンセントがなく、新たに取り付ける場合、コンセントの増設は電気工事士の資格保持者が行う必要がありますので、必ず専門の業者さんに依頼してください。
まずは相談から