2018年10月2日

自宅の壁に断熱材を導入する前に確認すべきこと

断熱材と聞くと、部屋を暖かくするものだと思っている方が多いのではないでしょうか。しかし、断熱材は室内の温度を一定に保ってくれるため、夏でも快適に過ごすことにつながります。壁に断熱材を導入する際は施工方法と断熱材の種類を事前に確認しておくことが大切です。ここでは断熱材の施工方法と種類、導入したときのメリットやデメリット、導入後とDIYの注意点をご紹介します。

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断熱材とは

断熱材

断熱材とは熱の伝わりを防ぐ役割をするもので、窓サッシや床材に使用することでお部屋の暖かさが持続します。断熱効果が高いことでお部屋の暖かさが保たれるだけではなく、夏には屋内の涼しい環境づくりに役立ちます。

断熱材があるおかげで外の熱が伝わらず、屋内の気温が一定に保たれることで効率的にエアコンを使え、涼しさが持続するためです。
断熱材には温度変化の影響を最小限に抑えるだけではなく、気密性の高いものや防火性に優れたものもありますので、より快適な住まいの実現が期待されます。

断熱材はどうして熱を遮断できるのか

それでは、最初に熱を遮断する仕組みについてご紹介します。
断熱材に使用される素材によって遮熱率は異なりますが、基本的に熱伝導率の低い素材で断熱材は作られています。また、繊維の隙間に空気の層を作ることで熱が遮断され、外の気温の影響を受けにくくなっています。

断熱材には様々な種類があるため、ご自宅に合うものを見極めることが重要になります。そこで、断熱材を比較する際のポイントをご紹介します。断熱材の性能は「熱伝導率」と「熱抵抗値」で表されます。熱伝導率とは熱の伝わりやすさを数値化したもので、数字が小さい程断熱性能が高いです。

熱抵抗値とは断熱材の材料の厚み÷熱伝導率で求められる数字で、数値が大きい程熱が伝わりにくく、断熱性能が高いといわれています。以上のことから、ご自宅の断熱性能を高めたいと思った際は厚みのある断熱材を選ぶか、熱伝導率の低いものを選ぶ必要があるということが分かります。

断熱材の施工方法

断熱材

断熱材は熱の伝わりにくい材料で、屋外の気温の影響を受けずに室内の温度を一定に保てるため、夏でも冬でも快適に過ごせます。種類によって熱の伝わりにくさは異なりますので、どこまで断熱性を高めたいかを考えながら熱伝導率と熱抵抗値を確認すると良いでしょう。

断熱材の特徴が様々なように施工方法も2つに分けられ、メリットとデメリットが異なります。2種類の施工方法の特徴を知り、よりご自身に合う方法で断熱材を導入しましょう。

充填断熱工法(内断熱工法)

充填断熱工法は柱などの構造材の間に断熱材を充填する工法で、内断熱工法とも言われます。壁の内側の空間を利用することで断熱材のためのスペースを新たに作る必要がないため、予算を抑えた施工が可能です。

スペースに余裕がある分、断熱性能の高い厚みのある断熱材の導入できますし、幅広い間取りやデザインに対応した断熱材を導入できるのもメリットのひとつです。

ただし、気密性の確保が難しいにもかかわらず内部結露を起こしやすいため、防湿層を設ける必要があります。筋交いなどがあると種類によっては断熱材にすき間が生じるなど、断熱性を保つ施工が難しいというデメリットがあります。

外張断熱工法(外断熱工法)

外張断熱工法とは柱などの構造材の外側を断熱材で覆う工法で、外断熱工法とも言われます。

既存の壁に手を加えないため配管や配線などのダクトスペースに影響を与えることなく、断熱材を導入できます。断熱材の取り付けも簡単で、断熱材同士のすき間が生じにくく、結露になりにくいため建物の基礎の木材が長持ちするメリットがあります。

ただし、建物の外側に断熱材を張り付けるので、充填断熱工法と比較すると取り付け可能な断熱材の厚さに限界があるという点かデメリットです。また、壁に厚みが出るため、敷地にスペースにゆとりがないと、こちらの工法での導入は難しくなります。

さらに、一般的に施工コストが高く、断熱材自体の経年劣化が生じやすいといわれています。外壁材を十分固定できる下地を使用しないと、外壁材が剥がれるリスクがあるので気をつけましょう。

断熱材の種類

断熱材

断熱材は構造材の間に充填する方法と建物を覆うようにする方法で導入できますが、それぞれ使用する上での注意点が異なります。工法だけではなく、断熱材自体の特徴も把握しておくことも適切な断熱材の導入につながります。
それでは、断熱材の種類ごとの特徴を見ていきましょう。

繊維系

繊維系は動物や人工的な繊維でできたものを指し、お手頃に入手できるものが多いのが特徴です。原料によっては映画館やコンサートホールといった施設で使用できる程防音効果の高いものや、害虫被害に効果的なもの、耐火性の高いものなどがあります。

使用できる繊維系の素材はさらに細かく分類されますので、細分化して特徴をご紹介します。

グラスウール

グラスウールとは極細のガラス繊維から作られたもので、安価な価格と高い防音効果が特徴です。ガラスでできているおかげで害虫被害や火災による被害を受けにくい、というメリットもあります。音楽鑑賞や演奏、映画鑑賞などが趣味の方に特におすすめの素材です。

セルローズファイバー

紙や新聞紙、段ボールなどから作られたもので、ホウ酸や硫酸アンモニウムと結合させて燃えにくく、害虫を防ぐ効果が高いことが特徴です。調湿性にも優れているため、結露にお悩みの方には特におすすめです。ただし、特殊加工が必要なため施工費用も時間もかかりますので、スケジュールにも予算にもゆとりをもつことがポイントです。

インシュレーションボード

インシュレーションボードとは、木造建築を解体して出てくる廃材などを加工してボード状に成形したものです。廃材を再利用するため環境に優しく、木材が使われているため調湿性に優れているのが特徴です。木材の消臭効果も期待できるなど、木材のメリットが実感できる素材です。

羊毛断熱材

羊毛断熱材は、衣類に使われなかった羊毛や羊毛の衣類をリサイクルして作られたもので、調湿性に優れていることが特徴です。天然素材で肌触りが良いこと、羊毛の衣類を着ているような暖かさにより熱伝導率の低さを確信できることなど、近年注目を集めている素材です。

ロックウール

ロックウールは玄武岩や鉄炉スラグなどを高温で加工して作られる石綿の一種で、アスベストに代わる材料としても使用されています。耐火性や吸音性に優れているのが特徴です。撥水性の高い素材であるため形状の維持が容易なこと、廃棄処分の際に特別な工程が不要なため広く普及しました。

発泡スチロール系

発泡スチロール系は防湿性の高さから、結露対策に有効です。板上になっているものが多く、外張断熱工法や床断熱との相性が良いのも特徴のひとつです。

比較的価格が高めなものが多いですが、形状の自由度の高さから多くの住宅で使用されています。発泡スチロール系も材料によって特徴が異なりますので、より詳しく解説いたします。

硬質ウレタンフォーム

硬質ウレタンフォームはプラスチック内部に熱を伝えにくいガスを混ぜることで、気温の変化の影響を受けにくいという特徴を持つものです。価格の高い発泡スチロール系の中でも高額なものですが耐久性に優れているため、長期的にはお得に快適な住環境を作ります。

ビーズ法ポリスチレンフォーム

ビーズ法ポリスチレンフォームとはEPSとも呼ばれ、ビーズ状のポリスチレンを発泡させて金属の型を使用して形成されています。水に強いこと、軽いことが特徴です。施工が容易で発泡スチロール系の中では価格が安いことから人気が高い素材です。軽量なので断熱材がよれたり壁内部で落下するといった心配も少ないため、様々な用途で使用されています。

フェノールフォーム

フェノールフォームとは欧州の寒冷地で生産された素材で、難燃性や防火性、耐薬品性に優れています。不燃・準不燃材料の認定を受けている製品が多いことと、カッターなどでも加工できるという特徴もあります。近年では釘やビスが錆びないようにpHの値を調整した製品も見られます。熱を加えると炭化し、炭化した箇所が膜となるため火災が起きても火が広がりにくいというメリットがあります。

断熱材施工前や施工後の注意点

断熱材

断熱材の種類についてご紹介しましたが、断熱材は使用する素材で8種類に分けられ、それぞれ特徴が異なります。価格や施工にかかる時間、特徴を考慮して導入する断熱材を選ぶことが大切です。

そうはいっても、ご自宅のお悩み解消につながる断熱材を選択しても、施工後こまめに状態を確認しなければ断熱材は役割を果たしません。

ご自宅の断熱性を高めるために断熱性能だけに着目して選択される方が多いですが、周辺の状況によってはあまりに断熱性の高いものは建物に悪影響となることが懸念されるため、ご自宅の環境なども考慮する必要があります。

ここでは、断熱材を選ぶ際に確認すべきことと、導入後の注意点について詳しくご紹介します。

オーバースペックにならないものを選ぶ

断熱材の導入を検討される際、できる限り屋外の気温変化の影響を受けないものにしたいと考え、最も断熱性の高いものを選ばれる方は多いでしょう。しかし、寒冷地にも対応可能なレベルの断熱材を寒冷地ではない地域で導入しても、過ごしにくくなるリスクがあります。

断熱材には除湿効果の高いものがありますが、断熱性ばかりを気にして除湿効果のあまりないものを選んでしまい、ご自宅の湿気が気になるようになったということがあり得るように、断熱材はとにかく性能の高いものを選べば良いというわけではなく、建物の状況や周辺環境で求められる性能のレベルが異なります。

ご自宅の環境にふさわしいものを選ぶためには、断熱材の施工に詳しい業者に相談することがポイントです。ご自身のご自宅や周辺環境を考慮し、適切な製品を提案してくれます。現在に住まいの悩みにだけ着目するのではなく、長い目で見て快適に過ごせる環境を作ることのできる断熱材を選ぶことが大切です。

内部結露の対策を考える

充填断熱工法は結露が生じやすいというデメリットがあることを既にご紹介しましたが、充填断熱工法で断熱材を導入された方は特に内部結露に気をつける必要があります。

まずは対策を考えるために、内部結露が生じる仕組みをご紹介します。結露とは湿気を含んだ暖かい空気が冷やされることで生じる水分のことです。冬になると結露が生じるのは暖房で暖められた屋内の空気が、冷えた外壁に触れることで外壁の内側で急激に冷やされるためです。

断熱材でさらに気温差が大きくなりますので、内部結露が起こりやすくなります。結露は建物の構造の強度に影響を及ぼすため対策は避けられません。内部結露に有効な手段のひとつに、湿気を壁の中に留めないという方法があります。

除湿性の高い断熱材の導入などはもちろんですが、湿気を含んだ空気の分子は非常に小さく、多くの建材を通り抜けてしまいます。繊維系の断熱材の中には湿気を通しやすいものもありますので、防湿材の施工を検討してみてください。

断熱材の性能が保たれているか確認する

断熱材には断熱性を高める以外にも様々な特徴を持つものがありますが、使用している環境と断熱材の相性が悪いと、断熱材の性能が低下する可能性があります。

断熱材の中には湿気を逃すのが苦手なものがあり、吸い込んで蓄積された湿気で重くなり形が崩れます。形が崩れることで断熱材にすき間が生じて気密性がなくなり、断熱性の低下につながります。

発泡スチロール系の断熱性には空気よりも熱を通しにくい素材を使用しているものがありますが、経年と共にガスが空気と入れ替わることがあります。空気よりも優れたものが空気と同程度の断熱性になってしまえば、冷暖房が効きにくくなったと感じるでしょう。

屋内の快適性が低下してきた時は、新たな断熱材の導入を検討すべき目安です。業者によって施工方法や断熱材の種類で得意不得意は異なりますので、業者の工事の提案内容や実績などを確認し、信頼できる業者に施工依頼することもポイントです。

断熱材をDIYする時の注意点

断熱材の導入は大がかりな施工となりますが、ご自身で行える手軽なものもあります。たとえば壁紙を剥がしてから断熱塗料を塗ったり、断熱効果のある壁紙に張り替えるといった方法です。

ご自宅に合う種類の断熱材を調べたり施工に手間がかかりますが、壁を壊して中に断熱材を入れることはDIYでも行えます。ただし、断熱材のすき間ができると気密性が低下するため、すき間が生じないように敷き詰めることが大切になります。気密性が高くなる分結露が懸念されますので、除湿シートなどの施工も必要です。

まとめ

壁に断熱材を導入する際の確認事項をご紹介しました。断熱材には様々な素材が使用されており、種類によって強みが異なります。また、施工方法も2種類ありますので、断熱材の種類と併せてご自宅の環境やお悩み解消にふさわしいものを導入しましょう。

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監修者:

渡邊 一伸(ナベさん)

大工歴35年。大手ハウスメーカーで2年間現場監督に従事。3000棟以上のリフォーム・住宅修理の工事管理の実績をもつ。阪神淡路大震災においては1年間復興財団に奔走。その後、独立し、会社を10年経営。2016年に1月に株式会社ローカルワークスに入社。