ZEH(ゼッチ)とは何か
出典:環境共創イニシアチブ
ZEHとは、net Zero Energy House(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)の略です。
「年間のエネルギー収支をゼロ以下にする」ことを目的していますが、実現するためには断熱性能の向上や太陽光発電やエネファームなどを利用してエネルギーを作り出すなど、大幅な省エネが必要になります。
ZEHを導入することで、省エネ効果=光熱費の削減につながり、CO2が削減されることで地球環境に優しい住まいになるでしょう。
ZEHでは、外壁、床や天井などの断熱性能の大幅に高め、高い効率を誇る設備やシステムを設置し、室内環境を変えることなく省エネ性を20%以上にし、再エネルギーを導入することで、年間に自宅で消費するエネルギーの収支をおおよそゼロにすることを目標にしています。
ZEHの要件
ZEHの要件は以下の4つの条件全てに適合した住宅となります。
①強化外皮基準(1~8地域の建築物エネルギー消費性能基準を満たした上で、UA値が、1、2地域:0.4W/㎡K相当以下、3地域:0.5W/㎡K相当以下、4~7地域:0.6W/㎡K相当以下)を満たすこと(ηAC値、気密・防露性能の確保などにも留意)
②再生可能エネルギー等を除き、基準一次エネルギー消費量から 20%以上の一次エネルギー消費量削減
③再生可能エネルギーを導入(容量不問)
④再生可能エネルギー等を加えて、基準一次エネルギー消費量から100%以上の一次エネルギー消費量削減
専門用語が多いので補足しますと、1の強化外皮基準はZEHで求められる外壁、床、天井、屋根、窓など断熱性能の基準のことで、要約するとエネルギーを極力使用しない住宅にするということです。
再生可能エネルギーとは、太陽光・風力・地熱・中小水力・バイオマスなど、エネルギー源として永続的に利用できるものことで、一次エネルギーは、石油や石炭、天然ガスなど自然界から得られるエネルギー源のことです。余談ですが、二次エネルギーは電気になります。
そのため、2は一次エネルギーを上手く利用して、住宅のエネルギー消費量を基準の20%以上を削減することになります。3は太陽光発電など、エネルギーが作り出せる設備を導入すること、4は年間のエネルギー消費量からZENで作り出したエネルギーの量を差し引いたとき、なるべくゼロに近くなるということです。
ZEHを導入するメリット
ZEHを導入すると、なぜエネルギーの収支がゼロになるのでしょうか。それは断熱性を高めたり、高効率の設備を設置することで、自宅でのエネルギー消費をおさえることにつながる家の断熱性を高めることで、夏は涼しく冬は暖かく過ごせるため、冷暖房機器の使用時間が短くなります。太陽光発電と蓄電池を取り付けると、電気代の安い夜間に電気を蓄え、その電気を昼間に使うことができます。
自宅のエネルギー消費をおさえることができれば、単純に毎月の光熱費を下げることができます。さらに、国内の電力の8割ほどを補っている火力発電の使用量を減らせます。火力発電の稼働率を下げることができれば、オゾン層の破壊の原因となる温室効果ガスの発生削減につながるため、ZEHは地球環境にも優しいシステムでもあります。
2020年(令和2年)のZEHの補助金制度
2020年(令和2年)のZEHの内容は以下のサイトで発表されています。
一般社団法人 環境共創イニシアチブでは、2020年5月7日(木)10:00~2020年8月21日(金)の17時までZEHの補助金を公募しています。
それでは、補助金制度で交付される金額や概要について詳しく見ていきましょう。
ZEHの補助金制度でもらえる補助金額
ZEH補助金制度の利用条件や内容を詳しく説明します。
ZEH
対象となる住宅
- Nearly ZEH(寒冷地、低日射地域、多雪地域に限る)
- ZEH Oriented(都市部狭小地の二階建以上、および多雪地域に限る)を含む
補助金額
- 60万円/戸
採択方式
- 先着方式
交付されるための条件
- ZEHロードマップにおける『ZEH』の定義を満たしていること
- SII(一般社団法人 環境共創イニシアチブ)に登録しているZEHビルダー、もしくはプランナーが対応(設計、建築、改修または販売)する住宅であること
備考:対象となる住宅に蓄電システム(定置型)を導入する場合は2万円/kWh、もしくは補助対象経費の1/3か20万円のいずれか低い額を加算
ZEH+
対象となる住宅
- Nearly ZEH+(寒冷地、低日射地域、多雪地域に限る)を含む
補助金額
- 105万円/1戸
採択方式
- 事前枠付与方式
交付されるための条件
- ZEHロードマップにおける『ZEH』の定義を満たしており、なおかつ以下のⅠとⅡを満たすこと
- 更なる省エネルギーの実現(省エネ基準から25%以上の一次エネルギー消費量を削減)
- 以下の再生可能エネルギーのうち2つ以上を導入する
1.自宅における外皮性能(断熱性能)の更なる強化
2.高度エネルギーマネジメント
3.電気自動車(PHV車を含む)を活用した充電設備、または充放電設備
- 更なる省エネルギーの実現(省エネ基準から25%以上の一次エネルギー消費量を削減)
- SIIに登録されているZEHビルダー/プランナーが関与(設計、建築、改修又は販売)する住宅であること
ZEH+R
対象となる住宅
- Nearly ZEH+(寒冷地、低日射地域、多雪地域に限る)を含む
補助金額
- 115万円/1戸
採択方式
- 先着方式
交付されるための条件
- ZEH+を満たす住宅であること
- 停電時に、以下のいずれかによる機器で主に使用する部屋の電源を確保できること
- 太陽光発電システムなどから取り出される非常用電力を主に使用する部屋を含む3箇所以上に非常用コンセントに配線する計画
- 太陽光発電システム、太陽光発電システムにより発電された電力を蓄電するシステム、または停電自立型燃料電池のいずれかから電力供給することが可能な計画
3.「蓄電システム」「自立制御電源を確保した太陽熱利用温水システム」「停電自立型燃料電池」のうち1つ以上を導入すること
備考:
1. 蓄電システム(定置型):2万円/kWh、もしくは補助対象経費の1/3か20万円のいずれか低い額を加算
2. 太陽熱利用温水システム:【液体式】17万円/戸 【空気式】60万円/戸
3. 停電自立型燃料電池(エネファーム):定額4万円~11万円を加算
2019年度との違いは、ZEHの採択方法と補助金額です。
詳しい要件などは環境共創イニシアチブの事業概要にて、ご確認ください。
ZEH+(プラス)とZEH+R(アール)の違い
ZEH+は、ZEHからさらに省エネを強化するとともに、再エネルギーの自家消費を拡大した住宅が対象となります。また、Nearly ZEHをZEH+補助金制度ではNearly ZEH+という表記になり、同様に対象となります。
一方、ZEH+RはZEHを活用することで、健康的な暮らしや災害時での対応力など、住宅のレジリエンス(回復力)強化することを目的とした補助金制度です。停電時にも自立可能な システムを導入することは、安心して暮らすしていくことにもつながるでしょう。
ZEH+やZEH+Rは、補助金制度が交付されるための条件がZEHとは異るので、利用する予定のある方はないようをよく確認してから申請してください。 ZEHの概要については、公募要領にて確認することができます。
ZEHの補助金制度のスケジュール
ZEHの補助金制度は申請期間があり、それに基づいて締切が設定されていますので、利用する方はスケジュールを確認することが大切です。
下記の表は2020年度のスケジュールです。このスケジュールを基にして、無理のない計画を立てましょう。
出典:【環境省戸建ZEH】令和2年度 戸建住宅におけるネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)化支援事業概要
2020年度も2019年度と同様に、国はZEHについての説明会は行う予定でしたが、新型コロナウィルスの感染拡大防止のため説明会を中止となっています。
また、ZEHは数回に分けて公募されるので焦せる必要はありませんが、締切までに工事を終わらせて、工事完了報告書を掲出しなくてはいけません。そのため、工事期間は余裕をもって設定しておいてくことが大切です。
ZEHの補助金は他の補助金と併用できる?
ZEHが他の補助金制度と併用できればリフォーム費用が更にお得になります。
2020年度の補助金制度は以下の事業と併用できます。
先進的再エネ熱等導入支援事業
先進的再エネ熱等導入支援事業は、ZEHやZEH+のいずれかの交付が決定した住宅であれば併用することができます。 先進的再エネ熱等導入支援事業の対象となるには、以下のいずれかを導入する必要があります。
①直交集成板(木質構造用材料)
②地中熱ヒートポンプ・システム
③PVTシステム(大陽エネルギー利用システム)
④液体集熱式太陽熱利用システム
⑤蓄電システム(ZEH+の補助対象の住宅に導入する場合に限る)
上記の設備を導入すると、一戸あたり90万円が交付されます。2020年度では先着方式なので早めに行動することをおすすめします。
ZEHの補助金制度に合格するためのポイント
ZEHの補助金制度は申請すれば、誰でも通過するというものではありません。稀にですが落ちることもあるようです。
ZEHの補助金制度を見越して工事を行ったのに、交付されないのでは本末転倒ですよね。ここでは、ZEHの補助金制度を受かるためのポイントを解説していきますので、申請する際の参考にしてみてください。
ZEHの募集条件や申請期間を確認する
条件や期間を確認するのは当たり前のことですが、意外と抜けてしまう項目でもあります。申請期間は1日でも遅れてしまうと、当然受付してもらえません。さらに、ZEHの補助金制度は先着順になりますので、募集期間が終わりに近づくにつれて倍率が激増するといわれています。
募集条件も申請する前にきちんと確認すると思いますが、いざ申請したらエネルギー削減率が足りなくて落選してしまうケースもあるでしょう。ZEHはかなり細かく要件が定められていますので、住宅の仕様が問題ないか確認する必要があります。
申請者が多いと、ZEHの定義を満たしていたとしても、評価が高くないと選ばれないことがあるので注意してくださいね。今年が落ちても再度申し込むことは可能ですが、費用の面では痛手ですので2020年のZEH補助金制度には早めに申請するといいでしょう。
ZEHビルダーに依頼する
ZEHの工事は、どこの工務店や住宅メーカーでもできるわけではありません。ZEHの工事ができるのは、環境共創イニシアチブ(略してSIIと言われています)に登録された業者だけです。
しかし、登録されている業者は2018年の時点で6000社ほどあります。登録数が多くなりすぎてしまったため、国はZEH工事により熱心に取り組む業者を計るため、評価制度を定めました。評価が高いところに依頼したほうが確実ですが、1社だけで決めずに2~4社程度に見積もりを依頼して、工事内容や費用を比較検討するといいでしょう。
ZEHビルダーに依頼する方法ですが、気になる業者のホームページを見て登録されているか確認するでもいいですし、環境共創イニシアチブのサイト内で登録している業者の検索も可能です。ZEHはエネルギー消費量の計算が必須な複雑な工事ですので、補助金を受け取るためにZEHビルダーとして登録された業者を利用する、という点は2019年度も引き継がれています。
まとめ
ZEHの補助金制度について分かっていただけたでしょうか。
ZEHは省エネ効果があるだけでなく地球環境に優しく、月々の光熱費もおさえることができるリフォームです。工事内容によっては多額の費用がかかってしまいますが、100万円程度が交付されれば半分程度はまかなえるのではないでしょうか。
2020年度のZEHが実施される旨がようやく発表されましたが、2019年度の募集要項と変更されている点があるため、利用する方は内容をしっかり確認しておきましょう。。しかしながら、積極的に利用することで、より快適な自宅で過ごすことができそうですね。
いかがでしたでしょうか。なるべく費用を抑えてリフォームをしたい方へお知らせです。リフォマは中間業者を介さずに、ご要望に合う専門業者を直接ご紹介します。中間マージンが上乗せされないため、管理会社や営業会社などより安く費用を抑えることができます。下記のボタンからお気軽にご相談ください!
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