手洗い管とは何か
トイレの種類にもよりますが、トイレタンクの上に蛇口がついているものがありますよね。その蛇口のことを「手洗い管」と呼びます。手洗い管の本来の役割はタンク内に水を貯めることですが、その水を使ってても洗えるように蛇口構造になっています。
この手洗い管は、洗面所の蛇口のようにハンドルで開閉するのではなく、やや複雑な構造になっています。基本的にはタンク内の水が設定値よりも少ないと、自動的に水が流れる仕組みになっていますが、その仕組みが故障の原因になります。
水が出なかったり、反対に水が止まらなかったりといったトラブルがあり、それらのトラブルがあるとトイレの利用に支障をきたしますので、すぐに対処しなくてはいけません。
手洗い管の水が出ない原因
手洗い管でよくあるトラブルのひとつが「水が出ない」ということですが、なぜ水が出なくなるのか、その原因を構成部品ごとにご紹介します。
止水栓
止水栓はトイレタンクにつながる配管の元栓のようなものです。壁面や床面から飛び出した配管の先に止水栓がついています。通常使用をする場合、この止水栓が閉められることはありませんが、子どもがいたずらで閉めたり、水漏れがあって家族の誰かが閉めていたりする可能性があります。
フィルター
トイレによっては、タンク内に砂やゴミなどが入らないようにするために、タンク手前の接続部にフィルターが設置されています。このフィルターが目詰まりすると水が流れなくなります。いきなり水が止まるということはありませんが、徐々に流れが悪くなった場合は、フィルターをチェックしてください。
浮き球
トイレタンク内には浮き玉と呼ばれる部品があり、浮き玉がタンク内の水位に合わせて上下します。浮き玉が低くなると配管の栓が開く構造になっているのですが、この浮き玉が何かに引っかかって下がらなくなると栓が開かずに水が出ない状態になります。
ホース
タンク内にはボールタップという部品があり、浮き玉の動きによって配管の開閉をおこなっています。このボールタップと手洗い管は蛇腹ホースでつながっているのですが、このホースが劣化して穴が空いていると、水はタンク内にこぼれてしまい、手洗い管まで水が上がってこなくなることがあります。
ダイヤフラム
ダイヤフラムは水圧を調整するゴム部品で、ボールタップの内部にあります。ゴム部品ですので長く使っていると破けたり劣化したりすることがあります。設計寿命は5年程度しかありませんので、定期的に交換が必要な部品ですが、メンテナンスの必要性があまり知られていないため、劣化して水が出なくなることがよくあります。
手洗い管から水が止まらない原因
水が出ないというトラブルだけでなく、水が止まらないというトラブルもトイレではよくあります。水が流れ続けると水道料金がどんどん上がっていきますので、焦ってしまいますよね。そんな水が止まらないときの原因は、浮きゴム(ゴムフロート)にあります。
浮きゴムが浮いたり沈んだりすることで、排水管の入口を開閉します。その開閉によって水の流れを制御するようにできていますが、何らかの理由で浮きゴムが浮いたままになると、栓ができない状態になりタンクに水が貯まりません。そうなると浮き玉が下がったままになりますので、手洗い管への水の流れが止まらなくなるというわけです。
浮きゴムが浮いたままになる理由は2つ考えられますので、それぞれの理由について説明していきます。
球鎖
浮きゴムはトイレのレバーと球鎖と呼ばれる部品で繋がっています。レバーをひねると球鎖が引っ張られ、浮きゴムが浮いて水が流れます。レバーを戻すと球鎖が緩むので、浮きゴムは元に戻ることができるのですが、球鎖が他の部品に引っかかると浮きゴムが引き上げられたままになり、排水管の栓ができずに水が流れ続けます。
オーバーフロー管
トイレタンクの中にはオーバーフロー管と呼ばれるパイプがあります。ボールタップが故障して給水が続くような場合、タンクから水が溢れてしまわないように、一定の水量を超えるとオーバーフロー管に水が流れて、排出される構造になっています。このオーバーフロー管の接続部パッキンが劣化したり、ボールタップが故障したりすると、水がずっと流れ続けることになります。
状態別の手洗い管の修理方法
手洗い管の水が出なかったり、止まらなかったりする原因が分かったところで、次にそれらのトラブルの修理方法について説明します。簡単な故障なら自分で直せますので、その手順だけでも把握しておきましょう。
水が出ない場合
水が出ない理由はいくつもありましたので、それぞれに対して順番にチェックしていきます。
STEP1 止水栓を確認する
まずは止水栓が閉められていないか確認しましょう。時計回りにまわそうとして動かない場合には、止水栓が閉まっている可能性がありますので、反時計回りにまわしてください。それでも水が出ない場合は、別の箇所のトラブルを疑いましょう。
タンク内の水を空にしておく必要がありますので、止水栓に問題がなければ時計回りに閉めて水の供給を止めます。そのあとタンク内の水を流しておきましょう。
STEP2 フィルターを掃除する
次にフィルターの目詰まりがないか確認してください。フィルターは止水栓についているケースと、トイレタンクについているケースがあります。トイレの取扱説明書でフィルターの位置を調べておきましょう。フィルター部には栓がありますので、その栓を取り外して、フィルターを取り出しましょう。
歯ブラシなどでフィルターのゴミを取り除いて、元の状態に戻してください。フィルターが破けてしまった場合には、新しいものに交換しましょう。
STEP3 トイレタンクを開ける
次にタンクのふたを持ち上げて、タンク内部を見えるようにします。
手洗い管がついているタンクのふたでは、手洗い管とビニールの蛇腹管を通して、ボールタップとよばれる部品が接続されています。ふたを外すときには、片手でふたを一旦持ち上げて、蛇腹管の上部を回しながら引っぱり、手洗い管を外してください。
蛇腹管がなくボールタップが直接接続されているタンクの場合はふたを持ち上げるだけで外れます。
ちなみに、タンクによっては、ボールタップとオーバーフロー管がゴム管で繋がれている場合があります。これは「補助水管」とよばれるもので、便器の中に水をより多く流し、水をためる役割を担っています。作業中にうっかり外れてしまったら、必ず元に戻すようにしてください。
ふたを外す時には、陶器製の場合にはできるだけ真上に上げるように外しましょう。重量があるものがほとんどなので、落下したり、壁などにぶつけたりしてしまうと、割れてしまう危険性があります。十分に注意をして行いましょう。
STEP4 タンク内部をチェックする
タンク内部のチェック箇所は3つあります。まずはホースが破けていたり、異物が詰まっていたりしないかを確認しましょう。 トイレタンクによっては蛇腹ホースではなくゴムホースを使っていることもあります。いずれにしても劣化が進んでいる場合には、新しい部品に交換しましょう。
ホースに問題がない場合には、浮き玉がきちんと動くかどうかを確認しましょう。動きがスムーズでない場合には、支持棒が曲がっていないか、ゴミが詰まっていないかなどを確認してください。お手入れして自然に動くようになればOKですが、改善されない場合は業者に見てもらいましょう。
ホースにも浮き玉にも問題がなければ、ダイヤフラムの破損を疑ってください。ボールタップから浮き玉を取り外し、ナットを外してください。内部にダイヤフラム部品がありますので、新しいものに取り替えましょう。
STEP5 トイレタンクのふたを閉める
部品交換が済んだら、手洗い管と蛇腹ホースを接続し直して、ふたを元の状態に戻してください。止水栓を開けて水が流れれば修理完了です。それでも流れない場合は、自分で直すのはかなり難しいので業者に修理を依頼しましょう。
水が止まらない場合
水が止まらない場合は、球鎖かオーバーフロー管に問題がありますので、まずは球鎖の調整を行います。その手順は下記のようになります。
STEP1 トイレタンクを開ける
まず、マイナスドライバーを使って、止水栓を閉めて水がこれ以上出ないようにしておきます。 ドライバーは時計回りに回すと閉めることが可能です。この処置をせずにタンクの中をいじろうとすると、水が溢れてしまうことがありますので、必ず閉めておきましょう。
次にトイレタンク内を空の状態にして、タンクのふたを開けます。洗浄レバーを「大」の方向に傾けることで、タンク内の水が排出されていきます。水が全部なくなったことを確認したら、ふたを外して中の状態を確認していきます。
手順は上記の水が出ない場合のSTEP3と同様です。
STEP2 玉鎖を調節する
ふたを開けたら、まず玉鎖の位置を確認します。洗浄レバーの裏側部分をみて、樹脂製の玉鎖を使用している場合には5~6玉ほどの余裕を持たせて調整していきます。ステンレス製であれば3玉ほどが適当でしょう。
STEP3 玉鎖が劣化などを起こして損傷している場合
玉鎖が損傷している場合は新しいものと交換する必要があります。レバーの上方向から新しい玉鎖を入れて強く押し込んでいきます。「カチッ」という音がするまで入り込んだら取り付け完了です。
STEP4 トイレタンクのふたを閉める
再び洗浄レバーを操作し、水が止まるようになっていたら修理完了です。それでもまだ水が止まらない場合にはオーバーフロー管に問題がある可能性がありますので、専門業者に修理を依頼してください。
手洗い管の修理をDIYで行うときに必要になる道具
自分で手洗い管の修理を行うためには、下記の道具が必要になります。修理をする前にホームセンターで揃えておきましょう。
- マイナスドライバー
- モンキーレンチ
- バケツ
- タオル
基本的にはこの4つの道具があればDIYでの修理が可能です。これ以上の工具が必要な修理になるとDIYで直すのは難しいと考えてください。マイナスドライバーとバケツ、タオルは説明しなくても分かりますよね。100円ショップでも揃えることができます。
モンキーレンチはナットの開閉に使う道具で、正式にはアジャスタブルレンチと呼びます。ナットの頭のサイズに合わせて口幅を調整できるため、これ1本でほとんどのナットに対応可能です。ナットのサイズが分かるのであれば、スパナでも問題ありません。
手洗い管を修理するときの費用相場
DIYが得意でない人や、DIYで直せなかった場合には、修理を業者に依頼することになります。そうなると気になるのは、修理費用の相場ですよね。ここでは、どれくらいで手洗い管の修理ができるのかについてご紹介します。
トラブル内容 | 費用相場 |
---|---|
手洗い管の水が止まらない | 2,000円~ |
手洗い管に水が流れない | 5,000円~ |
上記の金額に出張費用(基本料金)が3,000~4,000円と部品代が追加でかかります。また、夜間などに対応してもらった場合には、時間外料金がかかることもあります。調整だけで済む場合には1万円、部品交換がある場合には1.5万円くらいと考えておきましょう。
ただし、タンクの取り外しが必要であったり、タンクそのものの交換が必要になったりした場合には、さらに高額な費用が発生しますので注意してください。
手洗い管の修理はどんな業者に依頼すべき?
いざ手洗い管の修理が必要になったときには、どんな業者を選べばいいのでしょう?インターネットなどで検索して出てきた業者に依頼しても問題ないのでしょうか?業者を選ぶときには下記の3つのポイントを意識してください。
- 水のトラブル対応を専門的に行っていてトイレ修理の実績がある
- 料金体系が明確になっている
- 電話応対がしっかりしている
まず、大事なのは水漏れなどのトラブルを専門的に行っていて、トイレ修理の実績があることです。そういう意味では大手が安心なのですが、大手は修理費用が高くなる傾向にありますので、地元で長く続いている修理業者でも構いません。避けたいのは郵便受けにDMを入れてくる業者です。このような業者はトラブルになりやすいので注意してください。
また、料金体系がしっかりしている業者がおすすめです。基本的には「出張費用+作業費用+部品代(+時間外料金)」が修理費用になりますが、業者によっては修理費用や時間外料金がかからないこともあります。ただ、それは作業費用に含まれているだけですので、特別お得なわけではありません。
本当にお得なのかどうかは見積もりを取らないと分かりませんので、2~3社くらいに修理費用の目安を確認してみましょう。できれば現地調査をして見積もりを出してもらうのが理想ですが、手洗い管の修理にそんな時間をかけてられませんよね。電話をして、大体の予算を確認して、相場から高すぎたり安すぎたりする業者は省きましょう。
安いならいいじゃないかと思うかもしれませんが、修理には相場というものがあります。あまりにも安いと利益を出せませんので、それだけで成り立つわけがありません。安すぎるのには必ず理由があり、それがトラブルの原因になりやすいので、相場よりも明らかに安い業者は避けましょう。
また、電話で金額を聞くときに、丁寧な応対をしてくれる業者を選びましょう。難しい専門用語を並べたり、高圧的な態度で応対してきりする業者には依頼しないほうが賢明です。
ちなみに、依頼する時間は深夜と早朝は避けてください。この時間は時間外料金が発生する可能性があります。水が出ないなら、バケツで浴室のお水を汲んできてタンクに溜めることができますし、水が止まらないなら止水栓を閉じれば止めることができます。
修理依頼は深夜や早朝でも問題ありませんが、実際の修理は時間外料金が発生しない時間になるように依頼してください。
手洗い管のメンテナンス方法
もっとも効果的な予防法は定期的なメンテナンスを行って、トイレタンク内の状態を適切な環境に保つことです。
手洗い管は長期間使い続けていると、管そのものが汚れてしまったり、水の出が悪くなってしまったりするなどの不具合が生じてしまうことがあります。
本体や付け根の部分などに白い塊が付着することがありますが、これは水垢。一度付いてしまった水垢はなかなか落とすことができず、放っておくと手洗い管全体をくすませて、寿命を縮ませる原因にもなりかねません。クエン酸などを使ってブラシなどで磨いてあげると、水垢が落ちてきれいにすることができます。
自分でメンテナンスを行うのが難しいようでしたら、専門業者に代行してもらうのもいいでしょう。
まとめ
手洗い管の水が止まったり、流れ続けたりすると焦ってしまいがちですが、ここでご紹介した内容によって、落ち着いて対処できるようになったかと思います。大事なことは慌てないことで、自分で対応できそうな修理は自分でなんとかしてみましょう。
ただし、すべての修理をDIYでできるわけではありませんし、タンクのフタを外すという作業によってフタを落として割ってしまうリスクなどもあります。自分で修理が難しいと感じたら、無理に自分で直そうとはせずに、優良な業者を見つけてお願いしましょう。
いかがでしたでしょうか。なるべく費用を抑えてリフォームをしたい方へお知らせです。リフォマは中間業者を介さずに、ご要望に合う専門業者を直接ご紹介します。中間マージンが上乗せされないため、管理会社や営業会社などより安く費用を抑えることができます。下記のボタンからお気軽にご相談ください!
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渡邊 一伸(ナベさん)