経年劣化、減価償却とは?
どちらが負担しなくてはいけないかという話をする前に、経年劣化や減価償却という考え方について理解しておきましょう。
経年劣化とは
経年劣化は通常損耗とも呼ばれて、通常使用の範囲内での消耗状態のことをいいます。 例えば、カーペットの日焼けや画鋲の穴、壁紙の汚れなど、故意に汚したのではなく、オフィスとして普通に使っていても発生が避けられない劣化がこれに該当します。
反対にタバコのヤニによる壁紙や天井の汚れ、机や椅子をぶつけて凹んでしまった壁などは「特別損耗」と呼ばれています。特別損耗は住居の契約でも、オフィスの契約でも、原則として借主の負担で原状回復させなくてはいけません。
減価償却とは
経年劣化と同じような考え方として減価償却という言葉があります。 エアコンやパソコンなどは、購入したばかりの状態で売却するのと、数年経過してから売却するのとでは、当然前者のほうが高値で売れますよね。 時間の経過とともに価値が下がっていくため、このようなことが発生します。
減価償却で価値が下がるのは、電化製品だけではありません。壁紙やカーペットも時間の経過でその価値がなくなります。 例えばカーペットや壁紙は6年経過すると価値が1円になります。便器や洗面台などは15年で価値がなくなってしまいます。
価値がないのであれば、壁紙やカーペットがどんな状態であっても、借りた側の負担で交換する必要はありませんよね。 この場合は通常、貸主負担で原状回復を行います。
経年劣化は借主が負担?
経年劣化と減価償却の基本的な考え方は理解できたかと思います。それでは、発生した経年劣化は誰が負担して原状回復させるのでしょう。自然に損耗したとはいえ、使っている人が負担すべきなのか、それとも貸している人が負担すべきなのでしょうか。
経年劣化の場合、貸主が負担すべきという判例が出ています。このため何も取り決めがない場合には、貸主が自分の負担で直さなくてはいけません。正確には、修繕が必要になる部分に関しては、賃料に含めておくというのが基本的な考え方です。
これは住宅の賃貸物件と同じような考え方です。ところが、実際には借主が負担するケースがほとんどです。なぜそんなことになるのか、次項で詳しく説明します。
原状回復「特約」に注意
「何も取り決めがない場合」は、貸主が自分の負担で原状回復させなくてはいけませんが、取り決めがある場合には、その限りではありません。オフィスなどの契約書には「経年劣化も借主の原状回復工事で修復する」といった特約が記載されています。
この項目があると、借りた側の負担で原状回復を行わなくてはいけなくなります。契約書に記載があり、それに署名をしたのであれば同意したということになります。もちろん勝手にそれを付け加えることはできませんが、きちんとした説明があれば問題ありません。
本来なら賃料に含めるべきなのですが、オフィスの場合はどれくらいの損耗になるのか分かりにくいため、「退去時の状況を見て判断」というようなことが認められています。原状回復の特約があり、すでに署名している場合には、契約どおりに借りた側が負担しなくてはいけませんので、注意してください。
経年劣化部分のトラブルを防ぐためのポイント
オフィスを退去して原状回復するときには、どちらが負担するのかということで、よくトラブルになります。裁判沙汰になることもありますが、できればそんな面倒なことは避けたいですよね。ここでは退去時のトラブルを防ぐためのポイントをご紹介します。
入居時に確認
ほとんどこれに尽きると言っても過言ではありません。入居するときに、経年劣化による原状回復については、必ず確認しておきましょう。どちらの負担になるにしても、ここできちんと話をして合意をしておけば、退去時にトラブルになることはありません。
オフィスの場合は、その話し合いの内容をきちんと議事に残しておき、契約書と一緒に保管しておいてください。会社の場合は、入居時に契約した人が、退去時に立ち会えない可能性があります。後任の誰が見ても分かるようにしておきましょう。
入居時の状態を写真で残しておく
原状回復をしようにも、現状の姿が分かっていないと戻すことができません。入居時にはきちんと借りたときの状態を写真で残しておきましょう。もし写真が残っていない場合には、貸主としっかり打ち合わせを行って、何をどこまで直すのかを細部まで決めておいてください。
その際に、明らかに元よりもグレードアップした原状回復を依頼されるかもしれません。そのような場合は、きちんと断ってください。
まとめ
オフィスの経年劣化を原状回復させるときの、基本的な考え方を説明してきましたが理解できたでしょうか。アパートやマンションなどの原状回復とは違って、ほとんどのケースで借りた側の負担で回復させなくてはいけません。
契約書に借主負担という項目がない場合は、借りた側が負担する必要はありません。とはいえ、このケースが一番トラブルにつながりやすいので、何も記載がない場合でも契約時にはどちらの負担になるのかをきちんと話し合って、その内容を議事にして残しておきましょう。
どうしても納得出来ないような原状回復を求められた場合には、弁護士に相談するという方法もあります。トラブルになる前に、冷静に対処できる第三者に判断を委ねましょう。
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