食洗機とは何か
食洗機の正式な名前は「食器洗い機」です。その名前の通り、食器を洗うことに特化した機械ですが、多くの商品が食器を洗うだけでなく乾燥まで行えますので、食事後の面倒な食器洗いから解放される便利なアイテムです。
食洗機の歴史
食洗機が誕生したのは1860年のアメリカで、このときの食洗機はお皿に水をかけるだけのものでした。1893年に実用的な手動食洗機が作られ、1909年には電動での食洗機が発売されます。
日本で初めて発売されたのは1960年に入ってからです。現在も食洗機の製造を手がけている、パナソニック(当時の松下電器産業)が販売し、食器洗いをしなくても良くなるという魔法のような機械でしたが、サイズが大きすぎるなどの問題があり、実際に普及が始まったのは1996年ごろからです。
2003年に当時首相である小泉純一郎氏が、新三種の神器のひとつとして食洗機を挙げたことで、注目度が一気にアップしましたが、設置していない方が大勢いるアイテムでもあります。その理由はどこにあるのでしょうか。
食洗機の導入にはデメリットがある?
欧米では食洗機の普及率が95%以上と言われていますが、日本では年々増えてきているもののまだその数字には届いていません。導入を検討する上で重要なポイントになりますので、デメリットについても触れておきます。
導入に踏み切らない人や、導入していても手洗いをする方が多い理由として挙げられるのが、以下の3点です。
- 設置スペースが狭くなる
- 作動音がうるさい
- あまりキレイにならない
日本のキッチンは基本的に狭く、食洗機を後付けするには調理台やシンクのスペースを削ることになります。しかし、キッチンをこれ以上狭くしたくない、というの意見に関しては、食洗機を設置すると食器洗いの必要がないので、シンクのスペースが多少削られても大きな問題にはならないでしょう。
また、食洗機を導入している方に聞くと、「思ったよりもうるさいよ」と言われる方がいます。実際、食洗機は決して静かなものではありません。古い機器ですと、食洗機を稼働させているとリビングの会話が聞こえない、ということもありましたが、最新の食洗機は静音性も高く、食洗機がうるさいというのは過去の話になりつつあります。
そして「使ってみたけど思ったよりもキレイにならない」という声もよく聞きます。これは、食洗機の使い方が間違っていることがほとんどです。食器の並べ方や予洗いなどを行えば、ほとんどが手洗いよりもきれいになり、なおかつ高温洗浄しますので衛生面でも優れています。
食洗機には多くのメリットがある
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食洗機を設置した場合に考えられるメリットは、以下の4つになります。
- 手洗いよりもきれいに洗える
- 高熱洗浄で食器を殺菌できる
- 家事の時間を短縮できる
- 使う水の量を減らせる
何よりも大きなメリットは、家事の時間短縮です。家事の中から食器洗いという作業が消えることで、共働きの夫婦の場合は、どちら食器洗いをするかで揉めることがなくなります。
しかも、手洗いより食器はきれいになりますし、衛生的でもあります。ただし、使い方を間違えると食洗機のポテンシャルを最大限に活かすことができません。また、使う水の量を減らせても、必ず光熱費が下がるわけではないので注意しましょう。
次章では、さらに詳しく食洗機のメリットについて解説していきます。
食器に雑菌などを残さない
日本で食洗機の導入が進み始めたのは、O-157が話題になった直後です。小さなお子さんのいる家庭では、できるだけ危険な菌は取り除きたいですよね。手洗いの食器はキレイになっているように見えて、実はまだ雑菌が残っていることもあります。食洗機で洗うことにより、雑菌を徹底して取り除くことが可能です。
食洗機の導入には費用ががかかりますが、安全や健康をお金で買うと思えば、それだけでも食洗機を導入する意味があります。家族の健康を守りたいと思うのであれば、食洗機の導入するのをおすすめします。
食器をキレイに洗うことができる
「食洗機は汚れをちゃんと落とせない」というイメージがあるかもしれませんが、実際は手洗いよりも格段に汚れを落とすことができます。では、なぜそのような印象を持たれてしまうのでしょうか。それは、食洗機がまだすべての汚れに対して有効だとは言えないためです。後ほど紹介しますが、食洗機には洗えないものがあります。
ただし、手洗いでも手間と時間をかければ、かなりピカピカにすることができますが、食洗機は5~10分の前準備をするだけで作業が完了します。食洗機は年々進化していますので、数年後には予洗い不要の食洗機が出てくるかもしれません。
食洗機には種類がある
食洗機と一言でいっても、大きく分けて2種類あります。システムキッチンに組み込むタイプの「ビルトイン型」と、既存のキッチンの空きスペースに設置する「据え置き型」です。
どちらを選ぶべきかについては、まずその特徴を理解する必要があります。ここでは2種類の食洗機の特徴と、それを踏まえてどちらを選ぶべきかについてアドバイスしています。
ビルトイン型食洗機の特徴
ビルトイン型の食洗機は、システムキッチンに設置するタイプの食洗機です。新規の場合は、キャビネット部もしくはシンク下のいずれかを選んで取り付けます。すでに既存の食洗機がある場合は、食洗機を取り外して交換します。
ビルトイン型は45cm幅のものと60cm幅の2種類があり、これらは設置する場所に合わせて最適なサイズを選んでください。家族の人数が多いケースや、食器洗いを1日1回でまとめたい場合などは、大容量の60cm幅がおすすめです。こまめに食器洗いをする場合や、低コスト・省エネ性能などで選ぶ場合は、45cm幅の食洗機を選びましょう。
ビルトイン型は据え置き型と比べて価格が高く、安いもので工事費込みの価格が10万円程度はします。工事内容によって価格が大きく変わりますので、相場としては20万円前後です。以前は30万~40万円くらいでしたが、最近は工事費も含めて、非常に低価格で設置できるようになっています。
据え置き型食洗機の特徴
据え置き型の食洗機は水道蛇口のパッキン交換できる方であれば、わざわざ業者に依頼しなくても自分で設置できます。水道を繋いで、電源を入れるだけですので、電子レンジや冷蔵庫の設置よりかは手間がかかりますが、手軽に設置できることが最大の魅力です。
据え置き型の食洗機の魅力はもう1つあります。それは商品の価格です。ビルトイン型と比べると、かなり低価格で入手可能です。人気商品でも6万円以下で購入できますので、自分で工事をする場合は、ビルドイン型の半分程度のコストで設置できます。自分での取り付けが不安な方は、専門業者や購入したお店に依頼して設置してもらいましょう。
デメリットは場所を取るということです。据え置き型は、調理台かシンクに設置されることが多いのですが、設置することでキッチンのスペースが削られてしまう、という問題が発生します。ただし、シンクで本格的な食器洗いをすることはなくなりますので、シンクにラックを置いて設置しているところもあります。
食洗機はどちらを選べばいいの?
ビルトイン型と据え置き型、それぞれの特徴を理解してもらえたかと思いますが、どちらを選ぶべきなのか悩んでいる方も多いと思います。そこで、それぞれにどのような人に向いているのかをご紹介します。
【ビルトイン型】
- システムキッチンを導入している
- 持ち家で暮らしている
- 見た目にこだわりたい
ビルトイン型は見た目の良さが最大の魅力です。システムキッチンをすでに導入している場合は、キャビネット部やシンク下に設置することができます。このスマートな外観は、据え置き型には出せない魅力です。ある程度の予算があり、キッチンの見た目にこだわりたい場合はビルトイン型がおすすめです。
【据え置き型】
- 賃貸物件で暮らしている
- キッチンに広いスペースがある
- 導入コストを抑えたい
賃貸物件で暮らしている場合は選択肢がありません。原状復帰のことを考えても、据え置き型を選ぶしかないため、家電量販店などで実物を確認してから購入しましょう。持ち家の場合でも、設置のための十分なスペースがあり、なおかつ導入コストをできるだけ抑えたいという場合も、据え置き型が適しています。
食洗機の必要性を解説します!
ここまでの内容で食洗機のメリットとデメリットや、選び方などを説明してきましたが、ここでは食洗機の必要性について解説していきます。
食器機を活用できるか考える
「食洗機を導入しても使いこなせる自信がない」、「ただの置物にしてしまうのではないか」という思っている方は、食洗機を使う生活をしっかりとイメージしてみましょう。食洗機は全ての家庭に必要なものとは言い切ないため、前向きなイメージを持つことができれば、きちんと使いこなせる可能性があります。
便利そうだから、という理由だけで導入してしまうと、購入したけれど使い勝手が悪かったり、そもそもの相性の悪さを感じることがあります。その結果として、全く使わなくなるケースがありますので、本当に自分の生活に必要なものなのか、しっかり考えてから導入検討してください。
食洗機を使用したときの水道代の目安
「食洗機は水道代が安くなる」そう聞いたことのある人もいるかもしれません。実際に手洗いと比べると使う水の量が減るため、水道代は確実に減らせます。ただし、光熱費が減るのかというと必ずしもそうではありません。
まずは、食洗機を使用したときの水道代について説明します。
水道代の目安
パナソニックによると、食洗機の使用水量は手洗いの約1/9となり、かなりの節水効果を期待できます。食器点数を40点(5人分)と考えたときに、それぞれの使用水量は次のようになります。
手洗い:約75L
食洗機:約8L
食洗機が古いともう少し水を使いますが、それでも手洗いと比較すると水の量はかなり少なめです。1日に2回食器洗いした場合、1年間でなんと48トンの差になります。水は限られた資源ですので、地球への影響を考えると食洗機はエコな商品といえるでしょう。
もちろん水道料金も大幅に下げることが可能です。水道料金は自治体によって違いはありますが、1リットルあたり0.1~0.4円程度ですので、仮に0.2円だとしても1回あたり13.4円の節約、1年間なら9782円の水道代を節約できます。
これはかなりお得ですよね。しかし、重要なのは水道代だけでなく、電気代やガス代も含めた光熱費です。次に、食洗機を導入するときの光熱費の考え方について解説します。
食洗機を使ったときの光熱費
食洗機を使うと水道代を減らすことができますが、電気代やガス代がかかります。総合的に判断をしてどちらがオトクなのでしょうか。
前述のパナソニックのサイトによると、手洗い1回分のコストは55.6円です。これに比べて食洗機は21.6円ですので、2.7倍もの開きがありますが、水道代では9倍もの開きがあるにも関わらず、光熱費で2.7倍にしかならないということは、それだけ食洗機が電気を必要とするということです。
しかもこの時の条件として、手洗いは10Lのお湯でつけ置きしています。食器を洗う際につけ置きをしないのであれば、光熱費の開きは更に小さくなると考えられます。そのため、単純に食洗機のほうがランニングコストが安いとは言い切れません。
食洗機の光熱費は、利用する人のスタイルによって変わるということです。1食ごとに食洗機を使うのであれば、手洗いとそれほど変わりません。古い食洗機を使っている場合は、水道料金も手洗いと同じくらいかかることがあります。食洗機を使用するときの光熱費は、どの家庭でも当てはまるわけではない、ということを覚えておいてください。
食洗機の使用するときの注意点
食洗機はまだ発展途中の製品ですので、なんでも完璧に洗えるというわけではありません。利用するときにはいくつかの注意点がありますので、それらを守って利用しましょう。
ここではそんな利用するための注意点について紹介します。
食洗機で洗えないもの
食洗機の種類にもよりますが、食洗機で洗うことができないものがいくつかあります。それらは手洗いできれいにしましょう。
対象となるアイテムは次のようなものが挙げられます。
- 強化ガラス製品
- 軽くて飛ばされやすいもの
- 包丁
- カットグラス、クリスタルグラス
- 漆塗りの食器
- 銀やアルミ、銅の食器や調理器具
- 木製の食器
これらの食器や調理器具は、破損したり変色したりする可能性があります。食洗機を使わずに手洗いで対処しましょう。
木製のまな板や、鉄製のフライパンなどは、汚れをきちんと落とせなかったり、錆の原因になったりしますので、食洗機との相性はよくありません。フッ素加工された調理器具も苦手ですので、食洗機では洗わないようにしてください。
さらに、食洗機は利用していると汚れが溜まっていきます。食器の汚れを食洗機が取るのですから、当然といえば当然です。とはいえ、汚れを取るのが面倒だと思う方は多いと思いますので、あまり手をかけずに洗浄する方法について次の章でご紹介します。
食洗機の掃除方法は意外と簡単
食洗機で落とした汚れは、すべて水やお湯と一緒に流れていきます。ただし、その汚れをシンクに流すとシンクが汚れてしまいますので、大きな汚れは食洗機のフィルターを使って回収します。
このため、フィルターの定期的な清掃が必須です。
食洗機内の掃除方法
食洗機内も洗剤が回っているとはいえ、常に衛生的だというわけではありません。どうしても水が溜まりやすい場所があり、そこにカビが発生することもあります。特にパッキンなどはメンテナンスをしないと、あっという間に悪くなってしまいます。少なくとも、1ヶ月に1回は食洗機内の掃除を行いましょう。
できればパッキンは取り外し、薄めた漂白剤などで殺菌します。ホースの接続部なども菌が発生しやすい場所ですので、多少面倒でもきちんと清掃を行います。この一手間が食洗機の寿命を伸ばすのだと考え、できるだけ綺麗にメンテナンスしてください。
食洗機を正しく使うという意味では、専用クリーナーがおすすめですが、食洗機内の清掃にはクエン酸が有効です。専用クリーナーは価格が高いですし、説明書に記載されている清掃方法に従い、専用クリーナーの代わりにクエン酸を使うだけですので、コストを削減したい方におすすめの方法になります。
食洗機の取り付けで迷ったら業者に依頼する
食洗機の取り付けは据え置き型でもビルトイン型でも、自分で取り付けることができます。特に据え置き型は、食洗機を設置して給水用の配管とつなぐだけですので、それほど難しいことではありません。そうはいっても、安易に取り付けを行うと、取り返しのつかないトラブルに繋がることもあります。
もし取り付けで業者に依頼すべきか、自分で設置すべきかを悩むようであれば、迷わず業者に依頼しましょう。取り付ける工事費は必要になりますが、安全や安心を買えるのであれば、決して高い出費ではないはずです。自分で設置してトラブルが発生した場合は、業者に依頼をすることになりますので、その手間も省くことができます。
もちろんDIYに自信がある場合は、専門業者に依頼しなくても問題ありません。ただし、ビルトイン型はそれなりの知識と経験が必要です。据え置き型であれば、自分で設置することもできますが、ビルトイン型は排水まで考えなくてはいけませんので、それなりの作業時間もかかります。
確実に使えるようにするためにも、できるだけ専門業者に依頼しましょう。
まとめ
最後に食洗機について重要なポイントをまとめておきますので、おさらいの意味も含めて再確認しましょう。
- 食洗機が広まらないのは古い情報が定着しているため
- 手洗いよりも汚れが落ちて節水効果もある
- 光熱費は利用する人の環境によって必ずしも安くなるとは限らない
- 長く使うには日頃のお手入れが重要
- 食洗機では洗えない食器がある
- 設置は基本的に業者に依頼する
少し長くなりましたが、食洗機を導入するにあたって、上記のポイントをしっかり押さえておけば安心です。正しい使い方をすることで、食洗機は間違いなく生活を豊かにしてくれます。食洗機をきちんと理解して、より効果的な使い方を心がけみてください。
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