2017年9月8日

IHとガスコンロの光熱費はどちらがお得? メリット・デメリットを比較

キッチンのリフォームや家を新築で建てたりすると、IHクッキングヒーターにするかガスコンロにするか迷いますよね。この記事では、導入する参考になるように、IHクッキングヒーターとガスコンロそれぞれのメリットとデメリットを比較しています。どちらがいいのか迷っている方は、チェックしてみてください。

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ガスコンロとIHどちらが料理しやすいのか

出典:photoAC

まずはガスコンロとIHの、どちらが料理をしやすいかという点について比較します。

ガスコンロからIHに変えると調理が難しくなる?

ガスコンロからIHに変えたときに、一番難しいとされているのが火加減の微調整です。ガスコンロの場合は、火が見えるため、ちょっとした調整ができますが、IHの場合は「なんとなく」で調整するしかありません。

最初はほとんどの人がこの「なんとなく」に、なかなか慣れることができません。このため、IHは調理が難しいと言う人もいるようです。とはいえ、この点に関しては慣れるのにどれくらい時間がかかるかどうかというだけで、いずれ使いこなせるようになりますので、気にする必要はありません。

ガスコンロ調理のメリットとデメリット

それではガスコンロを使って調理をするときのメリットとデメリットが、どれくらい料理のしやすさに影響を与えているかについて説明します。

メリット
・火力が強い
・調理器具を選ばない

デメリット
・台所に熱がこもる

ガスコンロの強みは火力が強いことにあります。中華料理のように強い火力で一気に調理するような場合は、ガスコンロのほうが向いています。最新のIHで200V仕様のものは、ガスコンロの火力と比べて遜色ないほどの高出力になっていますが、チャーハンのように鍋振りが必要な料理は、まだガスコンロに分があります。

ただし、ガスコンロは火を使っているため、キッチンに熱がこもります。料理の味にはあまり影響しませんが、料理をするときには大きなストレスになります。特に夏の暑い日は、さらに暑さを感じることになります。それを回避するためにはエアコンを使うことになりますが、そうすると余計な電気代がかかってしまいます。

IH調理のメリットとデメリット

次にIH調理のメリットとデメリットから、料理のしやすさについて見ていきましょう。

メリット
・加熱スピードが早い
・部屋の温度が上がりにくい

デメリット
・利用できない調理器具がある

IHの強みは加熱の早さにあります。ガスコンロは調理器具を温めるのに時間がかかりますが、IHはすぐに温度を上げることができます。お湯を沸かしてみると分かりますが、ガスコンロでは考えられないくらいすぐに沸騰します。また、調理中に空気の温度が上がりにくいため、ストレスなく料理できます。

ただし、IHはこれまで使っていた調理器具が使えなくなる可能性があります。例えば羽釜や土鍋でごはんを炊いていたという場合は、別の調理器具に変えなくてはいけません。同じ味を再現できなくなることもありますので、この点ではIHの大きなデメリットになります。

このように、加熱スピードの違いや利用できる調理器具の有無などからIHとガスコンロの比較を行ってきましたが、 調理におけるIHとガスコンロのメリット・デメリット比較でより詳しく解説しておりますので、 ぜひ参考にしてみて下さい。

ガスコンロとIHの掃除方法の違い

IHクッキングヒーターを導入するとお手入れが格段に楽になります。特にトッププレートは、ガスコンロとは比べ物にならないほど快適にメンテナンスできます。それでもIHは、ノーメンテナンスできれいさを保てるわけではありません。部分的にはガスコンロよりも気を使って掃除をしなければ、故障につながることもあります。

IHの掃除方法

IHは毎日の料理のあとに、きれいに拭き掃除をするだけである程度の汚れは落とすことができます。ただし、油汚れ以外にも焦げ付きによる汚れも発生します。鍋やフライパンが汚れていると、IHのトッププレートに汚れが移ってしまいます。

この焦げ付きは少なくとも1ヶ月に1回は落としましょう。というのも、研磨剤を使えば簡単に落とすことができますが、研磨剤は同時にトッププレートも傷つけます。そのため、使っていくうちに徐々に輝きを失ってしまいます。これがIHのデメリットのひとつです。

また、グリル内のお手入れはガスコンロよりも手間がかかります。内部にあるヒーターの汚れを取り除かないと、いずれ故障を招いてしまう可能性があります。メーカーのクリーニングサービスを使わないと、汚れが落ちないということもあり、場所によってはIHのメンテナンスが楽なわけではないということを覚えておきましょう。

ガスコンロの掃除方法

ガスコンロの掃除はIHよりも手間と時間がかかりますが、五徳など部品を分解して洗うことができるため、時間さえかければしっかりと汚れを落とすことができます。さらに、消耗品だと考えて定期的に交換することで、新品同様の輝きを取り戻すことができます。

デメリットは、汚れがたまりやすく、IHと比べると毎日のお手入れ時間は長くなるということです。面倒だかといって、手を抜いてしまうとあっという間に劣化してしまいます。それでも最新のガスコンロは凹凸がかなり少なめで、トッププレートにもガラスコーティングなどが施されています。そのため、10年前のガスコンロよりも、かなり手入れが簡単です。

IHもガスコンロも結局、日々のメンテナンスをしっかりすることが重要です。もちろんガスコンロよりも、IHのほうがお手入れは簡単なことは間違いありません。ただし、それはIHのお手入れをしなくてもいいというわけではありませんので、注意してください。

IHとガスコンロ、それぞれの清掃方法についてご紹介しましたが、 お手入れにおけるIHとガスコンロのメリット・デメリット比較でより詳しく解説しておりますので、参考にしてみて下さい。

ガスコンロとIHの光熱費の比較

ガスコンロとIHクッキングヒーターを比較するときに、「IHのほうが光熱費は安くなる」と宣伝されていますが、実際にはIHに変えたことで光熱費が上がってしまうケースがあります。IHにすることでガス料金は発生しませんが、その代わり電気代が発生します。その結果、トータルで考えるとガスのほうが安くなることもあります。

1kWhあたりの光熱費比較

1kWhあたりの光熱費を比較したものが下記になります。

1位 都市ガス:10.00円
2位 電気(夜間):17.46円
3位 プロパンガス:19.57円
4位 電気(昼間):25.33円

※都市ガス料金:125円/㎡で計算
※プロパンガス料金(2017年6月の全国平均):548円/㎡で計算

【参考】TEPCO/スマートプラン

意外かもしれませんが、都市ガスが最も光熱費が安くなるという結果になっています。その次が夜間の電気代ですが、TEPCOのプランが変わった結果、夜間の時間帯が午前1時から午前6時までと極端に狭くなっています。こんな時間に料理をする人はあまりいないため、IHにすることでプロパンガスよりも光熱費が上がることもあります。

IHはオール電化と太陽光発電システムと組み合わせて考える

キッチンのリフォームを考えたときに、単純にガスコンロをIHに変えるだけでは、光熱費の面ではほとんどメリットが出ません。IHはオール電化や太陽光発電システムと組み合わせることで、光熱費を減らすことができます。

太陽光発電システムを導入すれば、電気代の高い日中は自分の家の屋根で発電をしているわけですから、高い電気代を払う必要がなくなります。またオール電化にしてエコキュートを導入することで、お風呂やシャワーの光熱費を大幅に減らすことができます。そこまで行ってトータルで考えたときに、IHは経済的で環境にも優しいとてもエコな調理器具になります。

都市ガスならIHにしないという選択肢も

オール電化や太陽光発電システムを導入すれば、光熱費を大幅に減らすことが出来ます。ただし、それらの機器を導入するのには多額の費用が必要です。初期費用が大きいため、それを回収するにはかなりの時間がかかってしまいます。

そう考えると、光熱費がそれほど高くない都市ガスのガスコンロから、IHに切り替えるメリットはあまりありません。最近のキッチンはIHが流行りではあるものの、費用対効果が見合っていないのであれば、都市ガスを使い続けるというのも賢い選択のひとつです。

もちろんIHには光熱費以外のメリットがありますので、そのメリットを強く感じるのであれば、導入検討をすべきです。ただし、きちんと自分で光熱費のシミュレーションを行い、IHに変えることでどれくらい得をするのか、それとも損をするのかを把握することが大切です。

このようにIHとガスコンロを比較すると、必ずしも「IH = 電気代が安い」とはなりません。光熱費については電力会社のプランを見直すなど、考えるべきポイントは他にもあります。 光熱費におけるIHとガスコンロのメリット・デメリットを比較でより詳しく説明しておりますので、参考にしてみて下さい。

ガスコンロやIHの取付工事の際は、比較検討して選びましょう。

キッチンのリフォームや新築で家を建てるような場合には、ガスコンロにするのかIHにするのかを決めなくてはいけません。どちらにもメリットとデメリットがありますので、なかなか判断するのが難しいですよね。基本的にはここまでに紹介した3つの比較を利用して、決めるようにしましょう。

比較検討の基本となる3つのポイント

1.料理のしやすさの比較
2.掃除のしやすさの比較
3.光熱費の比較

ガスコンロは火力が強いと言われていますが、あまり炒め物を作らず、むしろ蒸したり茹でたりすることが多い場合は、ガスコンロの火力というのはそれほど大きなメリットにはなりません。このように、一般的にメリットだと言われていることが、自分には当てはまらないということもありますので、自分にとって本当にメリットがあるのかを考えながら比較しましょう。

また、IHもガスコンロも常に進化していますので、過去に弱点だった面も、数年経過すれば問題が解消していることも珍しくありません。火力という面では、IHでも200Wのものを使えば、ガスコンロに匹敵するくらいの出力で調理できます。

機器の違いだけでなく、電気やガスの価格が常に変化していますので、常に最新の情報で計算をするようにしましょう。数年前まではIHは光熱費が安かったのですが、今回再計算をしてみると、都市ガスのほうが安いという結果になっています。

また比較検討するときには、インターネット上の情報だけを信じるのではなく、実際に使っている人や、メーカーの人の話も聞いて総合的に判断しましょう。

その他の比較検討材料

上記の3つのポイントが、IHにするかガスコンロにするかを決めるための重要な項目です。ただし、それ以外にも考慮しておいたほうがいい検討材料があります。

・安全性はどちらが高いか
・災害に強いのはどちらか
・トータルコストが安いのはどちらか

キッチンの安全性を考えると、ガスコンロとIHでは言うまでもなくIHを選ぶべきです。ガスコンロは火を使っているため、常に火災の可能性があります。IHでも間違った使い方をした結果、火災になったということがありますが、取扱説明書に書かれているとおりに使えば、発火する可能性はほとんどありません。

また、地震などの自然災害が発生したときに、ガスよりも電気のほうが復旧が早いと言われています。その点でもIHのほうが有利です。ただし、雷などによる停電があったときには、IHにしているとお湯すら沸かすことができなくなります。この点では一長一短ですので、自分が何の災害に備えるべきかを考えて優劣をつけましょう。

光熱費についての比較をしましたが、トータルコストについても考えなくてはいけません。ガスコンロやIHクッキングヒーター本体の価格だけでなく、工事費も含めてどちらが安いのかを考えておきましょう。特にオール電化と太陽光発電システムを組み合わせるときは、何年使えば元が取れるのかをきちんとシミュレーションしておきましょう。

キッチンの調理器具は長く使い続けるものです。直感で決めるのも悪くはありませんが、交換してから後悔しないように、ここで紹介した比較のポイントを参考に、しっかりと納得した上で、最適なものを選ぶようにしましょう。

まとめ

IHとガスコンロのそれぞれのメリットとデメリットを比較することで、それぞれの特徴が見えてきたかと思います。重要なことは、どちらにもメリットもデメリットもあるということです。そして、他の人にとってのデメリットが必ずしも自分のデメリットとは限らないということをしっかり頭に入れておきましょう。

「IHのほうが絶対にいいよ」「選ぶならガスコンロにすべき」とはっきり言ってもらったほうが、検討をするときに楽なのですが、どちらも進化が早いため過去の情報がすぐに古いものになってしまいます。必ず最新の情報で比較検討しましょう

また、検討するときには、きちんとデメリットの部分も理解しておくようにしましょう。メリットばかりに目が行きがちですが、重要なのは、デメリットを許容できるかどうかという点です。

IHに交換すると使えなくなる一部の調理道具は買い換えなくてはいけませんが、それを許容できるかどうか。ガスコンロはIHよりもこまめな掃除が必要ですが、それを許容できるかどうかについて、しっかりと考えましょう。

いいところばかり見ていると、どうしてもデメリットを見逃してしまいます。ところが実際に導入したときに、見逃したデメリットによってストレスを感じてしまうこともあります。検討をするときはデメリットもきちんと受け入れた上で、どちらを導入するかを決めましょう。

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監修者:

渡邊 一伸(ナベさん)

大工歴35年。大手ハウスメーカーで2年間現場監督に従事。3000棟以上のリフォーム・住宅修理の工事管理の実績をもつ。阪神淡路大震災においては1年間復興財団に奔走。その後、独立し、会社を10年経営。2016年に1月に株式会社ローカルワークスに入社。