年々増加するバリアフリーリフォームの依頼
歳をとると、今まで生活していた家の中にも、危険が多くなってきます。
家庭内の死亡事故は、実は交通事故より多く、その多くは高齢者の方が占めているという調査結果が出ています。
こうした危険に備えて、バリアフリーリフォームをされる方が年々増え、全リフォーム工事の約4割がバリアフリーに関するものだという調査結果もあります。
50代以上のこれからに備える方はもちろん、比較的若い方が両親の今後のためにリフォームを依頼するケースも多くみられます。
こうした事情を踏まえ、国や地方自治体からの助成金や介護保険も充実しており、工事総額の9割がまかなわれるケースもあります。
この記事では、気になる補助金の申請方法も併せて、どのような工事が必要なのか、費用はいくらかかるのかという疑問を解説していきます。
よく行われるバリアフリーリフォーム
手すりの取り付け
- I字型の手すり設置工事...約2万円
- L字型の手すり設置工事...約3万円
- 階段手すり設置工事...約11万円
手すりの取り付けは、バリアフリーリフォームの施工内容の中で最も行われている工事です。
手すりの主な設置箇所は、廊下、階段、トイレや浴室で、場所によって手すりの種類や高さが違います。
「手すりの高さや太さが合わない」と言ったトラブルも報告されているので、事前の確認が重要です。
設置する高さについては、廊下や階段にはI字型の手すりを設け、介助が必要な方の腰骨の辺りに設置します。
トイレの場合は、L字型の手すりが基本で、便座に座った際に腰の高さにくるようにします。
太さは、親指と人差し指の間に指1本分の余裕ができるのが理想で、温度の変わりやすい金属製の手すりは避けましょう。
段差の解消
- 襖の敷居のかさ下げ工事...2万〜3万円
- 段差をなくす床上げ工事...4万〜5万円
段差の解消は、手すりの設置工事に次ぐ頻度で行われているリフォームです。
高齢者が家の段差でつまづいて骨折し、それを機に寝たきりになってしまうケースも少なくありません。
開き戸の沓摺りは意外と簡単に撤去できます。
和室の襖の敷居などの小さな敷居による段差は、フローリングのかさ上げ(下げ)が必要です。
かさ上げやかさ下げによって、別の部屋との間に段差が生じるケースがあります。
水回りは段差の解消によって水が入りやすくなってしまうので、排水ピットを設置する必要があります。
【場所別】バリアフリーリフォーム
扉・ドア
- 大きなレバーハンドルへ変更...1.5万円/箇所
- 引き戸への変更...約10万円
扉部分のリフォームの多くは、幅の広い引き戸への変更です。
理由はふたつあります。ひとつは、介助者が伴った状態や、介助用車椅子を使った状態でも扉を通りやすくするため。もうひとつは、トイレなどの狭い個室で倒れると、内開き扉を開けられなくなってしまうからです。
扉などの建具の改修には、実際に使った際に必要な寸法を満たしているか確認するようにしましょう。
特に介助用車椅子の場合は、廊下に面した出入り口を直角に曲がって出ることが難しいので、十分な幅を確保する必要があります。
廊下・階段
- フットライト設置...3万〜5万円
- 玄関、階段に手すりを設置...5万円〜15万円
- 玄関外の階段をスロープにする...40万〜50万円
廊下や階段には、手すりを設置して歩行しやすいように改修します。
床のフローリングは滑りにくい素材やコルク材を使用して、転倒を防止しましょう。
高齢になると昇り降りがきつくなるだけではなく、視認性も低下します。夜間用にフットライトを付ける工事も検討してみましょう。
また、玄関の外に階段がある場合は、新たにスロープを設置する工事も可能です。
階段の段差を緩やかにする工事を希望される方も多いですが、その場合階段の構造全体を変更しなければならず、大規模な工事になってしまうことを知っておきましょう。
浴室
- 浴室に手すりを取り付ける...約5万円
- 浴室暖房の設置...10万〜20万円
- 浴槽をまたぎやすい高さに変更...約25万円
- 浴室スペースを広げ、新たにシステムバスと洗面台を設置...約117万円
浴室は高齢者がひとりになる場所であり、かつ水回りということもあって十分な設備が必要です。
浴槽のサイズは、またぎやすさと浴槽内での姿勢の安定の2点を重視しましょう。
軽く膝を曲げた状態で、足が向こう側に届く程度の長さが良いでしょう。
浴室は滑りやすいのが難点です。手すりは浴槽の中と洗い場の両方に、多めにつけましょう。
身体を洗うのに介助が必要な場合は、介助スペースを確保する工事も必要です。
また、浴室の内と外の温度差によって血圧が急変し、心筋梗塞や脳梗塞を発症するヒートショックにも注意します。
年間1万人の死者を出しており、浴室暖房を設置するなど十分な対策が必要です。
トイレ
- 手すり取り付け...約3万円
- 便座の高さを調整する...約3万円
- 和式トイレを洋式の水洗便器にする...約32万円
トイレは1日に何度も利用する箇所のため、必ず生活スペースと同一階にし、居間や寝室からの動線を十分に確保します。
トイレの扉が内開きの場合は、必ず外開きか引き戸に変更します。中で倒れた際に、扉が開かなくなってしまうからです。
足腰に負担がかかる和式便所のままである場合は、洋式便所に変更しましょう。
通常の様式便器の高さは40cm程度ですが、リウマチなど膝への負担が禁物な場合は、補高便座を利用します。
最近では、どこでも設置可能なポータブルトイレが登場し、リフォームの選択肢の幅は広がっています。
また、汚物が飛び散ってしまった時のために、床材や壁紙は溝がなく清掃しやすいものを選びましょう。
バリアフリーリフォームの事例
ここでは、当サイトを通じて行われたバリアフリーリフォームの事例をご紹介しますので、費用と仕上げりの参考にしてみてください。
介護のためのトイレ手摺取付け工事
- BEFORE
- AFTER
- 工務店名
- 関建設工業株式会社
- 施工月
- 2010年10月
- 施工地域
- 長野県長野市
- 住宅種別
- 戸建住宅
- お客様のご要望
- トイレで座ったり立ったりの動作がしやすいようにしてほしい。
- 業者のコメント
- お年寄りや身体の不自由な方にとっては、トイレに行き、座ったり、立ったりする動作はとても大変です。ですから、こういった手すりなどの補助材を設けてあげる必要があります。これは単に使い易くするといった事だけではなく、他の人の手を借りることなくトイレに行けるようになる事で、症状が悪化することの防止にも繋がると言われています。また、介護を必要とする方が住宅改修を行う際には、助成制度がありますので気軽にご相談ください。
- 工事費用
- 約4万円
階段手摺り取付工事 価格5.5万円(税込)
- BEFORE
- AFTER
- 工務店名
- 株式会社ブライト
- 施工月
- 2014年7月
- 施工地域
- 埼玉県さいたま市
- 住宅種別
- 戸建住宅
- お客様のご要望
- 階段に手すりを付けてほしい。
- ここがポイント!
バリアフリー施工
安心して昇り降りできる
快適な暮らしのお手伝い
- 業者のコメント
- 階段に手すりを付けてほしい。とのご要望にお応えいたしまして、施工させていただきました。
- 工事費用
- 約5.5万円
神戸市兵庫区✕システムバスリフォーム✕丁寧な仕上がりの工事
- BEFORE
- AFTER
- 工務店名
- 株式会社リペアジャパン
- 施工月
- 2015年12月
- 施工地域
- 兵庫県神戸市兵庫区
- 住宅種別
- 戸建住宅
- お客様のご要望
- 浴室入口をバリアフリーにしたい。
- ここがポイント!
バリアフリーを設ける
全体的に綺麗な仕上がりになりました。
快適な暮らしのお手伝い
- 業者のコメント
- お客様のご要望通りの仕上がりになりました。
- 工事内容詳細
【ユニットバス】
TOTO サザナHD Tタイプ 1616サイズ
- 工事費用
- 約65万円
小田原市 スロープ バリアフリー

- AFTER
- 工務店名
- グッドリフォーム湘南
- 施工月
- 2015年6月
- 施工地域
- 神奈川県小田原市
- 住宅種別
- 店舗・オフィス
- お客様のご要望
- スロープの改修を頼みたい。
- ここがポイント!
バリアフリー
移動が楽々
快適に過ごせます
- 業者のコメント
- デイサービス施設の改修工事にともなうスロープ工事になります。バリアフリー法に適合した仕様になっております。
- 工事費用
- 約90万円
バリアフリーは補助金がもらえる?
バリアフリーリフォームを行う際、補助金がもらえる場合があります。
補助金の種類は、以下の2種類があり、いずれかを選択します。
- 所得税減税投資型
- 所得税減税ローン型
所得税減税投資型は、リフォーム工事費用額(最大200万円)の10%が、所得税から控除される補助金です(最大20万円)。
一方で、所得税減税ローン型は、バリアフリー改修工事に係る借入金(最大250万円)の年末残高の2%が、5年間控除される補助金です(最大12.5万円×5年=62.5万円)。
また、バリアフリー工事を行った翌年分の固定資産税3分の1を減額する補助金も存在し、上記の補助金と組み合わせることが可能です。
その他、細かい条件がありますので、詳しくは国土交通省HPをご覧ください。
補助金を受けるための条件
対象となる工事内容は主に以下の通りです。
- 廊下の幅拡張
- 階段の勾配を緩和
- 浴室リフォーム
- トイレリフォーム
- 手すりの取付け
- 段差の解消
- 戸口リフォーム
- 滑りにくい床材への取替え
対象者は以下のいずれかの条件を満たす方です。
- 50歳以上の方
- 要介護または要支援認定を受けている方
- 障害のある方
- 65歳以上の方と同居、または上記の該当者と同居している方
控除を受ける条件は、以下の全てを満たしていることです。
- 減税申請者自らが所有し居住する住宅であること。
- 合計所得が3,000万円以下であること。
- 法令で定められた標準的な工事費用の合計が50万円以上(補助金を除く)であること。
補助金を受けるための手続き
控除を受けるには、確定申告申請時に、以下の書類を管轄の税務署に提出する必要があります。
- 増改築等工事証明書(定められた書式に建築士等が記入したもの)
- 住宅特定改修特別税額控除額の計算明細書(税務署で取得する)
- 家の登記事項証明書など、家の床面積が50㎡以上であることが分かる書類
- 工事請負契約書の写しなど、改修工事の年月日と費用が分かる書類
- 住民票の写し(要介護認定若しくは要支援認定を受けている、障害者に該当する者又は65歳以上の親族と同居している場合は、同居する親族についても分かるもの)
- 源泉徴収票(給与所得者のみ)
バリアフリーリフォームの助成金についてはこちらの記事でも詳しく解説しています。
【2022年最新版】バリアフリー工事の助成金まとめ
DIYで出来るバリアフリー
ここでは、リフォーム業者による工事が必要なバリアフリーリフォームを紹介しましたが、簡単な内容であれば、DIYで行うことも可能です。
段差にミニスロープを取り付ける、階段に滑り止めシートをひくなど、費用を抑えられる箇所は自分で行うとよいでしょう。
ただし、滑って動くと危険ですので、しっかり設置することが重要です。
- ミニスロープ...2000円〜3000円/個
- 滑り止めシート...100円〜1000円/枚
まとめ
2000年に介護保険制度が始まって以来、要介護と認められた方には、工事金額の9割(最大20万円)が補助金として支給されるようになりました。
他にも独自の助成金を持っている自治体も多くあります。
しかし、リフォーム業者側がそれらの仕組みを完璧に把握しているわけではありませんし、補助金制度がずっと続くとは限りません。
将来の必要性に備え、早いうちから情報収集し、できるうちに工事を済ませておくことが必要です。
全てをリフォームする必要はありません。手すりの取り付けや段差の解消といった簡単な工事から、少しずつ進めていきましょう。
いかがでしたでしょうか。なるべく費用を抑えてリフォームをしたい方へお知らせです。リフォマは中間業者を介さずに、ご要望に合う専門業者を直接ご紹介します。中間マージンが上乗せされないため、管理会社や営業会社などより安く費用を抑えることができます。下記のボタンからお気軽にご相談ください!

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